河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

小泉・・・→安倍晋三

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 支持率下落を止める最後の切り札はこれしかないとばかりに、麻生首相が昨日の都議選応援遊説で「我々は戦うべき時は戦う」と、北朝鮮との戦争の覚悟を披瀝してみせた。
 「カザフとのサッカーも勝った」と国名を間違えて例えるくらいだから、焦りから失言壁が飛び出たとの見方もありうるが、危険きわまるのは、北朝鮮との敵対感情を煽れば政権浮揚につながるという発想である。

 安倍晋三官房副長官が「蓮池薫氏ら拉致被害者5人の一時帰国約束はなかった」と嘘をついて国民をだまし、一躍“対北朝鮮強硬派”のヒーローとなって首相ポストに駆け上がった前例に味を占めてから、自民党は政権延命という党利党略的な発想で北朝鮮危機を高めてきた(「『証言』プロローグ小泉第二次訪朝の謎」参照)。
 そうして、「核爆弾を持ち、運べる能力も持っている。それを敵国の日本に撃つ意欲があると、言っている」(麻生首相)と核保有国との戦争までありうる危機レベルに達してしまったが、自民党に自ら事態を悪化させたとの自覚は全くなく、逆に、9条改悪・敵基地攻撃・核武装へと突き進むことで国民を道連れにしようとしている。
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009060802000070.html

 それを狂気のシナリオと言わずして何と言おうか。
 人工衛星ロケットに対して麻生政権が迎撃の構えを見せたとき、北朝鮮は「迎撃すれば敵基地と本拠地(首都=東京)に対してあらゆる手段で報復する」と核報復まで示唆したが、日本が求める臨検などの制裁措置に対しても、8日付労働新聞は「宣戦布告とみなし、自衛的な措置を講じる」と警告している。
 麻生政権は北朝鮮の恫喝外交に乗せられ、同じ土俵に上がってしまったのである。
 対話の主導権を握るために危機を拡大するのが北朝鮮のパターンだが、軍事偏重の陥穽に落ちてしまった麻生自民党政権では、火に油を注ぐだけで、それに対応するのは不可能である。

 麻生首相が胸からはずさないブルーリボンバッジは一種のお守りだが、それが利いてか日本のメディアの反応は鈍いが、6か国協議参加国は警戒感を高めており、日本が強く求める安保理制裁決議にも影響を与えている。
 崔天凱・駐日中国大使が「(敵基地先制攻撃論や核武装論は)当面の問題を解決する上で何ら役に立たない。日本の利益にも弊害が出る」と警告し、昨日の日中外相会談でも楊外相が「適度なバランスある対応が必要だ」と諭した。
 米国も中国に同調せざるを得ないであろう。北朝鮮の核実験は許されることではないが、危機の実体を解消しないことには問題は解決しないからだ。

 核保有国との軍事衝突の覚悟を有権者に訴える自民党の暴走を止め、今そこにある北朝鮮核危機を効果的に管理するには、政権交代でリセットし、断絶状態の北朝鮮との対話を復活させるしかあるまい。
 次期首相最有力候補の鳩山由紀夫民主党代表は「(核)議論自体も日本国民として許されない」と明言しているが、そこから北朝鮮との核軍拡競争に終止符を打ち、北朝鮮と東アジア地域を非核化へと誘うビジョンが出てくる可能性があり、また、期待したい。

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 「三男の金正雲(キム・ジョンウン)後継内定説」を、日韓米メディアが大きく報じはじめた。次男正哲(ジョンチョル)説も消えておらず断定はまだ早いが、私が04年末に出した「金正日の後継者は『在日』の息子」の方向で動いていることは間違いない。
 その意味するところは金正日先軍路線の継承であり、通米正面突破戦略が継続するということである。世襲が望ましいことではないことは二言するまでもないが、権力の空白化や不安定化による混乱がなくなり、核管理がより安全になるという点があることも無視できない。

 さて、今日、北朝鮮中央裁判所が米記者二人の裁判をする予定だが、予想した通り、米朝関係に新たな動きが出てきた。
 クローリー米国務次官補(広報担当)は3日(米時間)、「駐朝スウェーデン大使が1日に二人と面会したことに力づけられた。早期釈放を期待している」と述べ、さらに、共和党議員が要求しているテロ支援国家再指定に関して「法的要件がない」と否定し柔軟姿勢を見せた。ゴア元副大統領訪朝説も流れており、ワシントンポストなどが「米朝対話の兆しが出てきた」と水面下の接触を伝えている。

