河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

盧武鉉政権→・・・朴槿恵政権

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朴槿恵大統領の弾劾訴追案が9日、韓国国会本会議で可決に必要な300人の3分の2の200票を大幅に上回る賛成234票で可決された。
野党172票に与党セヌリ党128人の半数近い62票が流れたことになり、崔国政介入疑惑熱病は与党にも伝染し、一段と深刻化したことになる。
その後も街頭デモが継続され、「韓国が良くなる」、「生活が良くなる」と狂喜乱舞し、涙を流す人達が韓日のテレビ画面を飾ったが、事はそう単純ではない。

事態が好転する保証は全くない。
むしろ、政治の混乱は深まり、微妙な時期に差し掛かっている韓国の内政外交が後退する事が憂慮される。

弾劾訴追議決書が即日午後7時過ぎに大統領府に提出され、朴大統領の権限は停止された。
当面は黄教安首相が大統領権限を代行し、政策の継続性は保たれる。
朴大統領は弾劾案可決を受けて閣僚懇談会を開き、「憲法裁判所の弾劾審判と特別検察官の捜査に淡々と対応していく」と述べ、辞任はしない姿勢を明確にした。

今後の展開であるが、憲法裁判所が180日以内に弾劾を審判し、9人の裁判官のうち6人以上の賛成で罷免が確定、60日以内に大統領選挙が実施される。棄却されれば朴大統領は職務復帰となる。
2004年の盧武鉉大統領の弾劾はほぼ2ヶ月後に棄却され、職務復帰した。その間の総選挙で与党が勝利した事が憲法裁の審判に影響を与えたとみられ、朴大統領の審判も今後の世論の動向が鍵となろう。

さらに、120日以内に結論を出す特別検察官の捜査結果も無視できない。弾劾の理由となった崔順実秘線疑惑なるものは大半が噂と伝聞が膨らませたフィクションであり、せいぜい大統領の茶飲み友達とみられる崔某が大統領との近さを誇張して蓄財に利用したというのが実態であろう。韓国社会に蔓延している縁故主義の弊害がまた現れたという事である。
検察は「第三者供賄」を問おうとしているが、朴大統領が大企業トップに民間投資を活発化させる為に支援を要請したのは統治行為の一環であり、日米ではごく普通に行われている。法的責任を問うのは通常なら極めて難しい。
ただ、韓国では検察も世論に流されやすい。その意味でも、世論の動向が鍵を握る。

何回も指摘しているように、今回の事態の本質は、些細な事が大統領の責任問題に膨らみ、非正規職増大、格差拡大、極端な学歴主義など数々の社会的不満と結び付いた政治的な熱病、すなわち、韓国型ポピュリズムと言うべきものである。
それが弾劾案可決にまで発展したのは、朴大統領がいみじくも「自分の不徳、不覚による」と述べたように、対話を軽視した不通にある。
つまり、説明責任を疎かにした自業自得と言うべきものである。

国民に直接訴えることをせず、記者会見を嫌い、閣僚や与党幹部とも会わず、何事も書面決裁で済ませようとする。与党重鎮でありながら弾劾案に賛成票を投じた金武星セヌリ党前代表が弾劾投票前の新聞インタビューで「党代表の自分に会わず、崔順実という訳のわからない女性と会っていた」と不信感を吐露した言葉に問題点が凝縮されている。
父親の朴正煕大統領の後光で大統領に当選し、一時は80%台の支持率を得た事で奢りが生じ、権威主義に呪縛されてしまったのであろう。

しかし、政策そのものは歴代政権と比べ全く遜色がない。
賃金格差や格差拡大への後手後手の対応など問題はあるが、日米欧が苦しんでいる懸案でもあり、直ちに朴政権の責任を問うのは酷な面がある。
世界経済後退の中で経済成長率は2〜3%と健闘し、0%台の日本よりも高い。AIIBにいち早く加入し、TPP頓挫で展望を失った安倍政権よりも先見の明があった。
とりわけ、習近平主席やオバマ大統領との首脳会談を重ね、個人的信頼関係を積み上げながらのバランス外交は秀逸であり、北朝鮮の核・ミサイル問題で国連安保理全会一致の制裁決議を導き出す結果を出している。
今回の弾劾に金正恩政権が小躍りしている事実が、逆に朴大統領の果たした役割を如実に物語る。

