河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

迷走する米国

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 内乱状態のリビア東部にアルカイーダ系の「酋長国」が樹立されたとのニュースが流れたが、今頃ワシントンは真っ青になって情報確認に奔走していよう。
 それはあることを象徴している。チュニジアから燃え広がっている中東民主化運動に最も神を尖らせているのが実は米国であるということである。
 日韓メディアはいつ中国、北朝鮮に飛び火するかと目を凝らしているが、肝心かつ本質的な事を見逃している。
 
 ブッシュ政権が掲げた「反テロ戦争」を支えてきたのは、エジプト、サウジアラビア、ヨルダンなどの親米独裁国家である。リビアも漁夫の利を得てきた。
 米国はアルカイーダなどイスラム過激派取り締まりを条件に、それらの国の独裁を容認し、利用してきた。米国によるアフガン、イラク攻撃後、イスラム圏の反米感情はいつになく高まっているが、親米独裁政権が押さえ込んできたのである。
 
 その構図を崩しつつあるのがジャスミン革命のドミノ化である。
 それに対して米政府が支持するともしないとも曖昧な態度を取っていたのは、イスラム過激派の台頭を警戒しているからに他ならない。
 
 バーレーンでは22日にテロ容疑で拘束されていた政治囚23人が釈放されたが、ホワイトハウスはそれにも神経をピリピリさせていよう。
 すなわち、親米独裁国家は反体制民主化運動家に「テロリスト」の容疑を被せ、弾圧していたのであるが、今や通じなくなったということである。
 
 反テロ戦争の裏で独裁政権による富の独占と民衆の貧困化が進み、ネットを通してその虚構性、欺瞞性が暴かれ、ネット一揆の連鎖となった。
 親米独裁政権を陰で支えていた米国も、糾弾の対象にならざるを得ない。
 中東の旧体制崩壊は「反テロ戦争」の重要な足場を失わせ、米国の世界戦略は根本的な修正を余儀なくされるであろう。
 
 それは朝米関係にも微妙な影響を与えざるを得ない。
 米国は東アジアでの新たな火種が燃え上がって自国の負担が増すことがないように、①日韓を補完勢力としながら、②中国を牽制し、③北朝鮮を封じ込めることで、結果的に朝鮮半島の現状を固定する方向へと軸足を移していかざるをえまい。
 「静かな対決」が当分持続し、一種の持久戦の様相を呈する中、内政を含めた総合的な体力勝負となろう。
 米国主導の反テロ戦争は国際社会の義務であるかのように日本のメディアは伝えるが、この常識を疑ってみる必要がある。
 驚くべきことに、米国を標的にしたテロ犯の4割は米国民であり、米政府も「米国で育ったテロリストとの戦いがテロ対策の中心になった」と明かしている。つまり、ほとんど米国の国内問題なのである。
 馬鹿馬鹿しいことに、国際社会は米政府が責任を負うべき国内問題の片棒を知らず知らずのうちに担がされていたのだ。
 
 今日の毎日新聞によると、09〜10年にあった米国を標的にした未遂を含むテロ事件で、米当局が訴追した126被告のうち約4割が米国民だった。米司法省国家安全保障部(NSD)は「この2年間の米国へのテロの試みは9・11以来最悪のペースで起きている」とし、米国で育ったテロリストとの戦いが「テロ対策の中心になった」と明らかにした。
 「米国で育ったテロリスト」というと曖昧だが、それも米国市民である。つまり、米国は自国民と戦っているのだ。
 
 NSDは米市民が過激化する背景として「インターネットの交流サイトなどを通じてイスラム過激派が『実行者』を勧誘する手口が急増している」と分析しているようだが、責任転嫁ではないか。
 「家庭の崩壊、貧困、差別など米社会で疎外感を覚えている若者らが、閉塞感のはけ口として、体制に挑む過激思想に染まっている」とも分析するが、一般市民の反体制運動を強引にアルカイダなどに結び付け、弾圧を正当化している側面があることが読めて取れる。
 対策として「インターネットサイトの監視とオトリ捜査を強化している」というが、貧困などから目を背けた小手先の対策では解決できまい。
 
 その種の責任転嫁のために、米国内ではイスラム教徒らに対する差別や人権侵害が増えている。
 国際社会でもイスラム圏との紛争は拡大こそすれ、収まる気配がない。
 米国の反テロ戦争は米国内だけでなく、国際社会をも泥沼に引き込んでいるのである。
 
