河信基の深読み

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日韓公安政局比較考 小沢vs検察

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告発人の胡散臭さ

 小沢氏は昨日4時間半の検察による事情聴取を受けた後に記者会見し、「被告発人として調書にサインした」と語った。
 この被告発人というのは告発した「市民団体」の存在を示唆するが、この辺りが小沢問題を解き明かすキーワードの一つとなる。

 つまり、小沢問題の胡散臭さは、検察が結果的に、告発人とされる市民団体の思惑で動いている節があることである。
 看板は市民団体だが、自民党系の勢力との指摘があり、それが事実なら、形を変えた党派闘争ということになる。

 政権交代期には旧勢力による死に物狂いの抵抗があることは、韓国のケースを見ても容易に想像できることである。
 特に自民党は半世紀以上も政権の座にあり、政官財の癒着はJAL破綻にも明らかである。官僚組織の一部である検察も無論、例外ではない。

 韓国でも金大中ー盧武鉉政権は検察・警察・情報機関の抵抗に苦しんだ。
 日本は事実上初の政権交代であり、国民はもちろんマスメディアも経験不足から「治安機関は旧勢力の最後の砦」ということが実感としてわからないようだ。
 だが、その点を見逃すと、せっかくの政権交代が検察という官僚の手によって葬り去られるという悲劇を生むことになる。

 とりわけ小沢問題の発端である西松建設脱税事件に関して、警察庁長官を務めた漆間官房副長官(当時)が「自民党への波及はない」と番記者たちに語った経緯がある。
 韓国なら、いわくつきの市民団体の背後に、自民党と公安勢力が結託した動きがあると人々の関心が向けられるところである。

 民主党は脱官僚をスローガンに官僚の既得権整理に力を入れており、今後ともしばらく検察を含めた官僚組織との暗闘は続くと考えたほうがよい。
 今回の事態は、そうした視点を忘れずに眺めたほうが全体像が見えてくる。

小沢報道に関する検察情報漏洩問題で「リークはない」と元特捜幹部は某紙上で否定するが、では何故、検察官しか知り得ない密室での供述が「関係者によると…」と筒抜けに報じられるのか、肝心の疑問には全く答えていない。
これが問題の核心である。

報道機関に問題をすり替える議論が目に付くが、事の本質は言論の自由や報道の自由に在るのではなく、言論機関を利用した捜査情報操作にある。
それが政治の流れに影響を与える所謂公安政局は、民主主義を根底から危うくする。
「巨悪は眠らせない」などと力むのは、聞こえはいいが、実は独善的な検察官僚の危険な思い上がりでしかない。

無論、被疑者の弁護人から情報が漏れるケースはありうる。しかし、弁護士が容疑者に不利な情報を流すはずもない。
小沢関連報道は薄気味悪いほど小沢=悪一色であり、誰が考えても検察サイドのリークしかありえまい。
つまり、検察は一捜査機関の域を超え、すでに被疑者を断罪する人民裁判所と化しているのである。

その一翼を担わされた言論機関とは何ぞや?誰しも抱く疑問である。
小沢氏に不透明な部分があるのは事実だが、検察が力んで政治的に断罪すべき筋合いではあるまい。
マスコミを使って世論を煽り、逮捕に持ち込んで失脚させるといった、自民党政権時代の政官言の馴れ合い手法にそろそろ終止符を打たねばならない。

検察・警察官には事件情報を漏らしてはならない特別の守秘義務があり、違反すれば当然罰せられる。
そこにあえて食い込み、公共性の高い情報を国民に提供するのがジャーナリズムの役割だが、公権力に利用されてしまっては何をかいわんやとなる。
自民党長期政権時代の遺物である日本独特の記者グラブ制が報道を歪めているとの指摘があるが、利権まがいの不合理なシステムは廃止すべきであろう。

 小沢民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る小沢vs検察の大喧嘩の真相は全く不明だが、一つだけはっきりしているのは、「検察首脳」「検察周辺」「関係者」から情報がマスコミにリークされ、検察出身の弁護士がテレビで「小沢氏に狙いがある」などとコメントし、小沢幹事長に不利な情報が洪水のように流されていることであr。
 誰が見てもアンフェアーであり、検察サイドによる世論操作狙いの諜報活動と解釈されても仕方あるまい。