このような政策遂行に無学無識な崔某が介入したり、ましてや壟断などと疑うこと自体が愚かな事であり、韓国国民も冷静さを取り戻せば、自ずと分かるであろう。
しかし、熱病が治るには時間が掛かるかもしれない。

現在の韓国政治はいつになく流動化、不安定化しており、何が起きても不思議ではない。
何よりも1987年の民主化以来続いてきた保守、進歩の2極構造が壊れつつある。

弾劾案で割れたセヌリ党の再建は組織的、理念的に容易ではなかろう。
特に、世論に押されて弾劾案に賛成した非朴系+アルファは事実上、保守の精神的な支柱となってきた朴正煕元大統領の権威を否定したことになり、理念上漂流するしかない。
セヌリ党としては、国内政治から離れていた潘基文国連事務総長を大統領候補と担いで党勢回復を図るしかなかろう。

野党の共に民主党も、次期大統領選挙で有利な位置を占めようと、労組、市民団体が主導する朴槿恵退陣デモに便乗しただけであり、今後も振り回されていくであろう。
金大中ー盧武鉉政権10年で旧民主化勢力指導層は既得権益勢力の一部と化し、大衆から飽きられつつある。
今後の対応次第では非難の矛先がいつ向けられるかもしれない。

韓国のトランプと称される李在明城南市長が次期大統領候補として支持率で文在寅元民主党代表、潘基文国連事務総長に迫りつつあるのは、韓国国民の既得政治家への不信感がいかに強いかを端的に物語る。
李市長は「政治手法はトランプ、政策はサンダース」と語り、熱病の原因が格差拡大などへの不満にある事を冷静に見据えており、大物政治家に化ける資質を感じさせる。第3極の新たな核となる可能性がある。

反政府デモも許されない北朝鮮、韓国に劣らず格差拡大が深刻化しているのにデモが起きない日本と比べれば、韓国の方がましだとの見方もあるが、国家のトップを得体のしれないスキャンダルで追い込むのも民主主義を危うくする。
今回の異常事態を根本的に収束させるには、事実と主張を峻別する政治意識の成熟と共に、限界に達した87年体制の刷新が不可欠である。

大統領の椅子への野心と絡んだ不毛な政争を終わらせる為に、欧米先進国のような大統領任期の2期10年への改正を早急に実現すべきであろう。議員内閣制案も出ているが、悪弊の党派闘争を常態化させ、悪戯に政治を混乱させるリスクが高い。
さらに、扇情的なデモや回答率5%〜10%台の不正確な世論調査に煽られ大統領弾劾制が乱用されないように、信認投票的な国民投票制を導入することも考えるべきであろう。
国民の不満、不安に乗じ、無責任な噂や伝聞、臆測を交えた過激で扇情的な主張で政治的な主導権を握る、かつてヒットラーが政権掌握に悪用した危険なポピュリズムが世界中に吹き荒れている。
いわゆる“崔順実疑惑ゲート”にかこつけた朴槿恵大統領退陣騒動も、その類いの韓国型ポピュリズムである。

この種の騒動の特徴は政治的目的の為に捏造もいとわないデマゴーグにあるが、昨日の韓国国会でそれが明らかとなった。
「朴槿恵政府の崔順実など民間人による国政壟断疑惑事件真相究明のための国勢調査特別委員会」なるやたら長い委員会が、一連の疑惑の核心問題への証人喚問を行ったが、まさに泰山鳴動して鼠一匹であった。

