河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

尖閣中国漁船拿捕問題

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 突然の釈放は自己の非を認めたものと中国は受け取り、何らかの謝罪・賠償があるまで対日制裁圧力を強めてくる可能性が高い。
 日本が拉致問題を理由に対北朝鮮制裁圧力を強めてきたケースを想定すれば理解しやすい。
 
 解せないのは火付け人の前原外相が「同じことが起きたら、また同じ対応をする」と言ったきりすっかり裏に隠れ、「どうして拿捕を指示したのか」「釈放前にクリントン長官とどんな約束を交わしたのか」といった疑問に対する説明責任を果たしていないことである。
 口先だけで責任が伴わないようでは、今回の事態はさらに泥沼化するだろう。仙石官房長官が同じグループの前原氏を庇っているとしたら、本末転倒である。
 
 前原氏は国交相として拿捕を指示し、「衝突」「公務執行妨害」を理由に挙げたが、そもそもその日本独特の方式が中国には理解しがたかった。
 それを裏付けるように、7日の事件発生後、人民日報は2日後に三面下に小さく「中国は日本に厳正な交渉を提起した」と報じ、日本側の反応を探った。
 
 それを甘く判断した前原外相は「領土問題は存在しない。国内法に従って粛々と処理する」と、中国を無視する“強硬発言”を繰り返し、神経を逆撫でした。
 中国側はレアアース禁輸などで日本側の対応を促したが、反応が鈍いと判断し、21日の温家宝首相の「不法行為にはさらなる対抗措置」発言となる。人民日報はそれを一面トップに掲げた。
 その時点でようやく菅首相は事態の深刻性を悟り、仙石ー前原ラインでバタバタと動き出した。
 
 フジタ社員4人との交換を中国側が意図した節がある。私もその交渉をするのだろうと思っていたが、何もなかった。それが日本外交の現状である。
 満足な外交交渉もできず、船長を一方的に拘束し一方的に釈放する日本式の「粛々とした対応」に、中国側は半ば呆れ、「圧力が最も効果的」と判断したと読める。
 
 今後、資源、貿易で対中依存度が高い日本の弱点を突く制裁圧力を強めてくるだろう。上海の税関当局が希土類のほか一般製品の日本の輸出入検査を強化し、通関が遅れ始めている。観光客も激減し、皮肉にも前原氏が掲げた観光立国は頓挫するだろう。
 菅内閣の支持率は現在6割を超えているが、国民の最大の関心事である景気・雇用に日中対立がじりじりと影響を及ぼし、政権の基盤を揺るがす事態に発展する可能性がある。
 中国はそこまで読んで、制裁圧力を続けるかもしれない。
 
 一部テレビ局は「理不尽」「中国は国際常識が通じない」などと反発し、反中国感情を煽っている。木村太郎氏は「9条改正が必要だ」と声を挙げる。中国のネットでも同じように日本を「理不尽」と避難する声が氾濫している。
 日中がそのレベルで応酬し、偏狭なナショナリズムが外交に影響を及ぼすようになれば、日本は最悪の事態も覚悟しなければならない。
 
 中国が被る打撃も小さくないが、戦略的次元の問題と考えているとしたら、自ら譲ることはあるまい。
 「金正日東北三省電撃訪問と北東アジアの新機軸(中)」で中国は北朝鮮との同盟関係を強固にしたと指摘したが、中国東北部ーロシア極東部ー北朝鮮豆満江・羅津総合開発や対日領土問題で利害が一致するロシアとも提携を強めている。メドベージェフ大統領は26日、大連・旅順口(旧・旅順)に入り、旧日本軍に対して共同戦線を張った中ロ両国の歴史的絆を強調している。
 
 前原氏はクリントン長官との会談で「(尖閣は)日米安保条約の対象地域」との発言を得たことで安心しているようだが、現状認識が甘すぎるのではないか。
 米国はこれを機に日中の仲介者としての存在感を高め、日本に貸しを作りながら「抑止力としての海兵隊」を高く売りつけてくるだろう。
 ネオコン気分が抜けない“親米対アジア強硬派”の前原氏は、ホワイトハウスから勲章をもらってもよい。
 
 

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 「中国の圧力に白旗」(韓国KBS)が、昨日の唐突な中国船長の釈放に対する海外の一般的な評価である。
 日中の力関係が逆転したことを明示した歴史的な瞬間であるが、不名誉な演出・主役は紛れもなく前原氏であった。
 
