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中国漁船による韓国海洋警察庁隊員2人の殺傷事件について韓国メディアは意外と冷静だ。一部保守系メディアや団体は興奮しているが、今朝のKBSは事件に簡単に触れる程度で、自制が利いている。 |
尖閣中国漁船拿捕問題
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前原国交相(現外相)の拿捕指令なる勇断?で始まった尖閣問題は今も熱く燃えているが、その損得勘定が出てきた。
世界の自動車大手の業績が回復傾向にある中、日本勢は苦戦している。円高の影響が大きいが、尖閣問題の影響も軽視できない。 主戦場は世界最大の市場である中国だが、反日デモで焼かれ、非買運動の標的になった日本車の売れ行きが鈍り、韓国や欧州勢に押されている。 例えば9月の自動車販売台数は韓国の現代自動車が単月で過去最大の7万3千台となり、トヨタの7万8千台に迫った。傘下の起亜を含めた現代グループ全体ではトヨタを抜いたとみられる。 現代グループは今年1月〜9月の総生産台数、販売台数ですでに日産、ホンダを上回り、昨年の年間実績に迫る。ロシアで建設中の年間15万台の新工場が来年完成すればトヨタも視野に入ってくる。 半導体、携帯電話、液晶テレビなどでサムソンの後塵を拝し、自動車まで首位の座を明け渡したら、日本ブランドの下落は止まらなくなる。 尖閣問題で日本は韓国に漁夫の利をむざむざ与えてしまった。 石原慎太郎東京都知事は「中国船員は海中に落ちた海保職員を銛でついた」とフジテレビの「報道2001」(10月24日)で嘘を流して反中国感情を煽り、「やくざ国家には核武装で対抗」と公言しているが、その種のウルトラナショナリズムが通商国家たるこの国の土台をドンドン突き崩している。 窮すれば鈍す。 この国は主権を絶対視した四百年前のウエストファリア条約の亡霊に憑かれたナショナリズムに食い潰されようとしているように見える。
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前原外相が29日午前の中国外相との会談後に「日中首脳会談が開かれるだろう」と述べたのを聞いて、日中首脳会談は流れるだろうと思ったが、やはりその通りになった。
前原氏はその直前にクリントン米国務長官と会談して尖閣問題での支援を確認し、中国を牽制している。中国は虎の威を借りるような媚米反中的姿勢を嫌ったのである。
菅首相に同行した福山官房副長官は29日夜、ハノイ市で記者団に「午後6時半(日本時間同8時半)から日中首脳会談がセットされていたが、直前になって中国側から『会談はできない』との連絡があった。非常に驚いた」と述べたが、原因は明確である。
新華社通信によると、胡正躍外務次官補が同日夜、「日本側が首脳会談の雰囲気を壊した。ASEAN首脳会議の前夜に日本の外交責任者が他の国とぐるになり、釣魚島問題を蒸し返した」と述べている。
「日本の外交責任者」、つまり前原外相は27日にハワイで会談したクリントン米国務長官から「尖閣諸島は日米安保条約第5条の対象になる」との言質を得たが、中国外務省の馬朝旭報道局長が同日夜、「絶対に受け入れられない」との非難談話を発表している。その時点で日中首脳会談は90%なくなったと思われる。
どうしてこの程度のことが読めないのか。
一徹な前原氏は、物事を多面的に考える思考力と柔軟性に欠けているようだ。自民党政権時代の対米追随保守政治家そのままに、米国の力を過信し、中国を舐めているのではないか。
時代の変化が全く理解できていない。「衰退する日米同盟」に頼る時代は確実に終わりつつあるのである。
前原氏はクリントン長官との会談を日中首脳会談後にすべきであったのに、また出しゃばって修復のチャンスを壊してしまった。
そもそも尖閣問題も国交相時代に中国船の拿捕を指示したことに端を発し、クリントン長官に泣きついたことでこじらせたが、謙虚に反省し、教訓を汲むことができていない。