崔順実被告が私物化したと噂される2財団への財閥企業の出資を巡り、サムスン電子、現代自動車、韓国ロッテなど8財閥トップを証人に呼び、朴大統領からの強要、赦免・特恵・税務調査など見返りの有無について複数の議員が追求したが、8人の財閥総帥はいずれも「政府からの代価を期待して金を出した事はない」と明確に否定した。
朴大統領が財閥総帥らを呼んで投資を促した事は事実であるが、どの国でも行われている事で、それ自体は何の問題もない。朴大統領も公約の創造経済創出の一環の統治行為と説明しており、問題にする方がおかしいのである。

売らんかな主義から過熱報道を繰り返す韓国各紙は「青瓦台の要請を拒絶するのは現実的に難しい」、「政府の政策に従うしかない」と証人が述べた事を「寄金の強要性を一部認定」(東亜日報)と誇張して報じているが、いい加減にチョンシン チャリラ(気を確かに持て)と言いたい。
トランプ次期大統領がラストベルトの工場移転を阻止したと誇り、日本でも安倍首相が頻繁に企業首脳と会い、投資を促している。米日でそれを問題視したら笑われるであろう。
そもそも国政トップが政策的な意図から企業に様々な要求を出すのは、至極当然な統治行為なのである。

結局、崔某の疑惑なるものは、朴大統領が気楽に話せると息抜きに呼び出す茶飲み友達が大統領との個人的近さを私財蓄積に悪用したというのが、問題の本質であろう。
この種の縁故主義は、それをあれほど警戒した盧武鉉大統領が親戚の蓄財行為に巻き込まれ自殺に追い込まれるほど、韓国社会に深く根を張っている。
朴大統領もそれに巻き込まれたのであろうが、国民との対話を軽視し、不信感を募らさせた不通が事態を必要以上に大きくした。セオル号沈没事故と同じ構図である。

小さな問題が国政壟断とか介入に飛躍し、大統領の責任問題に結び付くのが、いかにも李朝以来の党派闘争の悪習を受け継ぐ韓国らしい。
次期大統領の椅子を狙う野心家がそれに飛び付き、過激な主張で自分をアピールするのが毎回繰り返されてきた光景である。
回答率たかだか10%台の世論調査に右往左往し、与党セヌリ党内でも保身に走った非主流派が野党3党の朴大統領弾劾案に同調している。7日の国会聴聞会でも「崔は権力第一人者」(黄ヨンチョル議員)と、さながら野党議員のように朴大統領非難の声を張り上げている。保守の自滅の始まりであることに全く気付いていない。

この種のポピュリズムの危険性は、目先の感情や保身的な打算を増幅させ、先が全く見えなくなることである。
仮に9日に根拠薄弱な朴大統領の弾劾案が通ったとしても、その次に来るのはさらなる混乱である。これについては後日詳論するが、韓国民主主義の根底が揺らぐと言っても過言ではあるまい。

情けないことに、弾劾派は国連安保理の新制裁決議で正念場に来た北朝鮮核問題がそれを主導してきた朴大統領の職務停止で停滞し、地域の平和や韓国の安保に影響を与える事を考えることが出来ない。
ましてや、それが誰を利するかも分からず、思考停止状態である。

無論、何回も指摘しているように、デモ自体は憲法に定めた国民の基本的な権利であり、問題があるのにデモ一つしないのも異常である。
毎週土曜日の日常光景となったソウル中心部でのデモの要求は賃金カット反対、首切り反対、非正規職反対、鉄道民営化反対と様々であり、一言で言えば、格差拡大に苦しむ韓国社会の縮図である。
しかし、デモ自体は正当であっても、全て大統領が悪い、大統領さえ変えればどうにかなると飛び付くのは危うすぎる。

日本はどうか。
マスコミは他人事のように韓国のデモを報じているが、隣国に負けず劣らず格差が拡大し、問題がないわけではない。
量的緩和失敗や成長戦略の柱と位置付けたTPPの事実上の頓挫でアベノミクスは失敗が明らかであるが、国会周辺は異様に静かである。
安保法制や原発再開に反対するデモが国会を囲んだのは昨年だが、認知症に掛かったように忘れてしまっている。

