河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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拉致被害者らの再調査をめぐり訪朝した日本政府代表団を28日、徐大河・特別調査委員会委員長ら幹部が勢揃いして出迎え、五時間半にわたって会談が行われた。
出迎える様子は海外メデイアに公開され、日本の新聞・テレビは「異例の対応」と声を揃え、期待値を高めるが、パフォーマンス以上の意味はなかろう。

北朝鮮側が「誠意」を示そうとしていることは事実であるが、以前から指摘しているように、内容的にはこれまでと変わらないし、変わりようもない。
拉致問題の解決を真に望むならば、先入観から特別なことを期待し、たとえ事実でもそれに反することを受け入れようとしない情緒こそ、冷静に、客観的に振り返る必要がある。
これ以上、不毛の時間を費消し、悪戯に拉致被害者家族の精神的な苦痛を加重させるのは酷というものである。また、拉致問題で感情化し、歪んだ日本の政治を正常化するためにも不可欠である。

徐大河は例の張成沢粛清の主役を担った国家安全保衛部副部長を務め、国防委員会安全担当参事とされる。徐と共に顔を揃えた副委員長の金明哲は国家安全保衛部参事、朴永植は人民保安部局長、拉致被害者分科会責任者の姜成男は国家安全保衛部局長の任にあり、いずれも公の場に姿を現すのは初めてである。
その意味では画期的であり、北朝鮮側の意欲を示していると言えるが、日本側が期待する「拉致被害者に対する特別な情報を知る立場にある」は全くの買い被りであり、為にするフィクションでしかない。

2002年の金正日国防委員長と小泉純一郎首相との会談をセットし、拉致問題解決の道を開いた柳敬も国家安全保衛部副部長であり、金委員長の最側近として、現在の徐大河以上の権限を有していたのである。
因みに、柳は田中審議官のカウンターパートナーとされる「ミスターX」と呼ばれ、公の場に現れることはなかったが、金委員長死亡直前に粛清されている。理由は定かでないが、金委員長が拉致問題を認め、公式謝罪までしたのに、事態がこじれ、日本の経済協力を引き出すことに失敗した責任を問われたと思われる。

北朝鮮の拉致被害者に対する調査は金委員長の信頼厚かった柳敬時代に基本的に完了しており、小泉首相に正式通告された「五人生存、8人死亡、4人不明」の結果は事実として変えようがない。
可能性があるとしたら、「4人不明」の詳細を明らかにすることである。だが、拉致問題に決着をつけようと国家安全保衛部が総力を挙げて必死に調査したにも関わらず、現在に至るまで結果が出ていないのを見ると、残念ながらこれも絶望的とみなすしかない。

日本外務省の伊原純一アジア大洋州局長は「拉致被害者の調査が最優先」との安倍首相の意向を踏まえ、今日29日の協議でも再度提起するとされるが、9月に中国瀋陽で行われた外務省局長級協議で内示された結果以上のものは期待できないだろう。
隠しているわけではない。徐委員長が属する国家安全保衛部の立場も過度の粛清への労働党側の反発から微妙になっており、何とか結果を出そうと必死であるが、無い袖は振れないのである。
調査していると誠意を示し、他の3つの分科会、すなわち、行方不明者、日本人遺骨問題、残留日本人・日本人配偶者問題で成果を出し、日本側に納得してもらうしかないと腐心している。

ところが、日本の世論は、特別調査委員会を立ち上げたことへの期待と、また騙されるのではとの不安が交錯し、揺れている。
拉致被害者家族会が調査団のピョンヤン派遣に反対したのは、不安の方が強かったからであり、一般世論は概ね家族会に同情的である。

「異例の対応」にマスコミが挙って一喜一憂しているのも、もしや、との期待があるからであるが、実は、このもしやもしやが曲者なのである。
家族会は「12人は生きている」と感情論で訴え、マスコミもかつて被害者の声を無視した贖罪意識から無批判に伝える。
生きているとしたら何故出てこないのかと誰しも不思議に思うところであるが、この疑問は、「重要な秘密を握っているので、北朝鮮は出せない。隠している」との根拠なき暗黙の了解で封殺され、事実上のタブーとなっている。

もはや客観的な認識ではなく、浪花節的な文化の世界である。和を重視して異論を排する日本人的な情緒の問題と言うしかない。
それに反するものは村八分に遭い、マスコミからも排除され、自浄作用は期待薄である。

地域の平和と安定、国益という大局に立って、それを打破するのが政治の役目であるが、安倍政権にそれを期待するのは難しそうである。
迷走は当分、続くだろう。

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