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ロシア調査団が「魚雷攻撃説」を否定していることはこれまで伝えてきたが、そうした内容の調査結果を今週初め正式に韓国政府に通知したことが明らかになった。
韓国メディアはロシアのメドベージェフ大統領がすでに胡錦濤・中国主席に電話で説明し、アメリカ政府にもロシア政府から伝えられたと報じている。
「北朝鮮の魚雷による撃沈」などと声高に伝えてきた韓国の保守系メディアや日本のメディアは現時点で沈黙を守っているが、不都合な真実からこれ以上顔を背け続けることは許されない。
韓国の三大テレビの一つであるMBCが昨晩9時のニュースで「ロシア『天安艦沈没、北攻撃ではない』」と伝えた。
それによると、「5月末に海難事故専門家たちを韓国に派遣し、調査をしていたロシアが『天安艦は北の魚雷攻撃により沈没したとみなすことは難しい』との結論を出し、調査結果をわが政府に今週初め公式に通報した」。
「『艦艇外部水中爆発が原因の一つと見られるが、魚雷攻撃によるものとは沈没形態が異なる』というのが通報の内容である。特に、(韓国の)合同調査団が決定的証拠として提示した魚雷推進体について『腐食の程度から天安艦と直接関連したと見るのは難しい』との見解を明らかにし、沈没原因を北の魚雷攻撃とした合同調査団の結論を認めないとした。」
さらに「ロシア側は韓国に通報した調査結果を公式には発表しないと知られている」とし、韓国政府の反応について「政府関係者は具体的な根拠がなく、ロシアの主張を受け入れることは出来ないと述べた」という。
MBCニュースは「(韓国)政府は早ければ今週末にも安保理対北非難の議長声明を出すことを目標に理事国を説得しているが、中国に加えてロシアの非協力により難しくなった」と報じた。
当たり前のことである。非難声明は北の関与が明白なことを前提にしており、ロシアが独自の調査でそれを否定している以上、名分がなくなったということになる。
ロシアは外交的配慮から独自の調査報告の公表を控えているようだが、濡れ衣だと主張している北朝鮮が「それみたことか」とばかりに韓国、米国、日本などの謝罪を求めて逆攻勢を強める可能性があり、国連安保理での協議は新たなステージに入ることになろう。
事態を政治外交的に収束させる妥協の産物として曖昧な議長声明が出される可能性があるが、北朝鮮非難が抜ければ李政権は事実上の敗北である。
「文脈上、北非難は明らか」と強弁したところで、全く逆の解釈も可能であり、通じる話ではない。
すでに首脳レベルの外交戦が始まっている。
進歩系のハンギョレ新聞は「メドベージェフ大統領が自主調査結果を先週、胡錦濤主席に電話で伝え、ロシア政府からアメリカ政府にも同じ内容の報告書が伝達された」と内幕を明かしている。
なお、ロシアの報告書の内容について「ロシア事情に明るい複数の外交消息筋」の話として、「ロシア政府は ‘1番魚雷’ のペイントと腐食程度などに問題を提起し、その出処に疑問を表した」 また、「天安艦のスクリューが曲がっている事実に注目し、複数の元海軍将校らがハンギョレとの通話で『スクリューが回っている状況で砂地に当たれば同じように曲がる』と指摘した」という。
ロシアは韓国への通告を中国、アメリカよりも遅らせているが、意図的であろう。
韓国政府関係者がMBCにリークしたのは頭越しにロシアの調査報告が流れ、孤立するのを恐れたためと読めるが、野党・在野勢力が李明博政権への批判を強め、世論の風当たりが厳しくなるのは避けられまい。
ヤフーコリアのヘッドラインを飾った前記ハンギョレ記事には「亡国の輩が」「自分で自分の足を踏んだ」と李政権の「天安外交」を批判する書き込みが殺到しており、今月末の国会議員再補選は苦戦が予想される。
「天安艦事件検証⑮ロシア調査団が北魚雷説否定」でも指摘したように、ロシア調査団が北魚雷説を否定していることはかなり前から知られていた。
オバマ政権が北朝鮮を非難しながらもテロ支援国家再指定を見送るなどの「生ぬるい措置」を取ってきたのもそうした事実を把握していたからであり、どう転んでも対応できるようにする外交的な狡知である。ゲーツ国防長官の訪中を中国側が受け入れたのも新たな動きとして目が離せない。
苦しくなってきたのは、2階に上らされて梯子を外されそうな李政権と、それに付き合ってきた外交音痴の日本である。
北犯人説一色で世論を煽った日本のマスコミの責任も小さくない。韓国メディアのようにロシアの調査報告を客観的に報じる多角的な視点や見識・柔軟性・謙虚さがあるかどうか、注目したい。
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2010年07月09日
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