河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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グアム周辺に4発の火星12号を同時発射すると豪語していた金正恩委員長が一転、「米国の様子をもう少し見守る」と軟化姿勢を見せ、その真意を巡って憶測が飛び交っている。
トランプ大統領がグアム攻撃に対して大規模報復を公言し、米朝開戦かとニューヨークや東京の株式市場も株価が乱高下するなど国際的な注目事となっているが、金正恩が一歩引いたことで事態は小康状態となった。
金正恩が旧日本軍のように対米戦へと暴発する可能性がゼロではないが、外交的な解決へと急展開する局面も見えてきた。

これまで何度も指摘しているように、大胆なようで臆病な金正恩の行動には、決まったパターンがある。
グアム攻撃について言えば、過去にも似たことがあった。2013年3月の韓米合同軍事演習に反発し、グアムや日本などの米軍基地を攻撃する「火力打撃計画」に署名するデモを行い、東海(日本海)にムスダンをこれ見よがしに展開したが、結局、見送っている。
今回も同じパターンであるが、米国という敵と実際に対峙する過程で、その強大な軍事力を思い知り、予想以上に手強いと学習しているのが読み取れる。労働新聞に韓米情報機関が「最高尊厳の暗殺を狙っている」と批判するのも、金正恩が身辺の危険を感じて極度に警戒していることを端的に物語る。

金正恩が気にする米国の出方だが、トランプ大統領の「見たこともない炎と怒りを受ける」の言葉に集約できる。マテイス国防長官とテイラーソン国務長官が14日に連名でウオールストリート紙に寄稿し、「どんな核兵器の使用も効果的かつ圧倒的に反撃されるだろう」と核使用に公式に言及した。
あってはならないことだが、金正恩が米国への核攻撃を公言している以上、ピョンヤンへの核爆弾投下もありうるということである。

トランプの基本姿勢は北朝鮮が核弾頭を運搬できるミサイルを完成する前に、軍事的手段を用いてでもその能力を完全に除去するということである。
そのタイムリミットの範囲内で制裁圧力を最高度に高め、金正恩が進んで核を廃棄する交渉の場に出ざるを得ない状況まで追い詰めることに尽きる。北朝鮮侵攻や体制転換を目指していないと秋波を送るのも、窮鼠猫を噛む事態を避ける意味がある。

中国に対して通商法301条発動をちらつかせ、制裁強化を迫るのもその一環である。
習近平主席が石炭、鉄鉱石など石油以外の対北朝鮮禁輸を決めたのも、トランプのシナリオに歩調を合わせたことを物語る。人民日報系の環球時報が12日社説で「米朝間で衝突が起きても中国は中立を維持すべきだ」と主張し、金日成時代の朝中軍事同盟の無効を宣言したのも中央政府の意向を反映したものにほかならない。

金正恩がもう少し見守るべきは、そうした四面楚歌の絶望的状況である。軍事的には圧倒的に不利で、中国の支援も期待できず、戦端が開かれれば瞬時に北朝鮮は壊滅的な損害を受ける。
合理的な判断が出来れば、結論は自ずと明らかである。

ただ、権威も実績も乏しい金正恩は、戦前の日本軍部が鬼畜米英で国民の戦意を高揚させ、求心力を保ったように、核武装を声高に叫ぶ反米の旗が政権維持には不可欠であると考えている。
しかし、どうであろう。無条件降伏を呑んだ日本は天皇制存続を認められ、経済再建に国民一丸となった。

核を廃棄し、その代償に巨額の経済援助を手にして経済再建、国民生活向上に努めれば、金正恩の立つ瀬も出てくる。
それを金正恩が理解し、理解させることが重要である。在日の母親故に国内で疎外され、スイスで青少年時代を過ごした金正恩は渇いており、利にさとく、旧来のイデオロギーへのこだわりは口ほどにはない。説得はそれほど難しくはなかろう。
金正恩が米国を核攻撃すると過激発言を繰り返している。
当人は米国を恫喝し、交渉のテーブルに引き出そうと考えているのだが、客観的には、北朝鮮国民が核攻撃を受ける危険性を高めている。

現にトランプ大統領は8日、「世界がこれまで目にしたことがないような炎と怒りに直面するだろう」と記者団に述べ、金正恩委員長に警告している。さすがに核ボタンを押すのは躊躇われるが、相手が核攻撃を公言している以上、軍事戦略的に選択肢に入れざるを得ないとの考えである。
政治的にも、米国世論が急速に軍事力行使を求める方向に傾いており、世論に敏感なトランプがゴーサインを出すタイムリミットが刻々近づいていると読める。
国際的にも、米国の自衛権行使として黙認する国が大多数である。

