河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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 舛添厚労相は市町村窓口での年金着服を告発してやんやの喝采を浴び、福田首相をしのぎかねない人気、「来る総選挙の顔に」との声が早くも自民党内から湧いている。
 深謀遠慮の舛添氏のこと、マスコミ受けする派手なパフォーマンスの裏には、あわよくばポスト福田の狙いもありそうだが、小泉型劇場政治に飽き飽きしている国民をそう簡単に乗せることができか、お手並み拝見だ。

 相手の弱みを付く切れ味良いテレビ討論で頭角を現しただけに、何を言えばマスコミに受けるか、先刻承知だ。
 年金保険料の着服問題で国民がかっかしている最中のさる9月29日、悪名高い社保庁職員による保険料着服(52件、約1億6939万円)より、市区町村職員着服(101件、約2億4383万円)だったことが分かると、舛添氏は「社会保険庁は信用ならない。市町村はもっと信用ならない」と記者団に向かって小泉流の大見得を切った。
 さらに、社会保険庁長官に自治体の着服職員の告発を指示する強い姿勢を示した。これに対して自治体側が反発すると、マスコミがやいやいと報じ、国民の関心は否応にも高まっている。
 舛添越前守は国民の怒りを背にヒーロー気取りで、他方の自治体はすっかり悪者、抵抗勢力に仕立て上げられている。

 しかし、どうだろう。枝葉末節の話ばかりに流れ、本末転倒になっていないか。
 社保庁や社保庁長官がいつのまにか告発する立場、正義の立場に入れ替わっているのは、ドサクサ紛れの巧妙なすり替えである。
 
 小役人の着服金額は確かに社保庁職員より市区町村職員の方が多いが、高々1〜2億円でしかない。
 だが、参院選の争点になった「宙に浮いた年金問題」では、明らかになっているだけでも6兆円の年金が流用され、その背後で厚生高級官僚や自民党厚生族が私服を肥やしている実態が浮き上がった。
 この巨悪を暴かない限り、年金問題は解決しない。
 舛添氏が年金問題を本当に解決する気があるなら、小役人ではなく、巨悪を告発するべきであろう。

 小役人を叩くのは簡単だ。弱いものいじめのようなものである。しかし、自民党で絶大な権力を有している巨悪に下手に触れると、舛添氏の首が飛びかねない。
 その辺をちゃっかり計算して、強きを助け、弱きを挫く処世術をしているとしたら、国民の失望は大きいだろう。
 自治体職員の着服について「泥棒はみな牢屋に入ってもらう」と啖呵を切ったが、すり替え戦術との疑惑を払拭するためにも、ここは覚悟を決めて、「巨悪はみな牢屋に入ってもらう」とやってみたらどうか。

 中国の武大偉外務次官が3日公表した6か国協議合意文書に盛られたテロ支援国家指定解除の時期について、5日発の朝鮮中央通信は「2007年末まで」と主張した。福田首相は「年内の明記はない」と国会答弁したが、ヒル米国務省次官補は「議会とテロ支援国家指定解除について4日から議論を始める」と明らかにした。
 「北朝鮮と来週実務グループ会談を開いて、細部協議を行う」とも述べており、米朝間で年内解除に向けての動きが顕在化してきた。 

 朝鮮中央通信の要旨は以下の通り。

 「9月27日から30日まで開かれた第二段階6者会談で05年9・19共同声明履行のための第一段階の措置である2・13合意履行が総括され、次の段階の目標と各軸(国)の義務徐行を討議し、共同文献を採択した。
 共同文献によれば、『行動対行動』の原則に従って、07年末までに我々が核施設を無力化する代わりに、米国はわが国をテロ支援国家名簿から削除し、敵性国貿易法適用を終息させる政治的措置を取り、5者は重油100万トンに該当する経済的保障を完了させることになった」
 http://www.kcna.co.jp/calendar/2007/10/10-06/2007-1005-009.html

 これを見ると、北朝鮮はテロ支援国家指定解除などを無能力化との「行動対行動」の原則の対価、同時履行の問題と考え、あくまでも米国との双務的関係と捉えていることが分かる。
 分かりやすく言えば、米国が無能力化を急げば急ぐほど、テロ支援国家指定解除も早まるという関係になる。
 6か国協議が米朝対話をベースに進んでいる以上、10・3合意は、北朝鮮が主張する通りに米国がテロ支援国家指定と敵性国貿易法適用の年内解除を北朝鮮に約束したと考えるのが妥当であろう。
  