その一方で、極端なヘイトスピーチがSNSなどで拡散している。
トランプ政権誕生後の日米関係の悪化と日中関係緊張、膨らむ一方の国家債務問題の表面化などで国民の不安が高まり、とんでもないポピュリストが飛び出してくる危険性がある。

熱病の韓国と認知症の日本を足して2で割るのが良いのではないか。
朴槿恵大統領が2日前(11月29日)の3回目の国民向け談話で「大統領職の任期短縮を含めた進退問題を国会の決定に委ねる」との“譲歩案”を提示した以降、韓国の政局は微妙に変化し、与党は再結束へと動き、逆に、弾劾案で朴大統領を追い詰めようとした野党3党の足並みが乱れ始めた。
前回のエントリーで朴退陣デモは峠を越え風向きは変わると指摘した通りの展開であるが、それにしても絶妙なタイミングであり、父親の朴正煕大統領の傍らで帝王学を学んだ朴大統領ならではの政治的勘を存分に働かせたのが分かる。

1日に与党セヌリ党が議員総会を開き、「来年4月に退陣、6月に大統領選挙」で全員一致した。野党の弾劾案に同調する動きを見せていた反主流派も矛を収め、野党提出の弾劾案は3分の2の賛成票を確保する見込みがなくなった。
弾劾案を阻止する朴大統領の目論見通りである。
反主流派は自分達と会ってもくれないと不通に不満を募らせていたが、朴大統領が軟化し、譲歩の姿勢を示したことで妥協が成立する見通しとなった。
その背景には朴談話に伝統的な保守層が反応し、朴大統領への同情論が高まっていることがある。

他方の野党3党は、弾劾案提出の時期を巡って2日か9日かと対立が表面化している。次期大統領選挙の主導権を確保するため、いかに対応すれば国民にアピール出来るかと、権力志向的、党利党略的な次元で右往左往しているのがありありである。
熱病のような国民感情の矛先が、不甲斐ない野党に向かう可能性もある。

おりしも国連安保理で第5回核実験を強行した北朝鮮への制裁を強化する決議を全会一致で採択した。3月の決議案で除外された石炭をはじめとする鉱物資源の取引制限が大幅に盛り込まれた。これにより北朝鮮の総輸出額の25%、8億ドルが削減されることになり、生命線を断たれようとする金正恩政権は核放棄か自滅かの重大な局面に直面するだろう。

3ヶ月近くを要したのは、石炭などの輸入国である中国を動かすのに応分の外交的努力が必要とされたからにほかならない。
中国が軟化した理由は、南シナ海、東シナ海問題でつばぜり合いをし、警戒していたオバマ政権のリバランス政策がトランプ政権の誕生で廃棄される可能性が高まり、外交の選択肢が広まったことがある。
さらに見逃せないのは、再三指摘したように、首脳会談を重ねてきた朴槿恵大統領と習近平主席との個人的な信頼関係である。先の杭州でのG20でも、中国語が堪能な朴大統領は習主席に「北朝鮮の核の脅威がなくなればTHAADは配備しない」と明確に伝え、制裁強化を促している。韓国との戦略的パートナー関係を重視する習主席が決断したのであろう。
北京に頻繁に足を運んだ潘基文国連事務総長のバックアップも大きかったと評価できる。

朴槿恵大統領の米中を取り持つバランス外交は、東アジア国際関係においてますます重きをなしている。
噂と伝聞に振り回された崔某の国政介入とか壟断といった騒動で足を引っ張るのは、地域の平和と安定を損ない、韓国の国益を大きく害すると認識すべきである。

THAAD配備に盲目的に反対した野党政治家は大統領の椅子への野心で目がくらみ、それが見えていない。
ましてや、崔某なる無学無識の一女性が朴大統領の一連の高度な外交的イニシアティブを陰で操ることなどあり得ない。それをまともに受けとるのは、状況が全く見えていない証左となる。

