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二転三転した米朝首脳会談がいよいよ明日午前9時(日本時間10時)からシンガポールで開催されるが、激しい前哨戦は既に始まっている。
トランプ大統領はG7など眼中にないかのように共同宣言発表前にカナダを発ち、昨晩8時すぎに現地のパヤレバ空軍基地に着いた。機中から「エキサイテイングな一日になる。金正恩は今までやったことがないような何かをするだろう。この一回限りの会談が無駄にならないと感じている」とツイッターし、北朝鮮核問題を最優先している姿勢を露にした。 他方の金正恩委員長も同日午後2時半、習近平主席が利用する中国国際航空のボーイング747をチャーターし、中国領空を飛行してチャンギ空港に到着した。中国が全面的にバックアップしている証左であり、米朝首脳会談の帰趨の要因がG2として事実上世界新秩序を仕切っている米中関係にあることを改めて見せ付けた。 金正恩の本音は、中国の関与をなるべく強め、トランプからの体制保証の約束を担保する後見人的な役割を果たしてもらいたいということであろう。 完全で検証可能かつ不可逆的な北朝鮮非核化(CVID)を求める米側と、体制保証や経済支援を得ながらの段階的な非核化を主張する北朝鮮側との溝はまだ埋まっていない。 実際、この時点でもソン・キム前駐韓大使と崔善姫北朝鮮外務次官との実務協議が続けられているとみられる。 しかし、今日一日現地で逐次状況報告を受けたトランプ大統領は明確に時間を切った。 先ほど米側が発表したところによると、米朝会談は明日予定通りに9時から通訳だけを交えた単独会談が行われ、ついで拡大会談、昼食会と続く。その後、トランプ大統領は記者会見し、午後8時に米国へと飛び立つ。それまでに北朝鮮側から非核化の具体的な回答を求める作戦と読める。 トランプは今日午後、文在寅大統領、ついで安倍晋三首相に国際電話をかけて協議したが、北朝鮮側が煮え切らない態度を取り続けると会談決裂もありうるとの決意を韓日首脳に伝え、予防線を張ったのであろう。 トランプ大統領は一回の会談で北朝鮮非核化の具体的な成果を得ようとしているが、可能であろうか? 答えはイエスである。 北朝鮮非核化には15年掛かるとか、北朝鮮ペースで進んでいるとか、といった悲観論も飛び交っているが、北朝鮮非核化問題の本質が見えていない。 すなわち、北朝鮮非核化とは核一般ではなく、実戦段階直前の北朝鮮の核戦力を除去することである。具体的には12個以上あると推定される核弾頭と主要な中長距離ミサイルを引き渡せば足りる。 金正恩は昨年11月に「核戦力完成」を宣言したが、実際はミサイルに搭載する核小型化やミサイルの大気圏再突入技術は未完成と見られている。 対話に転換したのも、核の実戦化前に米韓の攻撃を受けることを恐れたからに他ならない。一部に核に自信を持ったから対話路線に転換したと述べるものがいるが、北朝鮮の宣伝に乗せられているに等しい。 従って、実戦化直前の核能力を除去すれば事実上、北朝鮮核問題は軍事的脅威ではなくなる。 その他のプルトニウムや濃縮ウランの回収、実験施設の撤収などの付帯措置は時間を掛けて進めれば済む事である。 北朝鮮側もそれは十分承知しているため、段階的非核化を口実に完成間近の核戦力を何とか隠そうとしているとみられるが、タイムリミットは刻々近付いている。 北朝鮮国内メデイアは今日米朝首脳会談を大々的に伝え、核よりも生活向上を求める国民の声は高まっている。 金正恩としては後戻り出来ないところまで追い詰められている。自身の保身ではなく、北朝鮮国民のために決断できるか、その時がいよいよ来る。 |
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2018年06月11日
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