河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

小泉・・・→安倍晋三

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 情けないほどの卑屈さだが、おそらく当人にはそうした自覚があるまい。
 産経新聞の「ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で」なる記事である。第三者から見ると、飼い主に叱られ、キャンキャンと泣き声をあげている犬を連想してしまうのである。

 同記事は次のように書く。
 「普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり鳩山首相が年内決着を断念したことに、米国側が激怒した。4日午後、日米閣僚級作業グループ(WG)の検証作業が開かれた外務省4階大臣室隣りの接見室。関係者によると、少人数会合に移った後、米国のルース駐日大使がそれまでの穏やかな語り口を一変させた。「いつも温厚」(防衛省筋)で知られるルース氏は、岡田外相と北沢防衛相を前に顔を真っ赤にして大声を張り上げ、年内決着を先送りにする方針を伝えた日本側に怒りをあらわにした、という。
 いらだちを強める米国側の姿勢は、会合後、首相官邸を訪れた岡田、北沢両氏から鳩山首相にも伝えられたとみられる」
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091205/plc0912050139004-n1.htm

 日本の主要閣僚二人が一大使に面罵され、青くなって首相に報告したと言うのだ。
 自民党よりの保守系言論にはこうした論調が特徴的に見られるが、大方の国民は「一体、誰の立場からものを言っているのか」と違和感を覚えるであろう。反米感情が拡散しないとも限らない。

 米大使の無礼を諌めるのが主権国家の言論の立場なのに、産経は米大使の肩を持って自国政府を糾しているのであるから、何をかいわんやである。
 鳩山政権を揺さぶっているつもりなのかもしれないが、外交を政局に利用するのは拉致問題でも見せた悪い癖である。
 北朝鮮の労働新聞のチュチェ(主体)思想は行き過ぎだが、日本の保守言論の事大主義もほめられたものではない。

 普天間問題は自民党政権が残したお荷物の一つである。
 自民党政権時代の日米合意に基づく普天間移設計画は、米海兵隊司令部機能などはグアムに移設させるが、「ヘリ部隊をグアムに移設すると、有事の際に手間がかかる」としてヘリ部隊を辺野古の代替施設に移すとした。
 つまり、沖縄に一貫して犠牲を強いてきたのであり、反対運動は公共事業や各種補助金バラマキで押さえ込んできた。

 そうした構図はもはや通じない。
 財政事情悪化でバラマキによる懐柔策が通じなくなる以上、沖縄に犠牲を強い続けると、かつて噴き出た沖縄独立論が再燃し、収拾のつかない事態に陥る可能性もある。
 鳩山首相は大局的な視点から、マニフェスト通りに県外か海外移転を目指すべきである。

 首相は4日、「グアムに全部移設することが、米国の抑止力ということを考えたときに妥当か検討する必要がある」と記者団に語ったが、個別的な事象にとらわれず、戦略的な次元から解決すべきであろう。
 保守系言論は「北朝鮮の脅威に対する抑止力を損なう」としてグアム移転に反対しているが、同じ土俵に乗る必要はない。自民党政権が断絶させた北朝鮮との対話を復活させ、日朝関係正常化を進めれば済むことである。
 その意味で、普天間問題は北朝鮮問題でもある。

 保守言論の蒙昧は、太陽政策への理解不足とも関連する。
 産経新聞は別の記事「首相は『日本の盧武鉉』と米国」で、「首相は、米国との『対等な関係』を強調し、『日米同盟をレビューしたい』と述べている。これは、『米国にも言いたいことは言う』として対米関係の見直しを主張した盧前大統領と言動が重なる。また、首相は『世界の架け橋となる』と語るが、これも盧前大統領の『東アジアの均衡者になる』という言葉と共通する。盧前大統領の場合は米国の信頼を失い、結果的に国際発信力・影響力を減退させた。
 06年11月のハノイでの日米韓3カ国首脳会談の際に安倍首相はブッシュ大統領にこう持ちかけられた。『ミスター安倍、面倒だから盧大統領とは朝鮮半島の話はしないでおこう』。11月初旬、ローレス元国防副次官と会談した安倍氏はこう指摘された。『鳩山は日本の盧武鉉だ』」
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091204/plc0912041840012-n2.htm