 先月にイランで逮捕された米女性記者釈放後、米国はNATOとともにイランに対してアフガン戦争への協力を求めているが、オバマ政権の新アプローチ外交が始動しているとみられる。
 「安保理決議と制裁だけでは問題は解決できない」(楊・中国外相)と冷静な対応を求め、米朝対話を促す中国の役割が否応でも増大していくだろう。

 それと反比例するように、制裁だ、圧力だと一人前のめりになっている麻生政権は浮き上がっていくであろう。
 人工衛星打ち上げロケットに対して“迎撃騒動”を繰り広げた麻生政権によって、北朝鮮核危機は一触即発の日朝対決という最悪の状況にまで悪化してしまった。日朝間は外交チャンネルが断絶しているだけに、米朝間よりも事態は深刻である。
 
 北朝鮮核問題解決には最低でも数年掛かるから、日本としては、浮き足立たず腰をすえて取り組む必要があるが、硬直した麻生政権に軌道修正は難しい。現実的にも、任期切れが迫った麻生政権には荷が重過ぎる。
 四ヶ月内には誕生するであろう、民主党を中心とする次期非自民党政権に何よりも求められるのは、北朝鮮との失われた対話を復活し、一触即発の危機的局面を安定局面に転換させることである。

 中国メディアに北朝鮮核保有国容認論が表れたのは、エルバラダイIAEA事務局長が北京の記者会見(4月21日)で「北朝鮮を核保有国とみなしたほうが現実的である」と述べたことを受けてのことである。
 こうした重要な情報を日本のマスコミは報じていないが、知らなかったとしたら怠慢、故意に無視したとしたらミスジャッジである。状況が緊迫度を増しているだけに、国民には極力、客観的な判断材料を与える必要がある。

 北朝鮮は、無闇に暴走しているわけではない。
 東倉里(トンチャンリ)基地にピョンヤン近郊山陰洞(サンウムドン)兵器研究所から運ばれた飛翔体は、銀河2号ロケットより15メートル長い45メートルのICBMと韓国政府によって確認された。舞水端里(ムスダンリ)ではなく完成したばかりの西海岸の発射場を選んだのは、第一段が日本領海に落下することを避けるためとみられる。
 北朝鮮なりに周到に計算しているのだが、その目的は、米国に届く核弾道ミサイルを所有していることをデモすることで超大国・米国に対等な立場での交渉を求めることにあり、言わば、小国の捨て身の恫喝外交である。

 無謀と言えばその通りだが、外交的な戦略戦術の枠組みに止まる限りはそれなりの交渉術である。
 しかし、「核には核で対抗するしかない」との過激なロジックは、パラドクシカルかつシニカルな現象だが、米国の核独占に不満を鬱積させる反米諸国だけでなく、日本でも急速に支持者を増やしている。

 その典型がかの田母神・前航空幕僚長であり、近著『座して平和は守れず』で「核ミサイルを打ち込まれても『戦争放棄』するのか」「世界はみんな腹黒い。アメリカも国連も役立たず」と怪気炎を上げ、一部でやんやの喝采を浴びているが、実は、このロジックは労働新聞などで繰り返される北朝鮮の自主国防論そのものである。
 ミイラ取りがミイラになったわけだが、言論の自由と笑って済まされる話ではない。

 毎日新聞(6月1日)によると、「5月26日午前の自民党外交・国防・内閣合同部会で『(北朝鮮の)核の小型化が実現すると、我が国にとって現実的な脅威となる。策源地(敵基地)攻撃を検討せざるを得ない』との議論が交わされ、午後の国防部会・防衛政策検討委員会では『座して死を待たない防衛政策』として敵基地攻撃能力の保有を明記した文案が配布され、政府が年末に改定する『防衛計画の大綱』に向けた自民党の提言案となる」という。
 自民党全体が「田母神式リアル国防論」に前のめりになっているのであり、これが政権政党かとその短絡さに驚かされるが、末期政党たる所以だろう。