金正恩は北朝鮮国民を楯にして米国に喧嘩を売ってきたことになるが、そろそろ限界である。
火星14号の発射に対して国連安保理で新たな制裁決議が採決され、中国も石油以外の輸出入を大幅に禁止することに同意した。北朝鮮経済は大混乱に陥り、疲弊しきった国民生活は一段と深刻化する。
金正恩が「対米決戦」に総動員体制をかける主因は、国民の動揺と反発を押さえることにある。婦女子に竹槍を持たせて「聖戦貫徹」、「一億玉砕」を叫んだ戦前の日本軍国主義と似ている。

日本軍国主義者は核兵器開発に最後の望みを託し、北朝鮮で産出したウランを用いて科学者たちに発破をかけたが、皮肉にも、金正恩は同じ事を繰り返している。
ただ、金正恩は核実験に成功し、それを弾頭に搭載するICBMの完成間近まで迫っている。ワシントン・ポストは「米国防情報局の分析で、北朝鮮は60の核爆弾を保有し、一部はICBMに搭載可能」と報じた。

金正恩は狂人か天才かとそれぞれの思惑絡みで論じられているが、少なくとも狂人ではない。合理的とまでは言えないが、機を見るに敏なところはある。だが、知見、経験に欠け、誇大妄想的な思い込みが激しい。
その端的な例が、9日に北朝鮮の金洛謙戦略軍司令官が「火星12号4発をグアム周辺に同時に発射する作戦計画を最終完成させた後、8月中旬までに金正恩最高司令官に報告し、発射待機姿勢で命令を待つ」との声明を発表したことである。
回りくどい言い方は、そう言うように仕向けた金正恩の個性そのものである。一見、大胆なようだが、用心深く、臆病ですらある。北朝鮮国民の手前、極力強ぶらなければならないが、その実、米軍による斬首作戦や空爆を恐れているのである。

金正恩は、押せるところまで押せば、トランプが対話へと下りてくると自分なりに算盤を弾いている。
「日本を焦土化する」と脅すのも、日本が恐れおののいて米国に軍事行動を思い止まり、対話に応じるよう働きかけさせる心理作戦である。

しかし、金正恩は米国がよく分かっていない。脅されて交渉のテーブルに就く国ではないし、そうしたことは一度もない。日本との開戦も「パールハーバーを忘れるな」と大義名分を得るまでじっと待っていた。
老練なトランプも、じっと待っている。9日にツイッターで「米核戦力はかつてないほど強力だ。使わないことを望む」と意味深長なことを呟いている。中国やロシアすらやむを得なかったと納得する状況まで見極めようとしている。

客観的には、初期段階の北朝鮮の核戦力と米国のそれとは象と蟻以上の差がある。かつてクリントン大統領は「水爆3発で方がつく」と述べ、韓国大統領の猛反発で撤回した。
だが、現在、トランプを押し止める者は見当たらない。軍事行使に踏み切れば、北朝鮮の反撃を抑え、韓国、日本の損害を防ごうと大規模なものになろう。

金正恩は米国を挑発すればするほど、北朝鮮国民が第2の広島、長崎の惨害を被るリスクが高まっていることを知らねばならない。
核開発は安全ではなく、危険を増大させている。国民を無駄死にさせないためにも、早く核廃棄に応じ、改革開放に舵を切るべきである。残された時間はそう多くない。
デービス米国防総省報道官は28日、「北朝鮮が慈江道の舞坪里から同日午後2時45分に弾道ミサイルを発射した」と発表し、「予想通り、ICBMだったと分析している」と断定した。
これに対してロシア国防省は「中距離弾道ミサイル」と発表した。同一の飛翔体に米国はICBMと過大評価し、ロシアがIRBMと過小評価する奇妙な食い違いを見せているのは、政策的な理由がある。

それについては後述することにするが、猪突猛進の金正恩委員長の深夜のミサイル発射に最も衝撃を受けているのは、ほかならぬ安倍政権である。
稲田防衛相がシビリアンコントロールを乱した責任を問われて辞任を発表した直後というタイミングでのミサイル発射は、情実人事で揺れる安倍政権の外交防衛政策を直撃し、支持率が20%台に急落している安倍首相はさらに厳しい状況に追い込まれた。

