河信基の深読み

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韓国経済

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逆転する日韓一人当GDP

日韓の一人当名目GDPが早ければ今年度中に逆転するかもしれない。
アベノミクスが量的緩和で円安に誘導しているからである。

2014年末の時点で、日本のGDPは世界3位4兆6163億ドル、一人当は世界27位3万6332ドルであった。
韓国はそれぞれ13位1兆4169億ドル、31位2万8100ドルであった。
因みに、中国は世界2位10兆3803億ドル、80位7589ドル。

同年の日本の経済成長率はマイナス0・06%であるのに比して、韓国はプラス3・7%と差は急速に縮まっている。
IMF予測では韓国の一人当GDPは今年3万1160となり、2018年に3万5938ドルに達する。
順当に行けば3年後に韓国の一人当GDPは日本を超えると予測される。

ところが、アベノミクスによる円安ドル高ウオン高誘導がそれを一挙に早めそうなのである。
分かりやすく言えば、1ドル150円となったら日本の一人当GDPは2万円台となり、日韓は完全に逆転する。
円安は止まりそうもなく、その可能性は十分にある。

日本では円安を福の神ともてはやす風潮が一部にある。
確かに、輸出企業には価格競争力が増し、追い風になるだろう。
しかし、実態は疫病神である。庶民が実感しているように、輸入に頼る食糧品を高騰させ、国民生活を直撃している。貿易赤字は膨らむばかりである。

そもそも円安は日本の国富を海外に流出させ、国力を衰退させる。そのことは経済理論をこじくり回さなくとも、1970年代を振り返れば一目瞭然である。
当事、1ドル360円であったが、いわゆるニクソン・ショックで為替変動制に移行し、1ドル200円から100円台へと急変し、日本の名目GDPは3倍に膨れ上がり、「ジャパン アズ ナンバー1」ともてはやされた。

現在はその逆を行っており、日本経済は限りなく縮小しつつある。
それがアベノミクスの実態である。

韓国の一部に円安ウオン高で対日価格競争力を失ったことにバタバタする動きが見られるが、国力は確実に上昇している側面を見落とすと対応を誤る。
日韓はダンピングのような後進国レベルの価格競争をしている場合ではない。協力して、世界市場を開拓する段階に来ている。
韓国経済に対する否定的な報道が日本のメデイアに目立つが、世界最大の中国市場を奪われたやっかみ半分と見た方が良い。
昨年、韓国の対中輸出額は日本を抜いてトップになったが、要因の一つに、日中対立で日本が対中輸出を減らした分を埋めるように韓国製品の輸出が増えた事がある。

これまで何度も指摘したように、昨年、韓国の貿易黒字は史上最高を記録し、反対に日本は史上最悪の赤字を出した。
無論、両者には相関関係がある。漁夫の利、というわけであるが、安倍政権の対中政策に変化がない限り、今年はさらにこの傾向が強まるだろう。

今年上半期の韓国経済には景気のよい数字が並ぶ。海外プラントの受注額がイラクのカルバル製油設備60億ドルをはじめ337億ドルで前年同期比プラス20・2%。自動車輸出額は完成車255・3億ドル、部品135・8億ドルで同プラス5・4%。情報通信機器類838・3億ドル同プラス3・2%。
いずれも過去最高である。通年で昨年に続き貿易総額1兆ドル突破は間違いあるまい。
情報通信機器類の輸出額の半分の416・8億ドルが対中と、中国の比重が高まっている。

外需依存度がGDPの半分に達すること、中国の割合が3割以上占めることをマイナス要因のように指摘する論調があるが、根本的な視点が間違っている。
輸出、特に対中輸出が急増しているためにGDPに占める割合が高くなっている。つまり、急増する輸出が経済成長を引っ張っているのであり、プラス要因である。
それに付随する措置を適切に取ればバランスが取れた成長が可能であり、それほど難しいことではない。

その意味で習近平主席の国賓訪韓の意義は極めて大きい。
朴槿恵大統領との共同声明には、23分野、90のプロジェクトで合意した事が記されている。それ以外にも12の協定が結ばれ、韓中の経済関係は飛躍的に強化されよう。
その中には鉄鋼のポスコが中国に33億ドルを新規投資することなどが含まれる。日本の対中投資は減少しているが、韓国の対中投資増加はそれを埋めて余りある。

中国の銀行がソウルに支店を開設し、ドルではなく人民元で直接決済する事で合意したことも注目される。
ベルリン、ロンドンに次ぐが、世界最大の中国市場を巡って韓国、ドイツ、イギリスがしのぎを削る中、日本は一歩も二歩も立ち遅れた。

新経団連会長を出した東レ社長は「韓国への素材輸出を強化し、間接的に対中輸出を増やす」と新経営戦略を明らかにしたが、日中対立が続く限り、同様にシフトする日本企業が増えてこよう。
外交不毛が招いた日本企業の下請化現象である。

ウオン高による採算悪化や旅客船沈没事故による内需冷え込みで韓国経済が減速したのは事実であるが、部分的な影響に止まっている。
韓銀は今年の成長率予測を4%から3・8%に下方修正したが、アベノミクスで沸く日本より高く、OECD先進国では最も高い。
日本のメデイアではサムスンの減益減収が取りざたされるが、それでも7000億円台の大幅黒字であり、日本メーカーは足元にも及ばない。

習訪韓を王毅中国外相は「戦略的なパートナー関係を新たな段階に深めた」と絶賛した。
共同声明では対北朝鮮、対日問題はほとんど触れなかったが、非公開首脳会談でかなり突っ込んだやり取りが行われた事は間違いない。
それは今後、韓中が経済的な相互依存関係を強める中で具体化されていこう。

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