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第5管区海上保安本部(神戸市)所属の巡視艇「うらなみ」主任航海士(43)が「ユーチューブ」に尖閣ビデオを投稿したことを10日午前9時、洋上勤務中に船長に申し出たと、鈴木海上保安庁長官が午後の衆院予算委員会で明らかにした。
海上保安庁はすでに8日、被疑者不詳のまま国家公務員法守秘義務違反や不正アクセス禁止法違反などの容疑で東京地検と警視庁に刑事告発しているが、守秘義務違反には当たるまい。 当人は任意同行を求められる数日前に読売テレビ記者と会い、「これを機密とするのであれば、時の政府が自身に都合の悪いことはすべて機密にしてしまえば、何をやっても許されるのではないだろうか」との直筆メモを残したと、同テレビが11日のニュース番組で取材した記者の話として報じた。
これが事実なら、ビデオ映像流出は国民の知る権利という公益に資するものであり、守秘義務には当たらるまい。
責任論のすり替えがあちこちでみられるが、最大の責任は、日中が三十年以上も暗黙のうちに守ってきた先送り合意を一方的に破棄する拿捕指令を出して船長を逮捕し、中国側が反発すると船長釈放へと豹変した前原前国交相・現外相にあることは自明である。
仙石官房長官がビデオ公開を否定したのも、同じ凌雲会グループの前原氏を庇ってのことと思われる。中国への外交的配慮との声もあるが、手前勝手な憶測であろう。ビデオが中国の国内ネットで回覧されているように、中国政府はむしろビデオ公開を歓迎しているふしがある。
石原慎太郎東京都知事がフジテレビの新報道2001(10月24日)で「海に落ちた海保職員を中国船員がモリでついた」と風聞を流し、佐々淳行元内閣安全保障室長らが「複数の関係者から聞いた」と石原氏を持ち上げたが、いずれも悪質な嘘であることが日刊ゲンダイが海保に確認して明らかになった。
反中感情を煽るその種の嘘や憶測が飛び交い、不必要に日中が対立するのもビデオを非公開にしたためであり、今からでも残るビデオ全てを国民に公開するべきである。
実は、全く同じことが自民党政権時代に拉致問題で起きている。
北朝鮮側が遺族に渡して欲しいと引き渡した横田めぐみさんの遺骨について、日本側はDNA鑑定を行い、細田官房長官が「横田めぐみさんの遺骨ではない」との「鑑定結果」を発表し、偽遺骨説がメディアから一斉に流れた。
しかし、細田官房長官が発表した「鑑定結果」は鑑定人の吉井帝京大講師が作成した鑑定書の重要部分を隠した欠陥文書でしかない。6分に録画編集されて一部国会議員に公開された尖閣ビデオと似ているが、肝心な部分を伏せており、より悪質と言える。
細田官房長官は「世界最高の鑑定人が鑑定した」と吉井講師を持ち上げたが、吉井氏は直後に英科学誌『ネーチャー』のインタビューで「自分は高熱処理した遺骨を鑑定した経験がない。過度に反応する試薬を用いたので、鑑定には科学性がない」と述べている。横田めぐみと異なる二つのDNAが発見されたのは遺骨を拾った人物の体液(汗など)が骨に浸透し、試薬に反応したというわけである。
つまり、細田氏が発表した「鑑定結果」は細田氏の政治的な判断であり、科学的には遺骨が横田めぐみのものであった可能性が否定できない。
横田めぐみの遺骨を夫から引き渡されたのは04年11月に訪朝した薮田三十二前外務次官だが、彼は朝日新聞とのインタビュー(9月9日)や最近の著書でも肝心のことを語っていない。
北朝鮮側は「国民を納得させる必要があると、平身低頭して遺骨引渡しや現地調査を頼み込んでおきながら、約束を守らなかった」と憤慨している。
それと関連して、ジャーナリストの田原総一朗氏がテレビ朝日番組『朝まで生テレビ』で「横田めぐみさんや有本恵子さんは外務省も生きていないことはわかっている」と発言した。
それに対して有本恵子の両親が精神的苦痛を受けたとして慰謝料を求める民事訴訟を起こし、神戸地裁は外務省幹部への取材テープの提出を命じる決定を出した。これに対して田原氏は「取材源の秘匿を前提に口外しないことを約束したやり取りが録音されており、守秘義務を負っている。開示されれば、取材の自由に危機的な影響を与える」と主張し、大阪高裁に即時抗告した。
金正日総書記が小泉首相との会談で「5人生存、8人死亡」と通告し、小泉首相はそれを受け入れて日朝ピョンヤン宣言に署名している。
それに随行した薮中氏ら外務省幹部が「横田めぐみさんや有本恵子さんは外務省も生きていないことはわかっている」と発言するのは当然の成り行きと言える。
事実を明確にするために、吉井講師が鑑定した鑑定書全文を明らかにすることが必要である。
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メディア検証