朝鮮中央通信が今日伝えるところによると、「火星14号」発射には金正恩が立ち会い、「米本土全域が我々の射程圏内にあることが立証された。ICBMを奇襲発射できる能力が誇示された」と述べたという。
米国が怖じ気付き、交渉のテーブルに出てくると捕らぬ狸の皮算用をしているのであるが、北朝鮮国民にとっては危険極まりない思い違いである。

米国が自国への攻撃を公言している金正恩政権とまともに話し合うわけがなく、ましてや、核ミサイルの実戦化を手をこまねいて見ている訳がない。
そうした外交・軍事戦略の基礎に疎い金正恩は核保有プロセスが進展していることを示すことで圧力をかけた気になっているが、実際は攻撃を受けるリスクを高めているのである。

北朝鮮「火星14号」の実験は4日にも成功しているが、それを受けて米当局は「今後1、2年内に北朝鮮が米本土を攻撃できる核ミサイルを保有する可能性がある」と従来の見解を修正したが、事実上のタイムリミットである。
実際、デービス報道官はICBM発射について「予想通り」と述べ、対応マニュアルが出来上がっていることを示唆している。
トランプ大統領は28日の声明で「米本土の安全を確保し、同盟国を守る必要な全ての措置を取る」と軍事オプションを再度示唆した。

ただ、軍事オプションについては党大会を秋に控える習近平中国主席が消極的である。
ロシアも米国の軍事的影響力が東アジアで高まるのを望まず、今回の実験について米国がICBMとするのは危機を誇張するものであるとし、実際はIRBMと異論を唱えている。

トランプ大統領も中ロの意向をある程度尊重してきたが、自ずと限界がある。ロシアゲート疑惑で支持率が急落している中、アフガン、イラク攻撃で高支持率を獲得したブッシュ政権に倣わない保証はない。
ハワイ州政府が北朝鮮ミサイル警報を出すなど北朝鮮問題への関心が高まっており、トランプ大統領が自国の安全第一と北朝鮮攻撃に踏み切る可能性は高い。

それと関連して、ポンペオCIA長官の発言が注目される。
ワシントン・ポストとのインタビュー(26日付)で北朝鮮が核戦力部隊を実戦配備したときが「本当に危険だ」と述べ、「トランプ大統領はそのような事態は認めないと明確に述べてきた」と強調した。その上で「北朝鮮に対する秘密工作や国防総省を支援する情報作戦を準備している」と付け加えた。
同氏は20日の安全保障会合で「金正恩体制を核システムから切り離すことは出来る。北朝鮮国民も望んでいるはずだ」と金正恩排除工作に言及している。テイラーソン国務長官は「北朝鮮の体制転換を求めない」と述べていたが、トランプ政権が強硬策に傾いていることは間違いない。

粛清への反発から高級幹部の脱北が相次ぎ、北朝鮮政権内ももはや一枚岩ではない。
外部の強攻手段を待たず、自浄作用を発揮できるか、真の主体性が試される。ここ1、2年が勝負の時となる。
東京都議選前に出版した『日本改革の今昔 首相を目指した在日新井将敬』(旧題『代議士の自決 新井将敬の真実』)の第1部5「安倍一強の盲点」で自民党惨敗と政局流動化は避けられないと分析したが、1ヶ月経過してほぼその通りとなった。

新井の盟友であった石破茂自民党幹事長(当時)との3年前の、我ながら絶妙なインタビューから説き明かし、ポスト安倍の一番手に躍り出ると予測したが、これも当たりそうである。
24日発表の産経FNN合同世論調査に、首相にふさわしい人に石破20・4%、安倍19・7%と出ており、支持率が20%台に急降下した安倍政権を引き継ぐ自民党次期政権が石破政権となる可能性が高まっている。
都議選で圧勝した小池百合子東京都知事が首相の座を狙っている事は明明白白であり、旧新進党で新井と行動を共にしていた石破、小池両氏が劇的に提携するシナリオもありうるとも『日本改革の今昔』で既に指摘しておいた。

にわかに巻き起こる政界再編に一枚絡んできそうなのがーこれも指摘したことであるがー蓮舫民進党代表である。
産経新聞など一部保守系メデイアからいわゆる二重国籍問題を執拗に攻撃され、釈明記者会見に追い込まれたが、なかなか強かである。安倍首相に関わる加計学園ビジネス疑惑の衆参予算委集中審議直前に記者会見を開き、丁寧な説明を実践して見せ、傲慢、不誠実と世論から指弾されている安倍首相と対照的である。
それが奏功し、野党共闘路線が効いて直後の仙台市長選で民進党候補が自民候補を破った。都議選敗北の後遺症を払拭し、分裂病再来かと揺れていた党内が引き締まったのである。

