河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

小泉・・・→安倍晋三

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国債を大量購入する日銀の量的緩和が続けば、市場の国債を買い尽くし、2017年6月にもパンクするとの指摘が内外のエコノミストの間で高まっている。
黒田日銀総裁が先月、政策目標の軸足を量的緩和から金利に転換すると発表したのもそうした指摘を意識したからにほかならない。2%の物価上昇の目標は事実上、失敗し、苦肉の策として長期金利を操作目標とする新たな枠組みを導入するしか手がなくなったのであるが、手詰まり状況に市場の見方は厳しい。
8日のワシントンでの講演後の質疑でもその点を突っ込まれ、答弁に窮している。「追加の金融緩和は現時点では必要ない。マイナス0・1%の金利は当面維持する。政府の大規模経済政策もあり、景気回復が望まれる」と強気に出た。だが、経済がゼロ成長に低迷していると指摘され、マイナス金利幅拡大を尋ねられると、言下に否定した。さらなる追加の緩和しか手が残されていないが、それも限界に近付いていると問われると、一転、「年間80兆円の国債買入は10年以上続けられる」と強弁した。

何故かマスコミはあまり報じないが、先の衆院予算委員会で黒田日銀総裁がうなだれ、安倍首相、麻生財政相が答弁に窮する場面があった。
民進党の江田憲司議員が「安倍政権になって日銀が買い込んだ国債残高は150兆円から500兆円になっている。それにも関わらず、デフレから脱却できず、ゼロ成長に停滞している。量的緩和からの出口が見えなくなっているのではないか」と迫ったのである。
江田議員は3兆2869億円の第二次補正予算の8割が日銀に買わせる建設国債で穴埋めされることに「補正予算は税収増で賄うとしていたはずだ。アベノミクスは失敗だ」と断じた。
安倍首相は「アベノミクスを加速させる」として補正予算の正当性を喧伝しているが、実態は加速ではなく、失速であり、失政の上塗りでしかない。

実際、安倍政権は補正予算だけは税収増で補填し、13年1月以来、国債発行を抑制し、安倍首相もアベノミクスの最大の成果として税収増を挙げてきたが、先進国最低のゼロ成長が続き、遂に破綻してしまったのである。IMFの今年の日本経済成長率予測は0・5%で、韓国2・5%の5分の1でしかない。
マスコミがそうした事実を極力、報じようとしないのは、信用不安が表面化し、日本経済が国債暴落とデフォルトに見舞われかねないからに他ならない。

しかし、国際社会の目は厳しくなっている。
ムーディーズは6月に日本国債の格付けを上から5番目のAプラスに据え置いたが、「財政再建が課題」と釘を刺している。GDPに占める財政赤字の比率は安倍政権前の12年は238%であったが、日銀がいわゆる異次元の量的緩和を実施する中、15年は248%、16年は249%と急増している。先進国最悪を更新し、財政再建は不可能との見方が専門家の間で高まっているのが実態である。

韓国と比べれば一目瞭然で、韓国のそれは15年で36%、16年で37%と悪化率は微増にとどまる。ムーディーズはそれを評価し、韓国国債の格付けを上から3番目のA2とし、さらなる格上げを示唆している。
韓国政府内では「日本病」を警戒する声が強く、財政規律に厳しい。景気を刺激するポピュリズム的なバラマキ財政出動を期待する声もあるが、軸足は財政健全化に置かれている。企画財政省の月刊財政動向によると、今年1〜8月の税収は法人税など増加で11兆6千万ウオン黒字で財政債務比率は減少する見込みという。

日本では国民の批判を外に向けるためか、部分的な現象を針小棒大に報じ、韓国経済が破綻するかのような感情的極論を弄する反韓プロパが見られるが、他国の心配をしている場合ではない。
安倍政権をオンブにダッコしている日銀内部もさすがに意見が割れてきた。
安倍談話は主語、目的語が曖昧で文章的な欠陥が目につくが、安倍首相自身が揺れているためにほかならない。
談話を読み上げる当人がいかにも自信なさげで、目がキョロキョロと落ち着かず、内外の批判の声を気にしているのがありありであった。
安保法制案が憲法違反の戦争法案と批判を浴び、支持率が急落する政治的な危機に直面し、先が見通せなくなっているのであろう。

