河信基の深読み

読者各位様:本「河信基の深読み」は順次、北朝鮮投資開発戦略研究所(2019年4月〜所長・河信基)の公式HPへ移行して参ります。

在日・マイノリティー・差別

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全15ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 前のページ | 次のページ ]

 経済一流、政治二流と長く言われてきたが、雪ダルマ式に膨れ上がる財政赤字に悲鳴を上げる経済の足を、道路など各種利権にしがみつき、軍備拡張に熱を上げる旧思考政治が引っ張り続けている。日銀が毎月1兆2千億円もの赤字国債を買い支える自転車操業の日本丸は、サブプライム問題が引き起こすであろう金融危機の大波に耐え切れるか、あまりにも心もとない。
 サルコジやオバマのような新しい血を導入し、世襲政治家に篭絡され、未来を手繰り寄せる力強いビジョンや想像力を喪失した政治を根底から立て直す必要があるのではないか。遅ればせながら、その第一歩が外国人参政権である。

 意外と見逃されているのが、外国人参政権のメリットという側面である。
 民主主義社会の最大の利点は、少数意見を取り入れ、自己刷新を図れることにある。日本社会のマイノリティーである在日外国人を、貴重な政治資源として活用すれば、停滞する政治の活性化に有益であろう。

 その意味でも、自民党を除く各党が永住外国人への地方選挙権を付与する法案の通常国会提出へと動き出したことを歓迎したい。
 韓国側の期待も大きく、先月、次期大統領特使として来日した李相得・韓国国会副議長が小沢・民主党代表に「自民党が躊躇している。民主党がリードしてほしい」と要請、小沢氏は「以前から早く実施すべきだと考えている。党内で早くまとめて実現したい」と積極的に取り組む考えを示した。

 外国人地方参政権については、最高裁が「地方自治体の選挙に関し、外国人のうち永住者などに選挙権を与えることは現行憲法のもとでも禁じていない」(平成7年2月27日)と合憲判決を出しており、日本国民も大多数が容認していると思われる。
 自民党内でも賛成派が増えており、反対派は、“単一民族神話”にこだわる国粋派系の議員や、拉致問題への腹いせから在日朝鮮人排斥に熱を上げる「救う会」や特定失踪者問題調査会などに限られつつある。

 それら反対派の主張は、一言で言えば、時代遅れ。グローバル化し、脱国民国家へと向かう日本社会の現実にそぐわない。
 彼らはしばしば安全保障上の懸念を挙げるが、在日外国人も一地域住民乃至は納税者として日本社会と運命共同体という点では、一般の日本人と変わらない。フランス人の血が一滴も入っていないハンガリー移民二世のサルコジが、安全保障や国内治安問題で純潔フランス人よりも強硬なのは示唆的である。
 相互主義の原則からも、日本は、05年6月に公職選挙法が改正され、「永住資格を持つ19歳以上の外国人」に地方選挙権を認めた隣の韓国よりも遅れている。以前、大学の授業でそれを紹介したら、大半の学生が驚き、「日本も認めるべきだ」と理解を示した。

 皮肉なことだが、反対派はある意味で日本の伝統にそぐわないことを言っているように見える。
 日本の古代政権誕生と律令制度確立には朝鮮半島からの渡来人が大きな役割を果たし、明治維新はいわゆる御雇い外国人が近代化のノウハウを伝授した。この国は大きな節目毎に外の血を巧みに利用し、変革を成し遂げてきた伝統がある。

 1990年を前後して燃え上がった改革運動も、在日出身代議士である新井将敬が「改革派のホープ」と呼ばれ、先頭に立った。
 それは細川非自民党政権誕生につながったが、短命に終わって自民党政権の出戻りを許した。新井の挫折とともに大きく後退し、跛行状態に陥った改革を本来の軌道に載せるためにも、新たな活力が必要であろう。自民党時代の新井の同輩もしくは後輩に当たる安倍晋三、中川昭一氏らいわゆる「真・保守派」が「保守による改革とは何か?」と行き詰まっているのをみると、一層その感を強くする。

