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従軍慰安婦強制を謝罪した93年の河野談話について安倍政権は20日、作成過程などの検証結果を国会に示した。
元検事総長を座長とする5人の検討チームは「慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯〜河野談話作成から基金まで〜」で250数冊のファイルを読み込んだ上で、淡々と事実を積み上げ、河野談話の正当性は損なわないと結論付けた。 概ね妥当な結論であるが、政治的道義的な問題は残る。 韓国外交部は即日、報道官声明を出し、「事実関係をごまかし、河野談話の信頼性を毀損する結果を招く内容が含まれている。韓国政府は日本側の要請により意見を出しただけである」と遺憾の意を表明し、対抗措置を示唆した。 安倍政権が河野談話は日韓両政府の政治的妥協の産物との印象を植え付け、外交的に利用することを警戒してのことであった。 無理からぬ事である。いわゆる検証からは人間としての誠意、最も肝心な被害者である元従軍慰安婦への反省、謝罪の心が伝わって来ず、加害者側の弁明に終始しているからである。 検証の動機に不純な狙いがあったからであるが、それを裏付けるように、安倍首相の側近である萩生田光一自民党総裁補佐は22日、都内で記者団に「慰安婦像設置の動きがあるところに『実はこうなんだ』と説明するツールとして活用できる」と、安倍の本音らしきことを代弁している。 そもそもこの問題を蒸し返したのは、安倍晋三氏自身であった。 第一次安倍内閣でこっそりと「慰安婦に強制性を示す証拠はなかった」との閣議決定をしていた事が問題の発端である。 第二次安倍政権発足にあたって河野談話見直しを繰り返し公言し、韓国側の反発を買ったことは周知の事である。 それに対して朴槿恵大統領が「誠意ある措置」を求めたのは当然のことであり、「韓国側が蒸し返した」は本末転倒の詭弁である。 安倍氏が見直しをしないと言い出したのも、本心ではなく、従軍慰安婦を「性奴隷」と厳しい目を向ける米国からの圧力に屈したからに過ぎない。3月のオランダでの韓日米首脳会談直前のことであった。 談話作成時の官房副長官だった石原信雄がその直前2月の国会答弁で「河野談話は事務的なすり合わせがあったかもしれない」と述べたことに便乗し、見直し狙いの検証に着手する。 ところが、変則的な3国首脳会談を斡旋するオバマ大統領に、ケネデイー駐日大使を通して「見直しはしない」と伝えた。朴槿恵大統領が3国首脳会談に応じるために提示した最低条件がその言質であった。 こうした経過を見ると、安倍氏が従軍慰安婦問題で米国を含む国際社会から道徳倫理性を疑われてジワジワ追い込まれ、河野談話検証で墓穴を掘っている実態が鮮明に浮かんでくる。 萩生田補佐官は慰安婦像設置反対のツールとして検証結果を使うとするが、加害者の居直り、責任感の欠如と受け取られ、日本のイメージを悪くするだけである。 河野談話は日本側が慰安婦たちへの調査を途中で打ち切って出されたことが明らかとなっているが、問題があったとするならその点である。 慰安婦問題は韓国・朝鮮人に止まらず、中国人、インドネシア人、マレーシア人、オランダ人など多岐にわたる。曖昧にせず、その全てを全面的に明らかにするのが筋ではないか。 |
小泉・・・→安倍晋三
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安倍晋三首相を改革者と誤解している人が少なくない。20代、30代の支持率が比較的高いのは「強い日本を取り戻す」とのキャッチコピーに乗せられているためと見られるが、大いなる幻想である。