安倍氏にはまさに想定外の事態と言える。
もともと70周年談話は安倍首相が言い出したことであるが、当初は「侵略の定義は定まっていない」との持論に基づき、村山談話や河野談話と全く異なるものをと、機会あるごとに公言していた。
内閣支持率が高支持率を維持し、党内も安倍一強のワンマン状態であり、大多数国民が反対した集団的自衛権を強引に閣議決定した勢いを駆って、憲法改正へと一挙に突き進むシナリオを描いていた。
今春の訪米の米議会演説で、安保法制案の夏までの成立を豪語する破天荒ぶりであった。

安倍氏には第一次安倍内閣でも「消えた年金の1年以内の解決」という無謀なスローガンを掲げて国民の気を引こうとし、結果、参院選挙で大敗、政権投げ出しの前科がある。思い込みから暴走する悪い癖がまた出ている。
自民党はそれを機に国民から見捨てられ、解党寸前まで落ち込んだが、軽佻浮薄な体質は変わっていない。

支持率急落の中、安倍談話の中味に内外から批判が相次ぎ、閣議決定、個人談話、閣議決定と揺れ動く。与党の一角である公明党からも注文が出るにいたって、村山談話、河野談話の継承を公言せざるを得なくなった。
安倍首相には不本意なことであり、せめて主語(主体=自己の意思)を曖昧にして抵抗するしかなくなった。自身の支持基盤である右派勢力へのせめてものアピールである。

裏目となった談話は事実上、歴史修正主義批判を交わすための釈明の場となった。
中途半端な談話なら出す必要がないとの指摘が当然出るが、今さら撤回は出来ない。安倍首相にはどうしても出さなければならない理由がある。
韓国、中国と無用な摩擦を引き起こす事に批判的な米国の目を異常に気にしているのである。
安保法制案は中国との有事を「万が一」と想定し、米国の支援を絶対要件としている。ホワイトハウスの機嫌を損ねるわけにはいかない。
前回指摘した事だが、安倍首相が広島平和式典挨拶で非核3原則に言及しなかった事と中谷発言の関連性が国会でも追求され、安倍首相が矢面に立たされた。「安保法制案に核輸送排除と付け加えるべきだ」との質問に「必要ない」と向きになって本音を垣間見せるなど、“核戦争想定疑惑”は一段と深まった。
中国紙には「安保法制案は中国敵視の戦争法案」との批判的論調が現れており、核兵器が絡むとなると地域の緊張は否応にも高まらざるをえない。

7日の衆院予算委員会で民主党の山井和則議員が鋭く追求すると、安倍首相は「米国が自衛隊に核兵器輸送を依頼することは、120%あり得ない。机上の空論だ」と声を荒げた。
「法律に核兵器は輸送できない」と書き入れるべきだと山井議員が迫ると、「非核3原則の上に法律を運用するのは当然」と、法律で禁止する必要はないと反駁した。

だが、論拠が曖昧である。日本政府を盗聴していた米国の判断に対し、安倍首相が120%どころか、1%も保証する事は出来ない。
さらに、非核3原則の存在や自衛隊に核兵器を運ぶ能力が無いことを安倍首相は理由に挙げたが、前日の広島平和式典で非核3原則をすっ飛ばしたのが安倍首相であった。その理由を語らず、長崎では言及すると釈明したが、言葉に信憑性がない。

さらに、自衛隊云々に至っては語るに落ちたと言うべきである。
自衛隊が核兵器を輸送する能力を備えたら、やる、とも聞こえる。尖閣想定の上陸演習など自衛隊の増強を陰で進めており、危険きわまりない。

国会質疑を聞いていると、安倍首相はヤジを交えて強気だが、肝心の発言内容は全く論理性を全く欠いている。法律論の基礎的な教養を欠いているため、当人も矛盾に気付いていないようである。
核兵器輸送を政策的な判断としてあり得ないと否定するが、政策的な判断とは時の政府がするものである。
言い換えれば、安倍首相が政策的に判断すれば可能となる。

