|
朝鮮高校だけを高校無償化から除外する露骨な差別措置は常識的にはありえないことだが、中井拉致問題担当相の「拉致問題がある」との横槍から始まったように、拉致問題が絡むと非常識が通ってしまう。
そこに付けこんで公然と在日への人種差別キャンペーンを行っているのが産経新聞である。
「高校授業料無償化問題 産経新聞に良識は残っているか?」でも指摘したように、社説から記事に至るまで民族教育を敵視する扇動的な文句であふれており、京都の朝鮮人小学校に徒党を組んで押しかけ「北朝鮮のスパイ養成所」「スパイの子ども」などと叫んで授業を妨害した「在日特権を許さない市民の会」(在特会)のような犯罪行為を生み出す温床となっている。
「嘘も百回言えば真実になる」とうそぶいたゲッペルスさながらに、安明進・元工作員のデタラメ情報を垂れ流し、在日社会には北朝鮮の工作員がうじゃうじゃもぐりこみ、日本人拉致や破壊工作に狂奔しているかのようなイメージをばらまき、在日への差別意識を日本社会に植え込んできた。
この種の稚拙な虚偽宣伝が日本社会に浸透したのは、拉致被害者家族会を宣伝塔に悪用したためであるが、全く同じ手法を高校無償化差別問題でも用いている。
「なぜ密室で」批判集中 朝鮮学校無償化問題」がその典型で、「朝鮮学校への高校授業料無償化の適用が検討されていることについて、北朝鮮による拉致被害者の家族会(飯塚繁雄代表)や民間団体『北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会』などが相次いで、適用反対の声明発表や記者会見を行った。・・・前日には、家族会と『救う会』(西岡力会長)も反対声明を出したが、その中で『密室の議論で拉致被害者救出にも影響を与えうる重大事案を扱うことに強い違和感を覚える』と訴えた」と、一族総動員だ。
「拉致被害者救出」なるものと高校無償化を糞味噌に結びつけるのが、産経の特徴である。
「テロリストを国賓待遇した」と国民から猛烈な批判を浴びた金賢姫訪日でも、横田夫妻が利用されている。
韓国では秘密でも何でもないが、金元死刑が昨年5月、日韓両政府関係者に「1980年代に平壌で会った。横田さんがその後、どうなったのかはわからない」と述べ、日本政府関係者が横田夫妻に伝えている。ところが、横田夫妻が情報を公開しないよう求めたことから、中井氏は西岡「救う会」会長、荒木和博「特定失踪者問題調査会」代表などの協力を得ながら訪日を強行し、「金さんは『めぐみさんは生きている』と言った」と喧伝した。
国民を騙すそのキャンペーンの先頭に立った不徳なメディアが産経新聞であった。
http://www.asahi.com/international/update/0806/TKY201008060448.html この種の茶番劇は通常なら相手にもされない代物だが、拉致問題と絡んだ反北朝鮮感情の拡散の中で、右翼のみならず、一般市民からリベラル、左翼層に浸透し、行政組織まで巻き込まれている。
例えば、 「北朝鮮によるすべての拉致被害者を救出するぞ!!北朝鮮による拉致・人権問題を考える神奈川県民集会」が一民間団体の手で来月予定されているが、「共催」として神奈川県・横浜市・川崎市 (各予定)が安易に名を連ねている。行政が虚偽宣伝に乗せられ、差別意識拡散に手を染めているのである。
中井氏ではないが、地方自治体が特定の団体に肩入れするのは地方自治法上、問題がある。
|
メディア検証
[ リスト | 詳細 ]
|
京都の朝鮮人小学校に徒党を組んで押しかけ、拡声機で「北朝鮮のスパイ養成所」「日本から出て行け。スパイの子ども」などと叫んで授業を妨害した「在日特権を許さない市民の会」副会長の川東大了、メンバーの西村斉ら4人が京都府警に10日、逮捕された。
名誉棄損、威力業務妨害、器物損壊による厳罰のみならず、悪質な人種差別行為、人権蹂躙行為として国際社会の糾弾を浴びるべきであろう。
いわゆる在特会は、拉致問題を口実に産経新聞などが煽った在日朝鮮人迫害の風潮に乗って組織されたネット右翼であり、高校無償化での朝鮮高校差別の背景に広がる寒々とした光景が垣間見える。
川東らは容疑を認めているが、彼らの犯罪行為は常軌を逸している。 昨年12月4日、授業中の京都朝鮮第一初級学校(京都市南区)の校舎に向かって拡声機の音量を一杯にして1時間近くにわたり罵詈雑言を流しながら、授業を妨害した。隣接する児童公園に塀を越えて乱入し、同校が管理するスピーカーのコードを切断する傍若無人ぶりだ。
その間、子どもたちは教室で泣き続け、帰宅後、「もう学校に行きたくない」と親に泣いて訴えた児童もいた。
川東らの攻撃は執拗を極め、約1カ月後に再び街宣があった際、学校側は課外授業で児童を校外へ避難させざるをえなくなった。
