河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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 安倍首相はテレビに出まくり、ペラペラとアピールに必死だが、絶対に口にしないことがある。年金の原資問題だ。
 どうやらその多くが特別会計、特殊法人、地方公共団体に融資され、回収不能になっているらしい。また、毎年9兆円ずつ厚生族と厚生官僚らに食いつぶされているといった情報も飛び交っている。

 真偽のほどは定かでない。
 しかし、領収書を出さない赤城農水相の事務所経費付け替え疑惑と同じようなもので、隠しているのは何かやばいことがあるからであろう。

 社会保険庁解体法案を強行採決させたのも、臭いものに蓋をする狙いがあるとみられる。
 社会保険庁の民営化(特殊法人化)、つまり、看板のすげ替えで責任問題をすべて前社保庁に覆い被せ、一件落着というわけである。
 旧国鉄の債務も郵便貯金の流用疑惑も、それですべて闇に消えている。安倍さんが社保庁解体を旧国鉄や郵政民営化にたとえるのは、いみじくも狙いが一致しているからに他ならない。

 疑えばきりがないが、出来もしないことを平気で「大丈夫です。打つ手はすべて打ちました」なんて言っているのを聞くと、ますます怪しいという気になる。
 5000万件の「宙に浮いた年金」について「1年以内に全件の調査を完了させる」と啖呵を切ったが、新しいソフトウエアを導入してコンピューターシステムへの誤入力を是正するだけの話で、肝心の基本台帳との照合は後回しとなる。

 その費用も隠しているが、新ソフト開発とか何とかでかかる1000億円超は年金からの流用になりそうだ。それを一種の談合である随意契約で請け負うNTTデータなどには、これまでコンピューターシステムに民間相場の10倍になる年間維持費1000億円、総額1兆2000億円を年金原資から湯水のように注いできた。
 それが起こした記録ミスにまた巨額の費用を投じるのだから、泥棒に追い銭みたいなものではないか。

 例のグリーンピアなどへの流用も含め、そうしたでたらめが横行するのは、濡れ手に粟の利益を得るものが陰で蠢いているからだ。
 事実、NTTデータなどには関連子会社を含め11人の年金官僚が天下りし、元キャリアは年収3000万円、ノンキャリア1500万円を得ているという。
 
 かくして、年金の掛け金はシロアリに食い荒らされたようにかなり減額している。

 ある専門家の試算によると、国民が払った公的年金基積立金の累積額は約800兆円だが、原資として残っているのは、国民年金10兆円、厚生年金150兆円程度だ。政府は損金がいくらなのか全く明らかにしないという。
 日本医師会のシンクタンクによる「02年公的年金基積立金の運用実態の研究」なるレポートによると、本来あるべき年金積立金は143兆9858億円だが、多くが特別会計、特殊法人、地方公共団体に融資され、回収不能になっている。
 住宅金融公庫23兆4518億円、年金資金運用基金10兆6150億円など、特殊法人だけで約60兆円を食い潰している。

 04年に厚生労働省が国会で明らかにした2100年度までの年金財政の財源と給付の状況を示す「貸借対照表(バランスシート)」試算でも、厚生年金、国民年金は合計480兆円の債務超過になっている。
 その内訳詳細は明らかにしなかったが、消えた莫大な年金原資は、高級官僚が天下った特殊法人などが公共事業その他に湯水のようにばらまき、ファミリー企業への便宜や献金やら何やらで二重三重に厚生族に流れる仕組みになっていると思われる。
 議員歳費だけで建つはずがない豪邸や別荘を有し、贅沢三昧の蓄財術の秘訣は、恐らくその辺にある。

 その結果が、膨大な財政赤字である。
 現時点で国と地方の長期債務は778兆円、利子が毎秒20万円近く増えている。借入金・政府短期証券を含む「日本全体の債務残高」は1079兆円、利子は毎秒165万円という猛スピードだ。
 http://www.kh-web.org/fin/

 日本全体の夕張化へとカウントダウンが確実に始まっている。
 夕張は外部の支援が得られたが、日本全体が夕張化したら、どこからも支援は期待できない。国民の生活レベルは一挙に大幅ダウンするのは避けられない。

 それなのに、安倍首相や中川幹事長は「景気回復による自然増で、増税をしなくても十分な税収が確保できる可能性がある」と能天気なことを繰り返している。
 財務省が発表した昨年度の決算概要は実際の税収が見積もりを1・4兆円も下回っており、選挙目当ての無責任は嘘はいい加減やめるべきだろう。
 安倍首相はポロッと、「消費税をアップしないとは言っていない」と漏らしたが、選挙が終わったら、消えた年金原資を消費税で補填しようというつもりではないのか。

 ざるにいくら水を注いでも、無駄なことである。
 年金問題も、財政再建問題も特殊利権集団が公的資金を食いつぶす日本社会の仕組みを根底から変えない限り、解決は不可能だ。
 その意味で、地方への補助金見直し、特殊法人などの原則廃止、談合や天下りの根絶で歳出削減を徹底し、国の予算から総額15兆円余りのムダを減らすという民主党の方が、無駄の上塗りをする自民党案よりもリアリティーがある。
 より徹底しているのが、軍事費削減、法人税見直しで財源を確保するとする共産党案だ。

 いずれにしても、年金を最大の争点にして闘われている参院選後の新国会では、小手先のびぼう策ではなく、「消えた年金原資」問題を徹底的に解明し、責任の所在を明確にして財政倫理を確立するなど、抜本的な対策を立てるべきであろう。
 国民の不信を解消し、生活を守るにはそれしかない。

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