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「核兵器は破壊力があまりにも大きいので、戦略上、その保有量は考慮する必要がない。1対10でも、1対100でも戦力の均衡は不要」。
北朝鮮の労働新聞の論説とそっくりの論調だが、他でもない、田母神元航空幕僚長が昨朝8時にツイッターでつぶやいたことである。 たまたま見掛けて「北朝鮮と同じことを言っていますが、金正恩信奉者ですか」と直後に書き込んだ。 ノーの返事がないのを見ると、認めたということなのであろう。 田母神氏は「オバマ大統領の1000発案は意味がない」と日本の同盟国の核軍縮案を批判している。 別のツイートでは「核は一発あれば国防は万全」と述べているから、主張だけ見れば完全なる金正恩第1書記の核戦力建設路線の信奉者である。 無論、言論は自由であり、その限りで他人が干渉する問題ではない。 だが、田母神氏の場合は現役の航空幕僚長の時から、立場を逸脱した言動が目につく。 田母神の名が新聞を賑わしたのは、08年のヤラセ懸賞論文事件からである。 自衛隊小松基地の後援会員であった曰く付きの不動産会社社長が自衛隊員に懸賞論文を募集し、田母神幕僚長の『日本は侵略国家であったのか』なる一文が唯一入賞した。 その論旨たるや「周辺国は日本は侵略国家などと思っていない」という、初歩的な事実も踏まえない稚拙なものであった。 審査委員長が「新しい歴史教科書を作る会」と関係が深い渡部昇一氏であるから、現役自衛官をトップから洗脳する浸透工作の一環であったとみられる。 前にも書いたが、航空幕僚監部が論文応募を奨励し、97人が応じているから、組織的にかなり浸透していた。 田母神氏は航空幕僚学校長をしていたが、その現状認識の拙さは目を覆いたくなるほどである。 閉鎖的な組織で純粋培養された人物によく見られることであるが、視野狭窄的で、兵器を知って兵術を知らない。目先の戦術は語れるが、広い視野から戦略を語れない。 なお、件の不動産会社社長は安倍晋三氏の後援会「安晋会」の有力会員である。 安倍首相が「日本はアジアを侵略していない」と歴史認識の見直しを表明し、米国を含む周辺国から非難されているが、根はその辺にありそうである。 田母神氏は日本の核武装を公言する石原慎太郎氏らと同列の国粋主義者であり、直ちに北朝鮮シンパと見なすのは無理があろう。 しかし、核武装を公言する北朝鮮同様の核兵器信奉者であることは否定できない。 要するに、北朝鮮の核武装を憧憬の目で眺め、それに負けないで日本も核武装すべきであると言いたいのである。 日本政府が原発推進政策を捨てきれない動機の一つが核兵器開発オプションを温存することにあることは、公然の秘密である。 核による均衡は破局と隣り合わせの恐怖の均衡であり、麻薬の平和でしかない。 目前の兵器しか見えない田母神氏には、核兵器保有が国際的な政治経済的緊張を高め、逆に地域を不安定にする事が全く見えていない。 放縦な核兵器万能神話が伝染すれば、東アジアは収拾のつかない核拡散ドミノに陥る。 北朝鮮の核武装が核神話亡者を至るところで呼び覚まし、新たな悲劇の始まりになることはあってはならない。 |
日本の外交・安全保障
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14日付の中国軍機関紙・解放軍報に「戦争に備えよ」と檄を飛ばす総参謀部の指示が掲載された。
領有権を巡って争う尖閣(釣魚)島での自衛隊との軍事衝突を想定したものであることは間違いない。 前日、小野寺防衛相が自衛隊空挺部隊の訓練を視察し、尖閣を念頭に「あらゆる事態に対応」と訓示した。 中国軍総参謀部はそれを挑発と解釈し、強硬対応を指示したと読める。 産経新聞などは、太子党による奪権闘争と解釈するが、皮相な見方である。 中国メディアは安倍政権誕生を見越して昨年来、対日戦争をシナリオにした特集をしきりに組んできた。 安倍政権への牽制であるが、小野寺防衛相の発言をはじめとする安倍政権の頑なな姿勢に、ある種の見切りをつけたのであろう。 反日意識高揚により、中国国内の団結を強める狙いもある。 安倍政権の対中外交は完全に行き詰まった。民主党よりもはるかに後退している。 