在特会の暴挙については昨年暮に「組織的な朝鮮学校襲撃を鳩山政権は黙認するのか」でも指弾し、良心的な日本各界の人々が抗議の声を挙げている。
今回ようやく警察が動き出したが、日本政府の動きは鈍きにすぎる。
民主党のマニフェストには「人権侵害救済機関を創設し、人権条約選択議定書を批准する。内閣府の外局として人権侵害救済機関を創設する」と謳われ、千葉法相は「内閣府に独立性の高いものを作る。都道府県には地方人権委員会に設ける方向だ」と答え、政務三役の協議で「新たな人権救済機関の設置について(中間報告)」]をとりまとめた。マニフェストの原点に戻って人権擁護法案の成立を急ぐべきであろう。
国連でも日本の人権状況の立ち遅れがしばしば指摘されているが、民族学校を徒党を組んで襲撃するような事態をこれ以上放置することは許されない。
今回逮捕された在特会副会長の川東は大阪府枚方市で電気工事業を営み、在特会京都支部運営担当の西村は京都市右京区のマンション管理人で、4人はいずれも30〜40代の男性だ。
在特会は06年12月、桜井誠(38)を会長として設立され、ホームページを通じて会員を募り、東京本部のほか北海道から鹿児島まで全国に26支部があり、会員は約9千人いるという。在日韓国・朝鮮人に特別永住資格を認める入管特例法の廃止を目標に掲げて発足したが、事前にホームページで参加者を募集し、街宣やデモの一部始終を録ったビデオをネットの動画サイトに投稿するなどして朝鮮学校への攻撃を繰り返すなど、次第に過激化、悪質化している。
警察は東京本部も家宅捜査の対象にしたが、その背後人物・組織を含めて犯罪行為の全容を徹底的に解明するべきである。
問題は、産経新聞などが拉致問題と無理に結びつけて在日朝鮮・韓国人を敵視し、朝鮮学校を排斥する記事を公然と流し、そうしたネット右翼に影響を与えてきた事実である。川東らが京都の朝鮮人小学校の前で叫んだことは産経新聞の記事のコピーにすぎない。
産経は人権擁護法案についても「言論の自由を脅かす」と称して反対しているが、人権を侵害し、人種差別を煽る言論にも自由があると考えるとしたら、筋違いもはなはだしいと言うべきである。
|
|
ホロコーストを引き起こしたナチスの人種法の本質は排外的なアーリア民族至上主義にあったが、産経新聞が高校無償化の朝鮮高校への適用に執拗に反対するのはそれと酷似している。無償化問題とは何の関連性がないいわゆる「反日教育」を問題視することにそれが端的に表れている。
産経の言う「反日教育」なるものは、南京大虐殺や朝鮮人強制連行、従軍慰安婦問題を否定し、ナチスとの同盟関係の下で進められた「大東亜戦争」を肯定する産経特有の主張に反することをさす。一種の極右思想であり、それを踏み絵に無償化問題に横槍を入れることに言論の自由を悪用するこの新聞の堕落がある。
今日の「朝鮮学校無償化 『思想教育』『反日教育』は判断材料にせず 文科省が説明」によると、「文部科学省が、北朝鮮による独裁政治の思想教育や歴史教育は適用の判断材料としていないことが9日、分かった。産経新聞の取材に、文科省初等中等教育局が認めた。反日教育を行い、北朝鮮の意向を反映させた運営をしている朝鮮学校の授業料を国費で無償化することへの不満が相次ぐ中、文科省の姿勢に批判が集まることは必至だ」という。
この記事がいかに偏向しているかは、中国人学校やアメリカンスクールに同じ問題をぶつけたらどうなるかを想像すればわかる。直ちに外交問題化し、国際的な非難を浴びるであろう。
特定の思想で他の思想や宗教を断罪するような暴挙が許されれば、中国や中東など社会体制や宗教が異なる国での日本人学校の運営はたちまち立ち行かなくなる。
教育を政治的に選別する産経の独善性は目にあまる。
文科省が数学、理科、国語など日本の高校と同じカリキュラムがそろっているかが検討材料となり、教科書の内容などについては判断材料にはなっていないとするのは当然ことであるが、産経は「金賢姫元工作員による大韓航空機爆破事件を『南朝鮮(韓国)当局のでっちあげ』と教え、・・・思想教育が行われているが、こうした点は問題にしていない」といちゃもんをつける。
テロリスト金賢姫の国賓待遇を社説で大歓迎した不明を恥じることなく、自紙の無知蒙昧な主張に沿わないと思想教育と非難するこの新聞のどこに良識が残っているのか。
この新聞の狙いは、「北朝鮮の指示を受け在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と一体で行われている学校運営などの問題点」とあるように、朝鮮総連潰しの一環として無償化問題をあげつらうことにある。
産経新聞は思想教育そのものに反対していないばかりか、積極的である。これまでの社説や各種記事を通して、戦前の侵略戦争を肯定し、軍国主義教育の基本となった教育勅語を賛美し、その方向での憲法や教育基本法の改悪を主張している。
