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(上)で指摘したように、やはり史上初の米朝首脳会談は米中の力学に大きく影響され、陰の主役は習近平主席であった。
トランプ大統領が金正恩委員長に米韓合同軍事演習の中止を示唆したと米メデイアが報じ、韓日に大きな衝撃を引き起こしているが、仕掛人が習近平であることが明らかになったのである。 十分に予測されたことであるが、朝日新聞(17日付)が北京外交筋の話として、「米韓演習中止 習氏が提案」と報じた。大連で5月7、8日に電撃的な第二回朝中首脳会談が開かれ、習が金正恩に「行動対行動の原則に基づくなら、先に動くことに利がある」とし、米韓軍事演習の中止を求めるよう勧めたという。金正恩はそれに乗ったわけであるが、ここに北朝鮮、ひいては朝鮮半島を取り巻く国際政治の厳しい現実がある。 金正恩としては力強い後ろ楯を得たことになる。 首脳会談のキャンセルと軍事行使を示唆したトランプの書簡に怯え、恭順の意を表したが、押されっぱなしでは体制保証は覚束ない。そこで中国に再び駆け込んだのであるが、習のバックアップでいくぶん強きが戻ったのが真相であろう。 習としては貿易戦争に突入しつつあるトランプを揺さぶる北朝鮮カードを得たことになる。 長く懸案となっている韓国配備のTHAADの脅威を除去するためにも、米軍の地域のプレゼンスを極力削がねばならないところだ。 米朝首脳会談に対する日本の世論調査は、歓迎するが北朝鮮の非核化は期待できない、が多数派を占める矛盾した反応を見せている。 とりあえず戦争だけは回避し、対話による解決の道が開けたと判断しているのであろう。 共同声明には「トランプ氏は北朝鮮に安全の保証を与えることを約束し、金正恩氏は朝鮮半島の完全な非核化に向けた確固とした揺るぎない責務を再確認した」とあるだけで、具体的な方策と時期はそっくり抜けている。 私は派手なショーの生中継を全て観させてもらったが、敵対してきた両者が会って相互理解をある程度深めた以上の意義を見つけることが出来なかった。認識不足や誤解した部分があるやもしれず、米朝関係は依然として不安定である。 共同声明に「相互の信頼醸成」を強調し、「首脳会談の結果を実行するため、ポンペオ国務長官と北朝鮮高官による今後の追加交渉を出来る限り早く開く」とあるように、今後の追加交渉次第で戦争局面にコロリと変わる可能性がある。 今後の展開を占う指標は制裁の継続如何である。 北朝鮮の核戦力は当面、事実上塩漬けとなるが、その間にも制裁が続けば疲弊した北朝鮮経済は遠からず崩壊し、内部は大混乱となろう。 米国が制裁を続け、中国も国連安保理決議に従って制裁を続けるか、あるいは朝中国境に抜け穴を作るか、が注目点だ。 米中の力比べが今後熾烈化していくが、貿易戦争との絡みで予断を許さない。 米朝共同声明が板門店宣言を再確認し、一つのモデルとしているように、韓国の文在寅政権の役割が否応なしに高まろう。ソン・キムら韓国系米国人を多数登用している事実は、トランプ大統領が文在寅大統領の豊富な対北情報に頼らざるを得ない実情を物語る。 韓国の国益を踏まえた主体的、現実的な外交が試される。明日にでも統一が出来るかのように受かれているようでは足をすくわれよう。 安倍首相はトランプ大統領にも邪険にされ、いよいよ自力で日朝対話に道を切り開かねばならないが、拉致問題がネックとなる。 従来のような「全員生存、返還」を対話の前提としているようでは一歩も前に進まない。 金正恩政権は拉致問題は解決済と繰り返し、生存者はいないとの立場である。相手任せにせず、生存者情報を握っているなら明らかにするしかない。それが出来ないようなら、思い込みを捨てて冷静に、まず対話、その過程で真相解明と段階を踏まえるしかない。 (今から一週間の予定で韓国に出発する。) |
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2018年06月18日
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