 拿捕した中国船長に対して那覇地検次席検事が昨日午後二時半に突然、記者会見で処分保留による釈放を発表した。
 29日の勾留期限終了を待たず、日米外相会談直後に行われたことが事態の本質を物語る。
 
 それをうかがわせるのが、朝日新聞の今日の朝刊経済面に小さな一段見出しで掲載された「前原氏の発言に農水相が不快感」なる記事中の一文だ。「前原外相は23日のクリントン米国務長官との会談で『(輸入牛肉の)月齢制限の見直しをひとつの方向性として検討して、議論したい』と表明していた」とある。
 鹿野農水相は24日の閣議後会見で「政府内で議論していない。方向性は何も決まっていない」と述べ、前原外相が独断で米側と取引したことに憤慨している。日本は牛海綿状脳症(BSE)で「月齢20カ月以下」の牛肉に限って輸入を許可し、米側は制限緩和を求めていた。
 
 前回、中国の剣幕に仰天した前原氏がクリントン長官に泣きつき、「(尖閣諸島について)日米安保条約が適用される」との言辞を引き出すために見返りを提供したと指摘したが、案の定、牛肉の全面解禁で米国の歓心を買っていたわけである。
 李明博政権は天安艦沈没事件での米国の支援を受けるために米国産牛肉輸入の全面解禁を約束したが、その構図をそのまま再現している。 
 
 前原氏が国交相の時に海上保安庁に中国船長の逮捕を直接指示ことが明らかになっている。海保幹部は公務執行違反容疑以外にも「船長の違法操業についても厳正に対処」との訓令を受けていたようだ。
 外相に転任した前原氏は「領土問題は存在しない。国内法に従って粛々と処理する」と押し切って外交の成果とし、G8外相会談で華々しくデビューするバラ色の絵柄を描いていたようだ。
 だが、中国側が激高し、閣僚級以上の交流停止、東シナ海の海底ガス田共同開発の交渉延期、レアアース禁輸など一連の制裁措置に続き、温家宝が21日にニューヨークで「(即時無条件釈放がない場合は)日本の不法行為にさらなる行動をとる」と公言したことで万事休すとなった。
 
 那覇地検の発表については、仙石官房長官が大阪地検特捜部の不祥事で検事総長の責任問題まで取り沙汰されている最高検に手を回したことは言うまでもない。検察、しかも一地検が外交的、政治的判断をするなどできるはずもない。
 仙石氏だけが矢面に立っているが、菅首相、前原外相と連絡を取り、米側の反応を確かめてから動いたのは間違いない。
 
 偽メール事件のように自分を過信し、相手を見くびる前原氏の癖が露呈した形だが、今回は日本外交の今後の在り方を左右しかねない大失態であり、辞任で済む話ではない。
 中国外務省は、船長が釈放され中国政府のチャーター機で帰国した直後の25日未明、船長の逮捕、拘置を「不法」「無効」とする「強烈な抗議」を表明し、謝罪と賠償を要求する声明を発表した。
 これにより中国の一連の制裁措置の解除が遅れるばかりか、尖閣問題が日中間の「領土問題」として浮上し、対立が長期化する可能性もある。
 
 米側は、クローリー米国務次官補(広報担当)が24日の記者会見で、船長釈放を「適切な決定」と評価し、「成熟した国家同士が、外交を通じてどう問題を解決するかを示した」と評価した。さらに、米国は日中両国との会談を通じて「双方が早期解決を望んでいると感じていた」と語り、日本政府が米国に「法令手続きと国際法に従って解決することを保証していた」と明らかにした。
 船長釈放で米国が事実上の仲介役をしていたということである。
 
 オバマ大統領は近々訪中するが、そこで尖閣問題が話し合われよう。今回の事件は、日本が自国の領土問題を自力で解決できないことを露呈した。
 自民党政権時代からの対米依存外交の矛盾が噴出したと言える。
 前原氏は政権交代を機に方向を変えるべきであったのだが、自民党と同じノリで突っ走り、時代錯誤の壁にぶち当たってしまったのである。
 前原外相はクリントン国務長官に「助けれくれ!」とのシグナルを送り、借りを作ってしまった。
 前回の「対中・北朝鮮強硬派はもう時代遅れ」で「力の勝負になるが、前原氏には勝算があるのだろうか。自主独立の気概を示すことが出来れば別の展開もありうるが、結局は米国を頼ると思われる」と書いたが、やはり前原氏は「虎の威を借りる狐」でしかなかった。
 
