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温家宝訪朝の目的の一つは米朝間の橋渡しにあり、変則的な米朝中協議の一環と言ってよかろう。金正日総書記が多国間協議に含みを持たせる発言を繰り返している意味は、そこにある。
ケリー米国務省報道官も5日、「6カ国協議の枠組みの中で北朝鮮と個別に対話する用意がある」と米朝協議に前向きの姿勢を明らかにした。
金総書記は米朝協議を前提に6か国協議復帰について語り、米国は6カ国協議の枠組の中での米朝協議を主張し、ニュアンスの違いはあるが、一般に思われているほど大きな差はない。
ブッシュ政権時代も米朝協議を軸に6か国協議が進展しており、同じパターンをたどることになろう。
拉致問題を前面に出して6か国協議で不協和音を醸した日本も、鳩山首相が9日に訪韓し、李明博大統領が提案したグランドバーゲンに賛意を表しており、10日の日韓中首脳会談を経て足並みを揃えていくことになろう。
今後の課題は、米朝高位級会談がいつ、どんな形で実現するかにある。6か国協議の米代表は国務次官補クラスの実務的なレベルであり、いずれかの時点で政治的な決断をするトップクラスの会談が不可欠となる。
その意味で、オバマ大統領が11月12日からアジア歴訪に入り、中国に最長となる15〜18日まで滞在することが注目される。温家宝訪朝を受けた胡錦濤主席の出番となるが、米国と北朝鮮との間をどのような形で取り持つか、腕の見せ所である。
私の予測では、中国は米国にかなりの譲歩を求めよう。
と言うのも、温家宝首相は訪朝当日、北朝鮮側との間で「経済技術協調に関する協定」「経済援助に関する交換文書」など一連の協定と合意文書に署名しているが、国連安保理制裁決議を事実上骨抜きにした可能性がある。
金総書記に6か国協議復帰を求めるには応分の見返りが必要だったこともあるが、「資源外交」を戦略的に進める中国自身が北朝鮮の地下資源を必要としているのである。
http://www.kcna.co.jp/calendar/2009/10/10-04/2009-1004-016.html
韓国の柳明桓外交通商相が8日の記者会見で述べたところによると、中国側から6日夜に安保理決議に違反しないとの見解を伝えてきたが、朝中国境の鴨緑江にかかる新橋建設など一部のみ明らかにされ、詳細は伏されている。国連安保理制裁決議は人道支援や開発協力目的での支援は対象外だが、韓国ではそれを超える広範囲の支援が約束されたとの見方が出ている。
ケリー米国務省報道官は国連安保理制裁決議を引き続き履行することを強調したが、すでに水面下の綱引きが熾烈に行われていると考えた方がよかろう。
温首相は「抗米援朝」を名分に朝鮮戦争に参戦した中国人民支援軍烈士の墓地を参拝して「中国人民支援軍が立てた功績は歴史に永く輝く」と記帳し、帰国後、北朝鮮指導部に送った感謝電文を「金正日総書記同志、金永南委員長同志、金逸日総理同志の健康と事業での成果を期待する」と結んでいる。
北朝鮮と中国はやはり、昔も今も同志の間柄なのである。
http://www.kcna.co.jp/calendar/2009/10/10-06/2009-1006-006.html
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