河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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韓国経済に対する否定的な報道が日本のメデイアに目立つが、世界最大の中国市場を奪われたやっかみ半分と見た方が良い。
昨年、韓国の対中輸出額は日本を抜いてトップになったが、要因の一つに、日中対立で日本が対中輸出を減らした分を埋めるように韓国製品の輸出が増えた事がある。

これまで何度も指摘したように、昨年、韓国の貿易黒字は史上最高を記録し、反対に日本は史上最悪の赤字を出した。
無論、両者には相関関係がある。漁夫の利、というわけであるが、安倍政権の対中政策に変化がない限り、今年はさらにこの傾向が強まるだろう。

今年上半期の韓国経済には景気のよい数字が並ぶ。海外プラントの受注額がイラクのカルバル製油設備60億ドルをはじめ337億ドルで前年同期比プラス20・2%。自動車輸出額は完成車255・3億ドル、部品135・8億ドルで同プラス5・4%。情報通信機器類838・3億ドル同プラス3・2%。
いずれも過去最高である。通年で昨年に続き貿易総額1兆ドル突破は間違いあるまい。
情報通信機器類の輸出額の半分の416・8億ドルが対中と、中国の比重が高まっている。

外需依存度がGDPの半分に達すること、中国の割合が3割以上占めることをマイナス要因のように指摘する論調があるが、根本的な視点が間違っている。
輸出、特に対中輸出が急増しているためにGDPに占める割合が高くなっている。つまり、急増する輸出が経済成長を引っ張っているのであり、プラス要因である。
それに付随する措置を適切に取ればバランスが取れた成長が可能であり、それほど難しいことではない。

その意味で習近平主席の国賓訪韓の意義は極めて大きい。
朴槿恵大統領との共同声明には、23分野、90のプロジェクトで合意した事が記されている。それ以外にも12の協定が結ばれ、韓中の経済関係は飛躍的に強化されよう。
その中には鉄鋼のポスコが中国に33億ドルを新規投資することなどが含まれる。日本の対中投資は減少しているが、韓国の対中投資増加はそれを埋めて余りある。

中国の銀行がソウルに支店を開設し、ドルではなく人民元で直接決済する事で合意したことも注目される。
ベルリン、ロンドンに次ぐが、世界最大の中国市場を巡って韓国、ドイツ、イギリスがしのぎを削る中、日本は一歩も二歩も立ち遅れた。

新経団連会長を出した東レ社長は「韓国への素材輸出を強化し、間接的に対中輸出を増やす」と新経営戦略を明らかにしたが、日中対立が続く限り、同様にシフトする日本企業が増えてこよう。
外交不毛が招いた日本企業の下請化現象である。

ウオン高による採算悪化や旅客船沈没事故による内需冷え込みで韓国経済が減速したのは事実であるが、部分的な影響に止まっている。
韓銀は今年の成長率予測を4%から3・8%に下方修正したが、アベノミクスで沸く日本より高く、OECD先進国では最も高い。
日本のメデイアではサムスンの減益減収が取りざたされるが、それでも7000億円台の大幅黒字であり、日本メーカーは足元にも及ばない。

習訪韓を王毅中国外相は「戦略的なパートナー関係を新たな段階に深めた」と絶賛した。
共同声明では対北朝鮮、対日問題はほとんど触れなかったが、非公開首脳会談でかなり突っ込んだやり取りが行われた事は間違いない。
それは今後、韓中が経済的な相互依存関係を強める中で具体化されていこう。

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