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北朝鮮の非核化は「新冷戦時代」に入った米中関係次第といち早く分析したのは私であるが(『二人のプリンスと中国共産党』参照)、1日(ブエノスアイレス現地時間)のトランプ・習近平会談はその正しさを改めて示した。
両者は2時間半にわたり追加関税、貿易不均衡、知的財産権の保護、台湾問題で突っ込んだ意見を交わしたが、どれも噛み合わず、90日間の猶予期間を置くとした。唯一合意に至ったのが北朝鮮情勢であり、発表文に「朝鮮半島の非核化で連携」と記された。習主席が再度の米朝首脳会談を支持とも併記された。 トランプ大統領は会談後の記者会見で「習氏は100%、私と一緒に北朝鮮問題に取り組むことで合意した。これは大きなことだ」と自画自賛した。 習政権は米国との全面対決は避けたいのが本音であり、少しでも米国からの圧力を弱めるには、北朝鮮問題で貸しを作る必要がある。米国と協調し、金正恩政権への圧力を再度強めるのは必至である。 ポンペオ国務長官は手応えを感じ、第2次米朝首脳会談について「年明けすぐにあると思う」とCNN記者に語っている。 北朝鮮は安全保障上も経済上も対中依存度をいつになく強めている。国家予算すら満足に組めなくなって久しい経済は、事実上の破綻状態である。これまで頑張ってきたからこれからも頑張れる、と無責任に言える状況ではない。 国民は対岸の中国朝鮮族の助けを得ながら辛うじて食いつないでいる。中国の圧力強化でその生命線が絶たれれば、飢餓が広がり、暴動、反乱も十分にあり得る。 金正恩委員長は焦点の非核化でトランプ大統領に譲歩せざるを得なくなった。 政権の生き残りをかけ、米国から相応の措置を得る条件闘争に外交戦の総力を挙げてこよう。 微妙な立場に置かれているのが、米朝の仲介役を自認する文在寅大統領である。 9月の金委員長との首脳会談で12月13、14日のソウル答礼訪問を約した。大統領府が3日明かしたところによると、トランプ大統領との会談でそれを伝えてソウル訪問に賛同を得て、「金氏と共に残る合意を全て履行することを願う。金氏が望む事を私が成し遂げる」とのメッセージを託されたという。 同時に文大統領は「韓米間に朝鮮半島の完全な非核化を進めていく上で立場の相違は全くない」と再確認し、南北協力が制裁の抜け道にならないと釘を刺された。 第2次米朝首脳会談の論点は明確である。全面非核化か限定非核化である。 米側は20ヶ所と推定される核施設のリストと非核化プログラムの提示を求め、北朝鮮側は寧辺など一部の核、ミサイル施設の廃棄に相応した制裁緩和を求めている。 今に至ってなおも金正恩が核に拘るのは何故か? 体制保証を確実にするためとの見方が日本では支配的だが、それほど単純ではない。 先月30日の新宿講演会でも強調したことであるが、その点に北朝鮮核問題の本質と難しさがある。 北朝鮮には南北統一の主導権を握りたいとの建国以来の悲願があり、韓国に経済力で大きく遅れを取った現在、核なくしては悲願を達成できないとの思いを強くしている。 金正恩が体制保証や経済的利益優先で核全面廃棄を約束する可能性がなくはないが、それで労働党・軍の中枢を握る金日成時代以来の保守強硬派を説得出来るかは別問題である。 文政権が米朝間の仲介役を果たそうとするのであれば、そこまで視野に入れた対策が求められる。 |
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