河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

東アジア国際関係論

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北朝鮮が昨日午前5時、元山から東方の東海(日本海)海上に国連決議違反となる短距離弾道弾2発を発射した。
安倍政権は「来月1日の日朝協議直前に何故?」と驚愕し、対応に追われているが、十分に予想された事である。
日本を中心に考えると「日朝協議で日本が出すカードに不満があり、直前に牽制した」とあれやこれや疑問符ばかり浮かんでくるが、視点を変えると北朝鮮の思惑が自ずと見えてくる。

金正恩政権の現下の最大の関心事は、前回も指摘したように、来月3、4日に迫った習近平主席の訪韓である。
朝鮮戦争を共に戦った同盟国であり、北朝鮮の貿易総額の9割を握る中国は、金正恩政権の命脈を握っていると言っても過言ではない。
その中国が北朝鮮の頭越しにライバルの韓国に急接近するのだから、心中穏やかでいられるわけがない。

中国は習主席訪韓を韓国だけを訪れる単一国賓訪問とし、最大限の礼をとった。北朝鮮へのメッセージであり、同時に、安倍政権へのメッセージでもある。
「韓中戦略的パートナー関係」が一段と強化され、朝鮮半島は無論、東アジア情勢のバランスにも少なからぬ影響を与えることになろう。

労働新聞(電子版)は今日の一面で「金正恩第1書記が戦略軍を現地指導し、戦術ロケット発射を命令した」と伝えた。
前日のロケット発射を指しているが、注目すべきは、「任意の瞬間に発射する万端の準備を整えるように指示した」と報じたことである。
射程500キロのスカッドCと見られるロケットは韓国全土を網羅しており、金第1書記は明らかに韓国を間接的に恫喝している。
この種の過激なレトリックは今始まったことではないが、従前と異なり、深刻な孤立感と危機感を滲ませている。

同日の労働新聞には「核は永遠に放棄しない。核を放棄させる妄想を捨てよ」と朴槿恵政権を非難する記事が掲載されているが、韓中首脳会談で北朝鮮非核化問題が取り上げられることを牽制しているのである。
労働新聞は27日も金第1書記が「超精密化した誘導弾発射を指示」と前日の訓練を指導した記事を掲載し、軍事力を誇示しているが、対外的な効果は自ずと限られる。
対外的な敵愾心を煽ることで国内を引き締め、韓中首脳会談が及ぼす影響を未然に、最小限に抑えようと腐心していることが読み取れる。

中国トップが自国を無視し、韓国を先に訪れる事態は、一般北朝鮮国民はさることながら、北朝鮮指導部に深刻な動揺を引き起こすことになろう。
金第1書記の指導体制にも亀裂が生じかねない。
核を前面に掲げる強硬路線で押しきるか、核放棄・改革開放に切り替えるか、金政権は重大な岐路に直面しているが、当面は強硬路線で凌ぐ作戦のようである。

それを補完するものとして位置付けられているのが、日朝協議である。
安倍政権が朴槿恵政権、習近平政権と対立し、米国との関係もギクシャクしていることを北朝鮮は理解している。日本人拉致問題を政権浮揚に利用しようとしていることも先刻承知である。
日本を北朝鮮包囲網から切り離し、経済再建に不可欠な経済協力を得ようというのが、北朝鮮の思惑である。

安倍首相も韓中首脳会談で歴史認識問題が取り上げられ、両国が対日共闘を強化してくるのではないかと、戦々恐々としている。
8月訪朝説が飛び交うほど前のめりの姿勢を示すのは、日朝協議で拉致問題を解決して低下傾向の支持率アップに繋げ、あわよくば北朝鮮カードで韓中を牽制したいと考えているからである。

しかし、日朝協議は拉致問題で早晩、行き詰まろう。
安倍政権が「8人全員生存、生還」を前提にしている限り、科学的生物学的に解決不能だからである。
特別調査委員会に国家安全保衛部が加わるかどうかといった手続き上の問題以前のことである。
核・ミサイル問題で妥協しないようにと米国から釘をさされており、拉致問題で思うような進展がなければ動けないだろう。

金政権は食糧難の深刻化、外貨不足による経済活動停滞など未曾有の危機に直面し、出口のない核・経済並進路線は事実上、破綻している。
韓中首脳は、北朝鮮が核放棄さえすれば支援するとの姿勢を再度表明しよう。
手遅れにならないうちに軌道修正するしかない。
習近平主席が7月3、4日に訪韓することが固まった。
中国トップが伝統的な友好国の北朝鮮や経済的な繋がりの強かった日本よりも先に韓国を訪問することに、その政治的経済的な意義が端的に現れている。
結論から言えば、中国は政治的には北朝鮮より韓国に、経済的には日本より韓国にウエートを移しているということである。
それだけ韓国の存在感が高まったということであり、朴槿恵外交の成果と評価出来る。