 報道によると、東京地検特捜部は聴取要請に対し小沢氏が12日まで返答しないとして13日に小沢事務所など関係先の家宅捜索に踏み切り、15日に陸山会の当時の事務担当者で小沢氏の私設秘書だった石川衆院議員ら3人を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕した。
 石川議員は04年10月上旬、小沢氏から現金4億円を受領し、世田谷区の土地を約3億5200万円で購入したが、同年の収支報告書に記載しなかった。特捜部は虚偽記載への認識について小沢氏に問いただしたいとする。
 だが、それはあくまでも別件で、胆沢ダム工事受注の見返りで受け取った謝礼が土地購入代金の原資になっているとの疑惑を裏付けるのが真の狙いとされる。つまり、昨年春に小沢氏が党代表辞任を迫られた西松建設事件の第二ラウンドである。

 確かに、小沢幹事長名義の土地取引の資金の流れには不透明な部分が多く、自民党的な体質を感じるのは私だけではあるまい。小沢幹事長には説明責任があり、法的な問題があるなら明確にすべきは言うまでもない
 だが、折角の政権交代を台無しにする、角を矯めて牛を殺すような愚は避けるべきであろう。

 今日の新聞各紙が報じる世論調査でも、鳩山政権の支持率は落ちたが不支持率よりはまだ高いし、自民党の支持率は一向に上がらない。事態を冷静に見ている有権者が多いということであろう。検察の動きに胡散臭いものを感じている有権者が増えているのではないか。
 その分析が正しいとしたら、通常国会で鳩山政権が予算案などを迅速適切に処理できれば、支持率回復は早かろう。
 小沢氏のイメージはだいぶ傷ついたが、景気回復の実績を出せば「豪腕イメージ」復活もあろう。

 日本の検察の狙いを見抜いているのは存外、韓国メディアかもしれない。現職衆院議員の逮捕が18日の国会開会直前であったため、「検察が宣戦布告」「エリート官僚が反撃」などと驚きをもって伝える。
 韓国では検察が政治を主導するのを公安政局と呼び、反対派潰しのために利用されてきたが、前職大統領の自殺を引き起こし、昨今は見直しの機運が高まっている。
 それだけに日本の検察の動きに対しては、「守旧勢力による民主党潰しではないか」とその狙いや背景に関心が向けられている。

 日本では選挙を通しての政権交代は初めてであったため、元に戻そうとする逆流が起きているようだ。特権を貪ってきた官僚が必死の抵抗を試みている。
 しかし、自民党長期政権下で根を張ってしまった日本独特の悪習や慣例は、そろそろ根本的に見なす時期に来ている。
 政権交代期を前後して小沢vs検察の喧嘩が勃発したのを奇貨とすべきであろう。

 そもそも検察による一方的な情報リークは、憲法や刑訴法が定める被疑者の人権保障や「推定無罪の原則」に反するおそれがあり、検察官に課せられた特別な守秘義務にも抵触する。
 検察は法と証拠に基づく活動に徹するべきであり、世論におもねるべきでない。自らを律することが出来なければ、新たな立法措置が必要となろう。
 事情聴取のビデオ公開など捜査の透明性向上が不可避と思われる。検察とマスコミの緊張感ある距離を損なう司法記者クラブなどの見直しも検討すべきであろう。
 さらに、金と政治の不透明な関係を根元から断ち切るために、企業・団体による政治献金の禁止や個人献金の透明化なども避けることが出来ない。

 小沢民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」が04年に購入した土地の資金の出所について同会事務担当者だった石川衆院議員が東京地検特捜部の事情聴取に「小沢先生から現金4億円の入った紙袋を手渡された」と供述、特捜部が参考人として任意聴取を要請し、小沢幹事長が応じたと報じられている。
 西松献金事件から始まった小沢氏と検察のバトルは佳境に入ってきたが、検察の過剰な政治介入は民主主義にとって良いことではない。

 昨年春に降って湧いたような西松建設の脱税事件の本質は、警察庁長官を務めた漆間官房副長官(当時)が「自民党への波及はない」と番記者たちに語った言葉に凝縮されている。マスコミが「小沢降ろし」で大合唱し、民主党の支持率急降下で、政権交代に黄信号が点滅したが、麻生政権の評判があまりに悪く、政権交代を阻むことは出来なかった。
 「陸山会」問題も同じ構図であり、西松建設事件の第二ラウンドといってよかろう。