 先走りと批判されることを承知で提言すれば、将来的には、地方参政権だけでなく、国政参政権も認めるべきではなかろうか。
 国民国家という壁がある限り、国政には帰化しないと参加できない。それでも、新井らが帰化人であることを伏せて出馬した頃に比べ、白眞勲・民主党参院議員が在日コリアンとしてのルーツを明らかにして当選するなど、その壁は次第に低くなっている。
 
 固定観念に呪縛されていると、瞬時も休まず変化する現実から取り残され、臆病になり、縮むしかない。
 脱国民国家、ポスト近代へと歩んでいるEUでは、明らかに超国家へと国家概念の変貌と再編が起きている。それとともに、国籍や外国人も、いわば何々県人といったローカルなコンセプトへと変貌しているように思える。

 しかし、EUの後ばかりを追わず、まず日韓で実験的な試みを始める心構えがあってもよいのではないか。
 1910年の日韓併合は強制的に行ったが故に失敗したが、今や韓国の方が外国人参政権に先に道を開き、日本とのFTA締結にも熱心で、地域統合にイニシアチブを発揮している。
 東アジア全体の未来を見据え、1+1=2+アルファというウィン・ウィンの新しいアイデアや動きが出ていることは、確かなようである。 

 言論への無自覚無責任、もしくは、たちの悪い放言壁ではないか。
 1月の大阪府知事選に立候補表明している弁護士でタレントの橋下徹氏のことだ。

 昨日、公約を説明して支援を要請するために公明党府議団を訪れ、「日本は核武装すべきだ」という過去のテレビ番組(たかじん委員会)での発言を批判されると、「バラエティー番組での発言で、(府知事の)立場では法律や非核三原則にのっとり行動する」と釈明したという。
 時と場所によってころころと言うことを変え、自分の言論に責任を負わないと自ら表明したようなものである。
 だとしたら、そのような人物の公約と空手形は、一体どこが違うのか。

 核武装発言は日本の非核三原則を否定する重大発言であり、それをあえて口にする以上、責任を負うのは当然のことである。核武装が信念なら、二枚舌を使わず、その理由を開陳すべきであろう。
 その覚悟も自覚もない人物が、何をもって有権者に訴えようと言うのか。

 橋下氏は野心的な性格なのか、ヒットラーの大衆扇動政治を髣髴させる危険な前科がある。
 山口県光市の母子殺害事件の被告弁護団に対して、5月に同じテレビ番組で視聴者に懲戒請求を呼びかけたことだ。以前、「報復感情を煽った言論テロ」と批判したことがあるが、核武装発言は、「北朝鮮に対抗するためには日本も核が必要だ」とする一部の極論に迎合した確信犯なのではないか。
 http://blogs.yahoo.co.jp/lifeartinstitute/25053462.html

 あるいは、バラエティー番組なら何を言っても許されると誤解しているのであろうか。
 今年4月に関西テレビの「発掘!あるある大事典!」の捏造問題が起きたが、その背景には、番組という商品を売り込み、視聴率を上げるためには、何でも許される、おもしろければいいと言った大衆迎合的な商業主義がある。
 今年の世相を現すと選ばれた「偽」は、そうした風潮を煽ったメディアにも責任があろう。

 先の韓国の大統領選では、各候補の過去の言動が批判にさらされ、説明を求められた。「バラエティー番組での発言」などと言って逃げることは出来ない。
 日本も言論先進国として、橋下氏の問題発言に厳しい審判が下されるべきであろう。

 小沢・福田連立劇は、参院選で政権交代を期待して民主党に投じた民意に逆行するとのイメージをまいてしまい、民主党のダメージは小さくない。
 しかし、直近の支持率動向を見た限りでは、福田内閣支持率は下降しており、自民党にもそれほど有利に作用したわけではなさそうである。日が経つにつれて、守屋問題、年金問題などがまたクローズアップされ、自民党への風当たりはさらに強まろう。

