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歴史認識問題で躓いた安倍首相の外交的な孤立が深刻化している。
日本国内では13ヵ国を歴訪した地球儀外交と自画自賛しているが、一歩外に出ると全く正反対の声が聞こえてくる。 韓国、中国から門前払いを食らい、頼みの米国からも悪戯に地域の安定を乱していると胡散臭く見られ、日本の外交的な孤立は戦後最悪の状況と言っても過言ではない。 それを端的に示したのが、2日までブルネイで開かれた東南アジア諸国連合地域フォーラム閣僚会議における日本の存在感の薄さである。 岸田外相に精彩なく、米国のとりなしで韓国外相と安倍政権発足以来初の外相会談を30分ほど持つことができたが、歴史認識問題で釘を刺された。 中国外相とはすれ違っても目さえ合わさず、挨拶もなし。 対照的に、王毅・中国外相の存在感は際立っていた。米国、韓国、北朝鮮、ロシア、EU 、トルコなどと続けざまに2国間協議を開き、ASEAN との会議では南シナ海行動規範策定に向けた公式協議を9月に開催することで合意するなど、圧倒的な存在感を見せた。 これは海洋利権でASEANと共闘し、尖閣で対立する中国包囲網を作り上げようとしていた安倍外交が頓挫したことを意味する。 ここまで日中に差がついてしまったのは、周辺国全てと対立し、心許せる隣人がいないためにほかならない。 特に、韓国との関係疎遠化が大きなダメージとなっている。 閣僚会議直前、東アジアの経済大国の1つと一目おかれる韓国の朴槿恵大統領が米国に次ぐ訪問国に日本ではなく中国を選んだことはASEAN にも大きな波紋を引き起こし、日本離れと中国傾斜に弾みをつける結果になった。 安倍首相はロシアを中国包囲網に巻き込もうと対ロ交渉に力を入れようとしているが、これも絵に描いた餅である。 中国メディアは1日、房峰輝中国軍総参謀長とゲラシモフ・ロシア軍参謀総長が、中国海軍とロシア海軍が日本の目と鼻の先であるウラジオストク沖合で5日から12日まで合同軍事演習をすることで合意したと伝えた。 右傾化する安倍政権への警告との見方があるが、あながち的外れとも言えまい。 包囲網にはまっているのは逆に日本ということになるが、安倍首相が唯一頼りにする米国も議会が従軍慰安婦に公式に謝罪することを求める対日決議をし、オバマ大統領も先の日米首脳会談で安倍首相に注意を喚起している。 第一次安倍内閣時に安倍首相がブッシュ大統領に謝罪したことが明らかになっているが、事態は当時よりも険悪化し、元駐日大使らが公然と、誤った歴史認識が韓国との関係に亀裂を生じさせ、地域を不安定にさせていると安倍氏を批判しているほどだ。 国連規約人権委員会は7月、9月に従軍慰安婦問題を取り上げる予定であり、安倍首相への国際的批判は高まる一方である。 とりわけ、安倍首相が村山談話見直しに言及し、旧日本のアジアへの侵略行為や朝鮮への植民地支配を否定したことにワシントンは苛立ちを強めている。 安倍氏は日本の戦争責任を裁いた東京裁判に異を唱えたが、反省を自虐的と拒む歪んだ歴史観もさることながら、日本に対して厳しい目を向ける国際状況への認識が度し難いほどお粗末である。 日本の戦争責任を一から明らかにする第2の東京裁判開催を求める声が国際社会からわいてくる事態もあり得よう。 さすがに日本国内でも批判の声が高まっている。 田中均元外務審議官が国際会議に出ると日本の右傾化を批判する声が聞こえてくるようになったと毎日新聞インタビューで述べたのもその一つだが、安倍首相は早速フェイスブックで「外交を語る資格がない」とヘイトスピーチを煽る個人攻撃にすり替え、耳を傾けようとしない。 子供じみていると言えばそれまでであるが、来る参院選で優勢が予想されている自民党総裁・首相の発言となるとそうもいくまい。 安倍氏は内外の風当たりが強まるのを意識し、歴史認識問題を政治問題化すべきでないと交わしているが、国際社会ではすでに大きな政治問題化している。 安倍氏は日本を国際社会と対立して破滅的な戦争へと陥らせる過ちを二度と犯さないためにも、歴史観を隠さずに語り、国民の審判を仰ぐべきではないか。 歴史認識問題は安倍問題である。 一部の国粋的なグループに影響された安倍史観が国際社会における日本の道徳倫理的なイメージを大きく傷付けている。 さらに、経済的側面から見ても、世界最悪の財政赤字はますます膨らみ、貿易赤字急増で貿易立国の基盤が揺らぎ、財政規律無視のアベノミクスの足元を見たヘッジファンドに株価・国債金利乱高下を連日仕掛けられるなど不安定化する中、致命傷となりかねない外交的孤立を自ら招くのは愚の骨頂である。 |
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