 同記事を書いた阿比留瑠比記者は、事実経過への認識が不正確であり、太陽政策が理解できていない。
 ブッシュ大統領は対北朝鮮強硬政策の時には盧大統領と対立したが、対話路線に回帰する際には逆に盧大統領の仲介を求めたのは周知のことである。ブッシュ大統領との約束を果たせず無様に政権を投げ出した安倍元首相を引き合いに、盧前大統領を批判するなど笑止千万である。
 『朝鮮半島の和解・協力10年』を読んで基本から勉強することを勧める。

 鳩山首相の11億円を超える偽装献金疑惑の特徴は、財源が母親の個人資産であるところにある。
 第三者に迷惑をかけていないことから社会の風当たりはそれほど強くない。環境や核問題での意欲的な発言、官僚の無駄遣いを暴く事業仕分けなどへの高い評価が60%台の高支持率を支えている。
 一般的には、今後とも政権を担い、自民党長期政権時代に溜まったゴミを大掃除し、国民の生活目線に沿った新しい政治を推し進めて欲しいと期待する声の方が圧倒的に多いと言えよう。

 検察も西松建設事件で小沢代表(当時)を狙い撃ちし、麻生政権の漆間官房副長官と呼吸を合わせながら政権交代を止めようとしたと疑われたような政治的な動きは出来ない。
 偽装献金疑惑は貸付か贈与かの違いとして処理され、一件落着となろう。

 だが、それによって首相個人への疑念が消えるわけではない。
 選挙公約であるマニフェストが実践に移され、具体的な成果を積み上げれば政治家としての評価は高まるであろうが、皮肉なことに、脚光を浴びれば浴びるほど影は濃くなる。
 結果を出すことに失敗すれば、疑念は「やはり」と即座に冷笑に変わる。

 最大の疑念はその政治姿勢に対してである。
 巷間、「鳩山政治は資産家である鳩山家の道楽ではないのか」との声がある。母親が資金を出して子供に好き放題させているというものだが、満更的外れでもあるまい。

 無論、政治を家業にして、利権誘導やファミリー企業優遇で蓄財してきた自民党の世襲政治家に比べれば、ずっとましである。
 麻生前首相のように、植民地時代に強制使役した朝鮮人労働者に対する旧麻生炭鉱の未払い賃金も払わず、グループ企業が飯塚市一帯の商活動を牛耳っている薄汚さもない。

 金にがつがつしている政治家の卑しさがない分、好感を覚える人も少なくないだろうが、首相が掲げる「友愛」とは何なのだろうか、疑惑報道を聞くたびに思ってしまうのである。
 首相の信念なのか、あるいは、取って付けたスローガンなのか、人の良い大金持ちの坊ちゃんの気まぐれなのか。

 信念とは言葉に非ず、生活のスタイルである。
 首相が社会的な弱者に目を向け、子供手当てや高校授業料無償化などで正義を政策レベルで実現しようとしているのは大いに評価できる。
 それが自民党の失政により高まった世直しムードにたまたま乗ったものではなく、首相自身の信念に基づくものであることを示すために、また、献金疑惑にケジメをつけるためにも、私財を奨学金などに寄付したらどうであろうか。

 日本には蓄財を社会に還元する文化が未発達であり、蝶集めなどの個人的な趣味に費消する傾向が強い。
 首相には寄付文化醸成の面でも一石を投じてもらいたい。
 

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 90年の金丸訪朝から二度の小泉訪朝まで水面下で日朝の橋渡しをしたのが吉田猛・新日本産業社長であることは『証言』に詳しいが、最近、その吉田氏が停滞する日朝交渉打開のために、民主党関係者の要請で動き出したとの噂が消息筋の間で飛び交っている。
 状況証拠はある。吉田氏の動きに合わせるように、日朝間にホットラインが開通したとの情報が流れているのである。日本外務省は、「蓮池薫氏ら5人の一時帰国の約束」反故、横田めぐみさんの遺骨鑑定捏造疑惑など度々の背信行為で北朝鮮側から相手にされなくなっており、日朝ホットライン開通説が事実なら、それを橋渡しできるのは吉田氏以外には考えにくい。

 いずれにしても来月八日のボスワース米政府特別代表の訪朝を横目で睨むように日朝交渉が動き出したことは間違いない。
 それと関連して、日本のメディアの一部には「米国が日本の頭越しに北朝鮮と取引するのでは?」との疑心暗鬼が広がっている。