 後遺症を引きずりそうなのは、公明党だ。
 自民、民主が連立を組めば公明は用払いとなり、下駄の雪と消える。公明党に激震が走ったのは言うまでもない。
 自民党側は不信解消に躍起となっているが、公明党内では、総選挙が終わったらまた連立劇の第二幕が上がるのではないかと疑心暗鬼が消えない。
 仮に総選挙で与党が勝ったら、連立再燃は間違いないだろう。負けたら、無論、政権から滑り落ちるからどう転んでも公明党の先は明るくない。

 公明党が政権にしがみつく隠れた理由は、池田大作名誉会長の証人喚問の絶対阻止にあることは知る人ぞ知ることだが、過日、石井一民主党副代表が参院予算委員会でそれを久しぶりに取り上げ、揺さぶっている。
 公明党の腰が引け、自民党との選挙協力にひびが入れば、来る総選挙で民主党など野党が勝つ確率はぐっと高まる。
 恐らく私のうがちすぎであろうが、仮にである、それを見越して小沢氏が連立劇に乗ったふりをしたとしたら、これはもう、今評判の山本勘助を凌駕する策士と言える。

 大連立を仕掛けた渡辺恒雄・読売新聞会長は勝海舟の気分だったそうだが、いかにも“和”重視の日本的な政治文化を思わせる。
 日本では、総選挙というきな臭さが漂う中でも、まとまろうとするベクトルが自然と働く。

 大統領選を間近に与野党ともに候補者が乱立し、分裂の極みにある韓国と比べると、それがよくわかる。
 日本から見ると韓国の分裂劇は見苦しいが、韓国では福田・小沢の連立劇は「くるくる変わる」と不節操なものと受け止められている。

 異論もあろうが、私は常々、日本の近代は薩長同盟、大政奉還、西郷・勝会談に見られる日本的な妥協=「和合」から始まり、「名分」と「意地」が張り合い分裂を克服できなかった韓国と近代の出発点から対照的であったと考えている。
 現在の日韓の政治状況を比べると、その違いがまだ尾を引いているように見える。

 小沢氏が自民党側の連立工作に乗ってしまった理由については、様々に取り沙汰されている。
 誰もが思い浮かべるのが自民党幹事長まで務めながら党を割り、細川連立政権を作り上げ、瓦解させた“壊し屋”小沢氏のイメージで、その古い自民党的情緒や体質を論じるものが目に付く。
 中には、防衛利権絡みで米国側から脅されたと、親分だった田中角栄元首相が失脚したロッキード事件を髣髴させる説まで週刊誌に流れている。
 だが、やはり決定的な動機は、当人が「福田首相は国連決議による自衛隊派遣の原則に同意し、テロ新法にはこだわらなかった」といったくだりだろう。“湾岸戦争のトラウマ”がうずき、気分が高揚してついつい大連立の協議に乗せられてしまったと読める。

 小沢氏が大西郷になり損ねたのは、せっかく民意という錦の御旗を手にしながら、我慢しきれず、官軍が箱根を越える前で福田氏に手を差し伸べ、妥協しようとしたことである。
 福田慶喜はそれで息を吹き返し、参院選惨敗で浮き足立っていた自民党幕府軍は反転攻勢に乗り出した。
 
 とはいえ、徳川300年ならぬ自民党長期政権の体制疲労、不正腐敗は国民の忍耐の限度を超えており、6か国協議での孤立化など外圧は高まるばかり。
 そのため、小沢氏の勇み足にもかかわらず、支持率が気になって観ていた今朝のフジ「報道2001」が示した福田政権支持率は48%台と再び下降している。

 今後の展開は予断を許さないが、どこかの瞬間でまた「和合」のベクトルが働くのであろう。
 永田町では年内にも総選挙がありうると臨戦態勢に突入しているが、やはり年末に予定されている韓国大統領選と比べると、比較文化論的にも興味は尽きない。

 参院選で豪腕復活を誇示し、自民党を追い込んでいる矢先に“安倍し”、世間を驚かせた小沢さん、「恥をさらす」覚悟で辞意を撤回するようだ。まずはめだたい。
 「わが死を3年伏せ」と遺言したのは、上洛途上で倒れた武田信玄だった。史実か講談なのか、いずれにしても前線指揮官の戦線離脱は絶対にあってはならない。菅、鳩山氏ら副官、参謀らが必死に慰留したのは当然とも言える。
 それに応えた小沢氏の心意気を評価したい。恥は、公約の政権交代と生活第一の政治を実現する過程で濯ぐしかない。私を抑え、公に殉じる覚悟が必要だろう。

