河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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台湾系在日の蓮舫民進党代表が二重国籍問題なる差別主義的な批判を一部から浴びているが、似たような問題が1980年代に旧東京二区で起きていた。韓国・朝鮮系在日の新井将敬の広報ポスター数千枚に「北朝鮮から帰化」との黒いシールが貼られたのである。いわゆる黒シール事件である。
やがて犯人は現行犯逮捕されるが、同選挙区の石原慎太郎代議士の公設第一秘書であった。秘書は一人で責任を負って辞職するが、後に石原は「帰化人は政治家になるべきでない」と週刊誌で述べ、事実上、自分の指示によるものであることを認めた。
蓮舫代表に対するいわゆる二重国籍問題は、戸籍を暴いて政治的な攻撃材料にするという本質的な側面で、黒シール事件と酷似している。
日本を内から自由で民主的な国に変えようと、日本国籍を取得し首相を目指した新井は、改革派のホープと強烈な存在感を示し、小沢一郎とともに改革の先頭に立った。しかし、逆流に弄ばれて初志を貫けず、「在日だからバッシングに遭う」と言い残し、自殺した。
蓮舫代表は「自分は多様性の象徴」と首相を目指す。新井生前時に比べれば、多様性や共生社会への理解者が格段に増えているが、他方で、「帰化人は政治家になるべきでない」と排斥し、差別する声も根強く残る。
奇しくも、新井が目指した1990年代の改革は政官財癒着の金丸体制への反省から生まれたが、安倍一強体制の下で同じような「政治とカネ」の問題が国民の政治不信を招いている。
本書は、改革の今昔を比較し、今後を展望する上で資するものが少なくないはずである。

注目すべきは、件の元秘書が鹿島建設に戻って専務となり、石原慎太郎都知事の意向を受けた元秘書仲間の浜渦副知事との間で豊洲市場関連工事を一手に引き受けている事である。

おりしも、安倍首相による森友・加計学園ビジネス疑惑が噴き出してきた。この種の口利き政治は、1990年の改革の成果として制定された斡旋利得罪の対象となり得る。

日銀の量的緩和によるアベノミクス・バブルの中で、1990年代の「政治とカネ」の問題が形を変えて噴き出し、小池都知事の東京大改革運動と相まって第二の政界再編の動きが顕在化してきた。
そうした状況を分析、展望し、「平成の坂本龍馬」と称えられた新井将敬が今、健在なら旧同志の小池都知事、石破茂元自民党幹事長、二階俊博幹事長、そして中国系在日として首相を目指す蓮舫民進党代表らにどのようなアドバイスを送るかとの問題意識から、前・現世二次元構成で展開した。

時代に即した新たな実践的な在日論も提起している。
すなわち、日本国籍取得者や中国系等も在日とする新たな主体的な在日認識を踏まえ、日本社会で活躍する代表的な韓国・朝鮮系在日二世として、孫正義ソフトバンク会長、シャノン賞の韓太舜電通大名誉教授、3D創始者の一人新井(朴)容徳スリーデー社長、金正出美野里病院院長・青丘学院理事長、日経BP賞受賞の文一昌元ソニーLCD開発センター長、直木賞作家のつかこうへい(金峰雄)らを挙げた。また、朝鮮学校卒業生として新井容徳、日本アカデミー賞最優秀監督賞の崔洋一、李相一監督、直木賞作家の金城一紀らを挙げた。
更に、在日がオバマ前米大統領のように将来的に日本の首相となる可能性も想定し、中国系の蓮舫民進党代表を韓国・朝鮮系の新井将敬と対比し、違いと課題を論じた。



<まえがき>
本書は改革の志を抱抱いて日本国首相の座を目指し、挫折したストイックな在日代議士を主人公にした前・現世二次元構成のポリテイカル・ノンフィクションである。
歴史は螺旋階段のように繰り返される。小池百合子都知事が「東京大改革」を掲げて都民から圧倒的な支持を得ているが、都議選で「都民ファースト」が勝利すれば、直下型地震のように政界再編の地殻変動を起こし、首都の大改革が日本大改革に発展する可能性が十分にある。バブル崩壊後の1990年代初頭に同じような現象があった。・・・自民党が政治を金儲けの手段とする「政治とカネ」の問題で民心を失い、新生党→新進党を中心に非自民連立政権が誕生した。国債乱発のアベノミクス・バブルの今また豊洲市場問題や森友学園・加計学園問題等々「政治とカネ」の問題がより陰湿な政・官・財癒着となって露になっている。
1990年代の改革の口火を切ったのが「自民党改革派のホープ」「平成の坂本龍馬」とマスコミの寵児となった新井将敬(衆議院議員在籍1986年〜1998年)であった。小沢一郎前自民党幹事長らと共に自民党を離党し、新進党東京都連幹事長の重責を担ったが、奇しくも、小池現東京都知事も新進党所属衆院議員であった。
新井は・・・「米国から与えられた憲法は我々に何をもたらしたか?自由、民主主義は日本人自らの手で掴み取ったものではない」と日本人の主体性に根源的な問いを投げかけた。そして、「日本人の手による真の自由と民主主義を戦い取らねばならない。憲法がいずれ総選挙の争点になる」と予言したが、それが今日、政治の重要課題に急浮上している。いよいよ新井が再び活躍する季節が巡ってきた、と言いたいところであるが、当人はもはやこの世にいない。
・・・
新井の自決から十九年余、志を持った政治家がメッキリ少なくなったと言われる昨今の政界で、(小池都知事や石破茂元自民党幹事長、二階俊博現幹事長)ら新井の旧同志たちが存在感を高めつつある。第二の改革の時代の幕開けである。思い半ばで逝った新井が今も現役であったら、何を思い、どう行動するであろうか?
日本社会は大きく変わり、もはや「在日」政治家が希少種とみなされることはなくなった。・・・時代の変化で足りなくなった部分は補充的に憲法改正すべきだと外連味がないのは、蓮舫民主党代表である。法的には何の問題もない二重国籍問題なるものをネチネチと突かれているが、「在日ゆえに叩かれている」と自死に追い込まれた新井のように孤立することもない。・・・首相になれる可能性もある。
かつては在日韓国人・朝鮮人のみを指した「在日」のコンセプトそのものが拡大変容し、活躍の場が飛躍的に広がっている。ヘイトスピーチなど後ろ向きの現象も一部に出ているが、障害を乗り越えるのが前進、進歩と思えば悲観したものでもない。日本以上に閉鎖的同質的社会と言われた韓国でも、大統領選挙たけなわの中、野党の文在寅候補の政策顧問として・・・2003年に韓国籍を取得した「在韓」の保阪祐二世宗大教授が活躍している。「在日」、「在韓」がシンクロナイズし、新しい地平を切り拓く社会までもう一歩である。
本書は戦略的視野を持って第一次改革時代をリードした新井将敬を中心に改革の今昔を比較するため、二部構成となり、第一部で新井将敬没後の現在に至る政治状況を「元祖改革派にホープは何を思う」と題して考察した。第二部では史料的価値もある旧『代議士の自決 新井将敬の真実』を再録したが、全体の分量調整のために一部割愛した。
2017年5月3日


目次
まえがき
第一部 元祖改革派のホープは何を思う
1 巡り巡る新井将敬の季節
2 石原慎太郎のおごりと豊洲市場問題の闇
3 小池都知事誕生と第二の改革旋風
4 安倍一強の盲点

第二部 『代議士の自決 新井将敬の真実』
まえがき
1 隠された実像 闘う改革派
2 思想と行動
3 改革派代議士の死ー誰が新井将敬を殺したのか

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