メディア検証
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韓国のKBSテレビが昨日10時過ぎのニュースで「金正男、金正日訪中時に会って『天安』抗議」と伝え、真偽のほどが物議を醸しているが、ソースが「中国政府内の金正男側近」となっており、信憑性は低い。
後継者レースから脱落した正男は弟の正恩との距離に悩んでおり、周辺が無責任な噂を流していると読める。
問題のKBSニュースは、金正日総書記が今年8月に電撃訪中した際、マカオと北京を行き来しながら暮らしている長男・正男が宿を訪ね、抗議したとして、「中国政府内にいる金正男の側近」の証言を音声を変え、字幕つきで流した。証言は以下の通り。
「貨幣改革し、天安艦事件と、顔も出す前にしでかしたことなのに父が黙認したため起きた。それに抗議した。弟が自分の過ちを認めず、今後もそのようなことを行い、父が黙認し続けるのなら、正男は自分の道を行くと・・・。悩んだ挙句、(9月上旬に開く予定であった党代表者会議が)開かれはしたが、正男のため先送りされたのです」
それ以外にも「中国と北朝鮮の高級幹部には金正男支持勢力が多い」「昨年6月に金正恩がマカオに滞在中の金正男を暗殺しようとしたが、中国側に発覚して失敗した。その後、金総書記が胡錦濤主席に直接正男の保護を頼み、約束を得た」などと明らかにしたという。
KBSは「中国政府内の金正男側近」の身元を明らかにしなかったが、素性が極めて怪しい。中国政府内に金正男の友人はいるだろうが、「側近」などいるはずもないし、中国政府が許さない。
さらに疑わしいのは、天安艦事件を金正恩が起こしたことを前提にして、抗議していることである。北京にいる正男がそんな内部の機密事項を知るはずがない。
そもそも北朝鮮は関与を否定しており、中国政府も同様である。何よりも、直接韓国で調査したロシア調査団が「そんなバカなことはありえない」と否定している。
この種の諜報戦は珍しくなく、KBSは嵌められたようだ。
正体不明の「中国政府内の金正男側近」の証言は、韓国情報機関が以前流した情報を追認するものとなっており、韓国情報機関関係者とみられる。
ここは本人に登場させるのが一番だが、金正男は9日、北京でテレビ朝日のインタビューに答えている。翌日、放映され、次のようなやり取りがあった。
記者「長男のあなたと、次男の正哲氏もいるのに、なぜ三男の正恩氏が後継者になったのですか?」
正男「やはり、父親が決断されたものだと思います。」
記者「長男として、後継者になれなくても大丈夫ですか?」 正男「私は、元々遺憾に思うことはないし、関心もなくて、全然気にとめてもいません。個人的には3代世襲に反対しています。ですが、しかるべき内部要因があったのではと思います。内部要因があるなら、それに従うべきだと思います。私は、弟が北韓住民たちのために、本当に住民たちの潤沢な生活のために最善を尽くしてほしいと願っています。必要であれば海外からでも正恩を支援する用意があります」
これを見れば、正男が大勢は決したと正恩に恭順の意を表していることがわかる。
米紙・ワシントンポストに「プレイボーイ」と報じられ、言葉も「北韓」と韓国式に自国を表現するほど西側の生活に慣れた正男は、窮屈な後継者のポストにはとうに関心がない。関心があるのは今後の生活と利権の確保であろう。
慕っている叔母の金敬姫・労働党軽工業部長は正恩とともに政治大将に任命され、以前指摘したように、ポスト金正日の「陰の実力者」になっている。その下で金ファミリーは結束しており、外で騒ぐほど正男と正恩の兄弟仲は悪くない。
http://blogs.yahoo.co.jp/lifeartinstitute/41633581.html |
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東京第5検察審査会が小沢元民主党代表に対して「起訴相当」と議決し、物議を醸しているが、重大なことが看過されている。客観的には小沢氏は無罪になる確率が高いが、その場合、誰が責任を取るのか。
小沢氏を有罪視し、議員辞職を迫っている新聞、テレビは、無罪判決が出たら謝罪声明を出し、責任者を処分する覚悟をもって報じているのだろうか。
刑訴法は判決までは推定無罪を原則にしているにもかかわらず、逮捕、起訴の段階であたかも犯罪者のごとく報じられ、社会的な制裁を科されている。
嫌疑をかけられ、捜査対象になっただけで、各メディアから犯罪者扱いされた例も少なくない。
長野サリン事件では妻が被害を受けた河野氏がその犠牲になった。元代議士の新井将経のように自殺に追い込まれた例もある。
