河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

小泉・・・→安倍晋三

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 谷内政府代表がホワイトハウスに頼み込んで急遽実現した日米首脳会談だが、拉致問題で崖っぷちの支持率逆転の秘めたシナリオは外れてしまったと見られる。
 安倍元首相が谷内前外務次官と一緒になって麻生首相に入れ智恵したと見られるが、このジャパニーズネオコン・トリオが考えることは底が割れており、オバマ新大統領の方が一枚上だったということになる。

 周知のように麻生首相の訪米は、クリントン国務長官が羽田に着く二時間前に日本側に伝えられる異例のものであった。支持率がレッドラインを超えた麻生首相が外交で挽回しようと仕掛けた最後の賭けであったが、米側に足元を見られた。
 「オバマ大統領が最初にホワイトハウスに招いた外国首脳」の“栄誉”の代価に、事実上、米国債引受を約束させられ、同日の施政方針演説の肴にされただけであった。

 24日午前(日本時間25日未明)に持たれた日米首脳会談は一時間ちょっとで、恒例の昼食会もなかった。日本側の要請で、議会での施政方針演説直前の合間に急遽セットされたことが見え見えであった。
 共同記者会見までそっけなく省略され、麻生首相は全く目論見が外れた。

 例のブルーリボンバッジを胸に遠いワシントン詣でを強行した麻生首相としては、ブッシュ前大統領時のように、内外報道機関の前で「拉致を決して忘れない」とのお墨付きをオバマ大統領から引き出し、成果を誇示したいところであった。
 しかし、米側はそれを見透かしたように、特別な言質を与えることは避けた。

 クリントン国務長官も訪日中、同様のスタンスを堅持していた。
 拉致被害者家族とはあくまでも「個人的に会う」と断り、テロ支援国家再指定の要請には「検討する」とやんわりと交わし、日本政府関係者との会談では「再調査を北朝鮮側に求める」と強調した。
 ヒル次官補が随行していたように、テロ支援国家指定解除以降の路線を継続するということである。
 
 オバマ大統領は北朝鮮と直接的に関与していくことを公約で掲げ、すでに事実上の特使格でボスワース元駐韓大使らを2月初めに北朝鮮に送り、政策調整の段階に入っている。
 日本側が協力を求める拉致問題では、再調査をベースに早期決着へと関与してくると読める。

 残念ながら、稀代のKYである麻生氏にはそれが読めない。
 麻生首相は北朝鮮の人工衛星発射準備について、「発射されたときの初動が大事なんであって、直ちに対応していく」と強調した。06年のミサイル連射、核実験で安倍官房長官(当時。麻生外相、谷内外務次官)が米側とタイアップして強硬姿勢を示し、国民的な人気を得たことが頭にあったことだろう。
 しかし、オバマ大統領がブッシュと同じ轍を踏むはずがない。施政演説で不況脱出のために教育、医療、環境にシフトしているように、財政赤字の元凶となった産軍複合体主導による軍事強硬路線は否定すべき対象で、そもそも選択肢に入っていない。

 拉致問題に対する情報量・認識でも、麻生首相はオバマ大統領よりも劣っている。
 麻生首相自身が同行記者団の取材で、「拉致問題に関しては、これは向こうがよく知っておられましたし、クリントン国務長官にも先週来日されたときによくこの話をしていますので、向こうがこっちより先にスラスラ言っておられましたし、こちらが語るよりもむこうが多く話したとの印象があります」と語っている。
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090225/plc0902250753004-n1.htm

 これはある意味で当然のことで、北朝鮮と直に交渉している米側の方が、没交渉の日本よりもはるかに多くの情報を得ている。
 ヒル次官補が日本側が主張する拉致被害者生存に否定的な見方を示し、新たな対応を促してきたことは知られている。その帰結がテロ指定解除の事後通知であった。

 ブッシュ政権前期のネオコン路線に便乗した安倍政権時代の奪還路線は、もはや通じないということである。
 日本の外交的経済的沈下が激しい中、いつまで不毛な外交を続け、外交的経済的資源を無駄にするのか、リセットを考える時期であろう。

 余談だが、重村智計、有田芳正、勝谷誠彦氏ら言論界のジャパニーズネオコンが旧態依然とした拉致広告をニューヨークタイムズに出すために募金を訴えていると、今朝、某局が報じていた。
 安明進元工作員らの虚偽情報を垂れ流し、不必要に日朝対立を煽って来た責任には頬かむりしているようだが、自身の責任をまず問い直すべきであろう。

 前回、日本経済は韓国よりやばい。金融危機が実体経済に及び、企業倒産、失業から始まる負のスパイラルが引き起こされ、世界最悪の財政赤字を抱える日本はどこまでもつか憂慮される、と書いたが、今やそれに異論を挟む能天気はいまい。
 日本の悲劇は、初期対応が決定的に重要な時期に、拉致問題迷走の副産物のような無能な政権が居座り、成す術もなく時間を浪費していることである。麻生病院が救急患者をたらい回ししているようなものである。