安倍政権の政策を検証すると、株価吊り上げの量的緩和をはじめとし、既得権益層の利益を極大化し、中産階級など庶民から富を吸い上げようとしている実態が浮き上がってくる。 ミニ株高バブルで潤っているのは、外国人投資家など株主である。日銀に国債を野放図に買わせて株式市場にカネを流す。その付けは国家債務増大となり、年金削減などで庶民に負担させる。 成果に応じて賃金を払うと誘いながら、実は残業代ゼロで事実上、ブラック企業を合法化する。 賃金引上パフォーマンスの裏で、法人税引き下げを進めて企業にそれ以上をキャッシュバックし、減税分は消費税引き上げで埋めていく。 万事がこの調子で、潤うのは既得権益層だけである。 政治が家業化し自民党議員の6割を占める世襲議員たちも、経団連の自民党への政治献金復活で大いに私腹を肥やす仕組みである。 極め付きは例の集団的自衛権である。ポストや利権を得ようと自民党議員ばかりか、維新、みんな、一部民主党議員まで安倍政権にすり寄ってくる。 国士を気取る理屈は後付けであり、私利私欲の為には憲法もへったくれもない。 そこには日本の保守層特有の実利優先の文化がある。 集団的自衛権をとってみると、「安保環境が変化し、国益のためにはそれしかない」と理屈を付けるが、実は防衛族、資源族ら特定既得権益層の利益防衛を優先させているだけにすぎない。 そうした集団的な実利主義が憲法より優先され、一政権の解釈で憲法を改正してしまう暴挙に繋がるのである。 安倍政権が韓国と従軍慰安婦問題などで対立するのは、ある意味で不可避ですらある。 韓国は儒教各派でもっとも理屈っぽい朱子学の影響で、善悪二項対立で白黒を決める道徳倫理が法に優先する傾向がある。旅客救助をなおざりにして脱出したセオル号船長らが「人間にあるまじき行為」と社会的に糾弾され、殺人罪で起訴されたのはその一例と言えよう。 商人文化の伝統から特有の実利優先主義が蔓延る日本からは、なかなか理解しにくいかも知れない。 日韓対立の壁を超えるには、より成熟した法治主義しかない。 実利でもなく、道徳倫理でもなく、無論、主観的な民族感情でもなく、普遍的な法に基づいてルールを決め、遵守する共通の文化を育てることが、それぞれが内外に抱えた課題を解決する鍵となろう。 |
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安倍晋三首相が15日、自身の意向を承けた元官僚・学者らを集めた安保法制懇が報告書を提出したのを受けて記者会見を持ち、集団的自衛権行使へと憲法解釈を転換させる「基本方針」を明らかにした。
他国との戦争放棄を宣言した憲法の根幹を一内閣の判断で変えようとする異例の事態であるが、国民感情に訴えようと無理矢理こじつけた事例を自製パネルで繰り返し訴える安倍の言葉からは、歴史の審判にたえる哲学も覚悟も伝わって来なかった。 ただ、記者の質問に「1960年の日米安保条約に多くの人が反対したが、それが抑止力となって平和が守られた」と語気を強めた時、内面に巣くう深いこだわりが顔を出した。 日米安保は安倍の祖父岸信介首相が国民の反対を押しきって強行締結し、直後に石もって追われるように退陣した曰く付きのものである。 安倍は「デモ隊の怒号が聞こえてきた」と当時の記憶を雑誌などで回顧しているが、少年の心にトラウマとなって刻まれたことは想像に難くない。 三代世襲政治家の宿命とも言えるが、安倍の心中には、祖父は悪くなかったとの思いが古傷のように疼いた。やがて、それを明らかにし、志を受け継ぎたいとの思いに変わった。第一次安倍内閣を無様に放り出したことで執念と化したようだ それは同時に自身の存在意義を肯定し、自尊心を守ることでもある。 素朴な肉親の情を否定する必要はないが、政治の世界では独善的排他的なネポテイズムの温床になりやすい。また、自己愛に偏り、視野狭窄に陥りやすい。 