安倍首相は当初、韓国、米国との関係を強化し、対中包囲網を構築する狙いであったが、従軍慰安婦問題で韓国と対立し、訪米も事実上、キャンセルされた。 岸田外相と会談したオーストラリアのカー外相からも「従軍慰安婦問題は近代におけるもっとも暗い出来事の一つ」と駄目を押される始末である。 安倍首相は16日からベトナム、タイ、インドネシアを訪れ、領土問題で共闘する予定であるが、韓国、米国の協力なくしては絵に描いた餅に等しい。 東南アジアにも旧日本軍への恨みが残ることを忘れていると、逆に孤立する事態も十分にありうる。 安倍氏は価値観外交を標榜するが、従軍慰安婦を娼婦と冒涜し、南京大虐殺を否定して、何の自由、民主主義か。 価値観外交は海外では右翼、極右と見なされ、孤立の要因となっていることを知るべきである。 尖閣で日中が火を噴けば、日本は完全に孤立し、貿易に依存する経済は破綻しよう。 ある意味でキャスティングボードを握る韓国は中国との関係強化に動いており、安倍政権の側に立つことはない。在韓米軍も行動を制約される。 局地戦なら自衛隊が勝つとの見方が一部にあるが、幻想と知るべきである。 1977年に福田首相が日本は軍事大国にならないとの福田ドクトリンを発表して信頼を勝ち取り、経済的な共存関係を築いた。安倍外交はそれを根底から崩しつつある。 安倍氏は軍事大国化により地域での存在感を高めようとしているようだが、妄想である。地域の経済軍事バランスが根本的に変化し、相対的に地位が低下している現実を無視した日本の軍事大国化は、自滅の道である。 |
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衆院本会議で24日に「李明博大統領による島根県・竹島上陸などに抗議する決議」が共産党、社民党を除く多数決で採択されたが、国内向けのパフォーマンスなのか、韓国向けのメッセージなのか、文面が曖昧であるために伝わってこない。
日本ムラの阿吽の呼吸で外国である韓国に語っても、誤解されるだけである。
本質的な部分をぼかさず、国際社会で通じる論理で整理する必要があろう。
決議は「8月14日、李明博韓国大統領は天皇陛下の韓国ご訪問について極めて不適切な発言を行った。友好国の国家元首が天皇陛下に対して行う発言として極めて非礼な発言であり、決して容認できないものであり、発言の撤回を求める」とする。
しかし、「極めて不適切」とは何を意味するのか、まったく曖昧で感情的な表現である。
多数の党が寄り集まってまとめたため、例の玉虫色の表現にしたのかもしれないが、それでは国内世論におもねた政局の域を出ない。
外国に対する以上、最低限の論理性が求められる。
「不適切」とは、非礼を糺しているのか。
その意味でなら、李大統領の発言は唐突の感が否めず、韓国側も大人げなかったと受け取る余地が大いにある。
しかし、天皇には戦争責任がないのに批判したという意味で言っているとしたら、問題の質が異なり、厳しい批判を浴びるだろう。
事実、金星煥(キム・ソンファン)外交通商相は21日、韓国国会外交通商統一委で「(日本の天皇に)謝罪すべき部分があれば謝罪すべきなのは間違いない。(昭和天皇には)戦争責任がある」と述べている。
こうした認識は韓国では一般的である。国際的にも、中国は無論、米国でもごく普通の認識である。
今更言う必要もないだろうが、GHQが昭和天皇の戦争責任を不問にしたのは責任がなかったからではなく、占領政策的な事情で考慮したに過ぎない。
日本衆院は決議をやり直し、自身の曖昧な歴史認識を論理的に明確にし、その上で言うべきことを言うべきである。
どさくさに紛れて問題を曖昧にし、居丈高にものを言っても逆効果になるだけである。
事実、25日付の韓国各紙は24日の野田佳彦首相の会見や衆院決議に反発し、「日本が過去を直視しないのは、昭和天皇が戦犯としての責任を免れたため」と批判している。
私自身は、今の天皇は個人的には戦争と無関係であり、庶民的な感覚を有した平和主義者であると日頃考え、親しみすら感じている。
2001年に古代天皇家と百済王との血縁関係に言及して「韓国とのゆかりを感じています」と発言したことは韓国にも伝わり、好感を抱く韓国人が増えていた。
それだけに、衆院決議は水を差す残念なものと言わざるを得ない。