法的安定性とは、重要政策に対する政府の恣意的な判断を防ぐために法律上の歯止めをする立憲主義の根本的な要請であることが全く解っていない。
「法的安定性は関係ない」と暴言し、謝罪した礒崎首相特別補佐官と論理的には同じことを言っているのだが、安倍首相にはその自覚がないようだ。

当然ではないことを「当然」と突っぱねる情緒的な思考で核問題を論じることほど危険なことはない。
それは実は、原発を強引に再稼働させることとも裏で繋がっている。

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安倍首相は6日、原爆投下70年の広島平和記念式典挨拶で、歴代総理として初めて非核3原則に触れなかった。
菅官房長官は「ある意味当然」だから触れなかったと釈明したが、国民大多数から戦争法案と批判される安保法制案をがむしゃらに押し通そうとする安倍内閣の「当然」はしばしば一般社会とは異なる意味で用いられており、安倍首相が「核を持たない、作らない、持ち込ませない」の非核3原則に触れなかったのも、独特の「当然」があったと思われる。

それと関連して、中谷防衛相が自衛隊が核ミサイルを輸送する可能性について「(安保法制案の)法文上は排除しない」と答弁したことが注目される。
5日、6日の参院平和安全法制特別委員会で、民主党議員が安保法制案が他国軍への後方支援を拡大していることを批判し、「自衛隊が核ミサイルなど核兵器を輸送する可能性はあるのか」と質問したことに答えた。
中谷氏は非核3原則やNPTを挙げ、「全く想定していない。あり得ない」とも述べたが、「法文上は排除しない」との立場を取っている以上、政府が「想定」すれば出来るとなる。

この脈絡で安倍首相が非核3原則に触れなかった意味を分析すると、核戦争を想定し、備えているとの結論が論理必然的に導き出される。
狂気の沙汰であるが、当人たちはいたって真剣である。

自衛隊の閲兵式を好む安倍首相は、自衛隊を前面に出した強面外交(積極的平和主義)を標榜し、「日本の存立を脅かす存立危機事態」といった、一般人には耳慣れない極端な事態を想定した言葉を国会答弁で繰り返す。
野党の追求には、「核兵器は弾薬」、「ミサイルも兵器ではなく、弾薬」(中谷)と、一瞬、聞くものを唖然とさせる珍妙な答弁ではぐらかそうするのだから、もはやまともな神経ではない。

そうかと思えば、安保法制担当の礒崎首相特別補佐官が「法的安定性は関係ない」と、立憲主義否定の合目的主義的な憲法観を地元大分の国政報告会で得意気に語る。
安倍応援団の自民党文化芸術懇話会メンバーの加藤衆院議員が学生たちの反戦活動に対して「『だって戦争に行きたくないじゃん』という自己中心的な利己的考えに基づく」とツイッターで毒づいたり・・・と、常識的には理解しがたいことを次々と口にするのは、彼ら特有の危機意識、常識を嘲笑う被害妄想的なイデオロギーがなせることなのである。

それらの言葉自体は目新しいことではない。以前は一部の極右が街頭宣伝でがなりたて、嘲笑を浴びていた。
問題の重大性は、それを政権の中枢にいる人々が日常的に口にしていることにある。

なお、朝日、毎日、東京各紙は「核輸送も排除しない」と中谷防衛相の問題発言をそのまま報じたが、読売、NHKは「核輸送認めず」と忖度して編集した。
マスコミが割れるほど、中谷発言が日本の安全保障の根幹を揺るがす重大な問題を含んでいるということの証左でもある。
総選挙の結果について新聞各紙の評価は微妙に割れている。読売、産経は一面大見出しで「圧勝」としたが、朝日は「大勝」、毎日、東京は「現状維持」。
安倍政権への距離感がよく出ているが、単純に「圧勝」とも言い切れない複雑な事情が背後に見え隠れする。