安倍が先の戦争への反省を自虐的と拒み、被害国民の神経を逆撫でするように靖国神社参拝にこだわるのは、そうした危惧が杞憂でないことを示している。 その延長戦上に、他国と戦争する道を開く集団的自衛権を考えているとしたら、これほど危険なことはない。 安倍首相の記者会見を観ながら、日本と韓国の政治文化の違いを痛感した。 自分と同意見の有識者を集めた安保法制懇は韓国なら御用団体と歯牙にもかけられず、その報告書に基づいて基本方針を表明しようものなら自作自演の茶番劇と逆に国民世論から指弾されよう。 ところが、日本ではそうした声があまり聞かれず、マスコミも批判はしても同じ土俵で相撲をとっている。 一定の形式を踏まえれば済むとされる日本特有の情緒であり、茶道や華道、能楽などに見られる極端な形式主義文化に通じるものである。 しかるに、首相の記者会見という仰々しい形式に隠された内容は、貧弱極まりないものであった。韓国なら国会の国政監査により洗いざらい暴かれてしまうであろうが、公明党との与党協議を経て閣議決定し、国会はその後で一件落着というのであるから何をかいわんやである。 日本国憲法の根幹である平和主義を保障する9条が明確に禁止する集団的自衛権を、時の一政権の解釈で変えてしまう? 立憲主義を否定する暴挙である事は二言するまでもないが、安倍は「憲法が掲げる平和主義は守り抜いていく」と詭弁を弄した。呆れるほかない。 他方で、抜け目ないと言うべきか、米軍艦に母子が乗り込む絵柄のパネルを指しながら、この船が攻撃されても黙って見殺していいのか、と力を込める。 パネルは安倍本人が直接指示して描かせたものであるが、お涙ちょうだいの安っぽい紙芝居さながらである。日本国民も侮られたものである。 しかし、笑ってはいられない。 同パネルは北朝鮮有事を想定している。自衛隊を派遣して日本人を退避させる案もあるが、韓国の同意を得られないので、とりあえず米軍艦を挟んだということである。 安保法制懇に北朝鮮問題専門家は一人もおらず、集団的自衛権正当化のために北朝鮮有事が悪用されたという訳である。 北朝鮮情勢については別の機会に譲るとして、安倍の狙いが尖閣領有で争う中国にあることは明白である。 グレーゾーンなる言葉でオブラートしているが、中国漁民が大挙して尖閣に上陸する事態を見越し、自衛隊派遣の準備を急ごうというのが本音である。 日本国民の一部に領土を守れと息巻く反中感情が高まっており、それに便乗して武力行使、というのが安倍の描くシナリオだが、日中軍事衝突を招きかねない冒険主義的な危険な企みと言わねばならない。 今日のロイター伝は、ジム・チャイスら国際投資家が「安倍はアジアで最も危険な政治家」と非難の声をあげていると伝えるが、さもありなんである。 安倍が集団的自衛権を正当化する抑止論は、元A級戦犯の祖父から受け継いだものであり、戦前の日本軍部が叫んでいた自衛論の焼き直しである。周辺国を刺激し、際限のない軍拡競争を引き起こすだろう。 日本にとっても不幸なことであるが、経済的な相互依存性を深めている地域秩序への脅威となりかねない。 なお、安倍パネルで出汁にされた韓国の外務部スポークスマンが「平和憲法を堅持し、周辺国の懸念を払拭することを望む」との談話を出したが、隣国から憲法を守るようにと諭されるのも珍しい。 予断だが、今週号の週刊文春が「朴槿恵大統領が安倍首相とオバマ大統領を交えて会談した際などで、『二人だけの秘密』と目に涙を浮かべながら親日の心情を吐露した」と書いている。無論、出鱈目だが、「安倍側近」が明かしたとある。世耕らしいが、姑息なことをするものだ。 日本との首脳会談に応じない腹いせに、週刊誌に捏造情報を流して他国の元首を貶めたとみられるが、外交問題に発展しかねないこともわからないのかと、ほとほと先が思いやられる。 |