最後に今後の展開であるが、改憲問題が大きな争点として浮上してこよう。
朴大統領は大統領の任期短縮を提案したが、憲法改正が不可避であり、それこそ朴大統領の狙いであろう。
民主党の金ジョンイン前非常対策委代表、国民の党のアン・チョルス前代表らも従来から改憲を主張しており、改憲論争を軸に政界再編が起こる可能性もある。

不毛な政争の原因となってきた1期5年の現行大統領制は1987年の民主化闘争の産物であるが、発展途上国の印でもある。
先進国となった現状に即し、欧米で一般的な2期10年とし、朴大統領の信任投票を兼ねた大統領選を実施して政局の無用な混乱に終止符を打ったらどうか。
先の26日のソウルでの朴槿恵大統領退陣デモ参加者数について主催者の「朴槿恵退陣非常国民運動」発表は150万人だが、警察発表は27万人であった。専門人員を配置して集計している警察発表の方が正確度は高く、27万が実態に近い。
民主労総などが最大動員をかけながら、前々回の26万とほぼ同数である。一時的に同調した学生たちが2、3割を占めていると見られ、デモは山場を越えたと見なしてよかろう。

何度も指摘しているように、崔順実ゲートとか国政籠断、介入といった疑惑は噂と伝聞に煽られたポピュリズム的な騒動であり、ある意味で決め手になるのは世論調査である。これも私が調べたところ、回答率が数%から10%台の不確実なものであり、あまり当てにならない。
とは言え、他に資料がないので引用することにする。
リアルメーターが28日発表した朴大統領の支持率は9・7%で、先週と同じである。つまり、デモの影響を受けていないのである。この点からもデモが峠を越したことがうかがわれる。

デモの動員力が頭打ちなのは、正念場に来て韓国特有のセッカル(色分け)論争や地域感情がぞろ頭をもたげていることがある。
前述の世論調査にも、朴大統領の父親朴正煕元大統領以来の支持基盤である保守層や慶尚南北道で支持が少しずつ上向いている。例えば、与党セヌリ支持層の41・6%、大邱での15・8%と比較的高い。逆に全羅道では4・6%と極端に低い。

特に注目すべきは、韓国のトランプと注目される李在明・城南市長の支持率が文在寅21%、潘基文17・7%に次ぐ11・9%に急上昇していることである。
扇情的な極論を掲げる人物が次期大統領候補に台頭していることが、噂と伝聞に煽られ漂流している韓国政治の危うい現住所を物語る。

国民の不安や怒りを掻き立て、大衆受けするが非現実的な政策を掲げるポピュリズムが格差拡大で社会内部が分裂した欧米で流行っているが、韓国もそれに巻き込まれつつある。
トランプ大統領を誕生させた米国を筆頭にポピュリズムはもはや左右の枠を超えているが、韓国の特徴はいわゆる秘線がどうのこうのといった熱病に保守層がもろに巻き込まれ、与党セヌリ党が内部分裂を起こしていることである。
野党主導の大統領弾劾案に賛成する動きが一部に出ているが、自分の生き残りに目の色を変えた当人たちはそれが朴正煕政権から始まる保守政党自壊のプロセスの始まりとなることに全く気付いていない。
呆れたことに、朝鮮日報や中央日報など保守系紙まで売上部数を伸ばそうと、野党系のハンギョレ顔負けの秘線追求に熱を上げ、冷静さを失っている状況はこの国の保守の理論的教養的な底の浅さを如実に示している。

朴槿恵大統領は今日、3回目の対国民談話を発表し、「国のため国民のために全てを捧げ、私益を求めたことは一切、ない」と崔某に操られたとする秘線疑惑を否定した上で、「国会の判断に進退を委ねる」と発表した。
国民がこれをどう聞くか、韓国政治の運命の分水嶺が迫っている。