 その一例が、オバマ米大統領が14日に東京で行った演説で、「北朝鮮と周辺諸国の関係正常化は、拉致被害者の日本人家族が完全な説明(full accounting)を受けない限り実現しない」と言及したことに「拉致問題に関するハードルをさりげなく下げたことが危惧される」というものだ。
 この演説はこれまでの経緯を踏まえて意訳すれば、「拉致被害者家族への説明責任を果たせば、日朝関係正常化の障害にならない」となる。
 安倍政権以来、日本政府は「生存を前提にして取り戻す」とのいわゆる奪還論を前面に掲げて北朝鮮に喧嘩を売り、日朝交渉を停滞させ、「失われた7年」をもたらした。オバマ大統領は奪還論を事実上否定し、日本側に冷静な対応を促したと言えよう。

 それが国際常識である。
 「5人生存、8人死亡」は金正日総書記が小泉首相に直に伝え、その了解の上で日朝ピョンヤン宣言を結んだ経緯があり、これを勝手に否定したら信義は失われ、交渉は成り立たない。
 格別な根拠があるならともなく、安明進・元工作員ら一部の無責任な証言や憶測で北朝鮮側の謝罪に泥を塗るような乱暴な真似は許されるものではなかろう。

 来る日朝交渉では自民党政権時の愚を繰り返すことはない。先入観を排して、遺骨のDNA鑑定や拉致被害者の再調査を徹底し、真相を被害者家族に十分に説明すべきである。
 一部に「北朝鮮が『十分説明した』と強弁したらどうするか」などと自民党政権時代の奪還論を繰り返す向きがあるが、懲りないと言うべきであろう。

 北朝鮮核問題がこじれた原因の一つは、日本が核・ミサイルよりも拉致問題を優先させて独自制裁を課し、エネルギー支援を拒否し、北朝鮮側の不信を買ったことがある。
 ブッシュ政権が北朝鮮を「テロ支援国家」リストから外した後も麻生政権がそれに異議を唱え、北朝鮮と激しく対立し、6か国協議破綻へと繋がったことは周知のことである。
 韓国でも日本が核問題よりも拉致問題を優先させたことへの批判が強くあり、日本が期待する日米韓連携を損なってきた。

 横田めぐみさんが拉致されて32年となるさる15日に「早期救出を求める『忘れるな拉致11・15県民集会』」が新潟市内で開かれ、母早紀江さん(73)が「32年分の苦しみ、悲しみがあった。政治に翻弄される部分はあるけれど、何とかして帰してあげたい」と語ったことが報じられた。
 被害者感情は十分に理解できるが、外交がその種の盲目的な感情論で動くのは通常あってはならないことである。それをあえて行ってきたのが安倍政権以降の日本政府であった。

 そこには、「生存者がいるのに返さない」と言いがかりをつけて反北朝鮮感情を無闇に煽り、拉致問題を政権浮揚と日本の軍事大国化に悪用する政治的な狙いがあった。
 それこそ批判されるべきであろう。

 その結果、拉致問題は袋小路に陥り、被害者は政治に翻弄され、余計な苦しみを味わうことになった。
 また、二兎を追ったあまりに、北朝鮮の核・ミサイルの脅威は現実化し、のっぴきならない状況に陥ってしまった。

 現実的であるべき外交に感情論、人情論を不用意に持ち込み、事態をいたずらに悪化させた負の連鎖に終止符を打つべきときである。

 発売中の週刊朝日が「鳩山官邸が画策する12月電撃訪朝計画」とすっぱ抜いた。記事には矛盾点が幾つかあるが、火のないところに煙は立たない。
 政権交代を見越して一年前に出した『証言』で指摘したように、日朝国交正常化交渉を拉致問題と直接リンクさせず本来の趣旨に沿って進める流れが出来つつあるように見える。

 まず週刊朝日記事だが、「参院予算委員会終了後に鳩山首相の訪朝計画が発表されるはずでした」(小沢幹事長に近い民主党幹部)、「北朝鮮政府筋から、特定失踪者問題を前進させるために鳩山首相は訪朝する意思はあるかと打診があった。特定失踪者の問題も重要な拉致の問題ととらえて解決を図るというのが鳩山内閣の立場だと伝え、外交ルートでの日朝首脳会談の交渉が始まりました」(首相側近議員)、「小沢幹事長はすぐ臨時国会に在日外国人の地方参政権を認める法案を提出するように指示しました。幹事長室の会議で『これは北へのサインだ』と言っていました」(民主党副幹事長)といったものだ。