 いわゆる検察の中立は虚構であり、似たようなことは韓国でも起きている。東京地検特捜部が自民党議員なら誰でもありそうな政治資金問題で、執拗に小沢氏に標的を絞るのは、脱官僚を掲げる民主党を牽制している側面があろう。
 小沢氏は検察を含めた官僚人事の官邸への一元化立法作業を進めている。報復を恐れる検察が必死に抵抗するのは容易に想像できることである。
 しかし、政治色の強い公安畑が主流になっている現在の検察・警察人事は、刑事畑重視へと是正する時期に来ている。世田谷一家殺人事件など犯罪検挙率の低下は、ペーパーキャリア中心制度とあわせ、現場軽視から来る。

 マスコミが検察筋と思われる「関係者」の話を垂れ流し、事実上、検察の肩を持っているのは、二大政党制を損なう民主党巨大化と小沢支配への危機感が微妙に働いているようだ。
 第四の権力といわれるマスコミが権力批判をするのは当然の社会的な責務だが、偏向捜査の疑いがあった西松事件以降の検察へののめり込みすぎはいただけない。

 そもそも検察権力によって政治の流れを変えるといった考え方が危険であり、民主主義の根幹を危うくする。
 自民党長期政権時代の産物である馴れ合い的な司法クラブの在り方も含め、不偏不党の原点に立ち戻る必要があろう。

 皮肉なことに民主党の金と政治の問題がいくらマスコミをにぎわしても、自民党の支持率は一向に上向かない。有権者はそれが自民党政権時代の遺習・弊害であることを知っているからである。
 元の木阿弥ではなく、民主党が公約にしている企業献金禁止の立法化に期待する声の方が強い。

 とは言え、民主党の一人勝ちは議会制民主主義にとって健全とは言えない。
 自民党にもう期待できない以上、民主党への対抗軸を別に考える必要があるが、最近、共産党に期待する声が徐々に高まっている。クリーンな政党は、企業献金は勿論、政党助成金も受け取らない共産党しか見当たらないからだ。
 社民党への期待感もあるが、与党であることがネックとなっている。

 小沢vs検察は、共産党に漁夫の利を与えているように見える。

 自民党の次世代ホープと目されている舛添要一前厚生労働相が22日、東京都内での講演で、「今自民党に一番必要なのは、民主党の小沢一郎幹事長よりもっと独裁的な指導者だ。ガバナンスがないから、誰が執行部で誰がコントロールしているか分からない」と痛烈に自民党を批判した。
 「小沢幹事長よりももっと独裁的な指導者」となったら、そうそういるものではない。世界を見渡しても金正日労働党総書記ぐらいではないか。
 と言うことは、舛添氏は間接的に金総書記のガバナンス(統治)を賞賛したとも解釈できる。

 鳩山首相は東大同窓で懇意にしていた新井将敬と改革志向を共有しており、それなりに期待している。
 だが、「最終的には私が判断する」と口では言うが、育ちが良すぎて八方美人に流れ、自分で泥をかぶろうとせず、優柔不断の印象を国民に与えてしまっている。

 その点、小沢氏は豪腕の名に恥じず、敵味方を峻別し、要所を押さえて決めてくる。決断力がリーダシップには不可欠だが、金総書記とスタイルが似ている。
 民主党の幹事長は、朝鮮労働党で言えば総書記に該当する点も組織的な共通点がある。

 舛添氏がそこに目をつけるのは、それなりの現実主義的な判断なのであろう。
 来年夏の参院選を念頭に党執行部批判をした様だが、選挙はまさに民主主義社会での権力闘争の総括でもある。
 国民に見放され衰退一路の自民党に勝機があるとするなら、超大国米国に立ち向かう北朝鮮のように、強力なリーダーシップの下で全党一丸となって死に物狂いで闘うしかない。

 私はかねて、舛添氏のスタンスには必要悪としての独裁志向があるように考えていた。
 小沢、金正日両氏を意識するのはある種の論理必然性があるようだ。

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