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少し前のあの熱狂は、どこに行ったのだろう? 「冬ソナ」ブームで火がついた韓国のポピュラーカルチャー、韓流のことである。
ムードやトレンドには一過的なものと、生活に溶け込み文化の一部と化すものに分かれるが、多くの日本女性の心を熱くした激流は、今では穏やかな流れに変わり、日本社会の隅々に溶け込んでいる。
日韓は「越境する文化の時代」を迎え、テレビ、映画、マンガ、インターネット、観光などが日韓の国境を超え、グローバルなポピュラー文化を形成しつつあると言えよう。
そのことは、東京からは見えにくいことだが、韓国の高校生たちが学期休みの小旅行に訪れ、閑古鳥が鳴いていたリゾートや温泉街に活気が戻った九州地方に行けば、一目瞭然である。
玄界灘の対岸である釜山市と福岡市が観光やマンガなどを媒介に、人口800万人、地域内総生産2000億ドルの釜山・蔚山・慶尚南道の東南経済圏と、人口1300万人、地域内総生産4070億ドルの九州経済圏をつなぐ超広域経済圏形成へと動き出している。
「冬ソナ」の前に静かなブームを起こしたかの傑作も、四月から装いを新たにして茶の間に蘇る。
恐ろしく凶暴だが、正義感溢れるキュートな彼女と純朴なボクのコンビが笑わせ、泣かせてくれた『猟奇的な彼女』が、TBSの連続ドラマにリメイクされるのだが、草薙剛と田中麗奈コンビがどんな日本的味付けをして見せてくれるのか、文化論的にも興味が尽きない。
これも韓流が日常生活に溶け込んだ証の一つであろう、我々男性の目に見えないある韓流化粧品が、コスメ系で今年一番のヒット商品になるかもしれない勢いで売れていると言うから、面白い。
BRTCブランドのBlemish Balm(ブレミッシュバーム)クリーム、略してBBクリームがそれで、その筋の通によると、元来は皮膚科の治療用クリームであったが、化粧下地、ファンデーション、UVカット、美容クリームのエレメントをオールインワンに凝縮した、韓国的合理主義を体現したようなクリームに生まれ変わった。
韓国のセレブ系タレントが撮影中に使っているとの噂が流れ、たちまち「芸能人コスメ」として大ブレイクした。
女性心理は日韓変わらないようだ。
日本でも今年になって日テレの「おネエ★MANS」という番組でメイクアーチストのIKKOが紹介し、深夜のTVショッピング番組でニューハーフ系のKABAチャンが取り上げ、ヨン様で部数を伸ばした女性週刊誌が特集を組むなどして一つのトレンドとなり、ニッセン、ベルーナといった大手カタログ販売業者が目を付け、急速に女性層に浸透している。
毎日、空輸便で輸入しても供給が間に合わない超品薄状態らしく、特約販売店であるスクラム商事の孫城周社長は「これほど受けるとは思いませんでした。販売元との折衝により、特別枠を確保して何とか消費者の求めに応じています」と語る。化粧品には誇大表示のまやかしモノが少なくないが、BBクリームは東京都薬務課の認可を受けていると言う。
韓国の対日貿易赤字は昨年298億8000万ドル、2000年の113億6000万ドルから163%も増大した。
BBクリームでどうこうなる話ではないが、化粧は女性の最大関心事、化粧品は彼女らのイメージを左右する。「安かろう、悪かろう」の過去のイメージに悩まされ、売り上げが伸びない韓国にとって、イメージ戦略上からも軽視できない現象の一つと言えるかもしれない。
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