河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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金正恩沈黙の理由

金正恩政権はあとどのくらい持つだろうか?
金正恩委員長が9月15日に中距離弾道ミサイル火星12号を発射して以来、1ヶ月以上も沈黙している。その謎解きをNHKなどが特番で試みているが、謎は深まるばかりだ。発射命令を出せる唯一の人物である金正恩の心理が読めていないからである。

沈黙の訳は一言で言えば、火星12号発射で米国の譲歩を期待したが、逆に中国を巻き込んだ想定外の反発を招き、次の手を出しかねて立ちすくんでいるのである。
先制攻撃を招きかねないと、動揺していると言っても過言ではない。

トランプ大統領はツイッターで7日、「たった一つの事が効果がある」と呟いたが、サイバー部隊や自身愛用のスマホで米側の反応を随時チェックしている金正恩は、それを読んでトランプが本気で軍事行使を考えていると受け取ったことであろう。
テイラーソン国務長官が北朝鮮への対応でトランプ大統領と衝突し、軍事行使には消極的と報じられていることに大いに気をよくしていたが、そのテイラーソンまでが「外交努力は最初の爆弾が落ちるまで続ける」と、軍事的選択肢を想定した発言をしたことに衝撃を受けたとみられる。

金正恩は米韓の先制攻撃の脅威をもろに感じている。
米韓は原子力空母ロナルド・レーガン、戦略爆撃機B1B、F22ステルス戦闘機など核を含む戦略兵器を集結し、16日から20日まで朝鮮半島東西海域で合同軍事演習を実施した。
ロナルド・レーガンは香港に寄港してから演習に参加しており、事実上、中国も北朝鮮有事に一定の理解を示している。
米軍が軍事攻撃をマニュアル化していることは、米誌フォーリンポリシーが18日、「米軍はさる9月、東海(日本海)に展開した米艦に北朝鮮を標的にした巡航ミサイルのトマホークの発射準備命令を出していた」と報じたことからもうかがえる。
米韓が狙うのは金正恩暗殺である。その任務を帯びた米海軍特殊部隊シールズがロナルド・レーガンに乗船しているとも報道された。

金正恩はそれに脅え、神経を尖らせている。
それを裏付けるように、朝鮮中央通信が18日、「危険千万な軍事的挑発だ」と北侵核戦争演習反対全民族非常対策委員会の報道官声明を出した。
一見して強気な言葉が並ぶが、正規の外務省や軍ではなく、急造の格下の団体に声明を発表させたことに意味がある。米国をあまり刺激しないようにと、腰が引けているのである。
金正恩は9月21付声明で「超強硬措置」に言及し、直後に国連総会に出席した李容浩外相が「太平洋上での水爆実験」と示唆したが、その強気は完全に影を潜めている。

そこで、外交で活路を開くしかないと必死であるが、対米外交の切り札というべき崔善姫・外務省北米局長の外交も行き詰まっている。
崔はモスクワで開催された国際会議で「核兵器は米国だけが標的」と従前の日韓への攻撃論を否定し、「米国との対話はある」と思わせ振りな発言をして揺さぶろうとした。米国との直接対話に持ち込もうと必死だが、トランプ大統領が核放棄の前提無しでの対話に応じない姿勢を明確にしているので行き詰まっている。
そもそも金正恩が「米国との核均衡」を主張すること自体が、天と地ほどの軍事力経済力の差を直視しない妄想の類いでしかない。

核廃棄を受け入れて対話に臨むしか金正恩に選択肢は無くなっているが、金日成直系孫の金正男暗殺や古参幹部の大量粛清で政権は権威も人材も失い、空洞化しており、強硬路線転換を行える政治力が残されているか疑問だ。進むも地獄、退くも地獄である。
私は1年前に「金正恩政権の余命は2年±α」と予測したが、どうやら当たりつつある。
さる16日、金正恩の統治資金を管理する39号室の元幹部もニューヨーク市内の講演で「1年乗り切れるかどうかわからない」と私のブログを読んだようなことを述べている。
制裁の効果について疑問を呈する声が日韓言論に見受けられるが、木を見て森を見ない拙論である。2014年の脱北直前まで39号室傘下の企業のトップを務めていた元幹部は「国連安保理が9月に採択した新制裁決議は北朝鮮市場を完全に封鎖した」と指摘しているが、政権中枢の認識に近い。
北朝鮮政権が20年の制裁に耐えてきたのは事実であるが、基幹経済は崩壊、国民生活が窮乏化し、最後の段階に入っている。迫り来る厳冬に空腹を抱え怯える国民の姿が目に浮かんでくるようである。

石油、食糧など北朝鮮が戦略物資を依存している中国が金正恩政権の命綱を握るが、習近平政権は二年前に出版した『二人のプリンスと中国共産党』で予測したように、共産党大会で権力基盤を磐石にし、社会主義強国=格差ゼロの共産主義社会実現のロードマップを自信たっぷりに描いた。北朝鮮問題にもいよいよ本腰を入れてこよう。
中国税関総署は9月は対北朝鮮輸出が前年同期比6・7%減の2億8千万ドル、輸入が37・9%減の飢5千万ドルと発表した。これからもドンドン締め付ける一方、金正恩が助けを求めてくる作戦と読める。

他方、日本では安倍首相が「圧力を最大限に強化」と公約にうたい、北朝鮮を国難と争点化して総選挙で勝利した。朝鮮有事を想定し、トランプ大統領の軍事オプションに協力する布石と見受けるが、日本が軍事的に前のめりになると中国、さらには韓国が警戒し、事態を必要以上に複雑化させる恐れがある。
トランプ大統領が来月上旬に日本、韓国、中国を歴訪するが、北朝鮮を締め上げながら、他方で域内諸国の対立を利用し、貿易赤字解消を図ろうと算段しており、軽挙に行動すべきではない。

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