 巡視船に中国船拿捕を命じ、「国内法に従って粛々と処理する」つもりであったが、中国の剣幕に恐れをなし、米国に泣きついたということである。
 偽メール事件で露呈した勝負勘の悪さは治っていないようだ。
 
 日米外相会談が23日午前(日本時間同日夜)、ニューヨークで持たれた。
 どちらが先に中国船拿捕問題を持ち出すか注目していたが、予想通りに前原外相が先に「東シナ海に領土問題はない。日本の国内法にのっとって粛々と対応する」と述べ、その上で、尖閣諸島を日米安保条約(第5条)の適用対象としている米側の従来の立場に謝意を示し、日中間で問題解決に取り組む決意を示した。
 これに対し、クリントン氏は尖閣諸島について「明らかに日米安保条約が適用される」と語った。
 この経緯は各紙報道が一致しており、前原外相が先に持ち出し、クリントン長官がそれを引き受ける形で日米安保条約に言及したことは間違いあるまい。
 
 クリントン長官は内心、しめしめとほくそ笑んだことであろう。
 さる7日の拿捕事件発生以来、米国がこうした見解を直接、日本側に明言したのは初めてのことだが、他でもない、日本側が泣きついてくるのをじっと待っていたのである。
 クリントン長官は日中両国の対話強化による早期解決を求めたが、基本的にはどちらの側にも立たないということである。中国に対して日本カードを、日本に対しては中国カードを持ち、仲介者を装った一挙両得の有利な立場に立とうとするだろう。
 
 この構図は、さる3月末の韓国哨戒艦「天安」沈没事件のそれと酷似している。
 李明博政権は沈没事件直後から米国を頼り、その力を借りて北朝鮮、中国に圧力をかけようとした。結局、ロシア調査団が北朝鮮犯行説を否定するなど真相は闇に葬られたが、李政権は助っ人の米国に借りができ、牛肉全面輸入解禁、FTA交渉での譲歩、対イラン制裁同調など散々に見返りを払うことになった。
 
 今回の尖閣問題は日米安保に頼って解決できる性格の問題ではない。中国政府の国内向けのポーズとの見方は皮相に過ぎる。
 その背景には領土問題に加え、歴史認識問題が微妙に絡んでおり、日本側の対応次第で中国の対日強硬策は一段とエスカレートしていくだろう。
 
 それに伴い、日本は中国のみならず、米国からの要求や圧力にも悩まされることになる。
 クリントン長官は前原外相に飴を与える一方で、普天間基地移設問題や在日米軍への見直し予算で注文を付けるなど、抜け目がない。
 
 日本の大手メディアはそうした構図が見抜けず、今回の拿捕事件も「衝突事件」「公務執行妨害罪」などと要領を得ない報じ方をしているが、そろそろ頼みとする米国の対アジア外交の変化に目を向ける必要がある。
 
 
 対中・北朝鮮強硬派などといくら格好をつけたところで、一皮向けば、親米追随派でしかない。要するに、虎の威を借りる狐なのである。
 米国が強大なときはそれでも「日米同盟の深化」とか何とか言葉を繕い、国民を安心させることができたが、それも時代遅れになりつつある。
 
 それを象徴する出来事が、日中間でホットな外交問題に発展している尖閣での中国漁船問題である。日本のメディアは「巡視船と漁船の衝突」「公務執行妨害罪で船長逮捕」と口裏を合わせるように報じるが、これでは何が起きたのかよくわからない。
 韓国メディアはずばり「海上保安庁の巡視船が中国漁船拿捕」と伝えている。この方が分かりやすいし、国際的には「拿捕」が一般的である。拿捕は領海侵犯した船を軍艦やそれに準じた艦船が強制収用することを意味する。
 
 日本政府は中国側を無用に刺激したくないとして「拿捕」用語を避けるように各メディアに申し入れたようだが、中国側の反発は凄まじく、そうした日本的な配慮が通じる段階ではとうになくなっている。
 全ては海上保安庁の一巡視船の行動から始まった。国交省の管轄であることから国交相であった前原氏の指示があったと見られ、中国側もそう理解している。
 
