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日本の新聞、テレビは慰安婦問題の後遺症で文在寅大統領を色目で見ているのか、僻んでいるのか、ピョンチャン・オリンピックを機に盛り上がる一連の誘惑ムードを「北朝鮮主導」としきりに喧伝している。
そのため事態の本質が見えず、金正恩委員長が妹を特使に派遣し、文大統領の訪朝を要請したことに驚き、ペンス副大統領と北朝鮮代表団の秘密会談が予定されていた事が明らかにされると驚愕狼狽している。 しかし、私が繰り返し指摘したように、南北+米の接触はオリンピックの幕裏で昨年暮頃から練られていたシナリオに沿ったものであり、脚本、演出は文政権である。冷静に考えれば当たり前のことで、文政権の同意がなければ、外来者の金正恩政権もトランプ政権もソウルやピョンチャンで政治的な動きをすることは一切許されない。 ペンス副大統領がワシントン・ポスト紙とのインタビューで明かし、ホワイトハウスも追認したように、ペンスはオリンピック開会式翌日の10日に大統領府で北朝鮮代表団と極秘会談する予定であった。しかし、2時間前に北朝鮮がキャンセルした。 同日、金与正らは文大統領と会談したが、どこかギクシャクしていたのは予定されていたペンス副大統領との会談を突然キャンセルし、後ろめたいものがあったからであろう。 文大統領はそれでも妊娠7ヶ月の身重で兄の親書を携えてソウルまで来た与正を慰労し、笑顔を崩すことはなかった。遠来の賓客への礼儀であり、同時に、次回を期す深謀遠慮でもあったろう。金正恩政権に虎の子の核を手放させるのは一筋縄ではいかないと、腹を括っているのである。 米国との極秘会談を求めたのは北朝鮮側であった。制裁&軍事圧力に耐えかねてのことであるが、あわよくば無条件対話に持ち込み、事実上の核軍縮対話としたい狙いがあった。 しかし、ペンスはそれを読み取り、核廃棄がなければ制裁をさらに強化し、オリンピック後の米韓合同軍事演習も予定通りに進めるとソウルでも繰り返し、厳命し、事実上、対話にハードルを設けて牽制した。その上で北朝鮮とニアミスを繰り返しながら、いつ応じてくるかと、素知らぬふりで目を凝らしていた。 金正恩もピョンヤンで逡巡していたであろうが、国民の前で勢いよく挙げた拳を下ろすのは簡単ではない。強硬派から突き上げられたり、国民の不満が爆発するリスクもある。 とりあえずペンスとの会談は見送り、状況を再度確かめるしかなかった。 ピョンヤンに戻ってきた金永南最高人民会議委員長や妹らから韓国の状況について報告を受け、ある種の決断に至った。労働新聞が報じた南北対話に関する「綱領的方針」である。 それからしばらくして、トランプ大統領の娘のイヴァンカ大統領補佐官がオリンピック閉会式に参加するため三泊四日の予定で訪韓すると発表された。 そして今日、韓国統一部は金英哲労働党委員長・統一戦線部長を団長とする北朝鮮代表団が閉会式に参加すると発表した。 北朝鮮の意図について例のごとく、日本のメデイアはああでもないこうでもないと群盲象をなでる報道をしているが、北の狙いはズバリ、前回流れた米朝極秘会談、イヴァンカとの会談である。最強硬派の金英哲を送り込んできたところに金正恩の本気度が読める。 無論、全ては文政権が仕切っている。「南北対話を米北対話につなげる」との文大統領の戦略によるものである。 現時点まではその戦略は功を奏していると評価できる。 今後の展望であるが、一直線には行かないだろう。しかし、朝鮮半島周辺に集結する米軍の巨大な軍事力を日に日に感じている金正恩も、象に歯向かう蟻の愚は避けるであろう。 体制保証や経済支援など核放棄の条件次第と言っておく。 なお、残念ながら安倍首相は文大統領との個人的な信頼関係の欠如から、一連の経過を全く知らされず、事実上、蚊帳の外である。裏方の労を取る韓国に配慮する米国からも詳しいことは知らされていまい。 |
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2018年02月22日
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