河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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オリンピックが平和の祭典であるとはその通りであるが、来るピョンチャン冬季オリンピックは舞台裏で戦争か平和かと熾烈な外交が繰り広げられるという意味で前例がない。
まさに開戦前夜の熾烈な外交戦争、と言っても過言ではない。

「対話に幻想を抱いてはならない。南朝鮮(韓国)は刃物を懐に隠して、握手してくる。文在寅一味は吸収統一を狙い、我々の核を無くそうとしている。・・・最も完全な統一は武力統一だと語った金日成主席と金正日総書記の遺言を忘れてはならない。」
9日の南北閣僚級会談を前に、北朝鮮が党・軍・政の幹部たちを対象にした学習会で行った提講(学習資料)の内容である。補足すれば、北朝鮮では労働党員対象に週二回の政治学習が行われる決まりとなっている。
提講には「米国を対話に引きずり出すために、南朝鮮を利用せねばならない。北南対話で主導権を握り、米・南に楔を打ち込み、米南合同軍事演習を中止に追い込む。」と、韓国との対話の狙いが明確に記されている。

しかし、強気な提講とは裏腹に、金正恩は自分を標的にした米韓軍の斬首作戦を意識し、先制攻撃を極度に恐れている。「新年の辞」でも米国が核戦争を企んでいると繰り返し非難している。
ピャンチャン・オリンピック参加でそれを防ぎ、核ミサイル実戦化の時間を稼ぐ。と同時に、あわよくば韓国を抱き込んで軍事演習を中止させ、米国を対話のテーブルに引き出して核保有を認めさせるシナリオを描いている。その先にあるのは、核優位を全面に出した韓国の武力併合である。

他方の文在寅政権も負けてはいない。
いみじくも提講が見抜いているように、北朝鮮を内から軟化させ、自ら核を放棄するように誘導しようとしている。圧倒的な経済力に物言わせ、経済的な苦境にある北朝鮮に揺さぶりをかける作戦である。

すなわち、南北ともに相手の本音を百も承知の上で熾烈な外交戦に臨んでいるのである。
焦点は言うまでもなく北朝鮮核問題である。その平和的解決の道筋を拓く事が出来れば、ピョンチャン・オリンピックは真の平和の祭典であったと歴史に記録されよう。

統一旗や合同チーム結成、滞在費負担など北朝鮮の要求を概ね受け入れ、外野からは懐柔されたとか、「ピョンヤン・オリンピック」と揶揄される文大統領だが、22日の大統領府会議で「南北対話が米国と北朝鮮との対話に繋がるようにしなければならない」と基本スタンスを再確認している。北朝鮮非核化へのプロセスに関与し、存在感を高めたい。韓国外務省は南北対話を米朝間の予備的対話もしくは南北+米国の三者会談に発展させる案を練っている。
金剛山地域や馬息嶺スキー場などでの南北交流に対して北朝鮮ペースと批判する声がある。だが、南風を吹き込んで北朝鮮を内から変える金大中―盧武鉉政権の太陽政策を継承したもので、狙い自体は決して悪くない。

文政権の課題はひとえに、南北トップ級会談に繋げ、金正恩政権に核開発が自滅的結果を招くことを理解させ、核廃棄さえすれば体制保証も経済支援も得られると説得出来る交渉力の有無に掛かっている。
その鍵となるのが、制裁・圧力と対話の匙加減である。金正恩には核を放棄する気はない。重要なのは、核放棄しか生きる道はないと理解させる事である。金正恩がオリンピック参加を表明したのは、一部で指摘される自信などではなく、米軍の軍事オプションへの恐怖感である。その点を踏まえて包容できるか、高度な交渉力が問われる。

すでに虚々実々の駆け引きが始まっている。
冒頭の提講は「南朝鮮の進歩系は我々の路線に同調しているので勢いづくだろう」と韓国内部の対立、いわゆる南南葛藤を引き起こして文政権を囲い込む思惑を披靂しているが、全くの誤算であった。統一旗や南北合同チーム結成に青年層が強く反発し、韓国民の大多数が批判的であるとの韓国世論調査に北朝鮮側は出鼻を挫かれた。
22日にはソウル駅前の抗議集会で金正恩の写真が燃やされ、核開発を進める金正恩政権への反発が保守・進歩問わず予想以上に強いことに、金正恩は衝撃を受けたことであろう。
翌日、祖国平和統一委員会報道官が談話で「特大型の犯罪行為」と非難し、オリンピック参加撤回を示唆した。だが、同日夕方には三池淵管弦楽団の韓国公演の日程と、女子アイスホッケー選手を25日に訪韓させると伝えた。矛盾した対応は、不参加の選択肢はなく、条件闘争に絞らざるを得なくなっていることを如実に物語る。