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「(従軍慰安婦を巡る)日韓局長級協議など初耳だ。安倍首相は河野談話に代わる新しい談話を考えている」。
安倍首相が国会で河野談話継承を言明した直後だけに一瞬耳を疑わせた発言は、萩生田・自民党総裁特別補佐が昨日朝のフジ報道2001で口にした。 日韓首脳がハーグで開催される核サミットへと飛び立つ直前であるが、安倍最側近の軽卒な発言から、二つの事が見えてくる。 一つは、萩生田が日韓局長級協議について知らされていなかった事である。 韓国外務省報道官は「朴槿恵大統領は米国が主催する韓米日首脳会談に参加する。従軍慰安婦問題に関する韓日外務局長級協議が開催される」と明らかにしている。 直前に斉木外務次官が訪韓しており、朴大統領に三国首脳会談参加を求める条件として、安倍首相が国会答弁で河野談話や村山談話の継承表明、それを確かなものにする局長協議、の二点を提示したのであろう。 昨年暮の靖国参拝強行でホワイトハウスの逆鱗に触れた安倍首相としては、オバマ大統領が日韓仲裁に入る三国首脳会談実現は至上命題である。 オバマ政権は安倍政権に対して集団的自衛権への姿勢を評価する一方で、従軍慰安婦など歴史認識問題で韓国とトラブルを起こしている事に厳しい目を向けている。一貫して村山談話や河野談話見直しをしないように求め、菅官房長官が見直しをしないと発言したことに「前向きな一歩」(サキ国務省報道官10日)と評価していた。 安倍周辺と支持層には韓国の要求に屈するなと息巻く声が根強く、極秘に韓国側と交渉するしかなかったとみられる。 二つ目は、河野談話継承を言いながら、いわゆる検証にこだわる安倍首相の本音が透けて見える。第一次安倍内閣では「旧日本軍による慰安婦の強制連行を直接示す証拠はなかった」と、河野談話を否定する答弁書を閣議決定している。 安倍靖国参拝を後押しした最側近の荻生田は「河野談話の嘘が明らかになれば、新しい談話を発表する。継承と矛盾しない」と、安倍の心中を代弁するようにあけすけに語っていた。 萩生田は検定を強化して中高教科書から従軍慰安婦などの記述を消す自民党「教科書検定の在り方特別部会」を主導するなど、安倍の盟友として動いてきた。 こうした論法は国際社会では普通、詭弁もしくは二枚舌と言うが、当人らにそうした意識はない。 官房長官は今日、「新しい談話は考えていない」としながら検証は行うとし、注意を受けた萩生田も「個人的な意見」と釈明、自説は撤回していない。いかにも日本的などうとも取れる言い回しだが、国際社会や韓国に通じる話ではないことにいい加減気付く時ではないか。 日韓局長協議では最低限、二枚舌の元凶となっている問題の答弁書の閣議決定取消を議論する必要がある。 韓国外務省は当日の23日に「容認できない」との談話を発表しており、機中の朴槿恵大統領の耳にも当然、届いている。建前と本音を使い分ける安倍首相との対話は難しいと再認識していよう。 もっとも、朴大統領は当初から、三国首脳会談はオバマ大統領の顔を立てるためのものであり、安倍首相には多くを期待していなかったとみられる。 それを裏付けるように、三国首脳会談参加発表に先だって、北京、ソウル同時に韓中首脳会談開催を発表している。 米国に三国首脳会談参加で貸しを作り、なんの気兼ねもなく中国との独自の関係構築に励めるというわけである。 朴槿恵大統領は、安倍首相が目論む中国包囲網は否定し、韓中戦略的パートナーシップを提唱している。経済関係が深まり、北朝鮮非核化と統一実現にも中国の協力は不可欠であるから、当然とも言える。 核サミット後にドイツを国賓訪問し、東西ドイツ統一の教訓を参考にし、ドレスデン工科大で新統一構想を表明する予定という。 これに対して日米のみならず韓国にも、米中二股外交、中国に取り込まれるとの批判が根強くあるが、オバマ政権も中国との対立は考えておらず、覇権主義抑制に力点を置いている。 