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「北朝鮮コスト・・・?」と今でもピンと来ない人が大半であろうが、日本の知識人でこれにいち早く注目したのが竹村健一氏だ。
氏がテレビコメンテーターとして活躍していた6年前、『金正日の後継者は在日の息子』を出版した直後、講師をしていた静岡の大学事務所に電話が入り、氏が経営している太陽企画出版のビデオレターで対談した。
その際、「北朝鮮コストとは何ですか?」と特別な関心を示されたことが印象的であった。「さすがに時代の変化に敏感」と内心、感嘆した記憶がある。
その後の「北朝鮮の脅威」や制裁強化といった反北朝鮮感情論の高揚で脇に押しやられた「北朝鮮コスト」論だが、東北・関東大震災・原発事故で日本が危機存亡の最中にある今、冷静に再検証する必要性が高まっているように思える。
東京電力福島第1原子力発電所事故に多くの国民は政府や東電の発表・説明に対して実態や危機の程度が分からないともどかしい思いをしているが、海外の専門家、メディアの分析ははるかに厳しい。
ノーベル物理学賞を受賞した原子物理学者であるスティーブン・チュー米エネルギー省長官はニューヨーク・タイムズのインタビューに「ひとつの原子炉の圧力容器は70%損傷し、別の原子炉の核燃料棒は33%が溶融している」と述べ、メルトダウンしていると断定している。
チェルノブイリ以上の規模の放射能物質拡散で首都圏が汚染される可能性もあるということで、日本は建国以来の最大の危機に直面していると言っても過言ではない。
原子炉のコントロールが出来ていない現在、どこまで被害が拡大するか予測不可能で、まだ、復興に着手できる段階ですらない。
その一方で、日本国のカウントダウンは始まっている。中国はすでに放射能物質の拡散を怖れ、乳児の紙オムツの輸入まで事実上禁止するなど日本製品の輸入に神経質になっている。日本ブランドは放射能で崩れ、輸出が大きく落ち込むのは避けられまい。
輸出で食べている国が輸出ができなくなったらどうなるか、食糧難の北朝鮮は他人事ではないのである。
「元気で頑張ろう」と言いたい気持は十分に理解できるが、情緒的な掛け声だけでしのげるほど状況は甘くない。
900兆円に迫る累積赤字で国家財政に赤信号が点滅しており、一銭でも無駄を削らないと日本の生存そのものが危うくなろう。
真の脅威は北朝鮮ではなく、他にあることを大災害は示した。誇大妄想で敵を見誤った以上、リセットが避けられない。
北朝鮮を敵視して膨大な国家予算を軍事費に浪費し、自らの首を絞めていないか、厳密に再点検する必要があろう。
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