 国民は正直だ。20%台の支持率に沈んでいた李明博大統領は、金融危機への迅速な対応が評価され、30%台に戻してきた。
 他方の麻生首相だが、定額給付金で二転三転し、解散・総選挙よりも景気対策、と急遽組んだ第二次補正予算もいまだに国会に出さず、政治空白と不作為による景気悪化を招いている。支持率は10%台に突入した。
 ともに経済通を自認するが、裸一貫から韓国の高度成長を支えた現代建設というメジャー企業社長と、なんの苦労もなく我儘一杯育ち、飯塚市一帯のローカル企業で社長の真似をしていた者との違いだろう。

 日毎に、加速度的に深刻度を増す日本の経済危機は、9月のリーマン破綻以降、直前まで史上最高の営業利益を謳歌しながら、いきなり下半期大幅赤字、通年でも赤字に転落したトヨタが象徴している。
 日本経済の二本の基軸の一つであった自動車が突然斜陽産業化したことで、日本経済は底無し沼に沈み始めた。
 もう一つの基軸である家電業界も、ソニーの苦境が物語るように、円高の逆風をもろに受け、ウォン安で輸出攻勢をかけるサムスンなど韓国企業により世界市場のシェアーを奪われている。

 「日本の底力」などと言っても、それを引き出す具体策が伴わなければ、空威張りでしかない。
 政治のトップがその空威張りをホテルのバーでくどくど繰り返しているのだから、日本はお先真っ暗だ。
 派遣切り、中小企業見殺しの麻生不況が、来年には一層深刻化し、大企業倒産続出、大量の正社員首切りなどで失業率二桁台の大不況に発展する可能性は、やや誇張して言えば、分単位で高まっているとみるべきだろう。

 問題は、日本に土壇場て踏ん張る余力が弱まっていることである。
 09年度政府予算の財務省原案が昨日内示されたが、歳出総額88兆5千億余円のうち約37兆5千億円が国債と特別会計準備金いわゆる「埋蔵金」でまかなう。
 つまり、国家予算の42%超が借金なのである。

 しかも、その半分以上が、国債費として過去の借金の元利金返済に充てられる。
 国債発行などと言うと騙されやすいが、借金で借金を払う末期的症状である。個人の家計なら、とうに夜逃げか一家心中となろう。
 なんとか誤魔化しながらこれまでやって来たが、財政累積赤字が先進国最悪のGNPの150%(韓国40%前後)を超えており、そろそろ限界である。

 この苦境を乗り切るほとんど唯一の方法は、予算編成を根本的に組み替え、非生産的な無駄を徹底的に無くし、選択と集中を効率的に行うことである。
 自民党政権は社会保障費削減を図ったが、国民生活破壊は本末転倒、専用ジェット機でワシントンに飛び、支援を要請したビッグスリー経営陣と変わらない。
 最低限、国庫を散々食い潰してきた道路をはじめとする族議員、世襲議員、天下り高級官僚、独立法人、癒着業界ら五賊の利権を断ち切ることが求められる。

 さらに、「北朝鮮の脅威」を意図的に作り上げながら膨張してきた防衛費という名の軍事費5兆円超も合理的効率的に削減する必要がある。
 その理由は『証言』に書いたが、北朝鮮との外交さえうまく行えば、防衛費半減は十分に可能であり、北朝鮮の資源開発に参加することで原材料確保に苦しむ日本の製造業にも新たな地平が開ける。

 ただ、ブルーリボンバッチをお守りのようにつけている旧思考の麻生首相には難しいだろう。

 各種世論調査で麻生内閣支持率が20%前半に急落し、レームダック化が顕著になった。
 これでは選挙は戦えないと麻生首相の解散権は自民党に封じられ、予想通りに三木降ろし、ならぬ、麻生降ろし、が始まっている。

 しかし、安倍、福田、麻生に続く政権たらい回しには、いくらお人好しの日本国民でも怒るだろう。
 進むに進めず、引くに引けない袋小路に陥った自民党は、これも予想した通りに解体の坂を転げ落ちていくに違いない。

 麻生首相が最後まで頼りにしたのが、小沢民主党代表に対して優位にあった人気度、党首力であった。
 再三党首討論を呼び掛けたのも、それで決定的な差をつけ、解散、総選挙に持っていく思惑からであった。

 党首会談が実現し、思惑通りと内心ほくそ笑んだが、そこがマンガ脳の浅はかさ。
 会談後、「小沢代表は信用できない」と調子づいて、墓穴を掘る。本人は国会審議をめぐる小沢代表の発言の矛盾を突いたつもりだったが、ガツンと痛い反撃を喰らう。

 「チンピラのいいがかりだ」と、小沢代表は言い返した。
 本来なら、一国の総理に対してチンピラ扱いは不謹慎極まりない。
 北朝鮮の労働新聞もそこまでは言わないが、小沢代表の一言は妙な重みがあった。

 自民党議員を含めた多くの人は、90年前後の、若くして自民党幹事長となった豪腕小沢を思い浮かべ、陣笠=チンピラに過ぎなかった麻生議員と対比したことだろう。安倍、福田氏らも似たようなものだった。
 過去を背負ったその一言が、麻生首相を一挙に軽くし、小沢代表に凄みを甦らせたのである。

