|
韓国国会特別委員会聴聞会では相変わらず、大の国会議員、大学教授、新聞社前社長らが国の品格を貶め、世界に恥を晒す茶番劇に夢中になっている。真面目に聴いていると、個人攻撃まがいのレベルの低さにほとほと気が滅入ってくる。
かつて社会主義諸国で流行った人民裁判を彷彿させる。中国人は文化大革命時の幹部吊し上げを想起しているであろう。先進国でそんなことをしているのは韓国くらいであり、根底の何かが歪んでいると考えざるをえない。 その1が、セオル号沈没時の「空白の7時間」に朴大統領が美容で会議に15分遅れたと、野党議員が目尻を上げて追求した場面である。韓国人がそこまで時間に厳格であるとは初めて知ったが、通常の業務の合間に健康管理や身支度を整えるのは安倍首相やオバマ大統領もごく普通に行っているし、セキュリティの問題で大統領府に医者や美容師を呼び入れるのに何の問題もない。 ところが「空白の7時間」なるフィクション、妄想に取り付かれ、何とか道義的責任に結び付けようと、ああでもないこうでもないと因縁を付け執拗に追求する。当の議員はセオル号沈没の最大責任者である船長の名前も忘れ、問題を政局に利用するのに必死の形相である。 結局、どの証人からも思うような証言を得られずに終わる。客観的な事実は15分遅刻だけで、あとは全て言いがかりの類である。ジ・エンドと思いきや、疑惑が深まったと負け惜しみを言い、マスコミまで大衆迎合的に報じるのだから、熱病は相当に重症である。女性蔑視の感情も混じっているようにみられる。 「空白の7時間」熱病は、鳥インフルエンザのように日本の一部にも伝染している。 熱病と認知症の違いはあくまでも相対的なもの。根底は日頃の不満を吐き出す集団ヒステリックなポピュリズムであり、ある日、突然入れ替わることもあり得る。 その2は、崔の娘の「不正入学疑惑」であるが、ほとんど人権侵害に近い個人攻撃であり、アムネステイーが黙っていないだろう。 当時のイファ大総長が否定しているのに、「合格指示の証言」があるとして20歳の娘を名指しで攻撃する。 アジア大会乗馬で金メダルを取っており、特待生資格で入学している。早稲田など日本の名門大でも普通に行われ、何の問題もなかった。それが秘線疑惑と無理に結び付けられ、妬み、嫉妬の類の証言で一転、入学取消となり、ソウル市教育庁が高校卒業資格まで取消と、全否定するのだから人権も何もあったものではない。 朴ソウル市長が次期大統領の椅子を狙って強権を発動したとみられるが、政治弾圧と指摘されても反論できまい。 その3は、韓国マスコミが新疑惑と騒ぐ大法院長(最高裁長官)への監視活動疑惑である。 世界日報前社長が「大法院長の日常活動を大統領府が監視していた」と証言し、三権分立を侵すものと議員と一緒になって声を上げたが、これも過度の思い込みである。 何故なら、見方を変えれば、当然の身辺警備となるからだ。実際、大法院はデモ争乱と関連した民主労総委員長の有罪を確定させるなど、狙われる立場にあった。連続の土曜日デモの中心勢力はこの民主労総であり、収監中の委員長の即事釈放を求めて憲法裁判所にデモをかける動きまで出ている。 市民革命などと浮かれず、ロウソクデモの実態を見極める必要がある。 このように崔国政介入疑惑なるものを裏付ける事実なり物証は連日の国会聴聞会で1つも出ていない。噂と伝聞による疑惑の上塗りでしかない。 客観的に見れば、大統領弾劾の法的根拠が崩れているのが明白である。 今日、朴大統領の弁護団が憲法裁に答弁書を提出し、「弾劾の理由ない」と棄却を求めたが、聴聞会の一連のやり取りをみても弾劾の理由を見つけるのは難しい。政治裁判にならないためにも、憲法裁の見識が問われる。 根拠薄弱な噂と伝聞で政治の中枢が動かされるのは、衆愚政治と民主主義の垣根がハッキリしていないからに他ならない。 1987年6月の民主化以来、韓国の歴代大統領は政権末期になると、次期大統領の椅子を狙う野心家たちが仕掛ける政争に巻き込まれるのが、“年中病事”となり、国力を不必要に消耗してきた。 李朝以来の党派闘争の悪習、道理と思い込むと事実をねじ曲げても自己主張する国民性など政治文化の問題もあるが、制度的には一期五年という奇形的な大統領任期制の弊害が大きい。