最近は、外交絡みの国策的な偏向報道も目に付く。
その典型的な一例が、北朝鮮の家族にリンゲル液を持って行こうとした在日朝鮮人が大量破壊兵器転用の疑いで逮捕され、新聞、テレビで重罪人のように伝えられたことである。
韓国では見られない現象だが、それは「お上」に弱い日本独特の神話の上に立っている。
逮捕、起訴は裁判で百㌫近く有罪となる。そこから逮捕、起訴=犯罪者との神話が生まれ、逮捕、起訴の段階で事実上、犯罪者として断罪され、事件とは無関係なプライベートなことまで全て暴かれるのである。
しかし、大阪地検特捜部検事による押収資料改竄によりその神話は根底から揺らいでいる。
検察、警察に証言や自白に偏重し、ストーリーに沿って物的裏付けを操作する体質があることを強く示唆している。
足利冤罪事件の菅家氏は目撃証言や自供だけで無期懲役刑を宣告され、18年ぶりに冤罪が晴れたが、類似の事件が他にもあるのではないかと疑うのは当然であろう。
しかるに、東京第5検察審査会の起訴議決はその理由として、何と供述を挙げている。
すなわち、「被疑者を尊敬し、師として仰いでおり、 虚偽の供述をすることはおよそ考え難い」と、秘書3人の捜査段階での供述は信用できるとしているのである。
検察がそれでは公判は維持できないと判断したものであり、新たな補強証拠がない限り有罪に持ち込める可能性は極めて低い。
そもそも供述偏重が問題になっているのに、検審みずから同じ過ちを犯そうとしているのはいかがなものか。
起訴議決に意味があるとしたら、「国民は裁判所によって、ほんとうに無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利がある」とする部分である。
国民感情としては十分に分かるが、感情論は感情論であり、自ずと自制が必要となる。
それをマスコミがこぞってあたかも有罪であるかのごとく論調を張り、「辞職」を迫るのは、公正たる司法制度を揺るがす言論の暴力ではなかろうか。
無罪の確率が圧倒的に高いことを踏まえて、理性的に対する必要があろう。
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民主党の高校無償化政策に反対していた産経新聞が朝鮮高校への無償化適用に反対するのは矛盾しているが、理屈よりも差別感情が先立つのでそれなりに一貫しているのであろう。
文科省が除外措置撤廃へと動くのは国連人種差別委員会の勧告に沿った当然のことだが、産経は納得せず、一族郎党を総動員して差別キャンペーンを続けている。
産経によると、「救う会」(西岡力会長)、特定失踪者問題調査会(荒木和博代表)、家族会(飯塚繁雄代表)、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」(三浦小太郎代表)などが相次いで適用反対の声明発表や記者会見を行っている。在日朝鮮人への差別意識を吹聴している団体がずらりと顔を揃えた形だが、最近は産経ソウル支局の工作が功を奏してか、韓国の脱北者団体まで加わってきた。
いずれも金正日政権打倒、拉致問題、天安艦沈没事件など特定の政治的思想的問題と強引に絡めており、因縁付けの域を出ない。
例えば産経によると、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」の機関誌に告発手記を寄稿した70代の元朝鮮学校教諭は、「金主席の肖像画磨き、自殺者出るほど思想教育」を訴えた。
また、「朝鮮学校で教壇に立ったことがある元教諭」が「朝鮮学校、総連組織に生徒を強制加入 無償化目的に相反」する行為を行っているという。 「朝鮮学校教員、忠誠度で認定 北直轄の大学校で思想教育必修」なる記事もある。
いずれも元朝鮮大学教員として知らないことではないが、学力・知力育成など本筋の問題ではなく、高校無償化とは無関係である。
朝鮮学校はカリキュラム改善に努めており、今後も生徒や保護者の要望を汲みながら自主的に決定すれば済むことである。
文科省初等中等教育局は、数学、理科、国語など日本の高校と同じカリキュラムが朝鮮学校にも外形的にそろっているかが主な検討材料となっており、教科書の内容などについては判断材料にはなっていないとするが、当然のことである。
アメリカン学校、中華学校などにはすでにそうしている。法治主義とは同じ基準を適用するという初歩的なことを、産経は熱くなって忘れてしまったのであろう。
さらに、日本の一般私立学校にはキリスト教系、神道系、国粋系と様々な系統のものがある。これに国家が無闇に干渉したら戦前の軍国主義教育のような国家統制教育になる。
