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新政治民主連合の文在寅新代表の朴正煕元大統領墓参拝の決断は、直後の世論調査で同党の支持率を30%台にアップさせ、概ね好評であった。 与党セヌリ党の支持率に数ポイントまで迫っており、政権批判勢力としての存在感が高まっている。 国民の大半がその功績を認めている朴正煕元大統領への感情的反発が同党の支持率を減らしていたが、今後はそれもなくなる。 格差拡大阻止の対立軸を明確にし、建設的な政策論で与党に挑む態勢が整ったと評価できる。 政権側もうかうか出来なくなった。昨日、朴槿恵大統領が金武星与党代表、チョン・スンミン院内代表と会談し、「不通」の不評を払拭、与党との意思疏通に努める姿勢を示した。 写真に見られるように会談は和気藹々と進んだようだ。二人はもともと朴槿恵側近グループに属していたから、修復は早い。 私は『朴正煕 韓国を強国に変えた男』の2005年文庫版後書きで「歴史的スパンで見れば、現在の韓国は朴正煕の遺産に頼りながら、それを乗り越える大きな転換点に差し掛かっている。近代化を課題とした朴正煕の時代の総決算とポスト近代へと脱皮する陣痛期に入った」と書いた。 それから10年経って与野党共に問題意識を共有する段階に入ったようである。 今後、与野党は不毛な観念論争ではなく、具体的な政策で競うことになる。 文代表は「全面対決」を強調したが、「増税なき福祉」や平昌冬季オリンピック分散開催問題などに劣らず、南北対話と統一論は重要な課題の1つである。 朴元大統領の統一ビジョンは「先建設後統一」であるが、基本的にその方向で動いている。 最大の障害は核問題である。 文代表は参拝後の記者会見で「金大中、盧武鉉元大統領が金正日国防委員長と交わした6・15宣言、10・4宣言は守らなければならない」と履行を求めたが、今一つ歯切れが悪い。 盧大統領の秘書室長を務めており、2つの宣言にこだわるのは理解できないでもないが、核問題の現状を軽視すると政策能力を疑われるだろう。 朴槿恵大統領は5・24措置も含め、金正恩政権が核放棄の意思を明確にしないと応じない原則を明確にしている。 それについては一部から固すぎると批判が出ているが、全くの筋違いである。 大規模経済協力を定めた6・15宣言、10・4宣言は北朝鮮が非核化に応じることを前提に結ばれており、北朝鮮の一方的な核保有宣言で信頼関係が崩れてしまった。朴大統領が非核化を命題に南北対話に応じるとするのは、至極当然である。 新政連内部で6・15宣言、10・4宣言にこだわる意見が根強いのは、同宣言が結ばれた経緯が不透明な事とも関連している。 李明博前大統領の回顧録『大統領の時間』には、金正日政権側との水面下の接触が赤裸々に描かれている。首脳会談開催の条件として、「100億ドル、食糧支援50万トンなどを要求された」、「金養建書記が応じてくれないと殺されると泣きついてきた」といったものである。 水面下の交渉を暴露したことには批判があるが、それ以前に大きな問題があることが看過されている。 何故公式の記録を残さないのか、という疑問である。 日本、米国など先進国では外交交渉は全て記録し、一定の期間を置いて公開することが義務付けられている。 ところが、盧武鉉大統領と金正日国防委員長との会談録が紛失した。いや、最初からなかったと紛糾するなど、信じがたい杜撰さが露になっている。 主権者である国民の監視を外れた交渉は、密室の談合でしかない。 南北首脳会談の可能性が取り沙汰されているが、秘密主義を排して必ず全てを記録し、後世の批判を受けねばならない。 朝鮮王朝500年の政務を記録した『李朝実録』が残されている国らしく、透明性ある本来の形に戻らねばならない。 因みに、『大統領の時間』には、昭和天皇から「日韓友好を望みます」との伝達があり、天皇に謝罪要求した背景が明らかにされている。また、「野田首相が元慰安婦に謝罪の手紙を送り、賠償する合意が出来ていた。慰安婦問題の解決は9合目を越えていた」との下りがある。 検討の余地はあるが、資料的な価値は少なくない。 |
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2015年02月11日
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