米中首脳と信頼関係を築いている朴大統領が、米中新型大国関係へと動く東アジアで存在感を発揮することは十分に可能である。 ハーグに着いた朴大統領は23日午後、日本時間で今日未明、習近平主席の宿舎を訪れて4回目の会談に臨み、予定時間をオーバーして意見交換した。 「戦略的なパートナーシップへと転換する時期に来た。ハルビン駅の安重根義士記念館建設に感謝する」と述べると、習主席は「自分が指示した。西安に旧韓国臨時政府光復軍記念碑を造っている」と応え、抗日闘争時代の歴史認識をベースにした協力関係強化を確認している。 朴大統領は24日に核サミットで冒頭演説し、その翌日に韓米日首脳会談に臨むが、北朝鮮の核問題に三国が共同対処することを再確認する以外、安倍首相と踏み込んだ話をすることはあるまい。 その方が賢明である。河野談話の継承を言いながら、腹の底では従軍慰安婦は娼婦であったとせせら笑い、検証→新談話の意図を捨てない相手と丁々発止し、大喧嘩するようなことにでもなれば、共に恥をかくだけである。 地位は異なれど、人間の所業はみな同じ。 過日、偶然居合わせた銭湯で、大の大人がシャワーの水が掛かった、掛からなかったと口喧嘩になり、片方が色をなして詰め寄った。 「そこまで。近寄らない」と間に割って入り、収めたが、もめ事は額を突き合わせれば良いというものではない。 主義主張は違っても、あの人の言うことは信頼できるという最小限の信頼関係がないと、まとまるものもまとまらなくなる。 いみじくも、片や朴正煕大統領を父とし、片や岸信介首相を祖父とする二人は、満州国にまで遡る歴史を背負った面があり、プライドをかけた対立の根は外から見るよりも深い。 次回は両者の歴史的な因縁を掘り下げてみよう。 |
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保守層が「強い日本復活」の最後の希望を託したアベノミクスの神通力が褪せるに伴い、与党内でも安倍に距離を置く動きが顕在化してきた。
「安倍首相の考えは『国民の声を聴く』という一番大切な部分が欠落しており、賛成できない」と公明党の漆原国対委員長が繰り返し非難の声をあげているが、谷垣法相ら自民党の閣僚・幹部らにも急速に広がり始めた。 集団的自衛権を容認する閣議決定に前のめりになっている安倍の独断専行への牽制であるが、底流には、韓中のみならず、日本の後ろ楯と頼む米国とも対立している危うさが敬遠されていることがある。 日米同盟強化は戦後日本保守層の至上命題であるが、先月26日、TBSが「日米首脳が激しい応酬ー関係亀裂の真相」との、いかにもタイトルからして衝撃的なドキュメント番組を流した。 それによると、昨年12月3日に訪日したバイデン副大統領と安倍首相が1時間半にわたりTPP問題で前代未聞の激論を交わした。その9日後、バイデンから安倍に電話が入り、「朴槿恵大統領に安倍首相は靖国に行かないと伝えた」と述べると、安倍は驚き、「靖国参拝は公約。いずれ行くつもりだ」と答えた。 その1週間後、安倍は靖国を参拝。「いずれ」を当分行かないものと理解していたバイデンは激怒して安倍批判の急先鋒となり、米国務省は「deeplyーdisappointed」と声明を出した。安倍は「米国は同盟国を大切にしない」と反発した。 同番組は日米激論の背景に、昨年8月のオバマ大統領のシリア空爆論に安倍が積極的に賛成しなかったしこりがあったと解釈するが、やや飛躍している。 従軍慰安婦問題に発した日韓対立抜きに、説明できない。バイデンが安倍との会談直後に訪韓し、朴大統領と会談したのはそのためである。 バイデンは朴槿恵に、韓国は中国に接近しすぎていると婉曲に牽制し、民主主義の価値観を共有する日本との関係修復を求めた。 