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YouTubeに投稿された6本44分の尖閣問題ビデオで確認される客観的事実は、166トンの漁船が走る前を1300トンの巡視船が横切り、船尾に漁船が衝突したことである。
その事実と、価値判断の評価は自ずと区別されなければならない。 しかるに、日本側は故意だ、悪質だと決め付け、他方の中国側は進路妨害だと反発する。 どちらも事実認定を後回しにした感情論でしかない。 これでは責任をなすりあう水掛け論になり、事態は泥沼化するだけである。 ここは双方とも意固地にならず、冷静さを取り戻す必要がある。 カントの平和的理性に立った合理的な解決策を模索するべきであろう。 自国の主権を絶対視する400年前のウエストファリア条約の亡霊にいつまで取り憑かれているようでは、あまりに脳がない。 |
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尖閣沖での中国船拿捕ビデオの全面公開が必要だ。中国側にも、海保による情報操作の疑いがある編集録画ではなく、全面公開を求める声が高まっている。
「尖閣ビデオ公開騒動は島国的な一人相撲」でも指摘したように、「銛で突いた」(石原慎太郎)といったデマを流布し、日中対立を煽って一儲けしようとの火事場泥棒的な言説が飛び交っており、一日も早く事実を明確にすることが必要である。
今日の産経新聞「主張」は「国の信頼かかる全面公開」を求めるが、勝手に邪推し勝手に怒るいつもながらの産経的思考方式であり、私が求める全面公開論とは観点も趣旨も異なる。
一般論としてみれば、拿捕行為であることは明らかである。海保は「中国漁船が巡視船にぶつかってきた」と主張するが、常識的にみて、130余トンの漁船が9倍もある頑丈な巡視船に自分からぶつかることはありえない。逃亡しようとして進路を巡視船に妨げられ、衝突したと考えるのが普通である。
そうでない特殊な事情があるとしたら、挙証責任は海保側にある。
国際法上は拿捕とすべきところを、「中国漁船衝突事件」「公務執行妨害罪」などと言い張るのは、やましいところがあるからではないのかと勘ぐられても仕方あるまい。
前原国交相(当時)が拿捕を指示し、海保が従ったと考えるのが合理的だ。ビデオを見て前原氏が「悪質だ」と逮捕を指示したとされるが、そんな時間的余裕があろうはずもなく、現実的にはありえないシナリオである。
問題の産経「主張」はそうした冷静な議論を飛ばして、 「ビデオの映像は日本の行動が正当であることを示す」云々と先入観で断定する。到底、理性的な態度とは言えない。
そうして、「限定公開は中国政府に遠慮したためだろう」と身勝手な憶測を逞しくし、「だが、中国外務省は限定公開の映像についてすら『日本側の行為の違法性を覆い隠すことはできない』と非難した」と勝手に怒っている。
過去の慣例を破って喧嘩を売っておいて、「遠慮」云々もなかろう。子供が駄々をこねているようなものである。
中国側が抗議するのは当然ではないか。
産経的な没論理的な感情論は、理性ある人に通じる代物ではない。
だが、比較的若い層には簡単に影響される傾向がみられ、ネットでは極端な反中的言辞が飛び交っている。一部無党派層に、民主党批判から自民党支持への回帰現象をも生んでいる。
それが産経の狙いではないのか。
それを裏付けるように、「全編を一般公開した場合、中国がAPECへの首脳の出席を拒否することを菅政権は恐れているふしがある。『弱腰外交』との国際的烙印も決定的になってしまうだろう」と、「ふし」などと邪推し、強引に政局に結び付けている。
フジ=サンケイグループには一定の傾向が顕著に見られる。
「石原慎太郎核武装妄言とフジテレビの核武装世論調査」で指摘したように、10月24日のフジテレビ「報道2001」には石原都知事が生出演して「水中に落ちた海保職員を中国船員が銛でついた」と噂話をさも本当らしく吹聴し、反中感情を煽っている。
しかも、石原は週刊文春 (10月7日号)で「石原慎太郎激白!『ヤクザ国家には核武装』」と、中国をヤクザ国家呼ばわりし、対抗して核武装を主張して物議を醸していたが、その石原を登場させた同番組は「他国からの軍事的脅威に備え、日本も核武装をするべきだとの意見があります。あなたはこれに賛成ですか」と設問した世論調査の結果を流した。
これはヤラセではないか。反中感情を悪用して日本の核武装世論を醸成しようとしていると批判されても仕方あるまい。
系列誌の月刊誌『正論』12月号は「異論暴論 国民よ覚醒せよ! 核武装以外に独立の方途なし」とより露骨である。
フジ=サンケイグループがグループ挙げて反中親米、日本核武装へと世論を誘導していると見て間違いあるまい。これは明らかに極右である。読者、視聴者は無意識に洗脳されないようにメディアの性格を自覚しておく必要がある。
