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全米に、そして、全世界に、大きな衝撃が徐々に広がりつつある。
「民主社会主義者」を自認するバーニー・サンダース上院議員が9日、ニューハンプシャー州の民主党大統領候補予備選で60%の得票で38%のヒラリー・クリントン前国務長官に圧勝したのである。 出馬当初は泡沫候補扱いであったが、初戦のオハイオ州党員集会で本命視されていたクリントン候補に0・1%の僅差まで迫り、全米を驚かせた。 その直後のニューハンプシャーで見事に雪辱を果たし、勢いが本物であることを如実に示した。30歳未満の83%、無党派層の72%(CNN出口調査)もの支持を獲得し、民主党大統領候補に選ばれる可能性も浮上してきた。 全米の支持率ではまだクリントン候補に及ばないが、有力紙ワシントン・ポストは「鍵となる黒人とヒスパニック票の争奪戦が始まった」と、大逆転もあり得ると伝えている。 サンダースの台頭に危機感を募らせているのが、民主党指導部のestablishment(既得権益層)である。 DNC(民主党全国委員会)はサンダース候補が逆転したと一部で報じられたオハイオ州党員集会の最終集計を明らかにしなかったばかりか、08年の大統領選挙でオバマ候補が公約したワシントンのロビイストらの献金禁止を凍結した。 その一方、Priorities USA Actionが500万ドル寄付を急遽発表するなど、大企業がなりふり構わずクリントン候補への資金援助を強化している。 米国では大口献金者の政治献金を無制限に受け入れるスーパーPACなる独特の資金団体制度があり、資金力があるものが勝つ金権選挙の温床となっている。 トランプ候補ら共和党のお家芸である金権選挙に頼らざるをえないところまで、民主党のestablishmentが追い詰められていると言えよう。 しかし、そうした露骨なテコ入れは逆に反発を高め、サンダース候補に弾みをつけるとの指摘も説得力を帯びている。 サンダース候補はクリントン候補とウオール街との癒着をかねてから批判し、支持率を伸ばしてきただけに、今後の展開がますます注目される。 サンダース候補を押し上げているのは、1%の富裕層に富が集中し、政治まで牛耳られている米国の現実である。 それを打破する「政治革命」を訴え、富裕層への累進課税強化による格差是正、公立大の授業料無料化、最低賃金引き上げ、国民皆保険化を公約に掲げる。非現実的との批判も浴びるが、行き詰まっている現実への斬新な処方箋として広く人々の心をとらえている。 サンダース旋風の背景には、一昨年来、米国でベストセラーとなったピケテイーの『21世紀の資本』の影響もあろう。 同書でピケテイーは「格差拡大で資本主義は成長が止まって行き詰まり、革命が起きる」と喝破した。サンダース候補の「政治革命」はその脈絡から発せられたものであり、没落する中間層、特に知識人や青年が共感を覚えて27ドルの小口献金やボランテイア活動など熱狂的な投票行動に出ている。今後も拡大していくだろう。 サンダース上院議員の「政治革命」は唐突に出されたものではなく、以前から同様な主張を述べていた。いわば、筋金入りの左派である。 学生時代からベトナム反戦運動に参加し、キング牧師の人種差別反対運動にも熱心であった。政治家を志し、バーモントン州の地方市長から無所属の下院議員、上院議員となり、民主党と同一会派を組んだ。 共産主義や左派を弾圧した1950年代のマッカーシー旋風以後、労働運動が盛んでメーデーの発祥地でもあった米国で社会主義が異端視されるようになったが、憲法で禁止しているわけではない。 サンダース候補は討論会で「社会主義者なのか?」と訊ねられ、「民主社会主義者だ」と悠然と答えている。 74歳とやや高齢だが、経験豊富であり、現実主義的な理想主義者と言うべきであろう。アウトサイダーの双璧に挙げられる共和党のトランプ候補よりはるかに経綸の才豊かであり、クリントン候補にも決してひけをとらない。 後付けの結果論ではなく、サンダース現象は『二人のプリンスと中国共産党』で予測したことである。 中国の習近平主席の腐敗撲滅運動(思想純化路線)と共にG2に現れた現代世界の必然であり、官僚主義と経済失政で破綻したスターリン式社会主義や、今や限界を露呈しつつある資本主義に代わる社会再生の試みであると書いた。 勢いを増すサンダース現象は、その予測を検証する格好の場ともなった。 同じ格差拡大問題を抱える日本の参院選にも少なからぬ影響を及ぼすだろう。 |
迷走する米国
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