日本の政府もメディアも「漁船衝突事件」「公務執行妨害罪」などと曖昧な表現で国民を混乱させているが、衝突は拿捕行為の過程で起きた小競り合いであり、無用の誤解を生む本末転倒の議論である。
沖縄選出の下地・国民新党幹事長は29日夜、「前原氏はもう、外相を辞めた方がいいのではないか。日中関係に日米関係を持ち込むからおかしくなる」と記者団に語ったが、正鵠を射ている。
胡外務次官補は「日本側は首脳会議中もメディアを通じ、中国の主権や領土保全を侵す言論をまき散らした」と語り、日本外務省はAFP通信が誤報を流したとして訂正を求めたが、それだけではあるまい。
一例が、 24日のフジテレビ「報道2001」である。「ヤクザ国家には核武装」(週刊文春 10月7日号)と中国をヤクザ国家呼ばわりし、核武装で対抗することを主張して物議を醸している石原慎太郎東京都知事が生出演し、「ビデオには中国船員が海中に落ちた巡視船員を銛で突いた様子が映っている」と、反中感情を煽る発言をしている。関東大震災では「朝鮮人が井戸に毒を入れた」とのデマ宣伝が朝鮮人虐殺を引き起こしたが、東京都知事が同じ類のデマを流布させるのであるから危険この上ない。
「政府関係者から聞いた仄聞」といつもながらの責任転嫁の予防線を張っているが、こうした無責任な石原妄言が中国のネットに流れてさらに反日感情を刺激し、事態を破局的な状態に追い込んでいる現実から目を背けるべきではない。
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中国船拿捕事件は図らずも民主党幹部の対中観の違いを浮き上がらせた。
民主党が責任ある対中外交を進めることができるか、具体的に人物を見極める時期に来ているだけに、無視できない。
菅首相は4日夜(日本時間5日未明)、ベルギーでのアジア欧州会議(ASEM)のワーキングディナーの際、廊下ですれ違った温家宝・中国首相と傍らの椅子に坐って25分間会談し、戦略的互恵関係を進展させる立場を確認した上で、尖閣について相互が自国領であることを主張しながらもハイレベル対話や民間交流の再開で合意した。
双方が交渉の席に就いたことは評価されるが、大局に立って相互理解を深めることができるか、問題はこれからである。
それと関連して、仙谷官房長官が4日の記者会見で披瀝した以下の対中観は注目される。
「古くから中国から伝来した文化が基本となり日本の文化・文明を形成している。清朝末期から英米帝国主義に領土を割譲され、つらい思いをした」として、日本の戦争責任に触れ、「日本も後発帝国主義として戦略および侵略的行為によって迷惑をかけていることも、被害をもたらしていることも間違いない」
ごく常識的なことであるが、近年の悪しきナショナリズム高揚の中で、それを故意に否定する風潮が出ている中でのことだけに、意味がある。
出鱈目な「新しい歴史教科書」を制作、宣伝してきた産経新聞は早速、「中国を擁護」「中国の文化的優位性を強調」と噛み付いているが、そうした歪んだ歴史認識こそ日本を東アジアで孤立させ、転換期にあるこの国の将来を危うくすると知るべきである。
仙石氏が対中観を披瀝したのは、与党・民主党の枝野幹事長代理が「中国は悪しき隣人」と非難した発言を否定するためであった。
「衰退する日米同盟」でも指摘したように、枝野氏は2日の埼玉市内での講演で、「中国との戦略的互恵関係なんてありえない。悪しき隣人だ。そういう国と経済的パートナーシップを組む企業は、よほどのお人よしだ。中国に進出している企業、中国からの輸出に依存する企業はリスクを含めて自己責任でやってもらわないと困る」と述べていた。
弁護士ではあるが、政治家としては無知蒙昧と言うしかない。民主党を離党し、親米ナショナリストの安倍晋三、麻生太郎両氏らと行動を共にした方がいい。
枝野氏は反中意識を煽って存在感を誇示しようとしたのであろうが、過去の反省のない歴史観は中国だけでなく、韓国、北朝鮮の怒りをも引き起こすだろう。