来月に日本で予定されている韓日中3国首脳会談は昨年朴大統領の外交的努力で再開されたものであり、国内の混乱で朴大統領の訪日が難しくなれば中国も参加せず、流れてしまう。北朝鮮問題が正念場を迎えているなか、韓国の外交的国益損失は計り知れない。
安倍首相は成長戦略の柱と位置付けるTPPがトランプ次期大統領に否定され、完全に行き詰まり、AIIB加入に舵を切るしかなくなっている。AIIBに先行加入した朴大統領の先見の明が明らかになっているが、東京は静かで、ソウルは騒々しい。先行き不確実性を増している国際政治のありふれた風景と言ってしまえばそれまでだが、どちらも対照的に異常なのである。

私の見たところ、与野党含め韓国の政治家で外交的手腕を発揮できるのは朴槿恵大統領しかいない。盲目的なTHAAD反対論の現野党指導部には手に余る。無論、崔某なる無識な一女性がどうのこうのと関与できる域ははるかに超えている。
騒ぎすぎる韓国人、静かすぎる日本人、チョンシンチャリラ(気を確かに持て)と言いたい。
予測した通り、寒波の襲来と共に、疑惑と事実を混同する韓国の熱病も収まりつつある。
韓国の新聞を後追いし、日本のマスコミも「逆風強まる」などと報じているが、いい加減にチョンシン、チャリラ(頭を冷やせ)。

「キム・ヨナ、『朴大統領の手を振り払った』疑惑を否定」と報じたのは朝鮮日報(11月23日日本語電子版)であるが、いみじくも一連の崔順実ゲート疑惑報道の本質を如実に示している。
そもそも「手を振り払った」疑惑が為にする噂や伝聞、つまり嘘であり、これをまともに扱う方が頭の程度を疑われる。
ところが、キム・ヨナが否定するまで“疑惑”は半ば事実のように口から口へと広がり、「朴大統領は『国民の妹』を侮辱した」とか勝手に思い込んでデモに出掛けたりする。
朝鮮日報に取材力と見識があれば無責任な付和雷同的な噂に過ぎないことを冷静に報じるか、無視するべきなのに、そうだそうだといった調子で国民を煽っていた。
一事が万事で、ここ2ヶ月近く韓国マスコミのトップニュースになっているいわゆる「秘線国政介入疑惑」、「国政籠断疑惑」なるものは、軽薄なマスコミが作り上げた前代未聞の大騒動と断じてよかろう。

格差拡大で韓国社会にストレスが高まっていることは、前回書いたように現地に入ってつぶさに観察した。それが「全部大統領が悪い」となって大デモに発展している。
デモは国民の基本的な権利であり、主権者の正当な意思表示であるが、あまり感情的になると事態の改善どころが、国政の停滞と事態の悪化を招く。
対照的に、同じように年金カットなど格差拡大が深刻化し、政治家の白紙領収書問題や政治資金不正流用問題が噴出している日本は静かすぎる。昨年国会周辺に押し寄せた安保法制反対デモもほとんど姿を消し、韓国が熱病なら、日本は認知症である。

朴大統領の、巷の噂には我関せずといった権威主義的で稚拙な対応にも問題があった。そのため不通と不信感を買い、事態をいたずらに政治問題化し、国政を混乱させてしまった。
いわゆるセオル号事件はその典型であった。民間客船の転覆事故に大統領が責任を問われるなど日本、米国ではおよそ有り得ないことであるが、韓国ではいわゆる「空白の7時間」疑惑が流布し、野党が一緒になって大統領の刑事責任まで問う異常事態に発展し、世界を驚かせた、というよりは、失笑を買った。
ようやく朴大統領は19日付大統領府HPで執務室で30余件の決裁をしていたと明らかにし、一件落着したが、遅きに失した感がある。SNSなどで無責任な噂や伝聞が飛び交うネット社会では、無視するのではなく、一々事実でもって説明するのが適切な情報管理であることを知るべきである。
因みに、一度政権を投げ出した経験から安倍首相は情報管理に人一倍神経を使い、アベノミクスの失速、TPP外交破綻にも関わらず高支持率を維持している。