習訪韓は形式的には、昨年6月の朴槿恵大統領の訪中への答礼と位置付けられている。
王毅外相の5月訪韓で議題は実務的に煮詰められており、北朝鮮の非核化と四回目となる核実験阻止が中心となる。
過去4度の朴・習会談でも北朝鮮非核化で合意しているので、今回は相当に突っ込んだものとなろう。

具体的には金正恩政権に圧力と対話の硬軟両面から核廃棄を迫る手立てが協議されよう。
両国とも現時点では金政権の打倒は考えていない。核廃棄させ、改革開放に誘導するのが狙いである。
1995年に訪韓した江沢民主席はサムスン、現代などの工場を視察して帰った機上で「国土が狭く、人口が少なく、資源もない国がどうして30年であそこまで発展したのか。我らが手本にすべき経験とは何か、考えさせられた」と述べた。
トウ小平の改革開放政策が「漢江の奇跡」を興した朴正煕の開発独裁を手本にしていることを示すエピソードである。私が『朴正煕 韓国を強国に変えた男』の執筆を思い至ったのもそれを知ったからである。
朴正煕大統領の娘が大統領になったのも、何かの因縁であろう。

2012年から続いている韓中FTA交渉にも弾みがつこう。日中対立で漁夫の利を得る形で世界最大の市場を日本企業から奪いつつある韓国企業にとっては、一段の追い風となる。
韓中が経済的相互依存関係を強めることは、外交にも微妙に影響せざるをえない。

経済難、特に深刻な外貨不足に喘ぐ金政権には、生命線である対外貿易の大半を依存する韓中に足並みを揃えられると苦しい。
核を前面に出した強硬策は限界である。第四次核実験に突っ走るようなことでもあれば、中国との交易は全面遮断され、韓国の支援で運営している開城工団も閉鎖ということになりかねない。北朝鮮崩壊である。

瀬戸際の金正恩政権は、核廃棄を前提にした6ヶ国協議に応じ、経済支援を得る方向に舵を切らざるを得ないだろう。その時期が遅れるほど後がなくなる。
拉致問題を取っ掛かりに日本との対話を進めて活路を開こうとしているが、同床異夢で、現実的には難しい。
北朝鮮の社会経済レベルは国民所得、インフラ、産業構造、そして、先軍を標榜する軍事独裁体制など1970年代の韓国と同レベルであり、朴正煕モデルを適用する条件を備えている。

金正恩政権に劣らず習訪韓に神経を尖らしているのが、安倍政権である。
「日米韓の連携を崩す」(読売新聞)との見方は一面的、というよりも、我田引水である。韓国にとって日米韓連携は北朝鮮非核化に必要なものであり、実質的に中国の協力なくしては機能しない。
読売は安倍政権の目論む対中包囲網として日米韓連携を考えているから、韓中接近=韓日離間となるが、韓国には最大の貿易相手であり、戦略的互恵関係にある中国に対してそうした発想はありえない。

中国が韓国に対して、5月に中ロ首脳が中心になって「アジアによるアジアの秩序」を謳った上海宣言に同調することを求めてくる可能性はある。
経済的な相互依存関係を強めながら、覇権を争う中国と米国を仲介する役割を果たせるか、朴槿恵外交の腕の見せどころである。
オバマ大統領の安倍首相への不信感は、かなり根深そうだ。韓国、中国と無用の摩擦を引き起こすトラブルメーカーと敬遠している節がある。
それを如実に示したのが、日米の一体感を誇示するはずの共同声明発表が首脳会談後と設定された当初の予定から大幅に遅れ、オバマ大統領が今日午前、韓国へと出発する直前までずれ込む異例の展開となった事である。

首脳会談直後の昨日午後の共同記者会見は、両者の思惑のずれをうかがわせた。
オバマ大統領はあくまでも経済重視でTPPに力点を置いたが、対照的に安倍首相は、中国と領有権を争う尖閣を念頭に日米同盟強化を強調した。
オバマ大統領は、尖閣について日米安保条約5条の適用対象と安倍首相への配慮を見せた。第1列島線を意識していたことは言うまでもない。
だが、「主権(領有権)についてはどちらの側にも立たない」と明確に釘をさし、逆に、中国との対話に努めるようにと注文をつけた。

