河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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国連政治局は「フェルトマン事務次長・政治局長が5日から8日まで北朝鮮を訪問し、李容浩外相と会談する」とツイッターで発表した。
国連は朝鮮休戦協定の当事者であり、国連軍を代表し、安保理常任理事国でもある米国の意向を受けたものであることは言うまでもあるまい。
中国特使に続く特使であり、金正恩委員長にとっては対話を通して核問題を平和的に解決する最後のチャンス、と読める。

国連特使派遣は9月に北朝鮮側が要請していたというが、中国特使訪朝後に実現したことに特別な意味がある。
トランプ大統領との会談を受けて習近平主席が派遣した特使に金正恩は会わず、トランプからの事実上の最後通諜を無視した。その直後の11月29日に火星15号発射実験を敢行し、「国家核戦力完成の偉業を達成した」と豪語し、米国全域を核攻撃出来ると威嚇した。
金正恩独特の思い込み的な思考方式であるが、米国が恐れをなして対話の席に出てくると期待したのである。習特使が求めたのは核放棄を前提とした対話であるが、それを蹴って金正恩が求めるのは核保有国同士の対話であり、核保有を認めさせることに最大の狙いがある。

火星15号発射は核に政権の命運を託した金正恩の大きな賭けであったが、見事に外れてしまった。
韓米軍事当局の発表によると、単純に飛距離は伸びたが、大気圏再突入技術は確立されていない。その後、同じ時間帯に同空域を飛んでいた香港のキャセイ航空機のパイロットがバラバラになって落下するミサイルを視認していたと報じられた。日本の某テレビ局が実験翌日、日本海岸部の住民がスマホで写した、夜空から火の玉が落ちてくる映像を流していたが、北朝鮮ミサイルの残骸とみられる。

つまり、火星15号は実戦配備出来る段階ではないということである。しかし、米国を核攻撃する狂気が金正恩にはあることを如実に示した。
米国で北朝鮮攻撃論が急速に高まっているが、愚かにも金正恩はトランプに自衛権行使、及び人気挽回の口実を与えてしまったのである。

米軍は4日から8日までF22、F35のステルス戦闘機、B1B戦略爆撃機など史上最大の空軍力を動員して韓国空軍との合同演習を行っており、岩国や嘉手納基地が使われ、自衛隊機も一部参加している。いつでも実戦に移れるモードである。
北朝鮮東海岸の新浦港でSLMA実験の動きが把握されているが、それを新たな挑発とみなした空爆もあり得る。
軍事力の差は象と蟻ほど圧倒的な差があり、戦術核で攻撃されたら北朝鮮軍は反撃の間もなく壊滅してしまうだろう。

金正恩は核ミサイルを実戦化すれば米国の脅威を免れると稚拙な核抑止論に一抹の期待をかけるが、幻想である。現実は刻一刻とリスクを高めている。
国連特使の助言を受け入れ、核放棄を約して米国との対話に向かうしか、事態を平和的に解決する術はない。
北朝鮮指導層にも動揺が広がっており、前にも指摘したジンバブエ化の可能性が高まっていると読める。

金正恩の無謀な核開発路線の犠牲になっているのが、北朝鮮国民である。
日本海岸に相次いで北朝鮮の粗末な木造船が漂着し、白骨死体まで発見されている。破綻する北朝鮮経済の最後のあがきというべき漁獲増産闘争に駆り出された地域住民の窮状を物語る。
金日成に忠誠を誓った世代は、自身を犠牲にしても次の代には同じ思いをさせまいと一生を捧げながら、半世紀以上も経った今もなお、全く同じ事を子や孫の代が繰り返している。その絶望や苦しみは想像して余りある。

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