独裁政治への警戒心から大統領任期を極端に制限したのであるが、社会が多様化した現状にそぐわず、制度的に限界である。 前から繰り返し指摘するように、87年体制は賞味期限をとっくに過ぎており、先進国のレベルに合ったものに作り替える必要がある。 改憲が急速に争点に上がっているが、派閥意識の強い韓国人に内閣制は政争を常態化させるだけである。欧米で一般的な2期10年とし、間に大統領の信認投票を入れれば政策の継続性、安定性も保障される。 今日、与党セヌリ党の院内代表選挙が行われ、親朴系主流派のチョン・ウテク議員が選出された。「次期大統領選挙前に改憲する」と金ジョンイン+孫鶴圭+金ドンチョルの改憲連合と歩調を合わせる事を明らかにしており、政局は当面、憲法裁の判断を睨みながら、改憲派と護憲派との攻防に焦点が当てられることになろう。 ただ、政体がいかようであっても、国民の国家観がしっかりしていないと、政治は安定せず、本来の役割を発揮できないが、韓国はこの点で深刻な内部対立を抱えている事を指摘せねばならない。 秋美愛民主党代表が弾劾案可決直後に来年春から導入予定の「国定歴史教科書廃棄」を求めたように、秘線疑惑が突然、持ち上がった背景には国家観の対立があった。 朴大統領のリーダーシップで進められた国定歴史教科書は、韓国の建国記念日を1948年8月15日とする。国際法的には常識的なことなのだが、現行憲法にはその規定がない。 前文で日本の植民地支配に反対して1919年に樹立された上海臨時政府の「法統を受け継ぐ」とするのみである。以前は同年を建国記念日とする記述があったが、さすがに国際常識に反するとして改められた。しかし、建国記念日は曖昧なままにされ、1948年は光復節と中途半端に据え置かれた。新世代は混乱するばかりであり、朴大統領はそれを正そうとしたに過ぎない。 野党はそれにも異義を唱えているが、何でも政局に利用する悪癖と共に、自身がしっかりとした国家観を持てないでいる事を示唆する。 国家観が確立していないから、何が国益か意見が一致しない。そのため政争が絶えず、結果的に国益を害している。北朝鮮核問題の鍵となるTHAAD問題でやたら反発しているのが、その一例である。 韓国人の大半が自覚していないが、1919年説にこだわる以上、北朝鮮から「傀儡」と批判され、コンプレックスを抱き続けなければならない。 何故なら、上海臨時政府の中心であった金九は解放直後に金日成の招請に応じてピョンヤンを訪れ、統一政府を樹立する南北連席会議に参加している。流れからすればそれを受け継ぐのが朝鮮民主主義人民共和国となる。韓国はそれに反し、米軍政府が李承晩を利用して樹立した不当な政府となる。韓国の左派、リベラルが親北的な傾向を帯びやすい原因である。 その金日成と対立し、開発独裁で韓国を経済強国に作り上げ、体制競争で北朝鮮を圧倒したのが、朴正煕大統領に他ならない。 その戦略を受け継いで、朴槿恵大統領は1948年を建国記念日にしようとしているのである。改憲を提唱したのもその延長線上にある。 それは韓国保守勢力の悲願とも言えるが、秘線疑惑で動揺し、異変が起きている。 弾劾案に賛成した金武星セヌリ党元代表らは「新保守」を標榜し、保守系紙の中央日報の李夏慶主筆はコラム「市民革命元年 朴正煕と決別しよう」(12月14日)と呼び掛けている。熱病に侵され、理念的墓穴を掘っていることが全く見えていない。 実は保守の溶融は日本でも起きている。安倍首相による改憲の動きがそれであり、敗戦国を経済大国にした吉田茂以来の正統保守が戦前志向的極右的な保守により変質させられようとしている。 世界的に格差拡大と社会の分裂が既成政治の枠を壊そうとしている流れが起きているが、韓国、日本もそれに洗われている。 |
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
2016年12月16日
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]