安倍首相は尖閣を安保適用対象と声明文に明記したのは画期的と自画自賛するが、オバマ大統領は「これまでもヘーゲル国防長官らが言及し、目新しいことではない」とやんわり交わした。また、米記者がレッドラインを問うと「レッドラインは引かれていない」と含みを残した。
それは例えば、韓国が施政権を行使している独島(日本名竹島)は韓米防衛条約の適用対象というに等しい。

むしろ、オバマ大統領が力による現状変更は認めないと強調したことに意味がある。
中国への牽制であると同時に、南西海域への自衛隊出動を頻繁に行う安倍首相に対する戒めでもあったろう。

従軍慰安婦や靖国参拝問題などを通して、安倍首相が戦前肯定の危険なナショナリストの論調がニューヨークタイムズやワシントンポストなど有力紙に溢れている。
国賓でありながらオバマ大統領に夫人が同行せず、迎賓館宿舎を断っている異例の対応にも安倍氏と距離を置く姿勢が出ている。高級寿司程度で懐柔するのは難しい。

安倍首相は尖閣を日本固有の領土と認めて貰いたかったが、失敗した。
オバマ大統領と習近平主席の間には、安倍首相の思惑を許さない、新型の大国関係を築く基本的な合意が出来ていると見るべきである。
オバマ訪日の直前、北京発のロイターが「中国外務省が23日、(尖閣の)領土問題ではどちらか一方に加担しない約束を守るように米国に求めた事を明らかにした」と報じた。
さりげなく示された「約束」こそ、安倍が割り込めないオバマ・習の新ルールに他ならない。現に、記者会見を見た中国政府幹部は「想定内」と冷静に述べている。
オバマ大統領は中国を最大のパートナーと見なしており、安倍首相が描く対中包囲網など全く考えていないのである。

前回も指摘したが、オバマ政権のアジアへのリバランスの基本は、力による現状変更に反対し、平和の枠組みの中で域内通商を活発化し、米国の利益を最大限、追及することである。
その限りで、尖閣や南シナ海での中国の膨張を抑止し、そのために日韓との防衛協力を強化しようとしているのである。

オバマ大統領は記者会見で「(一昨年発効した)韓国とのFTAはうまくいっている」とモデルとして挙げ、安倍首相に牛豚肉や自動車への関税や規制撤廃で勇断するように促した。
日中共同声明発表をギリギリまで遅らせたのも、経済重視、通商最優先を示している。

地域最大のホットイシューになっている尖閣の領有権に言及しないのは、沖縄返還や1972年の日中共同声明当時を基準に領有権を棚上げする狙い、と読める。
その線で日中を仲裁しようとしているのだろうが、現実的にもそれしかありえない。

オバマ訪日当日の23日に朴槿恵大統領が習近平主席と電話会談しているが、米中の間を取り持つ狙いがあったとみられる。
間もなく始まるオバマ大統領との会談では、北朝鮮問題のみならず、日韓、日中、米中など地域の安保が包括的に話し合われよう。

日本経済が長期停滞に陥り、地震、原発事故で国力が衰退する一方で、中国、韓国が力をつけ、勢力図の変更を企むナショナリズムが急台頭する中、地域の秩序を維持するには、最低限、力による現状変更を許さない協力体制の確立が求められる。
私の見立では、それが当面、地域の平和と安全の鍵となる。

もう一つのホットイシューが北朝鮮核問題であるが、すっかり尖閣問題の陰に隠れてしまった。
オバマ歴訪に合わせるかのように、金正恩政権は「新しい形態の核実験」を声高に主張し、第4次核実験の動きを見せているが、オバマ大統領は記者会見で日米韓が共同で対処することを訴えたが、付け足しの感がある。
確かに北朝鮮核問題は日韓米を結束させる刺激材であるが、それ以上でもそれ以下でもない。

北朝鮮は米国との直接交渉に持ち込もうとしきりに核、ミサイルをちらつかせるが、圧倒的な核戦力を有する米国にとっては、実は大したことではない。
日韓を米国の核の傘に依存させ、軍需産業を喜ばせ、多面的な用途があるミサイル防衛網構築に利用する存在でしかない。

北朝鮮は韓国頭越しの対米直接交渉で在韓米軍撤退に結び付け、南北統一の主導権を取ろうと考えているが、永遠に実現不可能な真夏の夢でしかない。
韓国のGNPの50〜60分の1でしかない経済小国北朝鮮を、米国は韓国以上に意味のある交渉相手とは全く見なしておらず、ましてや、力による現状変更など在ってはならないのである。
それは中国も同様であり、金正恩政権は軍事偏重が全くの時代錯誤であることを知らねばならない。
韓銀によると、今年1月〜3月期の韓国の経済成長率は年率3・9%と3年ぶりに上昇気流に乗っており、北朝鮮との差は開くばかりである。