 米国の財政悪化と社会対立の激化でそうした傾向は今後さらに強まる可能性がある。
 「アメリカの言うテロリストって何だ?」で指摘したように、自己の責任に頬被りした米国の反テロ戦争を冷静に検証し、それに無条件追随する愚かさにそろそろ気付くべきであろう。

米国の政治犯

 ウィキリークス(WL)に米軍のイラク侵攻後に民間人6万6千人以上が殺害された衝撃的な事実を含む機密文書を渡した容疑で5月に逮捕されたマニング上等兵(23)が、米海兵隊の独房に裁判もなく半年以上も拘束される虐待下に置かれ、「米国の政治犯」との批判の声が高まっている。
 マニング問題は氷山の一角ではないか。ブッシュ政権時代に多くの人々が曖昧な「テロリスト容疑」で令状もなく逮捕され、キューバのグアンタナモ米軍基地内で拷問を受けていたことが明らかになっているが、責任問題には蓋がされた。
 米国には今も秘密裏に不法拘束されている政治犯が、少なからず存在している可能性がある。
 
 米海兵隊がマニング上等兵を軍事法廷で訴追し、独房に長期収監しているのはアサンジュWL編集長に「機密情報を渡した」と強引に自供させ、共謀容疑を固めるのが目的とみられる。
 バイデン副大統領は19日のテレビ番組でアサンジュ編集長を「ハイテク・テロリスト」と非難し、司法当局が上等兵との共謀容疑に関心を向けていることを示唆している。「テロリスト」の容疑を被せて無垢な市民を拘束、虐待する現代のレッドパージがオバマ政権下でも続いているようだ。
 朝日新聞(12・27)によると、米国防総省当局者は「上等兵が最も厳しい拘束下にあるものの、テレビ鑑賞や手紙のやりとり、面会も許されている」と説明したというが、中国の民主活動家・劉暁波氏と大同小異の状況に置かれているとみられる。
 
 アサンジュ編集長は22日の米メディアで「上等兵は政治的理由で行動したと聞いている。米国の政治犯だ」と批判したが、天安門事件を批判して拘束されている劉暁波氏とどこが異なるのか。
 不可解なのは、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与にノルウェーとともに関ったスウェーデン政府当局がアサンジュ編集長を「コンドームを使用しなかった」“強姦容疑”で国際手配し、米国への引渡しに協力しようとしていることである。
 
 米国内でもマニング上等兵を「正義の告発者」と称え、長期拘束を「非人道的」と批判する声が出ているが、国際社会ではネットを中心にアサンジュ編集長、マニング上等兵を支持する動きが高まっている。
 米CNN放送がネットを通して今年の世界十大注目人物(intriguing person)を募ったところ、27日現在、1位アサンジュ、2位オバマの順であった。北朝鮮の後継者である金正恩が9位というのは愛嬌か。
 タイム誌の表紙を飾る今年の人物にもアサンジュ氏が人気投票では抜群のトップであった。
 
 産経は極端だが、その他の日本のメディアにもアメリカ=善、アメリカにたてつくもの=悪とする単純善悪二元論で報じる傾向が見られるが、政治犯問題、人権、民主主義、自由全般にわたりアメリカを理想モデルとする時代はブッシュ以降幻想に過ぎなくなってなっていることを知らねばならない。
 「アメリカの言うテロリストって何だ?」との声は急速に広がっている。
 無垢の市民6万6千人の命を奪ったブッシュ政権によるイラク戦争(=侵略)に対する検証が世界的に始まっているが、小泉首相がそれを支持したことに、谷内正太郎・内閣官房副長官補(当時)の個人的感情と強引な国連決議解釈が与っていたことが明らかになった。
 それは、安倍晋三・官房副長官が谷内副長官補と組んで拉致問題を悪用し、福田官房長官を出し抜いて首相ポストを獲った下克上の伏線でもあった。
 
