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朝鮮戦争南侵失敗の責任を負わせた朴憲永労働党副委員長銃殺など金日成時代の粛清から始まり、2013年の張成沢国防委副委員長の「現代版宗派主義」粛清までの一連の粛清を正当化し、「金正恩第1書記の唯一領導体制死守」を訴えるものである。 過去の例からして、玄部長粛清を正当化する狙いであると読める。 労働党と軍内部の動揺が深刻化している様子がありありと分かる。各級党組織で思想統制を試みているが、十分に機能していない。 初めて「金正恩パルチザン隊伍」なる内部組織の名が出ているが、金正恩の兄の正哲が組長をしている「ポンファ組」を指していると見られる。 しかし、正哲が英国人ロック歌手のクラプトンの追っかけをしている写真が撮られたように、思想的には金日成時代の革命思想とはかなりの距離がある。世襲組の既得権益団体に近い。自民党世襲議員族と大差ない。 「金正恩を操るのは誰か」で指摘したように、背後で主導するのは金日成時代からのイデオロギー担当党官僚である金己男、崔泰福書記らである。 しかし、粛清の半面、慈愛深い父親として国民の敬愛を集めた金日成と異なり、金正恩は恐怖政治のイメージが先行しており、祖父のような求心力を保つのは難しい。 叔父にあたる張成沢粛清で金ファミリーが分裂し、在日出身が母である金正恩の出自を挙げてその正統性を疑問視する見方も北朝鮮指導部内で出ており、政権の弱体化は今後とも進もう。 さて、前回の続きであるが、米国務省が北朝鮮の核搭載ミサイルの存在を否定する公式見解を急遽、出したのは、ケリー国務長官が18日にソウルの竜山基地でTHAADの必要性に言及したことと関係がある。 米国では対中強硬派のマケイン上院軍事委員長が中心となって、2020年までに新MD網を構築する報告書が議会に提出されている。 写真下がそれを絵にしたものである。北朝鮮が主敵に描かれているが、実は本当の敵は左端に隠れている。中国である。 北朝鮮を体よくダミーにして、潜在的な脅威である中国に備えようというのが真の狙いである。 オバマ政権は安倍首相の訪米後に、次期統合参謀本部議長に海兵隊司令官を内定し、オスプレイ17機の日本売却、横田基地への配備を決めている。 中国に対抗するリバランス戦略に沿った布石であり、自衛隊をその下に組み込んで実動部隊として使おうとの腹積もりである。 朝鮮半島では状況は膠着しているが、尖閣周辺や南シナ海では中国軍機や艦艇と米日のそれが毎日、にらみ合い、むしろこちらの方が一触即発の危険性が高い。 人民日報系の環球時報は25日社説で、「南シナ海での中米衝突は不可避だ」と警告している。 そうした対中包囲MD網で核心となるのが、中国中心部をレーダーで網羅するTHAADである。 中国が神経を尖らすのは当然と言える。 ケリー国務長官はTHAADに慎重な韓国政府を揺さぶるために、竜山でこれ見よがしに発言したのであろう。 しかし、韓国政府から非公式にクレームが出されたようだ。 米国務省の公式見解はそれに応えたもので、状況を客観的に整理し、THAAD導入を韓国政府に公式に打診したことはないとする従来の立場を再確認する意味があったと見られる。 予見を排し、来月に訪米を控えた朴槿恵大統領とオバマ大統領との会談に下駄をあずけたのである。 朝鮮中央通信は25日、金正恩第1書記が「SLBMを完成させた科学者たちを訪れ、記念写真を撮った」と伝えたが、足元が揺らぐなか、実戦化にこだわる内情が透けて見える。 そこから実戦化される前にいかに押さえ込むか、という課題が浮かび上がってくる。 朴槿恵大統領としては北朝鮮を押さえ込むには、米中の協力が欠かせない。 米中の衝突は韓国の根本的な国益に反し、一方に偏ることは許されない。 安倍政権には二股外交と非難する声もあるが、米中の間を取り持つ韓国独自の基軸外交を進めるということであろう。 オバマ大統領も中国との衝突は望んでおらず、習近平主席の本音もそうである。 仲介者を求めている事情は同じであり、そこに韓国独自の役割がある。 |
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2015年05月26日
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