北朝鮮が東アジアでの存在感を取り戻すには、一にも二にも国民に食糧も満足に行き届かないほどに凋落した経済を再建するしかない。
そのためには、先ず北朝鮮経済の発展を妨げている核を放棄し、地域のまっとうなメンバーに復帰することである。核を放棄すればウクライナやリビアなどのように体制崩壊を招くとするが、状況が根本的に異なる。
以前から指摘しているが、身の丈にあった安保体制を構築すれば良い。すなわち、金日成時代はソ連の核の傘に、金正日時代は中国の核の傘に依存していたように、中国との関係を修復すれば体制は十分に保障される。

最大の課題の経済再建であるが、私が提唱している開発独裁=朴正煕モデル(『朴正煕・韓国を強国に変えた男』参照)が経済合理主義からも政治体制的にも、北朝鮮の実情に最も即した経済開発システムである。
先程、韓国の現代経済研究所が北朝鮮の経済状況を分析し、1970年代の韓国と同程度のレベルと評価した。
GDPが854ドル(韓国の3・6%)で、農業人口が全産業人口の3分の1。電力、セメント、鉄鋼生産量、社会インフラなどが合致すると診断した。

プライドを云々している場合ではない。教育が普及した優秀な人材、豊富な資源、韓国と中ロを結ぶ有利な立地条件を活かせれば、10年、20年で後れを取り戻すことも不可能ではない。
軍事偏重の非効率的な政治を根本的に転換する必要がある。

アテンション:
本稿(上)(中)(下)は明26日の講演(渋谷勤労福祉会館午後2時〜)の準備原稿である。
前回、歴史的な転換局面にある東アジア情勢は軸が不透明で読みにくいと書いたが、全く手掛かりがないわけではない。
土台をよく観察すれば、何が立ち上がろうとしているのか、自ずと見えてくるものがある。

マクロ的には、東アジアで最大の経済力を有するのは二言するまでもなく中国である。GNPは昨年暮れで日本の2倍だが、年7%台の成長力など潜在能力を総合すれば、それ以上の市場価値が期待できる。
しかし、中国の一人当たりGDPは、日本、韓国の数分の1に止まり、発展途上国のレベルである。
このギャップが事態を不透明にしているが、長いスパンで見れば、やがて解消する性質のものであり、落ち着くべきところに落ち着くであろう。

過渡期にある東アジアの最大の特徴は、膨張する地域市場の争奪戦にある。メインは中国市場であり、日本、韓国、アセアン市場がそれと連動している。
レーニンの時代の市場争奪は帝国主義列強による軍艦外交的な領土割譲と一体化していたが、現在は趣を根本的に異にし、軍事は背後に退いている。
しかも、メインプレーヤーとして中国資本が存在感を高め、それに米国、日本、韓国、アセアン諸国が絡む新構図となっている。

中国としては、引き続き外資誘致と輸出振興を柱に、豊富な労働力と地下資源、巨大な国内市場を用いて海外からさらなる資本・技術を呼び寄せ、他方で、米国をはじめとする輸出市場を拡大しなければならない。
その意味で米国と競合的かつ相互依存的であり、対等な関係、すなわち、習近平主席がオバマ大統領に求めた新型の大国関係構築は経済的な合理性に基づいた不可避の要求となる。

一方、膨大な国家債務と失業に苦しむ米国にとって、広大な中国市場は希望のフロンテイアである。
だが、中国は国有企業中心の保護主義の厚い壁があり、米企業の自由参入が阻害されている。
そこから、市場開放を巡って米中間に不信感と摩擦が生じることになる。

そこに、中国の後塵を拝することを潔しとしない日本が加わってくる。米国と共にTPPを推進し、中国に市場開放圧力を加える。
しかるに、ナショナリズム的な「強い日本」復活を公約にした安倍政権が登場し、にわかに乱気流が起きる。中国への対抗心を剥き出しにし、尖閣諸島問題で激しく対立するのである。

日中軍事衝突は、経済重視のオバマ政権にとっては望ましいことではない。軍事による現状変更は、如何なる形でもあってはならない。
安倍政権が靖国参拝を繰り返して韓国、中国を刺激し、集団的自衛権解釈改憲に前のめりになっていることに、無用な紛争を起こすのではないかと懸念を持ち始めた。
親日派で知られたアーミテージ元国務副長官までが、今日、東京で石破自民党幹事長らと会談し、「急ぐことはない」とブレーキをかける発言をしている。

