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米国務省当局者は21日、「北朝鮮の弾道ミサイルは核を搭載できる段階に至っていない」との公式見解を明らかにした。
前日、北朝鮮の核の小型化について「ICBMに搭載できることを実証していない」と述べていたが、いわゆるノドンなど中距離ミサイルについても核搭載能力を否定したことになる。 そうして、現実の脅威を否定したうえで、「最終的には同盟国や米本土への脅威になりえる」とした。 これをどう解釈すべきであろうか? 米軍部首脳は北朝鮮脅威論を露骨に口にし、日韓米の専門家の間でも北朝鮮がノドンなどに核を搭載しているとの見方が広まりつつある。 韓国では高高度ミサイル防衛体系(THAAD)配備を求める声が沸き上がり、日本では安倍政権が安保法制整備の理由に北朝鮮有事を挙げ、国民の理解を得ようと腐心している。 何よりも、北朝鮮が「いつでも米本土を核攻撃できる態勢にある」と豪語している。 こうした状況をよく分析すると、それぞれの政治軍事的な思惑が浮かび上がってくる。 これまでも再三指摘したことだが、北朝鮮が核の小型化や米本土に達するICBMの開発に成功したことを示す実験は、全く確認されていない。 北朝鮮の第三次核実験(2013年2月)や人工衛星ロケット打上(2012年12月)等も、客観的にそうした軍事能力を証明するものではなかった。 直近では、9日に「金正恩第1書記の直接的な発起と指導で実施された」との鳴り物入りで、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)実験が行われた。 これについては、韓国国防部は「潜水艦からミサイルが150メートル飛び、発射は成功したが、憂慮するレベルではない」と評価している。北朝鮮メデイアは「大成功」と写真入りで大々的に報じたが、米国防総省は「写真を加工した」と実験そのものを問題視する。 要するに、極めて初歩的な段階で、実戦化するには最低でも数年要する。 立証不可能な北朝鮮の核能力を誇張する主調、憶測が飛び交っているのは、それぞれの主観的な思惑や狙いを秘めていると見るべきであろう。 まず、北朝鮮であるが、国防委員会政策局が20日、「小型化、多様化に入って久しい。精密化、知能化も進んでいる。自衛力強化措置に挑戦するな」と強気の声明を出している。 SLBMについても、あたかも実戦配備しているかのようなレトリックを用いている。 過度に誇張された心理戦仕様の対外強硬姿勢は、実は内に向けたもの、すなわち、唐突な玄永哲人民武力部長粛清で動揺する軍引き締めが狙いである。 外交は内政の延長、は、現在の不安定な金正恩政権にそのまま当てはまる。 そのため、パン・ギムン国連事務総長の21日の開城工団訪問を直前の20日未明に「許可取消」を一方的に通告する非礼まで犯している。内政に振り回され、外交不在である。 韓国国防部が「挑発には断固として応じる」と一歩も引かないのは、北朝鮮の軍事能力の限界を見抜いているからである。 そもそも金第1書記の「自衛的抑制力強化」なる核開発路線には、いかにも思い付きといった大きな穴がある。 攻撃ばかりに目が行き、防衛システムがゼロに等しい。ノーガードのボクシングのようなもので、勝算度外視である。 ようやくそれに気付いて、玄永哲人民武力部長をモスクワに派遣し、ロシアからの対空ミサイル導入を図ったが、にべもなく拒絶されてしまった。 これは私の推測であるが、それを巡って金第1書記と玄部長の間に争いが起こり、粛清につながったのであろう。 朴槿恵大統領は19日、SLBM発射と恐怖政治を非難し、金正恩政権が変わろうとしない限り、5・24措置を継続する原則を言明している。 同時に、北朝鮮の弾道ミサイル実験を禁止する国連安保決議1718違反として、国連北朝鮮制裁委員会での討議を求める意向を明らかにしている。 北朝鮮の政変も視野に入れていると読める。 20日の国防委政策局の強硬声明や国連事務総長訪朝許可取消はそれに反発してのことであるが、こうした衝動的対応は自分の立場を苦しくするだけである。 金第1書記は、いい加減に脅しが逆効果であることを知り、正直にならねばならない。 国防委政策局は24日、20日の強気の声明から一転し、5・24措置解除を求め、天安艦沈没の共同調査を提案する声明を出している。経済が破綻の度を深めるなか、頼るは韓国のみという北朝鮮の実情がうかがい知れる。 来月の訪米を控えた朴大統領を困惑させているのは、ある程度先が見えてきた北朝鮮問題よりも、THAAD問題である。 いうまでもなく、中国が反発しているからである。 |
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2015年05月24日
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