突然の解散は安倍首相の大博打であった。第3四半期の経済成長率が年率マイナス1・9%と二期連続マイナスとなってアベノミクスに黄信号が点滅し、小渕優子らのカネと政治の問題で内閣支持率がジワジワと落ち、野垂れ死にした第一次安倍内閣のトラウマが蘇ったことであろう。
そこで野党の準備不足を突いて年末解散という得意の奇襲に打って出た。本人が勝敗ラインを当所、過半数としていたのも自信がなかったからであるが、公明党と合わせて3分の2を超えたのは想定外であった。
大博打に勝ったという意味では、安倍応援団の読産が主張する「圧勝」は間違っていない。

安倍政権の政治的危機は当面去り、一見、政権基盤は磐石となった。
だが、総選挙前に抱えていた本質的な問題はどれ1つ解決されていない。後回しにした分、深刻化しているとも言える。

52%という戦後最低の投票率が示すように、有権者も白けていた。比例投票での自民党の得票率は全有権者の17%でしかない。「圧勝」は小選挙区特有のマジックであり、支持層は見掛けよりもかなり薄い。
よく見ると、自民党は議席を2減らしている。小選挙区では15落とし、比例復活でどうにかカバー出来たのは、選挙下手の民主党が多くの小選挙区で候補者を立てなかった事に助けられている。
それ以上に無視できないのは、勝利した小選挙区でも公明党に助けられた部分が大きい。安倍政権は議席を4増やした公明党への依存度を高めたと言える。平和主義を党是にする公明党との関係は、安倍政権のアキレス腱である。

こう見ると、安倍政権の基盤は磐石とは言い難い。
一見して自民党内には安倍首相の対抗馬が見当たらず、寄らば大樹の陰で、首相が決めたらとにかく従う安倍一強色に染まっている。
だが、逆に言えば、自民党全体が硬直化し、安倍がこけたらもろとものリスクが高まっていることを物語る。

安倍首相はアベノミクス解散をキャッチフレーズに「景気回復 この道しかない」とアベノミクスの継続を訴え、勝利を引き寄せた。
無党派層の支持を増やしたのもそのフレーズが効いたからであり、実際、各紙の出口調査は、アベノミクスに否定的な有権者も多くが自民党に投じていることを示している。
白黒つける韓国ではあり得ない現象だが、期待半分に、他に選択肢がないと閉塞感を刺激したのであろう。
それが安倍政権の弱点となる。

公約の景気回復は待ったなしだ。
しかし、成長率は10〜12月もマイナスか、年末商戦で多少上向いたとしても1%前後であろう。来年に入っても同様な状態が続けば、有権者の期待は急速に萎み、失望、反発となろう。
貿易赤字は今年も10兆円台に乗り、世界最悪の国家債務は国債金利増加、国家信用度低下、円安加速へと足を引っ張る。
アベノミクスの破綻が露になると共に、安倍政権への逆風が強まることは避けられない。

また、小渕議員に対する検察の捜査が進展し、逮捕ということにでもなれば、また政治とカネの問題が安倍政権を直撃する。
来春の統一地方選を控え、検察がどのように動くか、政局に少なからぬ影響を与えることになろう。

さらに、無視できないのは、沖縄の4選挙区で自民党候補が全敗した事である。
安倍首相は米軍基地の辺野古移転を日米同盟強化の試金石と位置付け、沖縄の民意を無視して埋め立てを進めようとしているが、そうした強行策が、格差拡大、特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認、原発再稼働、対韓中外交などで鬱積した国民の不満に火をつける可能性がある。

問題は、野党がそうした国民の不満や怒りにどう応えるかである。
次世代の党が壊滅的な打撃を受けたことが示すように、国民の求めるのは第2自民党ではなく、対案を明確に示して自民党と対峙する健全野党である。

民主党に期待されるのは所得の再分配に力点を置いたリベラルな立ち位置であろうが、自民党との境界線が曖昧な勢力もいる。
維新は橋本大阪市長の地元での地盤沈下が止まらず、分裂は時間の問題であろう。
野党で議席3倍増の21人とひとり気をはいたのが共産党であり、議案提出権を有した国会で存在感を高めるのは必至である。
沖縄のように反自民で野党が共闘できるか、課題は明確になりつつある。

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