河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

日韓公安政局比較考 小沢vs検察

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 年金をめちゃくちゃにした元凶の一人である元厚労省事務次官が宮内庁長官をしていることも不思議だが、その羽毛田宮内庁長官が「天皇を政治的に利用する懸念がある」と告発し、鳩山政権を揺さぶっている。
 宮内庁長官も内閣の一員であるから、内部告発をしたということになるが、普天間移転問題などで内外情勢が微妙な時期だけにその狙いが注目される。

 事の発端は岡田外相が11日の記者会見で、習近平・中国国家副主席が天皇陛下と会見することを明らかにした直後、羽毛田長官は急遽報道陣への経緯説明の場を設けたことにある。
 「一ヶ月ルールを尊重してほしい。現憲法下の天皇のお務めのあり方や役割といった基本的なことがらにかかわる」と述べ、天皇の政治的利用につながりかねないとの懸念を持っているのかとの質問に「大きく言えばそういうことでしょう。陛下の役割について非常に懸念することになる。今後二度とあってほしくない」と異例の「訴え」を展開した。

 この発言について不見識な一部マスコミ言論はああでもないこうでもないとかまびすしいが、その本質は、「天皇を政治的に利用した」、つまり、憲法違反だと鳩山政権を批判していることにある。

 内部告発は決して悪いことではない。ただ、指揮命令に服すべき内閣をここまで批判すれば、信念に殉じ、職を辞する覚悟があってしかるべきなのだが、それもない。
 言いたいことを言っておきながらポストにしがみつくところに、潔さとは対極の元厚生官僚の胡散臭さがある。
 
 羽毛田発言の是非はともかく、それ自体が政治的な発言である。
 憲法学上、小沢幹事長が「天皇陛下の国事行為は内閣の助言と承認で行われるのが日本国憲法の理念だ」と述べたのは正論であり、「一ヶ月ルール」は宮内庁の官僚が決めた内規であり、内閣の上にあるものではないことは言うまでない。
 それに疑義を呈する少数意見もあるが、いずれにしても一官僚が「政治的に利用した」と外部に向かって発言したことは権限逸脱であり、個人的な政治信条を述べたものであるから、責任を取るのが筋である。

 官僚トップの羽毛田長官が、その程度のことが分からないはずがない。 
 承知の上での政治的な発言と見られても仕方がなかろう。
 見方を変えれば、羽毛田長官が天皇を利用して鳩山政権に揺さぶりをかけた、とも取れる。

 保守的な宮内庁官僚はこれまでも開かれた皇室を目指す天皇家を牽制してきたと伝えられる。
 女系天皇問題に消極的で、皇太子一家に冷たいとの指摘もある。天皇の訪韓に反対してきたことも知られている。

 厚労省からの天下り組で宮内庁官僚トップの羽毛田長官が、官僚の天下りやムダ根絶を掲げる鳩山政権を良く思っていないことは十分に想像できることであるが、普天間基地移転問題や日中友好ムードに警戒心を強め、鳩山政権に対して蜂の一刺しを試みた可能性もある。
 羽毛田発言を待っていたかのように、自民党が批判の声を上げ、自民党寄りの一部マスコミ言論が声を張り上げ、普天間基地問題などで不満を抱く親米派の外務省官僚までが唱和し始めたのは偶然ではなかろう。

 小沢幹事長が「天皇のお気持ちが重要だ」と述べたのは、傾聴に値する。
 宮内庁官僚は天皇が率直に発言することにその都度反対し、網を被せてきた。羽毛田長官の言うことが天皇の気持ちでないことだけは確かである。

 15日の有楽町での民主党代表選街頭演説をのぞいてみた。山のような聴衆の熱気から十分に予想されたことだが、「首相にどちらがふさわしいか」との世論調査で鳩山新代表が麻生首相を10ポイント以上リードし、勢いが戻ってきた。
 この国の有権者の成熟度と麻生政権への幻滅度が、複合的に作用した結果であろう。

 小沢前代表の秘書逮捕以降、民主党の支持率がジリ貧となり、反比例して麻生内閣支持率が30%前後まで回復したのは周知の通り。
 それに圧されて小沢代表が辞任し、鳩山、岡田両氏が代表の座を争うことになったが、マスコミは鳩山=親小沢、岡田=反小沢の構図で対立を煽り、世論は岡田支持とプレッシャーをかけ続け、鳩山新代表が選出されると「小沢院政」とこきおろした。

 だが、世論調査の結果は鳩山新代表を評価した。麻生首相は衝撃を受け、自民党内には動揺が広がっていることであろう。
 自民党は鳩山候補を「小沢の傀儡」と攻撃し、「岡田が新代表になると怖い」としきりに揺さぶっていたが、本音は、「小沢を民主党から切り離し、分裂を誘引すること」にあったと私は読んでいた。それこそ検察を使った公安政局の狙いだからだ。
 日本ではなじみの薄い考え方だが、前回書いたように、民主化闘争の歴史を経てきた韓国では、しばしば見られた現象である。

 若い民主党には、アマチュア的な青さが残っている。またまたポスト争いに熱くなって、自民党にいいように引っ掻き回されるのではないかとの危惧が消えず、夕方の街頭演説会に足を運んだのであるが、杞憂であることを確認した。
 鳩山、岡田両候補の演説に先立って双方の応援弁士が熱弁をふるったが、ともに「挙党一致なくして政権交代なし」を大義名分に掲げ、自制が利いていた。両候補も互いの健闘をたたえることを忘れず、聴衆の拍手を浴びていた。
 その渦の中で、民主党と聴衆の成長を実感することが出来た。