韓国各メディアは今朝から「旧日本軍食人・集団虐殺事件」をセンセーショナルに報じている。1942年から初頭に南太平洋のマーシャル諸島南東端にあるミリ環礁に朝鮮人800〜1000人が強制徴用され飛行場などの軍事施設建設にあたったが、敗戦間際の1945年初頭に米軍の包囲で食糧不足に陥った日本軍が朝鮮人を殺して食糧にし、抵抗した朝鮮人100人余りを虐殺した事件が韓国政府の調査団により明らかになったという衝撃的なものである。
この種の虐殺事件は日本軍が侵略した中国、朝鮮、東南アジア各地で目撃者から告発されている。
過去のことであり、今の日本人に直接的な責任があるとは思わないが、枝野氏のように過去を否定するとその時点で精神的な同罪とみなされ、反発されるだろう。
過去の犯罪に対しては日本は、ドイツがそうしているように、相手が忘れるまでひたすら繰り返し謝罪するしかない。産経のように「いつまで謝らなければならないのか」と開き直り、「侵略ではなかった」と強弁すると周囲の国全てを敵にしかねないのである。
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中国当局が30日、フジタの社員3人を解放したのは、細野民主党前幹事長代理が政府の特使として前日中国を訪問したことへの返礼であり、日本との関係修復の政治対話を始めるとのシグナルであろう。
産経新聞が「日本国内で高まっている反中感情を緩和する狙いがある」と解釈するのは、間違っているばかりか、今後の日本の立場を危うくする恐れもある。
「米国の新分断外交に嵌められた前原外相(下)」で「フジタ社員4人との交換を中国側が意図した節がある。私もその交渉をするのだろうと思っていたが、何もなかった。それが日本外交の現状である。満足な外交交渉もできず、船長を一方的に拘束し一方的に釈放する日本式の「粛々とした対応」に、中国側は半ば呆れ・・・」と書いたように、中国側はもともと拿捕された漁船の船長釈放が実現すれば良かったのである。
細野氏が訪中したことで形が整ったということである。
こういうと、中国船拿捕への報復でフジタ社員4人を逮捕したのか、卑劣だと非難する向きもあろうが、それが現実である。日本側もいきなり拿捕したのだから、あまり大きいことは言えまい。
人のふり見て我がふり直せである。それぞれ言い分があろうが、自分だけが正しいと主張している限り、この種の事件は今後、増えることこそあれ、無くなることはなかろう。
前原外相は「漁船が衝突してきたビデオがある」と主張し、国会でもビデオ公開が問題になっているが、瑣末な議論である。
「自国領」と主張する日中双方の利害が衝突したのが今回の事件の本質である。
「中国脅威論」を日頃から口にしていた前原氏は、尖閣が自国領であることを明確にするために国交相として巡視船に拿捕を指示したようだが、検察を政治的に利用までして突然船長を釈放したことは、そうした強硬手段が通じないことを知らされたからであろう。
その時期や方法論はともかく、その判断自体は正しいし、教訓とすべきであろう。
石原慎太郎氏が自己顕示的に「売国的」と声を上げているが、結局は「核武装しかない」となる。
北朝鮮の真似をしている自覚は本人にはなかろう。それだけに始末が悪いのである。
貿易国家の日本の核武装は強烈な制裁を国際社会から招き、国民の三分の一は餓死するくらいの覚悟がないとできない。慎太郎氏にそれだけの根性があるとも思えない。
つまり、国益至上主義のナショナリズムでは日本は生きていけないと言うことである。
ブッシュが国際法無視のイラク攻撃の時に掲げたのが「アメリカの国益」であるが、その結果はどうであったか。
ブッシュが蔓延させた悪しき国益至上主義のナショナリズムを捨て、それを超える方向にこそ日本の生きる道があり、また、使命があると思うが、どうであろうか。
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