 この記事がにわかには信じがたいのは、「特定失踪者がいる」との前提で話が組まれていることである。
 この種のいい加減な情報は安倍政権時代から流され、「100人以上の特定失踪者が北にいる。けしからん」(荒木『特定失踪者問題調査会』代表)と反北朝鮮感情を煽るために利用されてきたことは周知の通りである。

 また、在日外国人への地方参政権付与が「北へのサイン」とする辺りは、基本的なことが理解できていないようだ。
 北朝鮮と朝鮮総連は「在日朝鮮人は北朝鮮の海外公民であり、参政権付与は同化を促進させる」として反対してきた経緯がある。

 リーク筋が理解不足なのか、意図的に流したのかどちらかであろう。
 だが、底流に鳩山首相ないしは小沢幹事長の訪朝の動きがあり、来月中旬に予定されているボズワース米政府北朝鮮問題担当特別代表の訪朝により始まる米朝協議と連動していることは十分にうかがえる。

 現在中国にいるオバマ大統領は14日の東京演説で「周辺諸国との完全な関係正常化は、拉致された人々について被害者の日本人家族が完全な説明を受けない限り実現しない」と拉致問題に言及した。
 北に被害者家族への説明責任を果たすように求めており、安倍政権以来の日本政府が求めていた「生存を前提にした交渉」とは明確に一線を画している。
 
 それと軌を一にするように、小沢幹事長は12日の丁世均(チョン・セギュン)韓国民主党代表との会談で「日本は拉致問題の解決に拘束されず、朝日関係改善問題に結論を出すべきだと考える」と語ったと複数の韓国紙が報じている。
 産経新聞の取材に藤田幸久・民主党国際局長は「『拉致問題ばかりでなく、さまざまな観点から(日朝の)関係改善についてきちんとした対応をすべきだ』と小沢氏は述べた」と説明したが、発言自体は否定していない。
 私が確認したところでも、小沢発言は韓国紙に報じられた通りである。

 安明進・元北朝鮮工作員らが流した根拠薄弱な被害者生存論に関してはジャーナリストの田原総一郎氏が「横田めぐみ、有本恵子さんらが生きていないことは外務省幹部も知っている」と公言するなど、虚構性は次第に明らかになっている。
 鳩山政権が、拉致問題を口実に北朝鮮と対立することを政権浮揚や軍事大国化路線に悪用してきた安倍政権以降の自民党政権と差別化するのは当然の事と言えよう。

 

 八ツ場ダム問題は渇水や洪水の危機を誇張し、道路工事や用地買収など既成事実を作り上げ、反対する地元住民を利益誘導して分裂させ、背後でゼネコンと結託した政治家が利権を漁る典型的な一例と言える。
 別名「福田ダム」と称されるように、公共事業を農村票狙いの福祉事業化し、財政赤字を坂を転げ落ちる雪だるまのように膨らませた自民党政治の歪みがもろに出ているが、同じ構図は防衛省にもある。

 北朝鮮の脅威を誇張し、一連の「安倍の嘘」で拉致問題をこじらせて反北朝鮮感情を煽り、アジア重視派、日朝友好促進派、軍拡反対派、左派、リベラルを抱き込み、MDやイージス艦建造を進め、背後で軍需産業と政治家が利権を漁っているのである。

 国交省が「八ツ場ダム建設中止は余計に金がかかる」と記者クラブを通してマスコミに流し、一部メディアが「水没予定5地区の住民は大多数が建設中止に反対」とのアンケート調査を発表して調子を合わせたが、風向きが段々と変わってきた。
 50年も掛かっているダム建設の目的がいい加減なことに加え、建設続行はより莫大な追加資金を必要とすることなど国交省の嘘が次々と明らかになり、国民が怒り始めたからだ。

 とりわけ噴飯ものなのが、前原国交相との意見交換会への出席を拒否した「地元住民代表」や県議会議長らが補償金や工事請負などダム建設で不当な利益を得ている実態が暴かれていることだ。
 ここにきて、もともとダム建設に反対していた地元住民の中で「生活再建・地域振興」を条件に建設中止派が増えているのは当然と言える。

 防衛省の予算は約5兆円で、鳩山新政権の脱官僚・ムダ削減の掛け声の中でも動きが鈍いが、聖域にしてはならない。
 日本と敵対する意図など毛頭ない北朝鮮との関係改善が進めば、半分は可及的に削減でき、逼迫する財源を年金、教育、生活支援、医療などの社会保障費に回すことができよう。
 北朝鮮問題は他面において日本の内政問題でもある。

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