その上で、蓮舫代表は今日午前中の参院予算委集中審議で安倍首相批判の舌鋒を再度披歴し、日本全国の視聴者に存在感をいかんなく示した。

安倍首相が支持率急落で弱気になっている事は、審議とは無関係な麻生副総理が隣に座り、事実上、付添人役をしていたことからもうかがわれる。
下手なドラマを観るよりも実に面白かったが、始終目をつむっていた麻生氏が要点要点で呟くようにアドバイスを送り、不安気に目をしばたかせる安倍氏をなだめていた。第一次安倍政権崩壊時の経験から、安倍氏が逆境に弱い事を知り尽くしていたのであろう。あるいは、ギリギリまで支え、次はオレと腹を括っているのかもしれない。

案の定、安倍首相は蓮舫代表の鋭い追及に耐えきれなかった。
安倍首相は前日の衆院予算委で大串議員から「加計学園の特区申請をいつ知ったのか」と突っ込まれ、苦し紛れに「今年1月20日に初めて知った」と答弁していた。場内からえーといった声が上がるほど、常識的にはおよそ考えられないことであった。
それを受けて蓮舫代表が「記録」をキーワードに過去の数々の安倍答弁との矛盾を挙げて攻め立てると、安倍首相はしどろもどろになり、「整理が不十分だった」、「混乱して答弁した」と修正に追い込まれた。麻生氏はトイレであろうか2回ほど中座したが、居たたまれない気持ちであったろう。
テレビを観ていた国民の多くは、「首相は加計との関係を隠そうとしている」と疑いを深めたであろうことは間違いない。

実は、安倍首相は前日の質疑でもう1つ致命傷になりかねない発言をしている。玉木雄一郎民進党議員が「公になっているだけでも特区申請している加計学園理事長と14回もゴルフと食事をしているが、費用は誰が負担したのか?」と問い詰められ、「私がごちそうすることもあるし、先方(加計氏)が持つ場合もある」と認めてしまったのである。便宜供与に供応を受けたとなると、贈収賄や斡旋利得罪容疑が浮かんでくる。
安倍首相が親密さを公言していた加計氏との関係を一転、頑なに否定するのは、背景にそうした宿業的な問題があるからと思われる。『日本改革の今昔』で指摘したように、森友学園問題と本質的に同じ「政治と金」の問題が潜んでいるのである。

刑事事件にまで発展するかどうか予断を許さないが、蓮舫代表が加計学園ビジネスの闇に果敢に切り込み、説明責任を拒み続ける安倍首相との差を多くの国民に見せつけたことは否定できない。
今後の世論調査にどう反映されるか、注目されるところである。

私が『日本改革の今昔』の緊急出版を思い至ったのは、日本の政治状況が「政治と金」の問題で揺れた1990年代と酷似していることに気付いたからである。豊洲市場への不透明な移転問題では「黒シール事件」の主犯であった石原慎太郎衆院議員(当時)の公設第一秘書が、鹿島建設専務として鹿島ありきの工事受注を秘書仲間であった浜渦副知事との裏交渉で請け負っている事を知り、正直、愕然とした。
1990年代に「改革派のホープ」とマスコミから称えられ、政界再編の激動の中で八面六臂の活躍をしたのが、韓国・朝鮮系在日の新井将敬であった。
小選挙区制への移行、政治献金規制、斡旋利得罪の制定など一定の成果はあったが、不十分であった。そのことを、今また「政治と金」で豊洲の闇に都政が歪み、中央政界でも安倍政権が疑獄で揺れている事実がハッキリと物語っている。

新井の旧盟友たちがその課題にどう挑むのか。
さらに、中国系在日の蓮舫代表がどんな役割を果たせるのか、また果たすべきなのか、改革の今昔を比較する過程でより見えてくると思われる。
朝鮮中央テレビが4日午後3時、特別重大放送で「大陸間弾道ミサイル『火星14』の発射に成功した」との国防科学院の声明を伝えた。「発射角度を上げるロフテッド軌道で打ち上げられ、最高高度2802キロに達し、39分、933キロを飛行し、目標水域に正確に着弾」と移動発射台に搭載されたミサイルが発射される映像と共に報じた。
「核兵器と共に世界のどの地域も打撃できる最強のICBMを保有する核強国として、米国による核戦争の脅威を根源的に終わらせ、朝鮮半島と地域の平和、安定を守る」と同科学院は強調したが、金正恩委員長の思惑が端的に表現されている。

