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安倍首相の国会冒頭解散は森友・加計学園ビジネス疑惑追及を逃れる奇襲解散であったことは衆目が認める。
野党陣営の準備が整わないうちに先手を打つ現代版真珠湾攻撃であるが、元A級戦犯の祖父岸信介の怨霊に憑かれた安倍らしい発想である。 ところが、小池都知事が自ら希望の党を立ち上げ、待ったをかけた。自民党惨敗をもたらした都議選の再来とばかりに、それに乗ったのが前原民進党代表だ。安倍政権を倒す大義を前面に押し出し、党を挙げて希望の党に合流すると言い出した。 その時点では、自公と野党統一候補の対立軸が鮮明になり、政権交代の可能性が出てきた。 何しろ安倍の奇襲解散は国民大多数の顰蹙を買い、安倍政権の支持率は再び大きく落ち込んでいる。実際、NHKの直近の世論調査で支持率37%、不支持率44%と逆転している。 野党が統一候補さえ出せれば、結果は自ずと見える。 それに気を良くしたのが小池だが、まさに人間万事塞翁が馬である。『日本改革の今昔 首相の座を目指した在日新井将敬』で指摘したように、女性初の首相の座は小池の宿願であり、都知事は通過点でしかない。それを実現する千載一遇のチャンスが巡ってきたと気がはやったのであろう、あらぬ計略を巡らす。 すなわち、希望の党が政権党になった状況を想定し、主導権確保のために、事前に反対派予備軍を除去しておこうと考えた。民進合流組に安保法制や改憲認容の踏み絵を踏ませ、振り分ける排除の論理を公然と口にしたのである。 小池が政治の原点と語る国民新党時代の細川護煕元首相すら「小賢しい」と呆れた、明らかな勇み足であった。 捕らぬ狸の皮算用、が当たっているかもしれない。 十分に予想されたことであるが、前国会での闘いを否定する露骨な排除の論理に民進党からリベラル派を中心に異論が続出する。 自分の当選ばかり気にし、小池人気にあやかろうとする出馬予定者たちは口をつぐんだが、約束が違うと愚直に異議を申し立て、民主党からのアイデンティティーを受け継ぐ立憲民主党設立を宣言したのが枝野民進党代表代行である。 市民団体、共産党、社民党など野党4党共闘合意を尊重する平和護憲勢力が加勢、連合も一定の理解を示し、選挙構図は自公vs希望の党vs立憲民主党・共産党・社民党・市民連合の三極となった。 もっとも、内容的には希望の党は安保公約が自民と同一で事実上の第2自民党であるから、実質的な選挙構図は改憲の右派系保守vs護憲のリベラル・左派の戦いとなり、有権者にはむしろ分かりやすくなった。 選挙後の第二次政界再編を予測させる。1990年代の第一次政界再編において「改革派のホープ」と鳴らした新井はいずれ憲法が総選挙の争点になると予言したが、的中した。新人議員だった安倍が首相で、旧同志の小池、石破茂元自民党幹事長らがその座に挑戦しようとしており、まさにドラマである。 さて、今後の展望であるが、自民党には「勝利の方程式」なる選挙の経験則がある。内閣支持率+政党支持率が100を超えるのが第1方程式であり、100以下でも内閣支持率が50%程度で政党支持率と合わせて90の場合は選挙戦術で補う第2方程式である。 ところが、先述のNHK調査では67と安倍はいずれにも遠く及ばない。勝敗ラインを自公で過半数と低くし、「テレビを見ると、数合わせの合流の話ばかり」と街頭演説で叫んでいるのは、焦って野党の動きに目を凝らしている証左である。 前原民進党代表が野党4党共闘合意を守れば、希望に便乗しなくとも勝算は十分にあった。 しかし、前原の古臭い反共意識が禍し、民進のカネとヒトを狙った小池に乗せられてピエロになってしまった。トップの器ではなかったということである。 小池はというと、民進党、具体的にはリベラル派を見くびりすぎた。小沢一郎のオリーブの木構想で我慢していれば首相の座も夢ではなかったのだが、自己を過信し、排除の論理を露骨に出したため、自民党東京都連から都知事選候補から排除された改革派と同情されたイメージを自ら壊してしまった。 NHK調査でも希望の党の支持率は全国的には共産党と大差無い。大阪の維新と同じ東京中心の地域政党である。民進党リベラル派の抵抗に遭った以上、第1党の芽はなくなった。 当人もそれを察知し、一時は匂わせていた衆院選出馬を断念せざるを得なくなった。足元の都民ファーストからも立ち上げ以来の側近都議二人が小池の独断専行的な政治手法を公然と批判して会派離脱を表明しており、都知事の座も磐石ではなくなってきた。 結論を言うと、市民団体から森友・加計学園問題で安倍が国政私物化の詐欺容疑で告発された安倍自民党は大きく議席を減らし、退陣の動きとなろう。石破の出番である。 分裂した野党が政権奪取を図るのは難しいだろうが、ダークホースが立憲民主党である。有権者が勝ち馬に乗るか、日本人特有の判官びいきになびくか、微妙なところであるが、信念を貫いた愚直な枝野に同情が集まりつつある事は無視できない。 立憲民主党が2日に立ち上げたツイッターには1日で5万超のフォロワーが殺到し、今も増え続けている。希望を遥かに上回る。注目すべき現象ではある。 |
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2017年10月03日
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