島国の日本は歴史的に他国とのコミュニケーションが苦手とし、没論理的な情緒に流れる文化がある。
しかし、文化の異なる異国との友誼を真摯に考えているなら、論理性をもって通じる言葉を使わなければならない。
独善的で居丈高な姿勢には、大国意識がちらつくが、日本はもはや大国ではない。東アジアの一国である。
スワップ停止や貿易制限をにおわせる態度には時代錯誤の傲慢さが紛々である。債務危機、災害復興、産業空洞化で急速に弱体化している日本経済が韓国、中国との通商戦争でいかに傷つくかは、知るものぞ知ることである。
昂ぶらず、謙虚に自己を顧みて、対等な関係を築く努力を積み上げていく必要があるのではないだろうか。
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尖閣を燃え上がらせた張本人は、誰が見ても石原慎太郎都知事である。
石原氏の唐突な尖閣購入計画を「日中関係を極めて重大な危機に陥れる」と警告したのが、丹羽駐中大使であった。そして、丹羽氏の警告通りに事態は悪化した。
ところが、野田政権は体を張って国益を守ろうとした丹羽大使を更迭し、事なかれ主義の官僚大使に交代させるという。
一体、何を勘違いしているのか。世論無視の原発再稼働といい、富裕層所得税据置の消費増税といい、未熟な松下政経塾出身者中心の政権はすべからく条理も原則もなく、自民党に揺さぶられながらふらふらとしまりがない。
石原慎太郎氏に非があることは誰が見ても明らかである。
新華社は石原慎太郎の尖閣購入計画を非難し、「極右勢力の声を容認し続けるなら、日本は誤った危険な道を進む」と警告していた。
それにもかかわらず、石原氏は丹羽大使の警告に反発し、更迭を求めた。その間、石原氏に近い山谷自民党参院議員や都議らが尖閣に上陸し、中国各地で「日本人を追い出せ」と数万の反日デモを燃え上がらせた。無闇に中国を挑発し、尖閣を紛争地化した石原氏の重大な責任こそ問われている。
本末転倒の不条理な人事は、今後に禍根を残すだろう。。
野田首相、玄葉外相らは自民党に煽られ、石原氏の尖閣諸島購入計画に乗せられて国有化云々と言い出し、にっちもさっちも行かなくなった。
そうして、官僚に言われるままに姑息な人事で事を収めようとしているように見えるが、前途多難である。
火付け役の石原慎太郎氏といえば、17日に国に尖閣上陸申請をしたが、誰が行くのか、いつ行くのかもぼかし、早速、逃げのモードである。
火が燃え上がると責任を他に転嫁し保身を図るのは、新井将敬の選挙ポスター損壊事件の責任を政治秘書に押し付けて以来の癖になっている。
しかし、狭い日本ムラで何とか通じてきた政治的パフォーマンスも、今や中国など海外に禍が及び、国際社会が理解できる筋を通さなければ収まらなくなってきた。
中国からは早ければ10月にも第二陣の上陸船が来る。日本の対応次第では、中国海軍が前面に出てくるだろう。
ここまで燃え上ってしまうと、「固有の領土」「領有権問題は存在しない」などといった空文句は通じない。根本的な対策が必要である。
野田政権は独島(竹島)を国際司法裁判所に共同提訴することを韓国に提案した。
韓国から「固有の領土」「領有権問題は存在しない」と無視されることは目に見えている。日韓中FTA交渉不参加やスワップ終了を臭わすなど経済的な圧力を加えようとしているようだが、現実は、体力が弱体化した日本の電機業界が壊滅的な打撃を被るなど日本側にもダメージが大きい。
野田政権のやることは全てがちぐはぐであるが、怪我の功名もある。
韓国が実効支配している独島(竹島)の国際司法裁判所への共同提訴は、ひっくり返せば、尖閣問題である。
日本は中国が尖閣諸島で共同提訴してきたら、日本は論理的には拒否できなくなった。
とするならば、ここは開き直り、北方四島も含めた全ての係争島に対して共同提訴、共同開発を提案したらどうか。
それくらいの勇気と知恵を働かせない限り、日本は現在の窮地から脱することは難しい。欲をかくと身を滅ぼす。
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日本と韓国、中国、ロシアとの間の領土問題が一度に噴出した観がある。
その原因について一部で日米同盟が弱体化云々と言われるが、皮相な現象論でしかない。
