河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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 昨年12月にエジプトの通信大手オラスコムとの合弁による第三世代の携帯電話サービスが始まった北朝鮮では、今年5月から携帯による画像通信サービスが開始されたと、民族和解協議会が運営するサイト「わが民族同士」が5月22日に伝えた。

 それによると、「黎明」というサイトが5月中旬から携帯電話サイトを開設し、「世界のどこからでも携帯電話でアクセスでき、朝鮮メディアの主要記事、社会主義朝鮮の真の姿、祖国統一をテーマとした生動感ある画報と画帳を見ることができる」(同サイト案内文)と、新サービスを開始したことを伝えた。
 労働新聞、民主朝鮮、朝鮮中央通信などの報道、「ピョンヤン消息」、民謡や児童歌謡など100曲を収録する「音楽鑑賞」、図書、美術、特産物、商標展示場などのメニューがある。白頭山や大同江、歴史遺物を紹介する写真や動画もみれる。

 サイトへのアクセスが可能な携帯機種として、サムスン、モトローラ、フィリップスなど8種を挙げている。
 それ以外にも、ワイヤレス・アプリケーション・プロトコル(WAP)を支援するすべての携帯電話で閲覧が可能とされ、「朝鮮語が支援されない携帯電話でも朝鮮語が表示される」と説明している。

 韓国内からは、「黎明」など北朝鮮が直接運営するサイトや海外の親北サイトへのアクセスは政府によって遮断されているが、携帯電話からはアクセスできる。

 情報は事実、諜報は世論誘導、と以前書いたが、この問題もそれを念頭に考える必要がある。
 一つだけ確実なのは、サイバー攻撃を行う能力を北朝鮮が有しており、米国や韓国が恐れているという事実である。

 韓国、米国政府を震撼させたDDoS(分散サービス妨害)攻撃は、不特定多数のパソコンに特定サイトへ自動的に反復接続するように設定したプログラムを送り込み、過負荷を与えて使用不能にする。7日に始まり、韓国放送通信委員会は9日、3回目のサイバーテロ攻撃が同日午後6時ごろから開始されたと明らかにした。

 国家情報院はプログラムを分析し、青瓦台やホワイトハウスなど韓国12、米国14のサイトを攻撃するようになっていたと発表した。さらに、8日、国会情報委員会所属の議員に対し北朝鮮絡みの可能性を指摘した。
 具体的な根拠は示していないが、韓国内1万2000台、海外8000台に及ぶ個人のパソコンが汚染されたことから、韓米への敵意から国家レベルで計画された→北朝鮮が該当すると推論したようだ。

 韓国政府の動揺ぶりは、G8首脳会議拡大会合に出席するためイタリアを訪れている李明博(イ・ミョンバク)大統領が9日、韓昇洙(ハン・スンス)首相に国際電話し、サイバー攻撃の真相把握と被害拡大防止を緊急指示したことに現れている。
  
 米政府も敏感に反応し、国務省のケリー報道官は8日、同省サイトへの攻撃が「今も続いているが、かなり少なくなった」と語った。
 米メディアによると、サイバー攻撃を受けたのは、ホワイトハウス、国土安全保障省、国務省、国防総省、財務省、連邦取引委員会やニューヨーク取引市場など。財務省と連邦取引委員会のサイトが一時ダウンした。

 マレン統合参謀本部議長はナショナルプレスクラブでの講演で、「サイバー攻撃に対する憂慮がますます深まっている。現在、調査を続けている」とし、攻撃主体についての具体的な言及は避けたが、AP通信は複数の米政府当局者の話として、「発信源は北朝鮮国内とみられるが、攻撃者の特定は難しい」と報じた。
 「米政府は独立記念日の7月4日に合わせた北朝鮮の挑発の一つと考えている」「北朝鮮ハッカー部隊」と報じるメディアもあり、北朝鮮への警戒感が一段と高まっている。
 
 それに対抗して、韓国国防部は来年1月1日付で情報保護司令部を設置する。ハンナラ党も昨年「国家サイバー危機管理法案」を提出したが、野党の反対にあっている。
 そうした中、今回、国家情報院がDDoS攻撃の背後に「北朝鮮もしくは北朝鮮追従勢力がある」と早くからリークしたことに野党は警戒を高め、民主党の李康来(イ・ガンレ)院内代表は「根拠も示さず北関連推定説を出したは、‘サイバー北風’ではないか。ネチズン(ネットユーザー)の間では政府の自作劇説も出ている。テロ防止法推進の狙いが隠されているのではないか」と批判した。

 今日は盧武鉉前大統領が自殺してから49日になり、遺骨が埋葬される故郷・ポンハ村には多数の人々が訪れるなど、「自殺に追いやった」と現政権を批判する声はおさまりそうもない。
 500万人超の国民が焼香したとされる前大統領葬儀を境に与野の支持率は逆転し、李明博大統領の支持率も20%を切ろうとしている。
 そうした背景から、人気挽回のための「サイバー北風」「政府の自作劇説」との風説が流れてくる。

 他方、6月27日に北メディアが米韓のサイバー戦対処訓練を非難しており、北朝鮮が仕掛けた可能性もある。
 「金正日の後継者は在日の息子」でも指摘したことだが、北朝鮮は1991年の湾岸戦争から米軍の戦法を研究し、特に、イラク軍が通信網を寸断され劣勢に陥ったことから、光ファイバー網構築などの対策に乗り出した。
 同時に、米軍が指揮統制自動化体制(C4I Systems (Command Control Communication Computer Intelligence)でネットを活用していることに逆に弱点を見つけ、それを撹乱するハッカー部隊を養成した。
 http://www.kcna.co.jp/calendar/2009/06/06-27/2009-0627-016.html

 中国も国防大学が97年に「電子システムの弱点をつく点穴戦略」を提唱したが、その先を行くのが北朝鮮である。
 北朝鮮はすべからく一点突破の国柄であり、十八番の秀才(エリート)教育でIT人材を集中育成し、ソフトウエア開発能力は高く評価されている。

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