そうした中、韓国がユニークな存在感を発揮している。
米中双方と良好な関係を維持し、米中の緩衝剤としての役割を果たす。
日本ではそうした朴槿恵大統領の外交姿勢に対して二股外交、告げ口外交とやっかむ声があるが、時代を見据えたしたたかな戦略外交と評価すべきである。対照的に、感傷的な安倍首相の外交は戦術あって戦略がない。

虚々実々の外交の妙味と言うべきであるが、韓国は日中対立で漁夫の利を得る。
日本にとって代わるように対中貿易を増やし、昨年、中国の最大の貿易輸入国は韓国が日本を抜いて1位となった。歴史的な出来事と言っても過言、ではない。
26日に渋谷の勤労福祉会館で講演(午後2時〜)を予定しているが、与えられた演題が「東アジアの平和と安全」。これが思った以上に難しい。
逆に言えば、状況がそれだけ複雑、かつ切羽詰まっているからである。耳障りのよい一般論で済ませられない。

たまたま先の日曜日のNHK日曜討論で、似たような問題が取り上げられていた。テーマは安倍政権が強引に解釈合憲を企む「集団的自衛権」であるが、隠れたテーマは「日本の平和と安全」であった。
論者が二手に分かれて侃々諤々の賛否両論を闘わせていたが、争点は大きく、北朝鮮の脅威にどう対応するか、軍事増強を続ける中国にどう向き合うか、の二点である。
安倍首相の意向を受けて集団的自衛権を正当化する報告書をまとめている北岡伸一・安保法制懇座長代理が「中国は首脳会談に会ってもくれない。どうすれば良いのか」と匙を投げていたが、その種の疑心暗鬼から軍事に頼ろうとし、地域の緊張を必要以上に高めている事は否定できない。

同じことが東アジア全体にも言えよう。
東アジア国際政治のプレイヤーは日本、韓国、北朝鮮、中国、ロシア、それにアメリカの6カ国であるが、共通の規範意識が弱い。
とりわけ近年の米国の衰退と多極化の流れの中で、相互対話と意思疎通に齟齬が生じ、軋みが目につく。
ナショナリステイックな自己主張を強める各プレイヤーに自制を求め、相互不信を解きほごすのは、不可能ではないにしても、かなり難しい。

秩序には基軸が不可欠である。しっかりとした規範意識もそこから生じる。
しかし、冷戦終了に続く第2の歴史的な転換点に差し掛かっている東アジアではそれが不透明であり、事態を読みにくくしている。

ソ連消滅で米国一国主義が2000年初頭まで続いたが、アフガン、イラク戦争で米国が経済的軍事的に衰退し、世界の警察の役割を果たせなくなった。
シリアに続くウクライナ問題は、そのことをはっきりと示している。

オバマ政権が「米国は太平洋国家である」と唱え、アジア重視のリバランスを打ち出したのは必然的とも言える。
米国の輸出額の3割はアジア向けであり、2割の欧州を上回っている。オバマ大統領は今年1月の一般教書演説で輸出拡大と雇用創出を訴えたが、世界経済のエンジンであるアジアの成長力を取り込むことは、膨大な国家債務に苦しむ米国経済再生に必須の課題となっている。

ところが、オバマ政権のリバランスは新戦略と銘打っていながら、曖昧な部分があり、戦略としては心許ない。
何よりも、東アジアで経済的軍事的に存在感を増している中国との関係が定まっていない。GDPで日本の倍となった中国市場に積極参入し、他方で軍事力で牽制しながら経済・安保両面で取り込むのがホワイトハウスが描く基本戦略だが、大国意識に目覚めた中国が風下に立つことを潔しとしない。

習近平主席は昨年6月の米中首脳会談で「新型の大国関係の構築」を求め、オバマ大統領も否定しなかった。
より、正確には、否定できなかった。ここが重要であるが、米中の力関係が総合的に接近していることを物語る。
米国の軍事費は昨年中国の3倍だが、中国のGDPは2020年までに米国を抜くと見られており、米国の軍事的優位がいつまでも保たれる保証はない。

米国もそのことを意識し、日本、韓国との同盟関係を強化することで補おうとしている。
中国も手をこまねいているわけではなく、旧ソ連時代の同盟国のロシアと急接近している。
クリミア併合でロシア非難に加わらなかったのもそのためであり、訪中したラブロフ外相は15日、王毅外相と会談し、「アジアの安全はアジアで解決できる」と米国抜きの安保体制構築の構えを示した。

東アジアはリーダー不在のGゼロになるのか、米中G2に向かうのか、まだ現時点では読みきれない。
それを日本、韓国、北朝鮮、それに、ロシアが固唾をのんで見つめている。

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