 先輩格の北朝鮮は、「敵基地攻撃論は葬送曲になる」と強く警告している。似たもの同士で互いに相手の好戦性を嗅覚で感じ取っているから、先手必勝とエスカレートする危険性がある。
 米朝、韓朝(南北)よりも、日朝軍事衝突の潜在的危険性の方が高い。北朝鮮は米国、韓国とは独自に外交チャンネルを有しているが、日本とは外交チャンネルが絶え偶発戦争の可能性が最も高いのである。
 http://www.kcna.co.jp/calendar/2009/05/05-29/2009-0529-007.html

 こうした危うい現象は、客観的には、日本が北朝鮮の土俵に引き込まれていることを意味するもので、後追いの日本には決定的に不利である。
 北朝鮮はすでに日本を射程に入れたノドンに核を搭載しているとの見方も出ており、敵基地攻撃は核報復を招く危険性がある。頼みの米国が北朝鮮に軍事行動を取れない理由は幾つかあるが、隠れた理由の一つは、日本と韓国が北の核の人質になっており、リスクが大きいことがある。
 かといって、北の核に対抗するために後追いの核武装に走れば、米国を含む国際社会の制裁に遭い、貿易立国の日本経済はたちまち立ち行かなくなり、大量の餓死者が出る事態も覚悟せねばならない。 

 袋小路のような状況は、政治の無能無策がもたらした結果でもある。小泉政権でせっかく日朝ピョンヤン宣言を結びながら、拉致問題解決を「最重要課題」とした安倍政権以降、制裁・圧力に極端に傾いてしまった。
 蓮池薫氏ら5人の「一時帰国の約束」など北朝鮮との取決めをその都度破り、非現実的な「奪還」を基礎に据えたためそうなるしかなかったのであるが、ブッシュ政権前期のネオコン路線に便乗し、「金正日政権は瀬戸際戦術でかろうじて持ちながらえており、もう一押しすれば崩壊し、拉致問題は解決する」との都合のよいストーリーを作り上げ、釈迦力になった。

 ところが、それは崩壊どころか、北朝鮮に核・ミサイル開発の口実を与えてしまった。
 つまり、日本の危機を自ら高めてしまったのである。

 そうした愚に終止符を打つためにも、政権交代によるリセットが必要なのである。
 『証言』で明らかにしたように、北朝鮮は日本との対話と共存共栄の関係を望んできたし、今も望んでいる。

 国連安保理の追加制裁決議協議が遅れているが、私は、北朝鮮に抑留されている2人の米国人記者の裁判が中央裁判所で行われる4日に合わせるように、ボズワース北朝鮮政策特別代表を含む米代表団が北京を訪れる動きと連動していると読む。
 キム・ソンイル駐中北朝鮮公使(北朝鮮6か国協議次席代表)と接触するとみられるが、その結果を見て中国は態度を鮮明にしてくるだろう。

 北朝鮮が米偵察衛星に見せ付けるようにICBM発射実験の動きを進めているのも、周到に準備された通米正面突破戦略の一環であり、オバマ政権に対する一種のデモンストレーションである。
 そのために謝罪要求などで国連を出汁にしていることは、中国もとうに承知していよう。 

 今回の核実験後の中国には、06年の第1回実験時に見られなかった動きがあった。
 政府の影響下にあるメディアに百家争鳴のように専門家の意見が登場し、6か国協議について枠組み維持説と失敗説で分かれたが、注目されるのは、「北朝鮮を核保有国として認めるしかない」との意見が現れたことである。
 胡錦涛政権が様々な選択肢を考えていることを示唆するが、従来通りに米朝直接対話による実質的な解決を促しながら、現在の6か国協議の枠組みについては柔軟な対応をしてくると思われる。

 胡錦涛政権が、麻生政権が他力本願的に期待する臨検・金融制裁などの追加制裁に応じる可能性はほとんどない。
 北朝鮮の核に対する脅威の認識が、日本のようにはないからである。その違いが日本では見逃され、中国に期待したり失望したりと、議論が空回りしがちである。
 
 中国にとって、「実効性ある制裁」は負担ばかり増え、現実的なメリットがまるでない。長い国境を接する経済的社会的な条件が、日本とは根本的に異なるためである。
 交易額がゼロ状態に近い日朝と異なり、朝中貿易は昨年、史上最高の増加率を記録した。核実験後も中国からノービザ観光客が北朝鮮を訪れるなど、経済交流は活発だ。先月から中国からのブラウン管テレビやパソコン輸入を禁止し、LCDテレビやパソコンに限定しているが、これも、中国資本との提携でブラウン管製品を製造しているテドンガン・テレビなど国内企業保護のためとみられる。
 
