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舛添厚労相は市町村窓口での年金着服を告発してやんやの喝采を浴び、福田首相をしのぎかねない人気、「来る総選挙の顔に」との声が早くも自民党内から湧いている。
深謀遠慮の舛添氏のこと、マスコミ受けする派手なパフォーマンスの裏には、あわよくばポスト福田の狙いもありそうだが、小泉型劇場政治に飽き飽きしている国民をそう簡単に乗せることができか、お手並み拝見だ。
相手の弱みを付く切れ味良いテレビ討論で頭角を現しただけに、何を言えばマスコミに受けるか、先刻承知だ。
年金保険料の着服問題で国民がかっかしている最中のさる9月29日、悪名高い社保庁職員による保険料着服(52件、約1億6939万円)より、市区町村職員着服(101件、約2億4383万円)だったことが分かると、舛添氏は「社会保険庁は信用ならない。市町村はもっと信用ならない」と記者団に向かって小泉流の大見得を切った。
さらに、社会保険庁長官に自治体の着服職員の告発を指示する強い姿勢を示した。これに対して自治体側が反発すると、マスコミがやいやいと報じ、国民の関心は否応にも高まっている。
舛添越前守は国民の怒りを背にヒーロー気取りで、他方の自治体はすっかり悪者、抵抗勢力に仕立て上げられている。
しかし、どうだろう。枝葉末節の話ばかりに流れ、本末転倒になっていないか。
社保庁や社保庁長官がいつのまにか告発する立場、正義の立場に入れ替わっているのは、ドサクサ紛れの巧妙なすり替えである。
小役人の着服金額は確かに社保庁職員より市区町村職員の方が多いが、高々1〜2億円でしかない。
だが、参院選の争点になった「宙に浮いた年金問題」では、明らかになっているだけでも6兆円の年金が流用され、その背後で厚生高級官僚や自民党厚生族が私服を肥やしている実態が浮き上がった。
この巨悪を暴かない限り、年金問題は解決しない。
舛添氏が年金問題を本当に解決する気があるなら、小役人ではなく、巨悪を告発するべきであろう。
小役人を叩くのは簡単だ。弱いものいじめのようなものである。しかし、自民党で絶大な権力を有している巨悪に下手に触れると、舛添氏の首が飛びかねない。
その辺をちゃっかり計算して、強きを助け、弱きを挫く処世術をしているとしたら、国民の失望は大きいだろう。
自治体職員の着服について「泥棒はみな牢屋に入ってもらう」と啖呵を切ったが、すり替え戦術との疑惑を払拭するためにも、ここは覚悟を決めて、「巨悪はみな牢屋に入ってもらう」とやってみたらどうか。
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