つまるところ、朝鮮高校はその思想に反しているから気に食わないのである。
度し難い我侭である。
|
|
産経新聞が安明進元工作員らのデタラメ情報をもとに、「朝鮮学校は拉致工作員養成所」などと誹謗中傷を繰り返したことはまだ記憶に新しい。
朝鮮高校への無償化除外キャンペーンもその延長線上にあり、在日朝鮮人を差別し、民族教育を弾圧することに目的がある。
国連人種差別委員会の警告を無視し、朝鮮高校を除外する差別政策の言いだしっぺは中井拉致担当相であるが、嘘を平気でつく性癖があるようだ。
「西岡力の嘘と北朝鮮幻想」で指摘したように、さる3日の衆院予算委員会で金賢姫の遊覧飛行を批判され、「韓国側から頼まれた」と苦し紛れの嘘の答弁をしたが、案の定、後になって韓国政府から「事実無根」と抗議される醜態をさらけだしている。
国会での嘘答弁は議員失格ものだが、中井氏は4日の国会でも「(金元死刑囚から)『横田めぐみさんと田口八重子さんが生きている』とはっきりお答えいただいた」と答弁した。産経新聞が例のごとく大きく伝えたが、これも真っ赤な嘘。
朝日新聞によると、「金元死刑囚は横田めぐみさんについて、昨年5月に日韓両政府関係者に、工作員教育を一緒に受けていた金淑姫(キム・スッキ)の紹介で1980年代に平壌で会った、と初めて証言。その際、『横田さんがその後、どうなったのかはわからない』と答えていた」。
「日本政府が横田さんの両親に伝えたところ、両親は情報を公開しないよう求めたという」。
中井氏の嘘にはなれっこだが、問題なのは、横田夫妻ら家族会を巻き込んで嘘の情報を流し、国民世論を誘導していることである。
横田夫妻が事実から顔を背け、「めぐみは生きている」と言い張るのは、被害者の親の情として理解できないわけではない。しかし、私的感情と公共は自ずと区別しなければならない。
これまでも西岡力「救う会」会長代行や荒木和博「特定失踪者問題調査会」代表らに操られ、安元工作員の偽情報をさも真実であるかのように産経などマスコミに垂れ流すのに利用されてきた。
被害者感情を出汁にする卑劣極まる手法だが、全く同じ構図を産経新聞の「『なぜ密室で』批判集中 朝鮮学校無償化問題」なる記事に見ることが出来る。
|
|
国連人種差別撤廃委員会はさる2月、人種差別撤廃条約に基づいて9年ぶりに日本の人権状況を審査する会合を開き、高校無償化での朝鮮学校除外を「差別、人権保護に反する」と批判した。
文部科学省が専門家会議の答申を受け除外措置を解除するのは当然のことで、遅きに失した感すらある。
本来なら民主党のマニフェストに従い、一般高校、中華学校、アメリカンスクールなどとともに4月から適用すべきところを、朝鮮高校だけを除外したのは教育行政に差別を持ち込んだものとして大きな汚点を残した。
中井拉致問題担相らが何の関係もない拉致問題と絡めて政治的に差別することをゴリ押しした結果であり、テロリストの金賢姫元死刑囚を国賓待遇した非常識な感覚に教育行政が引っ掻き回されたと言えよう。
報道によると、学校制度や教員養成の専門家、大学の学長経験者ら6人の委員が、事務局の文科省職員が全国に10校ある朝鮮高校学校を訪ね、カリキュラムや教科書などの資料提供を受け、授業風景や施設などを見学し、検討を重ねた結果、「日本の高校に類する教育をしており、区別することなく助成すべきだ」と判断し、4月に遡って適用するという。
当然のことである。いまさら言うまでもないが、朝鮮高校からは系列の朝鮮大学以外にも、東大、京大、早慶など日本の一流大学、大学院に多数進学しており、卒業生からは大学教授も少なからず誕生している。
朝鮮大学と日本の大学双方で教えた私の経験からも、朝鮮大学の学生の質は日本の大学に負けないものがあり、付属高校も日本の高校の平均以上の学力がある。
朝鮮語と日本語を同時に学ぶバイリンガル教育は個性的で、日本社会にとっても貴重な人材育成の場となり、近年、卒業生は国際的な人材を求めるIT企業、大企業にも進出している。
今回、そうした実情が広く知られたのは不幸中の幸いと言えよう。
しかるに、教育に人種差別や政治を持ち込み、進展しない拉致問題の腹いせで弾圧しようと良からぬことを考える不純な勢力が、除外措置の継続を求めて懲りずに蠢動している。
その中心となっているのが、産経新聞と、西岡力「救う会」会長代行、荒木和博「特定失踪者問題調査会」代表らのグループである。
「高校授業料無償化問題 産経新聞に良識は残っているか?」でも指摘したように、いずれも国内外の批判を浴びた金賢姫訪日計画に薄暗い「密室」で関与し、賛同してきた特殊な集団である。
例のごとく家族会を出汁に使い、「なぜ密室で」などと的外れの非難をふっかけているのは偶然ではない。
|