同日の朝鮮中央通信が北朝鮮軍の創建記念日が2月8日に決定されたと発表したのも、金正恩の動揺と無関係ではない。
この点が見えないようでは北朝鮮への理解はまだまだと言うしかないが、それがピョンチャン・オリンピック開幕日の前日であることを百も承知で変更したのは、意表を突く金正恩式のデモである。記念行事との触れ込みで自称完成した火星5号などの新型ミサイルを誇示するつもりであろうが、米韓に譲歩を迫るいつもの恫喝作戦である。

他方、文政権の迎合的に映る対北姿勢に国内で批判が高まり、支持率が60%台に急落している。
しかし、文政権としては多少の譲歩をしても、トップ級の南北会談に繋げ、核問題の政治的決着の道筋をつけたいところだ。
文在寅は大統領職に就いてからTHAAD容認など基本的に朴槿恵前政権の外交政策を踏襲する現実路線に切り替えている。北朝鮮のオリンピック参加問題でも事前のトランプ大統領との電話協議で「強力な制裁圧力が北を軟化させた」との認識で一致している。脳裏には今回の南北対話が実を結ばないと、米国の軍事行使は防げない、やむを得ないとの認識があろう。

実際、一見して和やかなオリンピックモードに切り替わったソウルの雰囲気とは別に、軍事的な緊張は徐々に高まっている。米国による北朝鮮への先制攻撃が事実上、カウントダウンされているのである。
暴露本などで揺れるトランプ大統領だが、直近のツイッターで元海兵隊大将のケリー首席補佐官への信頼感を表明し、軍出身ブレーンへの依存度を強めている。19日には力優先の国家安全保障戦略を発表し、核使用条件緩和の核戦略見直し(NPR)に着手している。
その先頭に立つマテイス国防長官は15日のカナダでの多国間外相会合夕食会で「米国には作戦計画があり、準備も出来ている」と演説した。金正恩には恐怖のシナリオであるが、その作戦計画は北朝鮮を想定し、グアムに新たに配備した核搭載戦略爆撃機のB2A、B52Hと関連している。米太平洋軍HPには「B52Hは核兵器も世界的規模で展開できる」とわざわざ明示されている。

繰り返すが、文政権が金正恩政権内部の矛盾や葛藤を引き出す高度な交渉力で核廃棄合意に誘導できれば、次の段階は南北+米、もしくは米朝交渉へと進むだろう。
しかし、それに失敗した場合、米軍の北朝鮮軍事行使は時間の問題となろう。

事実、ポンペオ米中央情報局長官は24日、ワシントンでの講演で「北朝鮮が米本土を核攻撃する能力を保持するのは、数ヶ月先に迫っている」と述べた。マテイス国防長官の作戦行動との脈絡で解釈すると、北朝鮮が核攻撃能力を保持する前に軍事力を使ってでも除去するとなる。
北朝鮮の核開発の狙いを「抑止力のため」と額面通りに受け取る人は能天気すぎると強調しておく。ポンペオは「北朝鮮は北主導の南北統一に核を利用しようとしている」と核開発の狙いを的確に指摘している。提講などの北朝鮮内部資料を幹部クラスの多くの脱北者を情報源に得た韓国側の協力で逐次入手し、金正恩政権の一挙一投足を綿密にうかがっている事が分かる。
無償の平和はない。金正恩の核を容認することは将来により多くの禍根を残すことになることを知らねばならない。

蛇足だが、安倍首相はようやくピョンチャンに行く事を決めたが、行くかどうかと迷っている事が既に隣国での外交戦争の傍観者であることの証明である。どちらが被害者か転倒したような慰安婦問題の余波であるが、外交は感情論で動いてはならない。

@ 本稿は20日の新宿での講演で配ったレジュメに手を加えたものである。講演では、南北対話は北朝鮮の実力者に伸し上がった崔竜海労働党組織指導部長が出るかどうかが鍵になると強調した。

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