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前原外相が29日午前の中国外相との会談後に「日中首脳会談が開かれるだろう」と述べたのを聞いて、日中首脳会談は流れるだろうと思ったが、やはりその通りになった。
前原氏はその直前にクリントン米国務長官と会談して尖閣問題での支援を確認し、中国を牽制している。中国は虎の威を借りるような媚米反中的姿勢を嫌ったのである。
菅首相に同行した福山官房副長官は29日夜、ハノイ市で記者団に「午後6時半(日本時間同8時半)から日中首脳会談がセットされていたが、直前になって中国側から『会談はできない』との連絡があった。非常に驚いた」と述べたが、原因は明確である。
新華社通信によると、胡正躍外務次官補が同日夜、「日本側が首脳会談の雰囲気を壊した。ASEAN首脳会議の前夜に日本の外交責任者が他の国とぐるになり、釣魚島問題を蒸し返した」と述べている。
「日本の外交責任者」、つまり前原外相は27日にハワイで会談したクリントン米国務長官から「尖閣諸島は日米安保条約第5条の対象になる」との言質を得たが、中国外務省の馬朝旭報道局長が同日夜、「絶対に受け入れられない」との非難談話を発表している。その時点で日中首脳会談は90%なくなったと思われる。
どうしてこの程度のことが読めないのか。
一徹な前原氏は、物事を多面的に考える思考力と柔軟性に欠けているようだ。自民党政権時代の対米追随保守政治家そのままに、米国の力を過信し、中国を舐めているのではないか。
時代の変化が全く理解できていない。「衰退する日米同盟」に頼る時代は確実に終わりつつあるのである。
前原氏はクリントン長官との会談を日中首脳会談後にすべきであったのに、また出しゃばって修復のチャンスを壊してしまった。
そもそも尖閣問題も国交相時代に中国船の拿捕を指示したことに端を発し、クリントン長官に泣きついたことでこじらせたが、謙虚に反省し、教訓を汲むことができていない。
日本の政府もメディアも「漁船衝突事件」「公務執行妨害罪」などと曖昧な表現で国民を混乱させているが、衝突は拿捕行為の過程で起きた小競り合いであり、無用の誤解を生む本末転倒の議論である。
沖縄選出の下地・国民新党幹事長は29日夜、「前原氏はもう、外相を辞めた方がいいのではないか。日中関係に日米関係を持ち込むからおかしくなる」と記者団に語ったが、正鵠を射ている。
胡外務次官補は「日本側は首脳会議中もメディアを通じ、中国の主権や領土保全を侵す言論をまき散らした」と語り、日本外務省はAFP通信が誤報を流したとして訂正を求めたが、それだけではあるまい。
一例が、 24日のフジテレビ「報道2001」である。「ヤクザ国家には核武装」(週刊文春 10月7日号)と中国をヤクザ国家呼ばわりし、核武装で対抗することを主張して物議を醸している石原慎太郎東京都知事が生出演し、「ビデオには中国船員が海中に落ちた巡視船員を銛で突いた様子が映っている」と、反中感情を煽る発言をしている。関東大震災では「朝鮮人が井戸に毒を入れた」とのデマ宣伝が朝鮮人虐殺を引き起こしたが、東京都知事が同じ類のデマを流布させるのであるから危険この上ない。
「政府関係者から聞いた仄聞」といつもながらの責任転嫁の予防線を張っているが、こうした無責任な石原妄言が中国のネットに流れてさらに反日感情を刺激し、事態を破局的な状態に追い込んでいる現実から目を背けるべきではない。
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2010年10月30日
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