 実際、ヒル米次官補は3日、ワシントンで記者会見を開き、「議会とこの問題について4日から議論を始める。北朝鮮とも来週実務グループ会談を開いて、細部協議を行う」と述べた。
 テロ支援国家指定解除はブッシュ大統領の裁量で可能だが、敵性国貿易法適用解除は議会との協議が必要であり、同時に進めるということであろう。
 ワシントンの外交筋は「国務省が合意発表直後から議会と協議を始めることに、非核化プロセスを早く展開したいというブッシュ政権の期待が込められている」と明らかにしながら、「公式の解除の時点が無能化が完成する今年末ごろと断定するのは早い」と慎重な姿勢も示した。
 http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=060000&biid=2007100566288

 10・3合意はテロ支援国家指定解除について「北朝鮮の(非核化)措置と並列的に進行する」となっている。解除時期を意図的にぼかしたのは、北朝鮮との対話の意思を表明した福田政権への政治的配慮であり、北朝鮮も了承している。
 3日の南北首脳会談では、事前に福田首相から要請を受けた盧武鉉大統領が、拉致問題を取り上げ日朝交渉に臨むように促したことに、金正日総書記は「日本の出方を見守る」と述べたことが明らかになっている。盧大統領は「会談途中に金委員長は金桂官外務次官を呼び入れ、合意文書案を説明させた」とも語っているが、それから間もなく武大偉外務次官が緊急会見を開いて合意文書を公開した。
 韓国を交えた米朝間では、すでにシナリオが出来上がっていると理解した方がよかろう。ニューヨークフィルのピョンヤン公演が行われる来年1月には、違う音が奏でられるのではないか。

 南北首脳会談では、首相会談、経済副首相参加の経済共同委員会、南北国防相会談を年内に開催し、双方首脳が「随時に」会うことでも合意しており、韓国でも「金総書記が戦略的な決断を下した」との見方が広がっている。
 日本メディアでは依然として枝葉末節的な面白半分の見方が氾濫し、「北朝鮮の計算された狙い」「盧大統領は金委員長に利用された」といった焦点ボケの議論をしているが、もう少し大局的、戦略的に見る必要がある。

 盧大統領は先月7日シドニーでのブッシュ大統領との会談で「平和条約締結を結ぶことも可能だ」との言質を得て金委員長との会談に臨み、南北に米国、中国を加えた3者首脳会談乃至は4者首脳会談を開催することで合意を取り付け、宣言に盛り込むことに成功した。朝鮮半島の恒久的な平和体制構築に向けて、南北が主導権を握ると言うことである。
 それに対して米政府は「北朝鮮の非核化の約束履行が優先だ」としつつも、「米国は終戦協定の署名当事国として平和体制構築論議に参加する」(マコーマック報道官)と歓迎した。
 http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2007/10/05/0300000000AJP20071005000500882.HTML

 「取り残されるのでは・・・」と不安を募らせる日本では、「北朝鮮が韓国を巻き込んだ」と斜めに構える見方があるが、小さな自己満足でしかない。首相官邸までそれに乗せられるようなら、ますます孤立し、自分で首を締めることになろう。
 韓国が加勢して米朝対話に弾みがつき、ブッシュ大統領の任期内の米朝国交正常化の可能性が高くなった。日本が神経をすり減らすテロ支援国家指定解除は、もはやそれに至る一つのプロセスでしかなくなったと言えよう。
 福田政権に残された時間はそれほど多くない。

 前回も述べたが、日本の持ち時間は、日本の重油支援の順番が回ってくる11月半ばくらいまでであろう。
 その時点でエネルギー支援に踏み切らないと、6か国協議への参加資格が疑われ、事実上、日本抜きで進むことになる。
 幸い、圧力偏重の安倍政権から対話重視の福田政権へと変わり、北朝鮮も福田首相に悪い印象は持っていない。拉致被害者の再調査、日本人妻帰国、ヨド号関係者4人の送還を軸に交渉に臨めば、事態の打開は不可能ではなかろう。

 当面、今月13日に期限切れになる対北朝鮮制裁措置を延長するのか、それとも解除するのか、一部解除するのか、北朝鮮、さらに、米国、韓国、中国、ロシアも目を凝らしている。
 現実論として言うならば、全面解除は世論の手前難しいだろうから、一部解除で日朝交渉に臨み、交渉の進展具合に応じて柔軟に対応するのがよかろう。

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