河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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 安倍政権の支持率がついに半数を切り、49%(朝日新聞2日付)に下落した。アベノミクス失速への失望と共に、戦争準備法と批判される特定秘密保護法案強行採決などで露呈した危うさが嫌われている。
正念場を迎えた安倍首相としては、鬱積する国民の不満を外に向け、右派保守勢力の支持を繋ぎとめるためにも、中国の防空識別圏設定に対する強硬姿勢を変えるわけにはいかない。バイデン副大統領との会談直前、米国と共に中国防空識別圏の「撤回」を求めていくと強気に語っていた。
 
 ところが、バイデン副大統領から「力による現状変更の試みは黙認しない」との言質を得るのが精一杯、ついに、「撤回」という言葉は合意文書に盛り込めなかった。
民間機にフライトプランを提出しないように求めた日本と、提出を求めた米政府とのギャップは埋まらなかったばかりか、ある意味で拡大している。
 安倍首相はフライトプランでの日米ギャップに衝撃を受けていた。サキ米国務省報道官が先月29日に民間航空会社にフライトプラン提出を容認したと明らかにした直後、猛烈に反発し、わざわざ記者会見で「外交ルートを通じて確認したが、そのような事実はない」と否定して見せた。日本の主要紙も「米国はブレた」と声をそろえ、米国頼みの安倍政権の対応に「梯子を外される」と疑問を投げた。
 
前回指摘したことでもあるが、バイデン副大統領が「撤回」に同意を与えなかった理由を推し量ることはそれほど難しくない。最大の通商相手国である中国との「対話の深化」に重点を置く米国は、「一方的な」防空識別圏設定に不快感は示していたが、「撤回」させるとは一言も発していない。そうできるとも思っておらず、不測の軍事衝突を防止するシステム構築に主眼を置いてきた。
 つまり、漁夫の利を得る一種の分割統治である。問題の背景に尖閣領有権争いがあるとして、双方から一定の距離を置き、調停者として立ち振舞おうというわけである。
事実、従来から尖閣諸島の施政権は日本にあり、日米安保条約の適用対象と述べながらも、領有権には触れず、中立を堅持している。
 オバマ政権は海外に展開する米軍のコストを削減するリバランス政策に着手しているが、中国はその主要な交渉相手であり、日本は韓国とともに補完的な立場に位置付けられている。
安倍首相との会談でも、バイデン副大統領は安倍首相の面子を傷つけないようにと慎重に言葉を選びながらも、「危機管理」の必要性を強調し、最後まで「撤回」論には与しなかった。その一方で、TPP 交渉において日本が聖域5項目で譲歩するように強く求めるしたたかさを見せた。
 
中国の防空識別圏設定を日本のメディアは「突然」「軍の独走か」と報じるが、認識不足である。
習近平主席が四ヶ月前に防空識別圏設定を決めていたと香港誌『亜洲週刊』が報じているように、中国は用意周到に事を進めており、昨年に日本が尖閣を国有化した時点でこうなることは予想できたことである。
 バイデン副大統領は習近平主席と会談する予定であるが、前回指摘した韓中国防省間ホットライン設置に倣い、中国の防空識別圏は事実上認め、偶発的な軍事衝突を防ぐ信頼醸成措置で一件落着となろう。
キャメロン英首相やウクライナ大統領が相次いで訪中して相互協力強化を謳うなど国際的には無用な紛争の拡大回避が主流であり、根っ子にある尖閣領有権問題も暗黙のうちに棚上げされると読める。
 
やや遠回りしたが、バイデン副大統領は安倍首相に韓国との関係改善を促した。訪中後に訪韓するが、朴槿恵大統領との会談でも同じことを求めよう。
 具体的には韓日首脳会談の開催であるが、事はオバマ政権が考えているほど単純ではなく、サンフランシスコ講和条約で日本の戦争責任を曖昧にした米国にも責任の一端がある。
 民主主義と市場経済という価値観を共有する隣国が長期にわたって首脳会談を開催しないのは、確かに正常とは言い難い。
だが、もう一つの重要な価値観である歴史認識問題でここまで相互不信が強まってしまった以上、腹にもない上面の会談をしてどれほどの効果が期待できるであろうか。
 もう少し、互いを冷静に見直す冷却期間を置いた方が中長期的には良策といえない事もない。
朴槿恵大統領はドイツ、フランスの前例に倣って韓日中共同の歴史教科書を作成することを提唱し、先月末の韓日議員連盟総会でも基本的に意見の一致を見た。その推移を見守ってからでも遅くはあるまい。