 なお、北朝鮮経済は世界同時不況に苦しむ日本とは対照的に、7〜8%台の高成長を維持している中国経済にあおられるように昨年来2〜3%のプラス成長を続けているとみられる。
 それを裏付けるように、昨年秋ごろから脱北者が激減し、また、脱北動機も単なる生活苦から韓国へのあこがれが増えている。

 さらに、第8回アジア安全保障会議に参加した中国人民解放軍の馬暁天・副総参謀長が「まだ制裁については議論していない」と言明しているように、中国人民解放軍が軍事戦略上の理由から制裁に反対している。
 胡錦涛国家主席が米国などとの国際協調を重視する外交部と中朝同盟維持を求める解放軍との間で板挟みになり、苦慮している可能性がある。
 http://www.asahi.com/international/update/0531/TKY200905300263.html

 しかし、軍を説得するのは難しいだろう。
 中国軍は北朝鮮の核実験を脅威とは考えず、むしろ朝鮮戦争で米国相手にともに戦った北朝鮮軍との戦友意識を強く感じているからだ。また、64年から始まった中国の核開発も朝鮮戦争におけるマッカーサー国連軍=米軍司令官の中国東北部への核攻撃計画へのトラウマがあり、自前の「核の傘」への欲求は北朝鮮軍と共通している。
 中国共産党としても、朝鮮労働党との伝統的な友誼は軽視できず、北朝鮮の不安定化で横腹に米国の影響力が及ぶような事態は歓迎しまい。
 北朝鮮と同時に米国を説得し、双方が手打ちすることで地域の勢力図の均衡を図ることになろう。

 景気、年金、雇用など国民の最大関心事への議論が噛み合わなかった不満は残る。
 だが、首相としての資質や能力、問題意識を知る上では有意義な党首討論であり、多くの国民も総選挙を前にして得るところが少なくなかったであろう。

 「どちらが首相にふさわしいか?」との各種世論調査で麻生首相を10ポイント以上離している鳩山代表が攻勢に出るのは、天の利。「情報が錯綜しているが、北朝鮮核実験の情報はいつ得たのか」と冒頭で切り出した。
 麻生首相は「明らかにしないルールになっている」と逃げたが、複数の政府高官から「核実験後」とリークされており、無責任の感が否めない。「蚊帳の外」と批判されるのを恐れ、はぐらかしたようだが、安全保障に関しても国民への情報開示の義務があるとの見識に欠けるのではないか。

 鳩山代表が三鷹の小学校におけるボランティア活動の具体例を挙げて「友愛」ビジョンを開陳し、「古い政治とはさよならだ」と訴えたのは、ディベート術としてもなかなかのもので、多くの視聴者の心に残ったことであろう。
 麻生首相は抽象的と反論したが、どこか抽象的なのか、反論自体が抽象的で空回りした。

 鳩山代表が「官僚のための予算」と景気対策の欠陥を批判したことにも、麻生首相は「国民の最大関心事は西松建設事件」とすり替え、執拗に小沢代表秘書逮捕問題を挙げた。
 当人は相手の弱点を突いたつもりだろうが、傍からは、景気・年金・雇用などをなおざりにする思い込みの強さと軽さが浮かび上がり、どちらが首相なのかと立場が逆転して見えた。

 ある意味で、それは麻生首相には薮蛇であったろう。
 鳩山代表が企業の政治献金全面禁止を訴えることをのらりくらりと交わし、政治とカネの問題解決に民主党は前向き、自民党は後ろ向きとのイメージを与えたからだ。
 さらに、鳩山代表が漆間官房副長官の「自民党には及ばない」発言を想起させたことで、「検察官僚」の偏向捜査に対する疑惑に改めて関心が向けられた。検察・警察の改革の必要性を痛感した視聴者も少なくなかったと思われる。
 
 麻生首相のマナーの悪さも、相当なものだ。
 論理的な脈絡を欠いた不明瞭な言葉遣いもさることながら、鳩山代表の発言に野次を飛ばしていたのは、目を疑った。そうかといえば、相手を見下すかのように薄笑いを浮かべ、再三コップの水を口にしていたが、大物ぶるのはいい加減にしたらどうか。
 ディベートに自信がないから、落ち着きがなくなる。

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