産経が朝鮮学校にああだこうだと難癖を付け、分別を忘れて教育の内容に干渉しようとするのは、朝鮮人差別意識だけではなく、戦前の軍国主義教育復活への狙いがあるとの見方も出来る。
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産経新聞の立ち位置を測るには、来日中の仏極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首が格好だろう。
両者の主張は驚くほど似ている。つまり、産経新聞はフランスの基準で言えば極右と言うことになる。
ルペンは13日、都内で講演し、欧州で増加するイスラム系移民について、「フランスの富の恩恵を享受することはあり得ない。サウジアラビアやクウェートの富を共有すればいい」と述べ、移民排斥を主張した。フランスの移民状況に関して「年間40万人が入国し、15万人が帰化している」と指摘。豚肉抜きの学校給食のメニューやブルカなど全身を覆う服装などを例に挙げ、国内のイスラム化が進んでいると危機感をあらわにした。
14日には靖国神社参拝を予定し、「戦犯であっても、死者に対する敬意は表してもいい」と説明したという。
「フランスの富の恩恵を享受することはあり得ない」とルペンはイスラム系移民への排外的感情を隠さないが、イスラム系移民を在日朝鮮人、中国人などに置き換えれば、ほとんど産経の主張そのままになる。
ルペンは「戦犯であっても、死者に対する敬意は表してもいい」と靖国参拝を肯定するが、この点では産経の方がもっと右だ。
極右の右が何なのか常識的には理解しがたいが、そうとしか考えられないのが、皿木喜久・論説委員の「靖国参拝こそ『抑止力』だ」である。どこかの街宣車に貼ってあるアジ文のようなこのコラムを読むと、ルペンが紳士に思えてくる。
「菅首相が本当に『抑止力による平和』を考えているのか、疑問に思える言動は多い。就任直後の6月15日、在任中の靖国参拝を否定してしまった。首相の参拝には、もっと深い意義がある。
日本が他国から攻撃を受けたり、日本人が危害にさらされたりすれば日本は、断固戦ってこれを守る。その決意を内外に示すことである。その意味で参拝もまた日本を守る『抑止力』なのである。A級戦犯が合祀されていることなど、参拝をしない理由には全くならない。首相が『靖国参拝も憲法改正もしない』と言う。『アジアの国々』にとって日本はとてつもない『お人好(よ)し』に見えることだろう」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100814/stt1008140744000-n1.htm 右翼の文は独特の思い込みと独り善がりの傾向が強いが、その典型のような文である。
A級戦犯まで「英霊」と祭る靖国に日本の首相が参拝することを、侵略を受けたアジアの国々は、日本が反省していない証拠と反発する。それが一般的な理解だが、筆者は参拝しない方が「お人好し」にみられ、侮られると曲解する。ひがみ根性も甚だしい。
参拝が「抑止力」と言い張るに至っては、アジアの感情を逆なでしておいて、「くるならこい」と喧嘩を売っているようなものである。因縁をつけて挑発する街のチンピラさながらではないか。
チンピラが親分の威を借りるように、「沖縄米軍の抑止力」を後生大事にするのは、アジアの半端者であることを自覚しているからであろう。
無論、一般の日本人はそんなことは考えていない。
菅首相が全閣僚の参拝を否定しているのは当然ともいえる。
要するに、産経は日本を代弁しているのではなく、一部右翼の主張を代弁しているのである。
そう捉えておけば、韓国、北朝鮮、中国などが過剰に反応することもあるまい。
ただ、問題は、「産経の人種差別キャンペーンはいつまで続く(中ー3)」で指摘した「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の犯罪行為のように、ネット右翼がそれに影響されて、人種差別的な排外主義行為に流れる危険性があることである。一種のネオナチと言っても良かろう。
また、一部言論が産経に引っ張られている傾向も見える。
ドイツではナチスの宣伝に同調することは法律で罰せられる。
日本でも公器で旧軍国主義を肯定吹聴することは、言論の自由以前の問題として検討する時期に来ている。
そうしない限り、アジアとの緊張関係は永遠に続くように思われる。
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