河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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 ハプニングは旅先ならではの醍醐味であるが、ソウルの龍山米軍基地内のレストランで夕食を済まし、カン教授に車でホテルまで送ってもらった直後、思いもよらぬ光景に遭遇した。
連合ニュース社前で降ろしてもらい、ソウルの夜景を楽しみながらの散歩も一興とブラブラ歩いていたのだが、異様な一角(写真上)に入り込む。

バス大の機動警察車が、さして広くもない二車線の通りの片側を封鎖している。1,2,3、・・・しめて5台。制服、私服の警官が要所を固めて睨みを利かし、物々しい雰囲気が立ち込めている。
平穏なソウルに突然出現したトワイライトなゾーンである。
 
 それまで警官の姿をほとんど見かけなかった。街中の要所に張り付いた機動隊が風物詩であったソウルは、旧世代の記憶の中で急速に風化しつつある。タイムスプリットしたようなこの仰々しさは何事?、と俄然好奇心が刺激されたが、なんと日本大使館前であった。
 初めて目にする日本大使館は、米大使館よりもさらに地味に、ビルの谷間にひっそりと佇んでいた。夜目に辛うじて認めた屋上の日の丸がないと、個人の邸宅と見紛う。
 警官の刺すような視線を意識しながら大使館前を行ったり来たりし、歩道に戻ろうと振り返った瞬間、等身大の少女の座像が目に飛び込んできた。
日本でもしばしば報じられる従軍慰安婦像(写真下)である。悲しげな目が日本大使館をじっと見つめている。
とっさに写真を撮ろうと構えた。傍らに立っていた警官が怪訝そうに近付いて来たが、風体から単なる旅行者と分かったのであろう、黙って引き返した。

像の下に埋め込まれた銅製のパネルに、日本大使館への千回の抗議行動を記念して像が建立されたと刻み込んである。日本大使館と道路隔てた公道に市民団体が自発的に作ったものであるが、国民感情を意識してソウル市はそのままにしている。
日本政府が抗議し、日本のメディアが像を撤去するために右翼が訪韓すると報じ、韓国にも伝わった。物々しい警護は他でもない、像を巡る小競り合いから日本大使館を守るためのものであった。

この光景に、歴史認識でギクシャクする現在の韓日関係がそのまま投影されている。
韓日の架け橋をと任じる身としては実に残念な現象である。過去が今を窮屈にし、未来を暗くしている。韓国には自制を、日本には反省を求めたいと改めて思った。

事は女性の尊厳の本質に関わり、被害者にとっても、加害者にとってもデリケートな問題を孕んでいる。
 レイプ問題は過去には被害者が泣き寝入りするケースがほとんどで、元従軍慰安婦たちも世間の目を気にしながら息を潜めて暮らしていた。時間とともに多くが亡くなり、歴史の闇に隠されようとしていた。
 正直に言えば私も、元従軍慰安婦の証言に接した当初は、腫れ物に触るような恥じらいを感じ、旧朝鮮総督府庁舎のように事件そのものが消えてほしいと思っていた。
その限りで、日本の保守派が自分の恥、国家の恥と感じ、目を背けようとする心情は理解できないでもない。
 
 しかし、被害者が勇気をもって名乗り出たのを無視するのは、人道上許されない。国際法上も、人道に反する犯罪には時効が否定される。
ベルリンの壁が崩壊する頃に参加したドイツの地方都市でのシンポジウムで、社会民主党幹部が苦悩の表情でナチスの犯罪を語るのを聞きながら、事実を直視して教訓を得ようとする怯まぬ良心に感動した記憶がある。
 隠す方が、人間として恥ずべきであり、同じ過ちを繰り返すことになりかねない愚かな行為なのである。
 その意味で、日本政府が河野談話で慰安婦問題を謙虚に反省したことは評価される。
 ところがその一方で、産経新聞系列の『新しい歴史教科書を作る会』が強制連行や南京大虐殺など旧日本によるアジアへの侵略行為と植民地支配への反省を“自虐的”と拒む歪んだ歴史認識を保守政界に広める。
 そして、河野談話を否定し、従軍慰安婦を「日本軍による強制がない合法的な売春」と貶めるに至る。
 
 こうした極端な主張は櫻井よしこ国基研理事長ら安倍首相のブレーンらが声を合わせているが、このグループが内々にたらい回しているフレーズが、「日本軍が直接に関与した証拠はない」である。
 しかし、これは真っ赤な嘘である。
 従軍慰安婦にされた女性は朝鮮人、中国人など日本軍が侵略した全地域で行われ、インドネシアではオランダ人女性が強制売春の犠牲になった。いわゆる白馬事件であり、1944年2月に日本軍南方軍管轄の第16軍幹部候補生隊がオランダ人女性35人を民間人抑留所からスマランの慰安所に強制連行して売春させた記録が発見され、戦後の軍事裁判で大佐らが処断されている。
オランダ政府も1994年、正式に「日本占領下蘭領東インドにおけるオランダ人女性に関する強制売春に関するオランダ政府所蔵文書調査報告」を発表している。
 
 毒婦との別名がある櫻井よしこ氏らはそれを承知で「日本軍が直接に関与した証拠はない」と未だに言い張っているが、真実は隠せない。
 21日、中国国民政府とオランダ政府が実施した計6件のBC級戦犯法廷の起訴状や判決文などの裁判資料6点が法務省によって収集され、国立公文書館(東京)に保管されていたことが、関東学院大の林博史教授(日本近現代史)によって発見された。櫻井氏やその系列のいかがわしい似非歴史学者らの欺瞞が暴かれたということである。
 
 従軍慰安婦や南京大虐殺否定を政治的なプロパガンダに利用する反韓・反中‏的、ナショナリスティックな安倍政権誕生で、状況は一段と複雑化した。
安倍首相が未だに櫻井氏の主張を繰り返しているのは、歴史への無理解もあるが、政治的な事情が大きく与っている。つまり、昨年の自民党総裁選で保守層の支持を取り付けるために、河野談話見直しを公約にした手前、引き返すに引き返せなくなっているのである。
 
 朴槿恵大統領は韓日首脳会談開催の条件として、安倍首相が元従軍慰安婦への侮辱的な発言を撤回するように求めているが、至極当然のことである。オバマ政権にもそうした見方があり、キャロライン・ケネデイ新駐日大使も元従軍慰安婦に同情的とされる。
 安倍首相は何とか慰安婦問題を棚上げしようと早期会談を求めるが、これも新手のプロパと見られる。従軍慰安婦問題を棚上げして首脳会談を開催しても問題はよりこじれるであろうが、次回解析するように、安倍氏とその周辺はそれを見越し、難問山積する内外状況を正面突破する政治的な契機にしようと画策していると読める。
 
 日本の保守メディアは朴大統領の安倍首相への強硬姿勢を「反日」と報じるが、一面的な感情論である。
 最近、韓国では「克日」という言葉が復活している。感情的な反日、嫌日を超える。すなわち、過去をだらだらと引きずった旧韓日関係を清算し、日本と真の友人になる意味があると解するのが合理的であろう。
 
 拙書『朴正煕・韓国を強国に変えた男』がソウルの大手書店でロングセラーになっているのも「克日」復活と無関係ではあるまい。
 最終章「見果てぬ夢ー克日」で日本を乗り越えるのが朴正煕の終生の願であったと論じ、2004年文庫本後書で「朴正煕時代の総決算」を提唱したが、父子二代の夢が現実と成りつつある。 

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