①歴史認識や戦争責任問題を曖昧にしてきた、②自己主張する日本型ナショナリズムの台頭、③周辺国の国力伸長とナショナリズム台頭、④日本の国力衰退(財政危機、産業空洞化、大震災)、⑤米国の影響力低下、といった要因が複合的に作用したと見られるが、最も注目されるのが①である。
尖閣(釣魚島)問題が再燃したのは、石原慎太郎東京都知事が尖閣購入計画を発表してからであった。
中国側が挑発ととらえて微博などネット上で対日批判が燃え上がり、反日デモが各地で行われ、香港から活動家、教師、経営など十四人が尖閣に迫り、一部は上陸した。
石原氏は新党をアピールするパフォーマンスのつもりであったようだが、中国の反応が全く見えず、結果的に尖閣が領土問題の紛争地であることを世界に示した。
そして、今日、山谷えり子・自民党参院議員を団長とする十人が日本人慰霊と称して尖閣に上陸した。
中国外務省報道局長が「中国の領土や主権に損害を与える行為だ。停止せよ」と日本外務省に抗議したことを無視しており、中国側のさらなる反発は必至である。
なぜ、中国が怒るのか。
石原知事や山谷議員は日頃から「南京大虐殺は嘘」「中国侵略は嘘」「大東亜戦争はアジア解放の正義の戦争」と吹聴している。極東軍事裁判の基本精神を否定するものである。
中国側は日本の領土主張の背後に、そうした歪んだ歴史認識を敏感に感じているのである。
石原、山谷氏らは「従軍慰安婦は娼婦」といったことも平気で口にしており、韓国の怒りも中国の怒りと通じるところがある。
日韓は、日本側がエキサイトしているが、韓国側は意外と冷静で、独島は波静かだ。
しかし、尖閣は波高い。山谷氏らに挑発されて第二、第三の上陸団がやって来るのは間違いない。
昨日は中国各都市に反日デモが拡大し、微博などには石原氏が「自衛隊常駐」を述べたことに反発し、「人民解放軍を送れ」との声があふれている。
玄葉外相は「領土問題は存在しない」と言っていたが、尖閣が世界でもっとも熱い領土紛争地と化しつつある現実を直視する必要があろう。
根本的な対応が不可避となってきた。
日本政府は領海警備の強化、上陸した不法入国者を海上保安庁の職員が逮捕する法改正案などを検討そいているが、中国の警備艇や戦闘艦が出て来る可能性が高まっており、それでは間に合わない。
火を噴く前に国際司法裁判所に提訴するのが賢明だろう。
野田政権は独島(竹島)に対しては提訴する意思を固めている。独島は実効支配していないから提訴は有利、尖閣は実効支配しているから不利、どうのこうのと姑息な算盤を弾いている場合ではない。
それでは二枚舌や下心を疑われ、韓国に無視されるのが見えている。
中国も馬鹿にするなと本当に怒るだろう。
事態がここまで悪化した以上、場当たり的ではなく、戦略的な対応が必要である。
地域の平和を守るには、北方四島も含めて国際司法裁判所に提訴する方がよかろう。
「固有の領土」「領土問題は存在しない」「主権」と三国がみな同じことを言っているが、それを判断するのはあくまでも公平な第三者である。
いくら綺麗事を並べたところで、領土問題の本質は資源などを狙った欲の争い。無価値であった無人島が突然脚光を浴びるのは欲望に火が付いたから。したがっで、解決の手段は欲望を抑制し、分配する共同開発しかない。
その一方で、二国間にまたがる国際法上の問題は裁判で決着をつければ良い。
いずれにしても、三つの領土問題はいずれも近代日本、特に日本の侵略戦争と無関係ではなく、疎かにされてきた日本の戦争責任問題が浮上してくることは避けられない。
東アジアで孤立する日本が頼みとする米国の日本への視点も厳しくなっている。「日本政府が中韓に過去について謝罪する一方、有力政治家は挑発的な発言を繰り返してきた。国民の不満がナショナリズにつながり、柔軟な外交を縮小しつつある」(ウエストン・コニシ米外交政策分析研究所アジア太平洋部長)との見方は、キッシンジャー元国務長官ら米外交の中心部に強い。
日本は米国の旧敵国であり、当時の中国は米国の同盟国であったことを忘れてはならない。
日本が頑なに自己主張するほど、過去の傷が表に出てくるだろう。
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