 菅首相はその渦中の前原氏をあえて外相に起用した。
 前回の「味のある菅内閣新布陣」では拉致問題担当相を柳田稔法相に兼ねさせ、人権派の岡崎トミ子氏を国家公安委員長に起用したことを「旧弊打破の意気込みが感じられる」と評価したが、中国を挑発するような新外相人事には疑問符がつく。
 
 前原氏は親米的な対アジア強硬派として知られる。今回も中国船を拿捕しといておいて、つまり喧嘩を売っておいて、「粛々と国内法に従って処理する。中国には冷静な対応を求めたい」と、一見毅然とした態度でファンを唸らせている。
 「尖閣諸島は日本固有の領土である」との立場からであろうが、中国、台湾も領有権を主張している。韓国メディアが「中日領土紛争」と報じるように、国際的に認められたものではない。
 
 このような場合は力の勝負になるが、前原氏には勝算があるのだろうか。自主独立の気概を示すことが出来れば別の展開もありうるが、結局は米国を頼ると思われる。
 「尖閣は日米安保の対象地域」と米国の加勢を期待しているようだが、米国はどっちつかずの立場を取っている。適当に弄ばれ、普天間など基地問題でいいようにされるだけである。
 偽メール事件の前例が示すように、前原氏は勝負勘がよくない。自分を過信し、相手を見下す致命的な欠点がある。
 
 米国で大儲けした松下幸之助の薫陶を受けた松下政経塾出身の前原氏には、米国に付いてさえいれば商売も、安保もうまくいくとの先入観が刷り込まれているようだ。
 しかし、日本経済が米国市場の恩恵を受けた時代は確実に過ぎつつある。今や中国市場なくては日本経済は生きていけない。
 他方の中国は日本を市場から締め出しても韓国、欧州企業が漁夫の利で代わりに入ってくるだけのことである。
 
 中国が強気なのはそうした状況の変化を読んでいるからである。
 中国船長を釈放しない限り、対日制裁圧力は日ごとに強まり、日本経済に影響を及ぼし、対中輸出で持ち直しつつある景気は一挙に落ち込み、貿易収支の赤字化と財政破綻へと最悪のコースを辿ることも覚悟しなければならない。
 
 その前にどこかで手を打たなければならないが、対中・北朝鮮強硬派の前原氏にそれを期待するのは無い物ねだりになる。
 日本の政治家で太い対中パイプを持っているのは小沢元幹事長だけである。菅首相は小沢氏の豪腕に託すしかないだろうが、そのタイミングを失すると動きが取れなくなる。
 
 対アジア強硬派の衣を着た親米派の哀れな末路の典型が、にっちもさっちも行かなくなり、下痢とかで病院に駆け込み、政権を放り出した安倍晋三元首相であった。
 菅首相が同じ轍を踏まないことを望みたい。 
 防衛省が高い金を費やして防衛白書を発表する理由は透明性を高めることにあろうが、軍事的野心や欲望を曝け出すだけなら、周辺国は恫喝と反発し、孤立するだけである。
 現に、10日の閣議で了承された10年版「防衛白書」に、中国、北朝鮮、ロシアに加え、韓国、台湾までもが不快感と警戒感を示している。
 
 自ら周囲から孤立し、遠い米国を頼んだ防衛論は真剣に考え直す時期に来ている。
 その意味で、民主党政権となって初めて刊行された防衛白書は注目されたのであるが、自民党政権以来の防衛観から一歩も出ないばかりか、時代錯誤の非現実的なものになってしまっている。
 
 最大の特徴は中国について「軍事力の動向は懸念事項」と指摘したことにあり、最新鋭潜水艦を含む中国艦隊が沖縄近海を通過したり、中国艦載機が自衛隊護衛艦に近接飛行をした事案を詳細に記述した。中国国防費についても「公表国防費の名目上の規模は過去5年間で2倍以上」としながら、主要装備品の調達費用などが示されていないことを挙げ、「透明性は依然として確保されていない」と批判した。
 尖閣諸島領有や東シナ海ガス田開発問題を念頭に置いていることは明らかであるが、防衛白書で軍事的な対抗措置を臭わせることが果たして適切と言えようか。
 
