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天安艦沈没原因は座礁・衝突か魚雷攻撃かと、韓国では国論を二分するホットな論戦が続いているが、魚雷説を否定する実験結果が次々と発表され、政府の旗色が悪くなっている。
その一つが、5月に座礁説を主張して喝采を浴びたアルファダイビング技術(株)の イ・ジョンイン代表で、13日、軍当局の魚雷説の矛盾を解き明かす実験結果を発表し、改めて注目を浴びている。
イ代表によると、軍民合同調査団が「北関与を裏付ける決定的証拠」として提示した魚雷推進部と同じ金属を干潟の海中に50日間浸して腐食状況を確認したところ、「軍当局の魚雷推進体の錆は水中に4〜5年置かれ、引き上げられてから一定期間経たものと推定される」という。
それが事実なら、軍当局は古い魚雷推進体を拾ってきて「1番」と書き込み、再度海中に投棄してはえ縄漁船に「発見」させたことになる。
こうした疑惑は以前から指摘されていたことで、ネット世論は「よくやった。真実を語れば不利益を被る世相なのに・・・」と勇気を称え、支持する声が多い。「体に気をつけろ」「赤が・・・」との脅迫めいた非難もあるが、1、2割程度のごく少数派にとどまる。
イ代表の妻が人気タレントのソン・オクスクで、昨年 MBCのヒューマンドキュメントに一緒に出演した社会派実業家であることが、若い層に共感の輪を広げたようだ。
他の一つが、9日に有楽町の外国人記者クラブで開催された在米韓国人教授2人(ソ・ジェジョン米ジョーンズホプキンス大国際政治学教授、イ・スンホン米バージニア大物理学教授)による緊急記者会見である。
「民軍合同調査団が発表した天安艦の『魚雷の爆発による沈没』の科学的証拠に対し、『科学的疑問を提起した実験結果』についての説明と質疑応答」には、日韓を含めたジャーナリスト・関係者200余名が会見場を埋め、熱気に溢れていた。
特に注目を集めたのは、魚雷爆発物に通常含まれるアルミニウムの検出問題である。
軍民合同調査団は天安艦船体と魚雷推進部で吸着物質を発見したとし、それに対するエネルギー分光器分析でアルミニウムが検出されたが、エックス線回折機分析ではアルミニウムが見られなかった。アルミニウムが爆発と冷却を繰り返して非結晶質アルミニウム酸化物に変わり、エックス線回折機分析でアルミニウムとして反応しなかったとした点である。
それを問題視したのがイ教授で、6月10日の実験を通して、「爆発と冷却によってアルミニウムが100%非結晶質アルミニウム酸化物に変わることは不可能だ。調査団の発表のようにアルミニウムが100%酸化される確率は0%に近く、その酸化されたアルミニウムが全て非結晶質になる確率もまた0%に近い」と反論した。
イ教授の反論に対して調査団はすでに自己の非を認めている。
すなわち、イ教授の実験結果が韓国メディアのハンギョレ21に報道され、国会天安艦真相調査特別委第3次会議でイ・ジョンヒ民主労働党議員が取り上げると、イ・ギボン合調団爆発分科長(准将)は「最初の検査では非結晶質酸化アルミニウムだけが検出された。結晶質酸化アルミニウムは極少量が検出された。後に結晶質も出てこなければならないはずだとの疑惑が提起されて追加調査を行い、極少量の酸化アルミニウムが発見された」と、しどろもどろの矛盾した答弁を行っている。
両教授は記者会見でスライドを用いながら調査団の調査報告の諸問題点を指摘し、「魚雷による爆発物質の付着は確認出来ない」、「外部爆発とそれが北朝鮮の魚雷であったとの主張は立証できない」と述べた。
そうして、「合同調査団の調査には方法論的な問題が多く、再調査が必要だ」と強調した。
質疑に移ると、欧米記者が次々と質問に立ち、一部には「北朝鮮と関係があるのか」といったものもあったが、 英科学専門誌・ネイチャーが「Controversy over South Korea‘s sunken ship」と伝えたように、問題意識を投げかけたことは間違いない。
記者会見後、私も両教授に幾つか尋ねたが、軍民合同調査団の調査は「オジョンチョンハダ(いい加減だ)」と、客観的な再調査が必要という点で意見一致を見た。
軍民調査団が示した「魚雷説」が科学的な検証実験に耐え切れないことはほとんど明らかである。
記者会見に姿を見せた日本のメディアが依然として記者会見を報じないのは、「状況証拠は真っ黒」との心証を捨てきれないからとみられる。確かに北朝鮮の挑発的な言動は問題だが、それだけに、事実に基づいて判断、報道する姿勢が必要ではないか。
今求められているのは、北朝鮮を非難するとか支持するとかいった狭量な思惑や立場から離れ、真実を明らかにすることである。
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2010年07月14日
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