 「自民党との連立なし」が小沢慰留の条件だが、これだけは最低限の仁義として守らねばならない。
 あえてそう強調するのも、小沢氏には「130億ドルも支援しながら、(自衛隊を出さなかったため)国際社会で評価されなかった」とする第1次湾岸戦争時のトラウマがあるからだ。
 「普通の国」になろうと、国際貢献に釈迦力になるのもそのためで、策士の福田さんにまんまとその弱点を突かれた。

 新井将敬らが行動をともにした新進党当時の小沢氏であったら、自民党一丸の連立工作に乗せられていたであろうが、今回はぎりぎりのところで踏みとどまった。
 党役員会で諌められたからだが、その中心にいたのが鳩山幹事長であった。新井と親しかった鳩山氏は、豪腕小沢の強さと同時に、弱点も知っていたと思われる。

 前回指摘したように、福田・小沢の大連立協議から透けて見えたのは、湾岸戦争のトラウマを抱えた小沢氏の危うさであった。
 国会でのテロ特措法質疑で伊吹自民党幹事長が「自民党幹事長時代の小沢氏は我々と同じことを言っていたはずだ」としきりに揺さぶっていたように、自民党や保守層はそのトラウマを共有し、従って、共鳴しやすい。

 言葉は悪いが、それを餌に小沢氏を釣り上げようとしたのだ。
 政権党でありながらまともに法律一本通せず、窮地に追い込まれた自民党には、今解散すれば敗北は必至だから、民主党を大連立に取り組むしか手がない。
 小沢氏によれば、福田首相は「国連決議に基づく自衛隊の海外派遣原則に同意し、テロ新法にはこだわらない」と述べたという。福田氏は否定し、密室のことだから真偽は不明だが、自民党側が延命のための党利党略から、連立を第一に考えて仕掛けたことは間違いあるまい。

 そんな安物の工作に嵌められてしまうようでは、小沢氏にも民主党にも未来はない。
 下駄の雪のように消えた、かつての社会党の二の舞である。

 そもそも、インド洋での自衛艦給油活動がそれほど重要なことなのか、米国でも「ブッシュの戦争」として冷ややかに見られ、次期民主党政権では捨てられる可能性のある「反テロ戦争」の評価も含め、よくよく頭を冷やして考える必要があろう。
 保守系言論や自民党は「日米同盟に亀裂が入る」と騒ぐが、1日でテロ特措法が期限切れ廃案となり、自衛艦が撤収しても米国メディアはほとんど報じていない。ブッシュ政権も諦め顔で、事実上、あっても無くてもさして変わらないのだ。自衛艦の給油を受けていたパキスタンは政情不安化し、焦点はそこに当てられている。
 
 安倍首相の突然の職務放棄は、その5日前のブッシュ大統領との会談で、北朝鮮へのテロ支援国家指定解除延期を頼むために、「テロ特措法延長に責任を負う」と約束したことが原因であった。最後の望みをかけた小沢氏に会談を断られ、空約束の重圧に耐えられず病院に駆け込んだのである。
 福田氏に江戸の仇を長崎で取られる格好になったのが今回の密室劇であったが、寸前のところで最悪の事態は免れた。
 最も落胆するのはライバルの自民党であろうから、民主党としては最低限の面子は保ったことになる。

 小沢さん、国際社会の評価を必要以上に気にかけると、安倍氏のように振り回されるのがおちだし、心臓にもよくない。
 自衛隊を出すか出さないかが日本に対する評価の第一基準ではないし、出すことで近隣アジア諸国の警戒感を呼び起こすデメリットもある。
 せっかく外国人秘書を数人雇っているのだから、視野をさらに広げ、次期首相に相応しいバランス感覚を備えてほしいものである。

全15ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 前のページ | 次のページ ]


.
河信基
河信基
男性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
検索 検索

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事