 7日に尖閣諸島沖の東シナ海で日本の海上保安庁の巡視船に中国漁船が「領海侵犯」として拿捕され、船長が逮捕・勾留されたが、中国外務省の姜瑜副報道局長は9日の会見で「中日関係の大局に深刻な打撃を与えることを日本側ははっきりと認識すべきだ」と警告し、11日未明、北京で9月中旬に開く予定だった日中両政府による東シナ海ガス田開発の条約締結交渉の第2回会合を延期することを決めたと発表した。
 姜瑜副報道局長は「釣魚島(尖閣諸島)一帯は中国固有の領土である。日本側の行動は国際法や国際常識に反しており、ばかげている」と強い調子で批判し、「日本側が今後も暴挙を続けるなら、必ず報いを受けるだろう」とさらなる対抗措置をとる可能性を示唆した。
 
 両政府は08年にガス田共同開発に合意し、今年5月の日中首脳会談で早期に条約締結交渉を始めることで一致し、7月に東京で初会合を開いたばかりだったが、一巡視船の行動で全てが水泡に帰した。
 防衛白書で同領域の軍事的な防衛の必要性を指摘すれば、中国側をさらに刺激することは間違いない。
 
 北朝鮮についても前年と同じく「重大な不安定要因」との表現を使ったが、内容ははるかに挑発的である。
 3月の韓国哨戒艦沈没事件を挙げ、「北朝鮮の魚雷」が原因とする韓国と各国の合同調査団の調査結果を紹介し、米韓合同軍事演習に自衛官がオブザーバーとして参加したことを公然と盛り込んだ。
 同事件についてはロシア調査団が北朝鮮犯行説を否定し、中国も同じ立場だが、それには触れず、北朝鮮への一方的な軍事制裁措置に関与する姿勢を示したのは、北朝鮮に公然と喧嘩を売ったようなもので、憲法違反の疑いすらある。
 
 白書はそうして挑発しておいて「日米韓の連携」を強調したが、これほど独り善がりなことはない。
 と言うのも、韓国が支配している竹島(独島)について「わが国固有の領土である北方領土や竹島の領土問題が依然として未解決のまま存在している」と書いて、韓国をも挑発しているからだ。防衛白書は当初、7月30日に公表する予定だったが、韓国併合条約発効100年にあたる8月29日を前に韓国の反日感情を刺激することを懸念した首相官邸が公表先送りを指示していたが、韓国側は「騙された」と怒っている。
 
 「日米韓の連携」などないものと理解しておいた方が無難だろう。
 尖閣沖での中国漁船拿捕問題に関する韓国の受け取り方は、圧倒的に中国支持である。KBSなどは繰り返しこの問題を取り上げ、「独島領海でも日本側が同じことをする可能性がある」として警戒を呼びかけている。
 防衛白書が同島の領有権を主張したことに、自衛隊の出動もありえると対抗措置を主張する声も低くない。
 
 台湾も尖閣への領有権を主張している。ロシアも似たような反応であり、すでに関連地域で軍事演習をしている。
 防衛白書は周辺国全ての反発と警戒感を引き起こしている現実を日本政府は直視する必要がある。
 
 周囲が敵ばかりなら、頼るのは米国だけということになるが、案の定、防衛白書は唯一の同盟国である米国に対して過大な期待を寄せている。 
 在日米軍の抑止力だけが頼りとばかり、普天間飛行場問題について「海兵隊ヘリコプター部隊を国外・県外に移設すれば、海兵隊の持つ機能を損なう懸念があり、代替地は沖縄県内とせざるを得ないとの結論に至った」との政府見解を明示し、在沖縄海兵隊の意義・役割を強調した。
 しかし、海兵隊の抑止力など日本の強迫観念と沖縄差別の所産であり、北朝鮮も中国も屁とも思っていないことは「在沖米海兵隊が『抑止力』という幻想」で指摘した通りである。
 
 白書は、沖縄を中心とした同心円を描いた地図を初めて掲載し、沖縄からの距離が北朝鮮・中国・台湾はいずれも1500キロ圏内におさまる一方、国外移設の候補地だったグアム、サイパンは2000キロを超える点を明示したが、これこそ対米追随とアジア敵視で脳内細胞が侵された防衛官僚の妄想の産物である。
 

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