 その意味では、韓国よりも大人の面がある。先の大統領選で与党ウリ党は分裂し、有権者の失望を招いて大敗する一因を自ら作ってしまった。
 日本の民主党は、その轍を踏まず、大義の下で、敵の前で団結する党力を示すことで、同時に、自民党に勝るとも劣らぬ政権担当能力を誇示したと言えよう。

 仮に岡田候補が代表に選ばれていたら、一時的には、鳩山新代表よりも高い支持率を得たかもしれない。
 しかし、他方で、党分裂のリスクを負い続け、自民党から揺さぶられ、公安政局に葬り去られる結果に終わる可能性が高かったであろう。
 
 長い自民党政権の下で利権が蜘蛛の巣のように張り巡らされ、官僚主導や世襲などのしがらみを背負った日本独特の議会制民主主義の下では、ムード的な日本版オバマ現象は期待できない。
 地道なドブ板選挙を指南する小沢前代表のような選挙のプロがいなくては、到底勝利はおぼつかないのである。自民党や保守言論が小沢攻撃に的を絞るのは、それを知っているからにほかならない。
 その意味で、鳩山代表、小沢選挙担当代表代行、岡田幹事長はベストの布陣ではないか。

 他方の麻生首相だが、この人にはどう見ても、国家や社会へのビジョンや戦略がない。
 棚からぼた餅で転がり込んできた首相の座に一日でも長くしがみつく俗物、というのが私の見立てだが、総選挙を任期いっぱいまで引き伸ばしにしているのはその証左であろう。

 しかし、首相の座がこうした人物に一日でも長くしがみつかれるのは、日本にとって不幸なことである。「政局より不況対策」「日本が世界で最初に経済危機から脱する」と公言しながら、補正予算を遅らせて傷口を広げ、バラマキ予算で財政赤字を膨らませ、IMFに「09年の成長率は先進国最悪のマイナス6%台」とイエローカードを突きつけられる有様である。
 早期退場を望む国民の声は、公安政局でも黙らせることは出来ないということである。

 マスコミは小沢秘書逮捕に際して漆間官房副長官が「自民党には及ばない」と述べたことを忘れているが、小沢前代表は無論、民主党と国民の多くも、背景に官僚利権の最後の牙城である検察・警察の影があることを忘れていない。
 この辺でバランスを取っておかないと、政権交代後に応分の粛清を受けることになろう。先輩格の韓国ではしばしば見られる光景であるが、これは権力の本質に関する現象である。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領が収賄容疑で検察の事情聴取を受けたことは韓国の進歩陣営に衝撃を与えているが、それを聞いて、同様の容疑で小沢民主党代表の秘書が逮捕された事件を連想した人が少なくなかろう。
 両者は「公安政局」をキーワードにすると共通点が見えてくるが、政権交代を観点に据えると、後者の方がより深刻な問題点をはらんでいる。

 盧前大統領に対しては、大統領在任中に有力後援者の企業会長から約6億円相当の金銭が夫人などに渡ったことが確認されているが、前大統領は「在任中は知らなかった」と否認している。
 野党や前大統領支持者は「政治捜査」と反発し、4月29日の国会議員5人補欠選挙や地方自治体再選挙で与党が惨敗したこともあり、起訴されるかどうか微妙なところである。現時点では、在宅起訴説が有力である。

 権力型蓄財は、悪しき贈答文化として韓国政界の宿弊とされていた。李明博大統領が一昨年の当選直後に同様な容疑が持ち上がって検察の捜査を受け、新政権の閣僚の多くが不正蓄財で辞任に追い込まれたことは記憶に新しい。
 その打破を掲げ、身辺の清廉に努めていたはずの前大統領の不正容疑は、「盧武鉉、あなたもか!」と支持者層に衝撃を与えた。

 実は、古い政治文化の刷新に期待していた私自身も、裏切られたとの思いと、悪しき贈答文化の根深さを痛感している。
 しかし、政治家に聖人君子を求めるのはそもそも無理な話で、幻想に翻弄される危険性すらある。清濁併せ呑むのが政治家、だめなら取り替える、程度の距離感を常に持っている方が無難であろう。

 警察権力を自在に操る権力がスキャンダルで政敵を葬ろうとするのは政治史のありふれた光景であり、民主主義社会においても、常に同様の危険は存在する。
 重要なのは、有権者のバランスある判断である。
 
 その意味では、4月29日の再補欠選挙は韓国有権者の成熟度を物語ると言えなくもない。
 李政権になってから、政治は公約通りの十分な役割を果たしていない。経済状況は悪化し、南北関係も緊張している。選挙とは今ある現実への審判であるから、与党惨敗は当然の結果であった。
 有権者は、別件の脱税容疑が前職大統領への事情聴取に発展した背景に、失政から国民の目をそらす権力の意図を感じ取り、踊らされず、冷静な判断をしたと評価できる。

 他方の小沢代表秘書逮捕は、韓国以上に露骨である。
 西村建設の脱税容疑から降って沸いた事件であり、警察庁長官を務めた漆間官房副長官が「自民党への波及はない」と番記者たちに語った通りの展開になっている。
 そして、「小沢降ろし」の声がマスコミを中心に沸きあがり、民主党の支持率は急降下し、政権交代に黄信号が点滅する政治効果が起きている。
 
 ただ、直近の世論調査では、小沢代表秘書逮捕効果により一ケタ台から30%前後まで急上昇した麻生内閣支持率が、再び下落傾向を示している。
 目くらまし的な政治効果が薄らぎ、無能無策の世襲政権と酷評された麻生政権本来の評価に戻りつつあるのか、日本の民度が問われていると言えよう。

 

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