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来週26日〜27日の伊勢志摩サミットに参加するオバマ大統領が27日に広島平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に献花する予定であるが、同公園内の一隅にある朝鮮人・韓国人被爆者の慰霊碑への献花も忘れないでもらいたい。
米国家安全保障会議のクリテンブリンク・アジア上級部長は18日、オバマ大統領の平和記念公園での演説は数分程度の「簡素で威厳のある式典になる」と述べ、「難しい歴史問題に正面から取り組む覚悟がある事を示したい。全ての罪のない犠牲者の追悼」が目的と明らかにした。 また、ラッセル国務次官補も多くの日本人、朝鮮半島出身者、米国人捕虜らが死亡したことを挙げ、「悲惨な戦争の犠牲からの教訓を忘れるべきではない」と語った。 朝鮮人・韓国人被爆者慰霊碑への献花が期待される発言であるが、まだ定かではない。 私も記者時代に原爆記念館を訪れ、人骨と岩石が溶けて一体化した展示物に衝撃を受けた記憶が今も鮮烈に残っている。 同時に、李実根氏ら現地在住の在日の努力で公園の片隅にようやく朝鮮人・韓国人被爆者慰霊碑が建てられた経緯も忘れられない。 被爆がいかに悲惨なものであるか、原爆記念館を参観すれば目に焼き付けられるが、朝鮮人・韓国人被爆者の無念はあまり知られていない。 彼らは広島で5万、長崎で2万人が被爆したが、死者はそれぞれ3万、1万である。日本人被爆者が広島で42万、長崎で16万人、死者がそれぞれ27万、7万人と比較すると死亡率が異常に高い。 その理由は明確である。爆心地に近い軍需工場などに強制徴用されて働いていたため、もろに被害を受けたのである。 広島、長崎が長年にわたって米大統領の訪問を求めてきたのは周知の通りであり、原爆の悲惨さを知ってもらい、核兵器のない世界へと一歩でも近付きたいとの思いからである。 米日両政府も「全ての戦没者を追悼するため」とオバマ大統領の広島訪問の目的を説明しており、そうであるならばなおさら、一般に知られることなく疎外されてきた感のある朝鮮人・韓国人被爆者慰霊碑への献花があってしかるべきである。 原爆を投下した米現職大統領として初めて被爆地を訪れる政治家の見識と良心を示し、異国で非業の最後を遂げた被爆者とも向き合ってもらいたい。 オバマ大統領は謝罪はしないという。米国内では依然として「原爆投下が多くの命を救った」と信じている米国人が多いことに配慮したのであろう。 抑止力として核兵器を位置付け、正当化する人たちと共通する歪んだ心理であり、「核なき世界」の実現を妨げる最大の要因である。 無論、理想論だけでは核兵器を根絶することは出来ない。戦争やテロ、国家間の対立や相互不信がなくならない限り、究極の兵器である核兵器を地球上からなくすことは出来ない。 国連を通した合理的な核管理が、最も現実的であろう。 しかし、核兵器は無垢の人々まで虐殺する絶対悪であることは確認しておく必要がある。その意味でオバマ大統領の広島訪問は大きな前進と評価できる。 だが、朝鮮人・韓国人被爆者慰霊碑を素通りするようでは、画竜点睛となりかねない。 今回の訪問に対しては、「日本が先の大戦の被害者であるかのごとく装い、日本の戦争責任を曖昧にしかねない」との批判が日本国内から出ており、韓国、中国政府も同様の懸念を表明している。 それを打ち消し、ラッセル国務次官補が述べた「教訓」を確かなものにするためにも、朝鮮人・韓国人被爆者慰霊碑献花が求められる。 被爆者の差別はあってはならない。 朝鮮人・韓国人被爆者慰霊碑献花は、オバマ大統領だけでなく、同行すると報じられている安倍首相も実行してもらいたい。 朝鮮人・韓国人被爆犠牲者の数さえ明らかでなく、原爆資料館にも展示されていない。中国人被害者が含まれている可能性もあるが、日本政府はしかるべき調査を怠ってきた。 安倍首相は今回の画期的な広島同行が、広島の原爆慰霊碑供養がアジア諸国の心からの賛同を得られる大きな機会となるように努めてもらいたい。 成すべきことを成さず、「日米同盟の深化」などと的違いな事を言うようなら、怒りを失望を引き起こすだけである。 |
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2016年05月20日
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