何よりも金正恩の狙いを正確に見抜くことが重要となるが、日韓米には少なからず混乱が見られ、脅威のレベルを上げて揺さぶる金正恩を喜ばせている。
トランプ大統領は実験直後に「あの男はほかにやることがないのか」と呟いたが、「米独立記念日への贈り物」と金正恩はほくそ笑んでいる。

今回の発射についてミサイル戦略軍の創設記念日に合わせて実施し、主権国家の判断と北朝鮮は強弁するが、無論、実情は異なる。
特別重大放送によると金委員長が3日に発射実験を指示し、翌日午前9時に本人立ち会いで発射したとされるが、この一連の行動に、私がこれまで何度か指摘した金正恩独特のパターンが読み取れる。
すなわち、ストックホルム国際平和研究所が3日に「北朝鮮は10〜20発の核弾頭を保有。実戦配備はしていない」と発表、日米韓メデイアが大きく報じたが、スマホを愛用する自意識過剰な北朝鮮の若い指導者が飛び付くように反応したのである。

金正恩は実験成功に科学者たちと抱き合い、ガッツポーズまで決めて喜びを爆発させた。ストックホルム国際平和研究所が発表した核弾頭のイメージと結び付け、米国を牽制する手段を手に入れたと考えたのである。
だが、肝心なことを忘れている。核弾頭の実戦配備に大きく近づいた事は事実であるが、ICBMに搭載する小型化は依然として完成していない。そのため、「標準化、規格化された核弾頭の構造と動作特性を確認した」前回2016年9月の実験に続く6回目の核実験を強行する可能性がある。

それこそレッドゾーンを越えた事になり、米国の軍事行動を招く事になろう。
つまり、金正恩は自ら米軍による攻撃を受けるリスクを高めていることになる。

トランプ大統領が先の習近平主席との会談で軍事オプションの猶予期限とした「100日間」の期限は正確には今月16日となる。
米国としては中国が石油禁輸に踏み切れば金正恩政権は瓦解する、あるいはその前に音をあげて核廃棄に舵を切ると期待しているが、実際は思うように進んでいない。

習近平が躊躇うのは、一つは、北朝鮮崩壊で難民流入など朝中国境が不安定化する事である。秋の共産党大会を控え、そうした不測事態は避けねばならない。
もう一つ、THAAD問題がある。トランプの要求に従うことで米国の軍事的プレゼンスが朝鮮半島や周辺地域に強まる事を恐れているのである。

しかし、トランプは金正恩が米国本土への核攻撃能力を有することを座視する事は軍事戦略上の常識からもあり得ない。
日韓への北朝鮮の反撃リスクを負ってまで米国が軍事行動に出る可能性は小さいとの見方が日本のマスコミでは支配的であるが、どうであろうか?
金正恩もそれを見透かし、日韓への攻撃をちらつかせてトランプを牽制するが、それもつまるところ程度の問題である。
軍事的野心に憑かれた金正恩との対話など全くの幻想である。現実的には、核保有した金正恩と戦うか、その前に多少の犠牲覚悟で除去するかの選択となる。

純軍事的には米国と北朝鮮の軍事力は天地ほどの違いがあり、例えば、バンカーバスターに戦術核を搭載して金正恩のピョンヤン地下司令部と核・ミサイル施設、ソウルを狙う長距離砲部隊を狙えば、一瞬にして事は終わる。しかし、それは北朝鮮市民にも一定の犠牲を伴うもので、さすがにトランプも躊躇わざるを得ない。その意味で金正恩は北朝鮮国民を人間の盾にしているのである。

先の大戦中、劣勢に立たされたドイツのヒットラー、日本の東條英機は米ソに先立つ原爆開発に血眼になった。韓米との休戦協定を一方的に破棄し、国民生活を犠牲にして核開発を急ぐ金正恩の心境がそれに近い。
それを止めるために、核廃棄しなければ生きていけないことを痛感させ、対話の場に呼び出すか。それが出来なければ、軍事オプションはやむを得ない。
血で血を洗う中東情勢が証明しているように、無償の平和など幻想である。大禍を予防する小禍はあり得る。核保有した金正恩との対話など、地域の核開発競争に火を点ける愚策であると知らねばならない。

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