 小泉首相がイラク戦争2日前の2003年3月18日、記者会見で「イラク戦争を支持する」と述べ、閣内議論を経ずに独断で支持に走ったことは知られている。
 安倍官房副長官を通してそれを促したのが谷内官房副長官補であることも知る人ぞ知ることであるが、、今朝の朝日新聞の特集記事「イラク戦争検証 日本は」に、谷内氏の「積極関与すべきだと思った」との談話が掲載されている。
 「01年12月、英国のシンクタンク責任者から『米国は02年春にも武力行使を行う』と聞いた。帰国後、日本の対応について内々に準備を始めた。国連安保理では武力行使容認決議が採択される見通しはなかった。このため湾岸戦争時の決議などで正当化出来ると思った。苦し紛れであったが、×が付く解釈とは思っていない。
 同盟国の米国が、国際社会の反対を顧みず武力行使に踏み切ろうとしている時、『やめておけ』という態度はとりえない。同時に私には、フセインへの怒りがあったので、日本はもっと積極的にかかわるべきだと思っていた」
 
 この発言からうかがえることは①国連決議を軽視した米国への盲従的態度、②強引かつ身勝手な決議解釈、③私憤で外交を弄ぶ感情的姿勢、の3点である。
 それをもって小泉首相の「リーダーシップ」を巧みに利用したと読める。
 
 周知のように、ブッシュ大統領は「フセインは大量破壊兵器を製造維持している」(03年1月一般教養演説)とし、イラク戦争の大義としてトレーラー型生物兵器製造施設、アルカイダとの関係を挙げたが、後に、いずれも「証拠はない」(米調査団04年10月)とし、濡れ衣であったことが明らかになった。
 ブッシュ自身が08年12月に米テレビで「大統領在任時の最大の痛恨事は、イラク情報の誤り」と語っている。
 
 米国のイラク戦争は、国連決議違反の大義のない侵略であったことは国際法上、明白である。
 ウィキリークスが暴いた米外交機密文書は、それによりイラク人が10万9千人死亡し、民間人が6万6千人以上含まれること、一例として米軍ヘリが民間人12人を機銃掃射して殺害したこと、イラク兵による拷問・虐殺を黙認したことなどを明らかにした。
 いずれも米国がひた隠していたことである。
 
 これは明白な戦争犯罪であり、当然、国際法廷で裁かれなくてはならない。
 谷内氏にそうした意識がいまだに希薄で、粗雑な自己弁明に汲々としているのは遺憾なことである。
 なお、朝日記事によると、日本は外交分析のない政治風土であるが、昨年、谷山博史・日本国際ボランテイアーセンター代表理事らが「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」を結成し、民主党の斉藤衆院議員らが今月2日、検証を求める議員連盟を結成した。
 
 独断的な小泉首相の提灯持ちをした安倍氏が福田氏を出し抜いて首相になると、谷内氏は外務次官に昇進し、ジャパニーズ・ネオコン路線の中軸を担った。
 その中で、拉致問題でも同じパターンが繰り返され、個人的な感情に走り、「一時帰国の約束違反」、横田めぐみの遺骨鑑定書捏造などの情報操作を企て、日朝関係を破綻させたのであろう。
 その具体的な検証もこれからである。
バイデン副大統領がウィキリークスのアサンジュ編集長について「ハイテク・テロリストに近い」と19日のNBCテレビで述べた。
外交公電公開が「米外交官や米兵の命を危険にさらした」と言うのだが、自己中もいいところだ。自国さえ良ければ、他国を犠牲にしたことなど眼中にないらしい。

アメリカが今すべきは、ウィキリークスが明らかにしたブッシュ政権時のイラクにおける戦争犯罪に対する責任を明確にすることである。
六万六千人以上の民間人が殺され、米軍ヘリからの無差別機銃掃射などによる犠牲者も少なくない。
いずれも米政府が存在を否定していた内部資料がネットで公開された。

その事実を世界に知らせたアサンジュ編集長をバイデン副大統領が「テロリスト」と非難するのは本末転倒の議論であり、自国の犯罪行為を隠蔽していると逆に批判されても仕方あるまい。
内部告発した陸軍上等兵は独房に入れられ、迫害されていると伝えられるが、それが事実なら、米国に中国の人権や言論の自由抑圧について言う資格はない。

ブッシュ前政権時代から叫ばれた「テロリスト」「反テロ戦争」のいかがわしさについて、検証する時期に来ていることは確かだ。
アメリカにたてつくもの、言うなりにならないものを押さえつける身勝手なイデオロギーとして利用されてきたのではないか?
だから、世界中に紛争と憎しみが広がり、収拾がつかなくなっているのではないか?

ブッシュ政権の犯罪を明確にし、誰がテロリストで、何がテロなのかを、アメリカの狭い正義やエゴではなく、世界の正義に照らして明らかにする必要がある。
世界平和の再構築はそこから始まるに違いない。

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