朴槿恵大統領は米中関係を睨みながら、じっくりと構えている。対照的に安倍首相に焦りの色が見えるが、韓国を対中包囲網に巻き込みたい意図がありありである。
 安倍氏は「中国は嫌な国だが、外交は出来る。韓国は交渉も出来ない愚かな国だ」(週刊文春11月21日号)と述べたという。韓国マスコミが問題視すると菅官房長官が「愚かで無責任な週刊誌」と否定したが、安倍氏本人はいまだに否定していない。
安倍氏の苦しい本音がうかがえる。韓中間に楔を打ち込み、揺さぶろうと算盤を弾いたのであろうが、中国と一触即発の防空識別圏問題で淡い期待は吹き飛び、ますます立場を悪くしている。
 
 従軍慰安婦を娼婦と侮辱し、南京大虐殺を否定する安倍政権の歪んだ歴史認識は、むしろ「抗日」の記憶を呼び起こして韓中を結束させ、日本の孤立を深めている。
 折りしもハルビン駅での安重根顕彰碑設立を巡る対立が再燃した。先月18日に朴槿恵大統領は訪韓した楊潔チ中国外相に「ハルビン駅での安重根義士顕彰碑建立は順調だ」と、6月の習近平主席との会談で合意したことが進行していることに謝意を伝えた。
これに菅官房長官が「安は犯罪者であると韓国側に伝えてある」と記者会見で反発、ユン・ビョンセ韓国外相が「遺憾」と反論すると、すかさず中国外務省副局長も「安重根は中国でも有名な抗日義士であり、広く尊重されている」と応えた。
安が伊藤博文を銃撃したハルビン駅構内の現場が目隠しされ、建立工事が始まっており、この問題で日本に分はない。
 米国も安顕彰碑建立に言及し、「歴史認識を巡る懸案を対話を通して平和的に解決するよう両国に促す」(サキ米国務省報道官10月22日記者会見)と述べた。米国は日本の戦争責任追求を対ソ連の政治的な理由から中断したが、日本軍国主義と戦った連合国であっただけに、基本的なスタンスは維持しているようである。
 
 朴大統領は頑なに過ぎるとの批判も一部にあるが、安倍政権が不安定化している最中での拙速な韓日首脳会談は、安倍首相に誤ったシグナルを送る可能性がある。
 安倍首相は日韓首脳会談まではとそれなりに自制を働かせているが、すでに文科省は教科書検定基準を厳格化し、従軍慰安婦を否定するなどの歪んだ歴史教科書を来年4月から一律流通させる計画を進めている。現在は封印している靖国神社参拝も強行するであろう。
 韓日首脳会談をクリアすれば安倍首相は一挙に右派勢力が待望する極端に右よりの政策実現に突き進むであろうが、その場合、朴大統領の面目は丸つぶれとなり、政治的なリスクを負わされる。
 
 禍をもって福と成すとの諺もあるように、現在の状況は積年の膿を一挙に出して、未来志向的な安定的韓日関係を築いていく好機とも言える。
韓国としては克日の総仕上げであり、朴正煕元大統領の歴史的評価と直結する韓国内部の歴史認識問題に決着をつける契機とも成ろう。

次回のテーマであるが、地域のもう一つの懸案事項である北朝鮮情勢が慌ただしくなり、張成沢・労働党行政部長失脚説が流れてきた。
韓国与党セヌリ党のシンクタンクであるヨイド研究院長との懇談で、張と崔龍海・軍総政治局長との対立に言及したが、それが可視化したようである。

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