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安倍首相が日韓首脳会談を早くと焦るのは、米国の視線以外にも、ある意味でそれ以上に厳しい経済的な事情が隠されている。
韓中交易が拡大するのと反比例して深刻化する日本の貿易赤字の急増であり、直近の10月の経済統計がそれをはっきりと示している。
日本の10月の貿易赤字は史上最悪更新の1兆907億円と、過去最長の15ヶ月連続の赤字となった。貿易が日本経済の柱であることは二言するまでもないが、貿易収支が2011年200億ドル、2012年730億ドルと赤字に転落し、今年は一段と膨れ上がることが確実である。先進国最悪のGNPの2・4倍、1100兆円超に跳ね上がった累積財政赤字とあわせた双子の赤字急増は、日本経済の危機が深化したことを物語る。
その原因は、円安誘導が裏目に出て輸入材が高騰したこともあるが、より重要なことは輸出が米国市場を除いて期待したほど伸びず、特に政治的に対立する中国市場が冷え込み、対中赤字が5064億円と赤字全体の半分を占めたことにある。
他方の韓国はというと、日本と対照的に10月も70億ドルと21ヶ月連続の黒字。経常収支も同月、史上最大の95・1億ドル、前年同月比プラス49・8%と20ヶ月連続黒字となる。今年1月から10月までの黒字総額は582億ドル、前年同月比1・5倍と絶好調である。
その最大要因は米国、欧州、中でも対中輸出が好調なことにあり、自動車、IT、半導体が中心となっている。
日本では見逃されていることであるが、上記の衝撃的な統計は日中対立で日本の対中輸出が不振に陥った分、韓国がそれを補うように対中輸出を増やしていることを物語る。
これは偶然ではなく、2030年には米国を抜いてGNPが世界一となると予測されている中国市場を中心に市場の再編が起きており、流れに乗った韓国と反対に、日本が全く適応できていないことを如実に示している。
安倍政権が逆方向にねじれてしまっているのは、日本にとって悲劇的と言わざるを得ない。
それは「日本経済再生の最後の3年間」と保守層が期待し、財政規律を度外視した金融緩和に舵を切ったアベノミクスがやはり無謀なものであったことを白昼の下に晒すものであり、遠からず安倍政権は政治的な危機に直面することになろう。
安倍首相としてはその前に、米国との同盟関係を強めながら、中国包囲網に韓国を引き込み、逆攻勢をかけようとしているが、成功しそうもない。
韓国政府は昨日、TPP 交渉参加を検討すると発表した。日本の一部マスコミは早速、中国包囲網に韓国も加わるとアドバルーンを揚げるが、希望的な観測に過ぎない。
実は、韓日中FTA 交渉が遅々として進まない中、韓中FTAを先行させる合意が朴槿恵大統領と習近平主席の6月首脳会談で成されたとの情報がある。韓国は中国との間で進むFTA 交渉とバランスを取ろうとしているのであろう。
戦略的には中国市場の成長力を取り入れていくのが韓国経済発展には不可欠であるから、当然ともいえる。競争相手の日本に先んじている戦略をいまさら捨てるわけがない。
中国が23日に尖閣を含む空域を防空識別圏に設定したが、安倍首相の強硬姿勢を受けて同空域に飛んだ自衛隊機に対して中国機がスクランブルをかけるなど、日中関係は一触即発である。
他方の韓国は直ちに中国との戦略対話をソウルで開催し、韓国の防空識別圏と一部重なることを抗議しながらもあくまで対話で解決することを目指し、相互の国防部に新たなホットラインを設置することで合意した。
安倍政権が頼みとするオバマ政権だが、中国との決定的な対立を避けたい戦略的な次元から韓日どちらの対応を大人と見るか、合理的に考えれば容易に分かることである。
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2013年11月30日
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