そして、その証に、安倍は靖国参拝をしないと言っていたと保証したのである。 朴・バイデン会談後、韓国政府は事務レベルで日本との関係修復に動いた。その矢先の安倍靖国参拝に、それみたことかと不信感を一段と強める。 朴大統領は4日後の12月30日、大統領府秘書官会議で「国際社会の普遍的な価値と基準、人類の良心に合わない行動」と靖国参拝を批判する。以後、朴政権は以前にも増して安倍批判のオクターブを上げ、歴史認識での妥協を排し、国際的な規模で中国と共闘する。 それに安倍政権が反発し、日韓を繋いでいた河野談話の見直し、事実上の否定へと舵を切り、抜き差しならない窮地に自ら嵌まる。 安倍の誤算は、韓国に経済的圧力をかければいずれ降りてくると、甘く考えていたことにある。 現実は、昨年韓国が日中対立に漁夫の利を得る形で史上最大の貿易黒字をあげたことが象徴するように、韓国経済における日本の存在感は中国と反比例しながら低下している。 安倍の独断専行の弊害は外交から経済にも及び、韓中市場での日本企業のビジネスチャンスを奪っている。 かくして、安倍政権での日韓首脳会談は不可能に近い状態に陥り、日韓両国との同盟関係をアジア政策の軸と捉えているオバマ政権には由々しき事態と映る。 面子を潰されたバイデンは、安倍は緻密な思考が出来ないと怒り心頭である。米紙誌には安倍の、戦後の秩序を否定する軍国主義的な戦前指向歴史観を公然と批判する論説が飛び交い、米議会調査局が米国の国益を脅かしかねないとの報告書まで出すに至った。 オバマ大統領の4月下旬の訪日は、安倍首相には強いプレッシャーとならざるをえない。 日程が、急遽訪韓が組み込まれて一泊二日に短縮されたのも、オバマ大統領の不信感を物語る。 ワシントンでは親日派も含め、日韓対立の主因が安倍首相の偏った歴史認識にあり、日米関係にまで亀裂を生じさせているとの見方が支配的に成りつつある。 安倍は国賓待遇で日米友好を演出しようと腐心しているが、トラブルメーカーの安倍に対するワシントンの不信感は外交儀礼で糊塗出来るレベルを越え、安倍降ろしの声さえ聞かれる。 安倍及び側近・ブレーンたちは、「日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっている」と口を揃え、「米艦が攻撃されているのに傍観すれば、日米同盟は崩れる」と集団的自衛権の必要性を説くが、ワシントンでは違和感が徐々に高じている。 日米同盟が体よく出しにされているのではないか。安倍政権が不必要に周辺国と摩擦を引き起こし、米国を巻き込もうとしているのではないか、等々。 とりわけ、「安倍政権は軍国日本を美化し、戦後秩序に挑戦している」との中国の批判が国際社会に響き渡っていることに、安倍は米国の連合国としての歴史的な大義を傷つけ、中国を利していると苛立ち、突き放す声が強まっている。 ワシントンに要注意人物と認識せしめた安倍の独断専行は、無様な第一次安倍内閣崩壊のトラウマに起因する。 岸信介の孫としてしか取り柄のなかった一世襲政治家が小泉純一郎首相に引き立てられ、拉致問題で対北朝鮮強硬派として名を売り、戦後生まれの首相1号に祭り上げられ、勢いに任せて突っ走って壁にぶち当たり、病院に駆け込んで辞任。自分が本来したかったことは何一つ、なしえなかった。 靖国参拝、集団的自衛権容認、自虐的と考えている教科書改定などは、安倍にとって自分の存在意味と関わる。A級戦犯・岸信介の孫と謗られてきた自分の意地であり、存在証明なのである。 民主党政権の失敗に助けられ、不遇から再起した千載一遇の機会を逃すわけにはいかない。 政権が存続しているうちに、できる限りの事をやってしまおうと、釈迦力になる。 しかし、本人の意図とは裏腹に、韓国、中国を利し、米国とも衝突しかねない安倍の暴走に、親米が染み付いている保守層にも深刻な不安と動揺が広がっている。 |