 党首討論は、それを確認する場となった。
 小沢代表はお世辞にも雄弁とは言えなかったが、イメージとは恐ろしいもので、少なからぬ人々がかつてのボスとチンピラの自民党内力関係を連想したのではないだろうか。
 麻生首相にしてから、瞬間的に気圧されていたように思える。

 麻生首相がこのイメージを逆転するのは困難だろう。
 最後の希望は胸に付けて離さないブルーリボンバッジだが、残念ながら、北朝鮮がレームダック化した政権に手を差しのべる可能性はゼロに近い。

 昨日の党首討論を見た限りでは、日本の言語文化はまだこれからという感じである。
 両者ともに、お世辞にも上手とは言いがたい。あの言論レベルで仮に米国や韓国の大統領選に出たら、忽ち支持を失うであろう。
 基礎的教養といった内容の問題はさておき、純粋に言語能力に絞ると、両者ともに地方出身者特有の方言コンプレックスがあるようだ。

 麻生首相のべらんめえ口調は有名だが、なぜ九州飯塚を世襲的に地盤とする政治家がべらんめえの東京弁=江戸弁なのかと、以前書いたことがある。
 本人は得意気に、憧れの東京言葉をしゃべっているつもりだろうが、地元の人間としては、非常に聞き苦しい。

 アクセントもさることながら、心がこもっていないというか、不純なのである。
 江戸弁には宵越しのカネは持たない江戸っ子の粋な心意気がこもっているが、貧乏人に恵んでやる(自分のカネではなく、税金)といった票欲しさの姑息な定額給付金を言い出したり、病弱の同級生を見下し、「そんなやつらの医療保険のために、俺の税金を払えるか」などと守銭奴まがいのことを口にすると、卑しさばかりが耳に残るのである。

 本人はまだ気がついていないようだが、地方出身者が慣れない東京弁で突っ張っていることほど滑稽なことはないし、そもそも地元の有権者に失礼ではないか。
 地方分権の時代にふさわしく、地域の言葉に誇りを持ってもらいたいものだ。

 他方の小沢民主党代表は、朴訥としていかにも岩手出身という感じだ。
 いくらでも攻撃材料があるのだから、当意即妙な話術があったら、主導権を取れたのに惜しかった。
 岩手弁を出してでも、相手を自分のペースに乗せる気迫をもっと前面に出すべきだろう。

 オバマ次期大統領の英語は、クリントン上院議員に比べると、聞きにくく、アクセントには訛りがある。
 ハワイ生まれでインドネシア育ちだから当然だが、それを全く気にせず、というよりも、個性に取り入れ、力強い言葉で大衆の心をつかんだ。

 日本にも、ずーず弁丸出しで人気だった佐々木更三という社会党委員長がいた。
 私がまだ駆け出しの記者時代にインタビューした際、よく聞き取れずに聞き返したが、わからない方が悪いとばかりに、ずーずー弁で答えてくれた思い出がある。

 次回の党首討論では、無理に作らず飾らず、個性豊かな意見を闘わし、日本の言語文化をより高めてもらいたい。

 麻生首相は解散権をカードに政局の主導権を握ろうとしてきたが、そのあおりで経済対策がおろそかにされ、日本経済の命綱である貿易が赤字に転落し、日本型大恐慌が忍び寄っている。
 そうした危機感の裏返しであろう。週刊文春や週刊新潮など、本来なら味方と頼む保守系言論も辛辣な麻生バッシングを浴びせ始めた。

 その過激ぶりには、毒舌では人後に落ちないと自負する私も少々驚かされた。
 文春が「漢字だけじゃない!麻生太郎のマンガ脳」と声を張り上げれば、新潮も「マンガばかり読んでいるからだ!おバカ首相麻生太郎」と負けていない。
 政策以前の基礎的教養や資質の問題を挙げて、影響力あるメディアがここまであからさまに自国の首相を馬鹿扱いする例は、国際的にも聞いたことがない。

 政治は民度を超えない。外国人の目からすれば、そんな首相を選んだ日本人のレベルそのものとなる。
 だが、安倍、福田両氏に続き麻生氏を首相に選んだのは自民党であり、一般日本国民とは直接関係ない。世襲議員に弄ばれた議会制民主主義の盲点と言えよう。

 支持率が30%を切りつつあり、麻生首相は解散権行使もままならなくなってきた。やはり小派閥の三木首相が、解散しようとして降ろされたことがあった。
 同様に、‘麻生降ろし’が起きる可能性がある。麻生首相では選挙を戦えないと、大派閥が顔を変えようと動き出す訳だが、閣内や自民党から半公然と麻生批判が起こるなど、すでにその兆候が噴き出している。

 落ち目の自民党としては、衆院議員任期一杯の来年9月まで引っ張るつもりかもしれない。
 その間、定額給付金のような迷走が続くことになろう。
 
 金融危機が実体経済をじわじわと蝕み、企業倒産、失業という最悪のスパイラルが引き起こされつつある。
 世界最悪の財政赤字を抱えた日本経済は、一体どこまでもつであろうか?


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河信基
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