河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

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トランプ大統領が仕掛けた米中貿易戦争がいよいよ佳境に入り、近々予定される米中首脳会談で落とし所を求めることになろう。
リーマンショック後に米中経済の相互依存関係は引き返せないところまで深まっており、チキンレースで弄ぶには自ずと限界がある。

その象徴が代表的な米企業となったアップルである。主要商品であるスマホは核心的なパテント開発に特化し、本体は台湾企業のホンハイを通して部品を外注し、低廉な労働力の中国工場で組み立てる。ライバルのサムスン電子がパテント開発から組み立てまで主要部分は韓国内で行うのと対照的である。
パテント開発への特化は一時期までアップルの強みであったが、ここに来て弱点となった。低廉な組立工場に甘んじていた中国で、独自ブランドのスマホを売り出すベンチャー企業やスタートアップ企業が次々と現れ、アップルの牙城を脅かし始めたのである。次世代通信網の5Gで存在感を示すファーウエイを米国が排除し始めたのも、危機感の表れと言えよう。

不動産業界から政界に転じたトランプ大統領の目には、巨大な貿易赤字は下手なデイールの結果に映る。それで一番儲けているのはアップルのCEOら0・1%の米富裕層なのであるが、トランプ自身も富裕層の一員なので、不平等な仕組み是正には無関心である。
矛先は最大の貿易黒字国である中国に向かい、「米国を手玉にしてボロ儲けしている・・・」と怒り、高関税を課して赤字解消を企図した。チキンレースの始まりであるが、個別的一時的な“成果”はともかく、マクロ的、戦略的次元で言えば、完全な失敗である。
「米国ファースト」の保護主義を掲げたことは、自由貿易主義の旗幟を自ら中国に譲り渡したことを意味し、その影響は一般に思われている以上に大きい。後世の歴史家に、目先の利害に目が曇り、米中の世界経済覇権交代を促した愚策と評価されよう。

というのも、私は『二人のプリンスと中国共産党』の第6章「中国が米国を追い抜くワケ」でユーラシア大陸東西を結ぶ「一帯一路」が決め手になると予測した。習近平主席が2013年に旧シルクロードを現代に蘇えさせるとして、アジア投資開発銀行(AIIB)立ち上げと同時に提唱した戦略的な巨大経済圏構想である。
AIIB設立に英国、韓国など多数の主要国が参加するのに危機感を募らせたのが、当時のオバマ大統領であった。それを封じ込めようと、自由貿易主義擁護の旗を高く掲げ、日本と共にTPP設立で対抗しようとした。
私は「一帯一路」とTPPが激しくぶつかり、「米中新型大国関係」の帰趨を左右すると書いた。さらに、格差拡大という「先進国の罠」に嵌まった米国は内部分裂を深め、後手後手に回る可能性が高いと指摘した。サンダース旋風は一縷の希望とも書き添えた。トランプ政権誕生は同書刊行直後であるが、最悪のシナリオであった。
すなわち、近視眼的なデイールを得意とするトランプ大統領はTPPの戦略的価値を認めず、脱退を公式表明した。貿易赤字解消を狙う保護主義の殻に閉じ籠ってしまい、結果的に「一帯一路」に保護貿易主義に反対し、自由貿易主義擁護の大義名分を与えてしまったのである。

習近平主席は米国の関税攻勢に一見苦しんでいるが、陰では高笑いしていよう。欧州歴訪中の23日、ローマでイタリアのコンテ首相と「一帯一路」に積極参加する覚書を締結した。すでにギリシャ、ポルトガルなど中東欧のEU加盟国13ヶ国が覚書を交わしているが、14番目のイタリアはG7初となる。この一事だけでも、習の勝ちである。
EUの喉元に位置するジェノバ近郊のバードリーグレーでは現在、2016年にギリシャ最大のピレウス港の運営権を握った中国遠洋海運集団が世界最大級の大型コンテナ船が入港出来るターミナル建設に着手している。皮肉にも、トランプ政権の保護主義が世界経済を不安定化させ、EUを揺さぶっている。財政・経済難に喘ぐ加盟国が少なくないが、イタリアが中国の支援を受け入れた。15番目は、EU脱退で混乱するイギリス、もしくはスペインとみられる。

トランプ大統領もバカではない。愛用のツイッターではそろそろ潮時と考えているニュアンスをうかがわせている。20日には記者団に「対中貿易協議は順調」と述べている。その一方で「関税はかなりの期間にわたって維持することを話し合っている」と中国を牽制することも忘れない。習近平主席との来る会談を意識し、少しでも有利な条件を引き出そうとしているのである。

無理もない。トランプ大統領の突然の関税措置により米中は過去8ヶ月間、総額3600億ドルものモノに関税を掛け合ってきたが、ジワジワと経済へのダメージが目につくようになってきた。
とりわけ、トランプ側に疲弊の色が濃い。鉄鋼関税でUSスチールが息を吹き替えしているように見えるが、鉄鋼を使う製造業はコスト上昇に直撃され、外交問題評議会は1月、「関税は結局、米鉄鋼業界に打撃を与える」と警告している。
今年1〜3月期の米経済実質成長率は0%に急落するとの予想が専らで、連邦準備理事会(FRB)は20日に急遽、今年中の利上げを見送りを発表し、米国債の保有量を減らす量的引き締めを事実上、終了せざるを得なくなっている。FRBの米国債、住宅担保ローン担保証券保有量はリーマンショック前は9000億ドルであったが、現在は4兆ドルと危機的状況だ。トランプ大統領の圧力に屈して景気対策を優先させた量的引き締め断念であるが、米経済の不安定性が高まって債務リスクを増大させよう。一家総出でシンガポールに脱出したジム・ロジャースら第2のリーマンショック到来に身構える投資家が少なくないのである。

政治的リスクも高まっている。大豆の対中輸出等が激減した米中央部の農家は悲鳴を上げ始めたからだ。さらに、中国製鉄鋼値上がりに耐えきれなくなったGMが一部工場閉鎖に踏み切り、地域の白人労働者が再びレイオフの対象となっている。いずれもトランプのコアの支持層であり、来年の大統領選再選戦略に黄信号が点灯している。
ロシア疑惑等で追い詰められているトランプ大統領としては、何とかして習主席から相応の譲歩を引き出し、景気浮揚と同時に支持層を固めたいところだ。

カウンターパートナーの習主席も痛し痒しである。
ただ、中国経済の現状は日本で「減速」と喧伝されるほど深刻ではない。昨年の実質成長率は6・6%と目標を若干下回ったが、日本のマスコミが「28年ぶりの低成長」と声を合わせるのは為にする合唱である。15日に閉幕した全人代で2019年の経済成長率目標を昨年の「6・5%前後」から「6〜6・5%」に引き下げたが、微調整の枠内である。
それでも2%台の米国の3倍強である。既に日本の3倍に迫る中国のGDPは、今世紀半ばには米国を抜くだろう。

その鍵が、先端製造業である。習近平総書記は中国共産党第19回大会(2017年10月)での中央委員会活動報告で建国100周年(2049年)までに「富強、民主、文明、調和の美しい社会主義現代化強国を建設する」との戦略目標を明らかにしている。
その現実的な担保と位置付けられているのが、次世代情報技術(5G)、工作機械、省エネ自動車など10の分野で世界最先端を行く「中国製造2025」にほかならない。
そのモデルケースが世界的な次世代通信網5G構築で頭一つ抜きん出たファーウエイであり、米国の排除の論理の病根は深い。

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