保守系紙が噂や伝聞を流して朴大統領を追い詰めるのは、接待禁止のキム・ヨンラン法で取材が厳しくなるなど既得権が脅かされていることへの腹いせもあろう。実際、朴大統領バッシング報道が始まる直前、宋煕永朝鮮日報主筆は財閥企業による欧州豪華ヨット旅行等の問題が発覚し、辞任している。

デモ当日、地下鉄の出入口に「朴槿恵退陣」のビラと共にうず高く積まれていた野党系のハンギョレ新聞にも、矛盾した記事が見える。「慰安婦、THAAD、韓日軍事情報協定で速度戦、すべて『朴大統領の独断』」(日本語電子版11日24日)がそれである。
朴大統領が政務に意欲的に取り組み始めたことを皮肉ったつもりであろうが、崔某に操られていたと連日トップ記事で報じた事を自ら否定していることに全く気付いていない。

私が再三指摘したように、崔某は世間話の茶飲み友達の域を出るものではなく、THAADなど野党指導部さえも十分に理解していると思われない高度な外交問題など国政に「介入」したり、ましてや「壟断」する能力など持ち合わせていない。
冷静に考えれば誰にも分かることであり、速度戦は「独断」ではなく、これまでと同様の決断と言うのが正しい。

おりしも23日、米中が国連安保理での北朝鮮制裁決議案に中国による石炭など地下資源輸入制限を含めることで合意し、近々、正式に採択される展望となった。
トランプ次期大統領がオバマ大統領のリバランス政策を放棄し、経済実利的な米中関係再構築へと舵を切ることを見越して、習近平主席が決断したと見られる。これについては別に解説するが、基本的には私が『二人のプリンスと中国共産党』で予測した「新型の米中大国関係」へと向かっていると読める。
THAADをカードにし金正恩政権に核を放棄させる朴大統領のバランス外交が正念場に近付いており、韓国は不必要に内部で揉めている場合ではない。

そうした状況に韓国世論も気付き、冷静さを取り戻しつつある。リアルメーターの24日発表の世論調査も朴大統領支持率が0・4%上昇し、10・1%となった。回答率10%台の誤差の大きい調査ではあるが、潜在的な朴大統領支持派が勢いを盛り返していくであろう。
というのも、3野党は反対ばかりで、代案がないからである。共に民主党が準備している大統領弾劾案も仮に成立しても現在の黄ギョンファン首相が大統領代行になるだけで、朴槿恵政権は事実上、継続する。
それを理由に第2野党の国民の党は難色を示しており、次期大統領戦への野心から野党も一枚岩からはほど遠い。国民の批判の矛先がある日突然、党利党略的な野党に向かう可能性もある。

いわゆる秘線疑惑に対して検察は「朴大統領に共謀があった」とする公訴状を公表したが、朴大統領の弁護士は「噂と伝聞に基づく小説」と全面否認し、崔容疑者の弁護士も同様の見解を示している。
一時的な世論に突き動かされ、証拠も不十分なままに動いた検察が公判を維持するのは難しかろう。
先の12日にデモ隊で埋まった世宗路の両サイドには串焼などの屋台が数多く並び、デモが半ば文化祭化した政治文化を実感した。韓国を訪れる外国人観光客は今年史上最高の1500万人を超すことが確実視され、デモ隊が詰めかける世宗路と光化門で隔てられた景福宮の中は写真のように韓服に着替えた中国人、トルコ人など観光客で溢れ、別天地であった。
局地的な流行性熱病は、不満を吐き出して幕となる徒労の顛末に終わりそうである。

不毛な党派闘争的な騒動を繰り返さないためにも、大統領任期を2期10年とし、朴槿恵大統領の信任投票を実施したらどうであろうか。
重ねて言うが、大統領の椅子しか見えない私的野心で動く旧態依然とした政治家は全て一線を退くべきである。

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