憲法に抵触するその種の放縦な言説までが言論の自由に属するのか、議論の余地がある。産経のネット記事を流しているマイクロソフトのスタンス、責任も当然、問われなければならない。
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都知事四選への邪な野心から石原慎太郎が「海中に落ちた巡視船員を中国船員が銛で突いた」とデタラメ反中アジをフジテレビ「報道2001」(10月24日)で公言するなど、尖閣ビデオ問題は虚言、憶測を交えた国民的狂想曲の様相を呈してきた。
客観的にみれば、日本国内のコップの嵐、要するに一人相撲でしかない。
「ビデオ公開は中国を刺激する」といった憶測が実しやかに流れているが、公開されようがされまいが、中国には何の影響もなかろう。
現に中国外務省の馬朝旭報道局長は1日、ビデオ公開について「録画とされるものでは事件の真相は変えられない」と言っている。
一連のビデオ公開騒動には、自分たちに都合よくあれやこれやと憶測をめぐらし、不利な事実に目を背ける傾向が顕著に現れているが、日本人拉致問題における「5人の一時帰国の約束」「横田めぐみ遺骨鑑定」でもみられたことで、外には通じない島国的な現象ではないか。
国際社会の一般常識からは「尖閣沖で日本の巡視船が中国漁船を拿捕」とするところで、事実、外信はどれもそう伝えている。領海侵犯なら普通はそうなる。
ところが、日本の政府もメディアも「中国船衝突事件」「公務執行妨害罪」などと言い張り、拿捕と言う言葉を避けている。
問題を曖昧にし、自分たちは悪くない、仕方なくやったと弁解しているわけである。そうして中国はなぜそれを理解してくれないのかと怒る。
ビデオの一部を大仰そうに国会で特定の国会議員が視聴し、「確かに中国船がぶつかってきた」とかどうのこうのやっているが、小さな漁船が沈没覚悟で9倍近い巡視船にぶつかるのは逃げるためであることは言うまでもないことである。
ビデオを全公開できないのはそれが露呈するからであろう。
これではまるで甘えん坊の喧嘩である。
だから、少し風向きが悪くなると、親分のアメリカに泣きつくことになる。親分を背に「毅然と対応する」などと幾ら強がっても、馬鹿にされるだけである。
それを見透かされて、ロシアのメドベージェフ大統領が国後島をこれ見よがしに訪問した。ここでももめ、結局、米中ロ間で大人の話をして決着させようとするだろう。日本抜きの、いわば第二の戦後処理である。
東アジアで起きている地殻変動を見据えて、自民党政権時代以来の卑屈な従米外交から脱却しないと、日本の沈没は止まらない。
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昨日のフジテレビ「報道2001」が放送倫理基本綱領に抵触する疑義を持たれる世論調査を流した。
「他国からの軍事的脅威に備え、日本も核武装をするべきだとの意見があります。あなたはこれに賛成ですか」との設問をして、首都圏の成人男女500人を対象に電話調査した結果を流したのである。
世論調査を装って世論誘導することはしばしば見られる現象である。
被爆国である日本の非核3原則に挑戦するように核武装是非を問うフジの非常識な世論調査も、それに該当する可能性が極めて高い。
しかも出演者が、週刊文春 (10月7日号)で「石原慎太郎激白!『ヤクザ国家には核武装』」と、中国をヤクザ国家呼ばわりし、対抗して核武装を主張して物議を醸している石原慎太郎東京都知事である。
来年の都知事選を意識し過激な発言をして自分を売り込んでいるのであろうが、妄言が中国のインターネットに流れ日中関係を損なうことへの認識が欠けているのではないか。
問題はフジテレビの基本姿勢にある。
過去にもその種の発言を繰り返している人物を出演させ、さんざん中国に対する敵愾心を煽る発言をさせた番組で日本の核武装アンケートを流すのはいかなる所存か。
同番組のプロデューサーなりディレクターが意図的に核武装へと世論を誘導しようとしたと批判されても仕方あるまい。
それに対する結果は「賛成 16.6%、反対 78.8%、(その他・わからない) 4.6%」であったが、賛成を最初に持ってくるところにも、意図がにじんでいる。
フジテレビは態度を明確にすべきである。
放送倫理基本綱領には、「放送はその活動を通じて、・・・平和な社会の実現に寄与することを使命とする」とある。核武装世論誘導がそれに反していることは言うまでもなかろう。
「放送は・・・国民の知る権利に応えて、言論・表現の自由を守る」とある。フジは核武装世論調査もそれに含まれると強弁するのかもしれないが、本末転倒であることを知るべきである。
自浄能力がなければ、総務省が責任を問うべきは当然であろう。
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